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	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
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	<updated>2026-04-13T02:10:44Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
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		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-08-16T11:07:54Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:下丘図.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図．ヒト中脳の横断面&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;このレベルでは，最も背側部に左右一対の隆起として下丘が認められる「Gray&#039;s Anatomy」から転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうちの尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 中心核  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 背側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 外側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が[[蝸牛]]で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声[[言語]]や[[聴覚]]空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには[[体性感覚]]系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは[[大脳皮質]]から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する（[[音源定位]]）。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，[[GABA]]性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation）  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[反響定位]]とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; （執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=13098</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-08-16T11:07:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が細胞の電気信号へと変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これは，音の周波数に応じて，基底膜上での振動しやすい位置が異なることによる．鳥類では，これに加えて有毛細胞の電気的性質が関わることも知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図1．蝸牛の構造&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;A，B　ヒトの内耳「Gray&#039;s Anatomy」から転載。C　蝸牛管の断面「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低[[カルシウム|Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;]]濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する上皮組織である血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:蝸牛 図2.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図2．有毛細胞の線維連絡&amp;lt;/b&amp;gt;]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[Type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[Type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の[[上オリーブ核]]に起源をもつ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[Prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子の[[ノックアウトマウス]]では，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=13097</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-08-16T11:05:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が細胞の電気信号へと変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これは，音の周波数に応じて，基底膜上での振動しやすい位置が異なることによる．鳥類では，これに加えて有毛細胞の電気的性質が関わることも知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図1．蝸牛の構造&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;A，B　ヒトの内耳「Gray&#039;s Anatomy」から転載。C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低[[カルシウム|Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;]]濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する上皮組織である血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:蝸牛 図2.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図2．有毛細胞の線維連絡&amp;lt;/b&amp;gt;]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[Type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[Type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の[[上オリーブ核]]に起源をもつ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[Prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子の[[ノックアウトマウス]]では，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=13096</id>
		<title>下丘</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=13096"/>
		<updated>2012-08-16T11:03:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:下丘図.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図．ヒト中脳の横断面&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;このレベルでは，最も背側部に左右一対の隆起として下丘が認められる「Gray&#039;s Anatomy」より転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうちの尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 中心核  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 背側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 外側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が[[蝸牛]]で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声[[言語]]や[[聴覚]]空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには[[体性感覚]]系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは[[大脳皮質]]から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する（[[音源定位]]）。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，[[GABA]]性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation）  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[反響定位]]とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; （執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=13095</id>
		<title>下丘</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=13095"/>
		<updated>2012-08-16T11:03:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:下丘図.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図．ヒト中脳の横断面&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;このレベルでは，最も背側部に左右一対の隆起として下丘が認められる「Gray&#039;s Anatomy」より転載」]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうちの尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 中心核  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 背側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 外側皮質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が[[蝸牛]]で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声[[言語]]や[[聴覚]]空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには[[体性感覚]]系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは[[大脳皮質]]から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する（[[音源定位]]）。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，[[GABA]]性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation）  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[反響定位]]とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; （執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=13094</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-08-16T10:56:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が細胞の電気信号へと変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これは，音の周波数に応じて，基底膜上での振動しやすい位置が異なることによる．鳥類では，これに加えて有毛細胞の電気的性質が関わることも知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図1．蝸牛の構造&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低[[カルシウム|Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;]]濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する上皮組織である血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:蝸牛 図2.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図2．有毛細胞の線維連絡&amp;lt;/b&amp;gt;]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[Type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[Type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の[[上オリーブ核]]に起源をもつ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[Prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子の[[ノックアウトマウス]]では，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=13074</id>
		<title>蝸牛</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=13074"/>
		<updated>2012-08-15T12:34:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が細胞の電気信号へと変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これは，音の周波数に応じて，基底膜上での振動しやすい位置が異なることによる．鳥類では，これに加えて有毛細胞の電気的性質が関わることも知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図1．蝸牛の構造&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低[[カルシウム|Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;]]濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する上皮組織である血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:蝸牛 図2.jpg|thumb|300px|&amp;lt;b&amp;gt;図2&amp;lt;/b&amp;gt;]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[Type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[Type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の[[上オリーブ核]]に起源をもつ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[Prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子の[[ノックアウトマウス]]では，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=11078</id>
		<title>下丘</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=11078"/>
		<updated>2012-06-27T13:03:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: 1，第一段落の感覚入力を記述しました．2，機能の第二段落に文献をつけました．3，中脳の図をつけました．&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[ファイル:下丘図.jpg]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうち、尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation） ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
* [[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=11077</id>
		<title>蝸牛</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=11077"/>
		<updated>2012-06-27T13:00:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: 1，第一段落の周波数局在に関する記述を変えました．2，線維連絡の図をつけました．3，tip linkの記載を変えました．&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が電気信号に変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これは，音の周波数に応じて，基底膜上での振動しやすい位置が異なることによる．鳥類では，これに加えて有毛細胞の電気的性質が関わることも知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&#039;&#039;&#039;図　蝸牛の構造&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[ファイル:蝸牛_図2.jpg]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の上オリーブ核に起源をもつ。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子のノックアウトマウスでは，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=11076</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-06-27T12:51:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が電気信号に変換される。蝸牛では音の周波数が基底膜上での位置として表される。これには主に基底膜の振動特性が関わり．鳥類ではこれに加えて有毛細胞の電気的性質も関わることが知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21276841 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&#039;&#039;&#039;図　蝸牛の構造&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[ファイル:蝸牛_図2.jpg]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では1本の[[無髄]]の求心性線維（[[type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の上オリーブ核に起源をもつ。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られており，この構造が感覚毛への機械刺激を機械受容器チャネルに伝えると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子のノックアウトマウスでは，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=11071</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-06-27T11:54:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名 : cochlea　独：Hörschnecke　仏：cochlée&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:JA:側頭骨|側頭骨]]錐体内にある[[内耳]]の[[聴覚]]器官。渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する。内部に[[膜迷路]]と呼ばれる構造をもつ。膜迷路は[[wikipedia:JA:リンパ液|リンパ液]]で満たされ，基底部で[[中耳]]の[[耳小骨]]と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある[[基底膜]]（basilar membrane）を振動させる。基底膜の振動はさらに，基底膜上にある[[コルチ器官]]（organ of Corti）の[[有毛細胞]]と呼ばれる感覚器細胞の[[感覚毛]]を揺らし，その結果，音の振動が電気信号に変換される。蝸牛では基底膜上での位置として音の周波数が表される。これは，振動しやすい基底膜上での位置が音の周波数に応じて異なり，周波数が低くなるほど蝸牛の頂部に近くなるためである。周波数成分毎に受容された聴覚信号は，[[蝸牛神経]]（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Cochlea Fig.jpg|thumb|right|300px|&#039;&#039;&#039;図　蝸牛の構造&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;C「古河太郎：現代の生理学、第２版、1987、p254　図IV-6 蝸牛管の断面」から許可を得て転載]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる。骨により形成された[[骨迷路]]と，その内部の膜迷路からなる。膜迷路は3層に仕切られ，上層から[[前庭階]]（scala vestibuli），[[中心階]]（scala media），[[鼓室階]]（scala tympani）と呼ばれる。前庭階と中心階は[[ライスネル膜]]で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている。前庭階と鼓室階は[[外リンパ液]]で満たされ，中心階は[[内リンパ液]]で満たされている。外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する血管条により生成される。また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ[[卵円窓]]（別名，前庭窓）と[[正円窓]]の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある[[蝸牛孔]]で互いに交通している。卵円窓には[[耳小骨]]（[[アブミ骨]]）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 進行波 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる。この結果，基底膜に振動が生じる。この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む。これを進行波という。基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する。さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる。このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる。すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる。このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，[[大脳皮質]]の[[聴覚野]]にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る。これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる。すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する。このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する。近年，この能動的な因子として，[[外有毛細胞]]のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コルチ器官 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる。有毛細胞には[[内有毛細胞]]と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる。有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている。コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の[[不動毛]]からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している。最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの[[基底小体]]が存在する。感覚毛の上部は[[蓋膜]]により覆われている。蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ。すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる。この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される。感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に[[脱分極]]性の[[受容器電位]]が生じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 有毛細胞の線維連絡 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　有毛細胞は，蝸牛軸に分布する[[蝸牛神経節]]（ラセン神経節）細胞からの[[一次求心性神経線維]]と[[シナプス]]を形成する[[ファイル:蝸牛_図2.jpg]]。求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，[[脳幹]]の[[蝸牛神経核]]へと入力する。1つの内有毛細胞は10〜30本の[[有髄]]の求心性神経線維（[[type-I線維]]）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では求心性神経線維とのシナプス結合は少なく，1本の[[無髄]]の求心性線維（[[type-II線維]]）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する。このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている。一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている。この遠心性神経線維は主に脳幹の上オリーブ核に起源をもつ。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 受容器電位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される。これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在する[[イオンチャネル]]（[[機械受容器チャネル]]）を開閉し，受容器電流を発生することによる。感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる。この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，[[TRPチャネル|TRP (transient receptor potential) チャネル]]の可能性が強く示唆されている。一方，有毛細胞における機械受容機構では，感覚毛への機械刺激をイオンチャネルに伝えるリンカー機構の存在が必要である。実際，有毛細胞の感覚毛の先端には[[tip link]]と呼ばれるひも状の構造が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。受容器電流による有毛細胞の[[脱分極]]（受容器電位）は，さらに[[電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネル]]を活性化することで[[シナプス小胞]]からの[[神経伝達物質]]放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる。この神経伝達物質は主に[[グルタミン酸]]である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外有毛細胞による振動増幅機構 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外有毛細胞は[[膜電位]]に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，[[過分極]]で伸展する。この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている。この外有毛細胞は頂部で周囲の[[支持細胞]]と強固に結合している。このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる。この外有毛細胞の伸縮には[[prestin]]という[[モータータンパク質]]が関わる。Prestin遺伝子のノックアウトマウスでは，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する。このタンパク質は外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，[[細胞骨格]]と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 内リンパ腔電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている。内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これは[[Na+-K+ ATPase|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPase]]と[[Na+-K+-Cl-共輸送機構|Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構]]の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される。さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約80 mVほど高い電位を持っている。この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および[[中間細胞]]で形成される。この内リンパ腔電位は受容器電流の[[駆動電圧]]を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある。有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その[[平衡電位]]は0 mVである。有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる。一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 蝸牛マイクロホン電位 ==&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される。この電位は[[wikipedia:JA:音圧|音圧]]に比例して増大し，音刺激に対して特別な[[閾値]]や潜時を示さない。蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する。現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている。また，この外有毛細胞の活動は[[wikipedia:JA:鼓膜|鼓膜]]の外から音としても記録することができ，[[耳音響放射]]と呼ばれ，[[wikipedia:JA:新生児|新生児]]の内耳機能検査にも利用されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=11069</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-06-27T11:52:50Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ[[下丘.jpg:File.jpg]]。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうち、尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation） ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
* [[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E4%B8%8B%E4%B8%98%E5%9B%B3.jpg&amp;diff=11068</id>
		<title>ファイル:下丘図.jpg</title>
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		<updated>2012-06-27T11:50:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: 中脳の断面&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;中脳の断面&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>ファイル:蝸牛 図2.jpg</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E8%9D%B8%E7%89%9B_%E5%9B%B32.jpg&amp;diff=11067"/>
		<updated>2012-06-27T11:47:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: 蝸牛の線維連絡&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;蝸牛の線維連絡&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=11066</id>
		<title>下丘</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=11066"/>
		<updated>2012-06-27T11:38:30Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：inferior colliculus　独：Colliculi inferiores　仏：colliculi inférieurs　羅：colliculus inferior　英略称：IC&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳]]にある[[聴覚]][[神経核]]であり，背側に突出した構造をもつ。中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる。すべての[[上行性]]の聴覚情報は下丘を経由して[[視床]]へ至る。下丘では，下位[[脳幹]]の聴覚神経核に比べて複雑な情報処理が行われている。音の[[周波数弁別]]，音の[[高さ]]，[[音声言語]]，[[聴覚空間]]の認知など，様々な聴覚機能に関わる。また，下丘へは[[体性感覚]]，[[顔面知覚]]，[[視覚]]などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる。[[大脳皮質]]からの下行性の投射は，[[注意]]などによる[[ゲート機構]]として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 構造 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[中脳蓋]]にある[[四丘体]]とよばれる二対の隆起のうち、尾側の一対に相当する。吻側の一対は[[上丘]]と呼ばれ，ヒトでは[[眼球運動]]に関わる。下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる。CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である。CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。[[興奮性入力]]の起始核には対側の[[蝸牛神経核]]（背側核，後腹側核，前腹側核）と[[外側上オリーブ核]]，同側の[[内側上オリーブ核]]と[[腹側外側毛帯核]]があり，[[抑制性入力]]の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の[[背側外側毛帯核]]と下丘がある。前二者は[[グリシン]]作動性，後二者は[[GABA]]作動性の入力を送る。CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する。DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある[[下丘交連]]は左右の下丘をつなぐ。対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る。DCICには同側の大脳皮質（[[聴皮質]]，[[下側頭回]]，[[海馬傍回]]）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる。ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに[[下丘腕]]が覆っている。下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている。ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，[[薄束核]]や[[楔状束核]]，[[三叉神経脊髄路核]]，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに[[黒質緻密部]]，[[中心灰白質]]，[[脳質周囲核]]，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる。このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている。下丘で処理された情報は，視床の[[内側膝状体]]へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる。また下丘からは，[[背側蝸牛神経核]]，[[傍オリーブ核]]，[[背側外側毛帯核]]を含む聴覚神経核，さらに[[橋核]]や[[網様体]]などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 機能 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数再現]]（tonotopic organization）がみられる。これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造（laminae）を形成する。CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す。これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。正確な音の[[周波数弁別]]には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる。このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]]（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]]（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）。一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる。例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 15084450 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;）。また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 音源定位 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　聴覚では，両耳に到達する音の時間差（[[wikipedia:JA:位相|位相]]差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する。[[wikipedia:JA:哺乳類|哺乳類]]では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える。これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる。下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする。実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する。高い音源定位能力をもつことで知られる[[wikipedia:JA:メンフクロウ|メンフクロウ]]では，ICXの神経細胞の音源方向選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である。この高い音源方向選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される。メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である。また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反響定位（echolocation） ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である。[[wikipedia:JA:コウモリ|コウモリ]]や[[wikipedia:JA:クジラ|クジラ]]の一種が反響定位を行うことが知られている。コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
* [[音源定位]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司　担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2912</id>
		<title>下丘</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2912"/>
		<updated>2012-02-22T08:01:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;: 2005&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=2910</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-02-22T07:55:40Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;蝸牛（cochlea） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
側頭骨錐体内にある内耳の聴覚器官．渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する．内部に膜迷路と呼ばれる構造をもつ．膜迷路はリンパ液で満たされ，基底部で中耳の耳小骨と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある基底膜（basilar membrane）を振動させる．基底膜の振動はさらに，基底膜上にあるコルチ器官（organ of Corti）の有毛細胞と呼ばれる感覚器細胞の感覚毛を揺らし，その結果，音の振動が電気信号に変換される．蝸牛では基底膜上での位置として音の周波数が表される．これは，振動しやすい基底膜上での位置が音の周波数に応じて異なり，周波数が低くなるほど蝸牛の頂部に近くなるためである．周波数成分毎に受容された聴覚信号は，蝸牛神経（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 構造[[Image:Cochlea Fig.tif|frame|right|図　蝸牛の構造]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
蝸牛は蝸牛軸を中心に2¾回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる．骨により形成された骨迷路と，その内部の膜迷路からなる．膜迷路は3層に仕切られ，上層から前庭階（scala vestibuli），中心階（scala media），鼓室階（scala tympani）と呼ばれる．前庭階と中心階はライスネル膜で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている．前庭階と鼓室階は外リンパ液で満たされ，中心階は内リンパ液で満たされている．外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する血管条により生成される．また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ卵円窓（別名，前庭窓）と正円窓の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある蝸牛孔で互いに交通している．卵円窓には耳小骨（アブミ骨）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 進行波 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる．この結果，基底膜に振動が生じる．この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む．これを進行波という．基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する．さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる．このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる．すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる．このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，大脳皮質の聴覚野にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る．これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる．すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する．このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する．近年，この能動的な因子として，外有毛細胞のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; コルチ器官 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる．有毛細胞には内有毛細胞と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる．有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている．コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の不動毛からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している．最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの基底小体が存在する．感覚毛の上部は蓋膜により覆われている．蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ．すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる．この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される．感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に脱分極性の受容器電位が生じる． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 有毛細胞の線維連絡 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
有毛細胞は，蝸牛軸に分布する蝸牛神経節（ラセン神経節）細胞からの一次求心性神経線維とシナプスを形成する．求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，脳幹の蝸牛神経核へと入力する．1つの内有毛細胞は10〜30本の有髄の求心性神経線維（type-I線維）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では求心性神経線維とのシナプス結合は少なく，1本の無髄の求心性線維（type-II線維）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する．このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている．一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている．この遠心性神経線維は主に脳幹の上オリーブ核に起源をもつ． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 受容器電位 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される．これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在するイオンチャネル（機械受容器チャネル）を開閉し，受容器電流を発生することによる．感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる．この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，TRP (transient receptor potential)チャネルの可能性が強く示唆されている．一方，有毛細胞における機械受容機構では，感覚毛への機械刺激をイオンチャネルに伝えるリンカー機構の存在が必要である．実際，有毛細胞の感覚毛の先端にはtip linkと呼ばれるひも状の構造が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．受容器電流による有毛細胞の脱分極（受容器電位）は，さらに電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネルを活性化することでシナプス小胞からの神経伝達物質放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる．この神経伝達物質は主にグルタミン酸である． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 外有毛細胞による振動増幅機構 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
外有毛細胞は膜電位に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，過分極で伸展する．この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている．この外有毛細胞は頂部で周囲の支持細胞と強固に結合している．このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる．この外有毛細胞の伸縮にはprestinというモータータンパクが関わる．Prestin遺伝子のノックアウトマウスでは，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する．このタンパクは外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，細胞骨格と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 内リンパ腔電位 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている．内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これはNa&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseとNa&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される．さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約+80 mVほど高い電位を持っている．この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および中間細胞で形成される．この内リンパ腔電位は受容器電流の駆動電圧を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある．有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その平衡電位は0 mVである．有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる．一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 蝸牛マイクロホン電位 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される．この電位は音圧に比例して増大し，音刺激に対して特別な閾値や潜時を示さない．蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する．現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている．また，この外有毛細胞の活動は鼓膜の外から音としても記録することができ，耳音響放射と呼ばれ，新生児の内耳機能検査にも利用されている． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; （執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%9D%B8%E7%89%9B&amp;diff=2904</id>
		<title>蝸牛</title>
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		<updated>2012-02-22T07:42:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: ページの作成：「蝸牛（cochlea）  側頭骨錐体内にある内耳の聴覚器官．渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する．...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;蝸牛（cochlea）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
側頭骨錐体内にある内耳の聴覚器官．渦巻き状の管で，その名は形状がカタツムリに似ていることに由来する．内部に膜迷路と呼ばれる構造をもつ．膜迷路はリンパ液で満たされ，基底部で中耳の耳小骨と連なることにより，音の振動はリンパ液を介して膜迷路内にある基底膜（basilar membrane）を振動させる．基底膜の振動はさらに，基底膜上にあるコルチ器官（organ of Corti）の有毛細胞と呼ばれる感覚器細胞の感覚毛を揺らし，その結果，音の振動が電気信号に変換される．蝸牛では基底膜上での位置として音の周波数が表される．これは，振動しやすい基底膜上での位置が音の周波数に応じて異なり，周波数が低くなるほど蝸牛の頂部に近くなるためである．周波数成分毎に受容された聴覚信号は，蝸牛神経（cochlear nerve）を介して中枢へと伝えられる&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039;小澤瀞司，福田康一郎 編&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;標準生理学　第7版.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;: 2009&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
蝸牛は蝸牛軸を中心に2&amp;amp;frac34;回転するらせん状の管構造で，引き延ばすとヒトでは約35mmの長さになる．骨により形成された骨迷路と，その内部の膜迷路からなる．膜迷路は3層に仕切られ，上層から前庭階（scala vestibuli），中心階（scala media），鼓室階（scala tympani）と呼ばれる．前庭階と中心階はライスネル膜で仕切られ，中心階と鼓室階はコルチ器官をのせた基底膜で仕切られている．前庭階と鼓室階は外リンパ液で満たされ，中心階は内リンパ液で満たされている．外リンパ液は通常の細胞外液と類似のイオン組成をもつのに対して，内リンパ液は高K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;，低Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度のイオン組成をもち，これは中心階の外側壁を構成する血管条により生成される．また，前庭階と鼓室階は蝸牛基底部でそれぞれ卵円窓（別名，前庭窓）と正円窓の2枚の膜構造により中耳腔と隔てられ，蝸牛頂部にある蝸牛孔で互いに交通している．卵円窓には耳小骨（アブミ骨）が付着し，耳小骨の振動が膜迷路へと伝えられる． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
進行波&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
耳小骨から卵円窓へ伝えられた音の振動は，外リンパ液を介して前庭階，蝸牛孔，皷室階へと伝わり，正円窓を振動させる．この結果，基底膜に振動が生じる．この基底膜の振動は波として蝸牛の基底部から頂部に向かって進む．これを進行波という．基底膜の振動エネルギーは高い周波数のものほど早く減衰する．さらに，基底膜は蝸牛の頂部ほど幅広く柔軟なため，固有振動数が低くなる．このため，進行波の振幅が最大となる基底膜上での位置は音の周波数に応じて異なり，高い周波数では蝸牛の基底部，低い周波数では頂部となる．すなわち，蝸牛では基底膜が最も振動しやすい周波数（特徴周波数）が卵円窓からの距離の関数として決まり，このことが聴覚における周波数弁別の基礎となる．このような特徴周波数の部位局在（周波数局在構造：tonotopic organization）は，大脳皮質の聴覚野にいたる聴覚伝導路の各部位で再現されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
死体の蝸牛を用いたvon Bekesyの実験では，基底膜の周波数応答特性は生体に比べてはるかに劣る．これは，基底膜の振動特性が生体では非線形性を示すことによる．すなわち，基底膜の振動は特徴周波数領域で増幅され，より大きく振動する．このことは，生体の基底膜では何らかの能動的なしくみが働いていることを示唆する．近年，この能動的な因子として，外有毛細胞のもつ伸縮特性が注目されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9554726 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
コルチ器官&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
コルチ器官は基底膜上にあり，有毛細胞と複数の支持細胞からなる．有毛細胞には内有毛細胞と外有毛細胞の2種類があり，それぞれ蝸牛の内側に1列と外側に3列の細胞群として基底膜の全長にわたって並んでいる．有毛細胞の頂部には感覚毛が生えている．コルチ器官の場合，感覚毛は長さの異なる100本以上の不動毛からなり，内側から外側に向けて，背の低いものから高いものが規則正しく配列している．最長の不動毛の外側には，動毛の原器である1つの基底小体が存在する．感覚毛の上部は蓋膜により覆われている．蓋膜は中心階の内側壁から伸びており，基底膜の振動を感覚毛に伝える作用をもつ．すなわち，基底膜が振動すると蓋膜と基底膜との間に内外側方向へのずれを生じ，感覚毛に機械刺激が加わる．この際，外有毛細胞の感覚毛は蓋膜に付着しているため蓋膜の動きにより直接的に刺激されるのに対して，内有毛細胞の感覚毛は蓋膜との付着をもたず，内リンパ液を介して間接的に刺激される．感覚毛が外側へ屈曲すると，有毛細胞に脱分極性の受容器電位が生じる． &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
有毛細胞の線維連絡&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
有毛細胞は，蝸牛軸に分布する蝸牛神経節（ラセン神経節）細胞からの一次求心性神経線維とシナプスを形成する．求心性神経線維は蝸牛神経節の中枢側で蝸牛神経を形成し，脳幹の蝸牛神経核へと入力する．1つの内有毛細胞は10〜30本の有髄の求心性神経線維（type-I線維）とシナプス結合するのに対して，外有毛細胞では求心性神経線維とのシナプス結合は少なく，1本の無髄の求心性線維（type-II線維）が枝分かれをして複数（10〜20個）の外有毛細胞を支配する．このため，聴覚信号の伝達には内有毛細胞が特に重要な働きをしている．一方，外有毛細胞は主に遠心性神経線維からの投射を受けており，後述のように基底膜振動の増幅に関わることが知られている．この遠心性神経線維は主に脳幹の上オリーブ核に起源をもつ．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
受容器電位&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
基底膜の振動特性によって個々の周波数成分に分解された音波は，有毛細胞の働きにより電気信号に変換される．これは，有毛細胞の頂部にある感覚毛への機械刺激が，この部位に存在するイオンチャネル（機械受容器チャネル）を開閉し，受容器電流を発生することによる．感覚毛は内リンパ液に接しているため，受容器電流は主にK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;の細胞内への移動により生じる．この機械受容器チャネルの分子的な実体は明らかでないが，TRP (transient receptor potential)チャネルの可能性が強く示唆されている．一方，有毛細胞における機械受容機構では，感覚毛への機械刺激をイオンチャネルに伝えるリンカー機構の存在が必要である．実際，有毛細胞の感覚毛の先端にはtip linkと呼ばれるひも状の構造が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22177415 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．受容器電流による有毛細胞の脱分極（受容器電位）は，さらに電位依存性Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;チャネルを活性化することでシナプス小胞からの神経伝達物質放出を生じ，この結果，聴覚信号が求心性神経線維へと伝えられる．この神経伝達物質は主にグルタミン酸である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
外有毛細胞による振動増幅機構&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
外有毛細胞は膜電位に応じて細胞長が動的に変化する性質をもち，細胞長は脱分極で短縮，過分極で伸展する．この外有毛細胞の伸縮機構は非常に速い応答特性（20 kHz以上）をもち，特徴周波数領域の基底膜の振動を増幅することで，聴覚受容の感度と周波数選択性を向上させると考えられている．この外有毛細胞は頂部で周囲の支持細胞と強固に結合している．このため，外有毛細胞の伸縮は，蓋膜とコルチ器官の距離を変化させるのではなく，コルチ器官自体にゆがみを生じると考えられる．この外有毛細胞の伸縮にはprestinというモータータンパクが関わる．Prestin遺伝子のノックアウトマウスでは，外有毛細胞の伸縮特性が失われ，聴覚感度も40-60 dB低下する．このタンパクは外有毛細胞の側壁膜に多く分布し，細胞骨格と結びつくことで細胞長を変化させると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18809494 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
内リンパ腔電位&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上述のように，中心階は内リンパ液に満たされている．内リンパ液はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;濃度が高く，これはNa&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseとNa&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-Cl&amp;lt;sup&amp;gt;-&amp;lt;/sup&amp;gt;共輸送機構の働きを介して血管条の辺縁細胞からK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;が分泌されることにより形成される．さらに，中心階は前庭階や皷室階に対して約+80 mVほど高い電位を持っている．この電位は内リンパ腔電位と呼ばれ，Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;-K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt; ATPaseの働きにより血管条の基底細胞および中間細胞で形成される．この内リンパ腔電位は受容器電流の駆動電圧を大きくすることにより，聴覚受容の感度を高める働きがある．有毛細胞の受容器電流はK&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;によって担われており，その平衡電位は0 mVである．有毛細胞の膜電位は-60 mV程度であることから，受容器電流の駆動電圧は140 mVとなる．一方，平衡感覚に関わる前庭器官では内リンパ腔電位が0 mVであることから，受容器電流の駆動電圧は60 mVとなる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
蝸牛マイクロホン電位&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音刺激により内耳および内耳周辺では刺激音を忠実に再現する蝸牛マイクロホン電位が記録される．この電位は音圧に比例して増大し，音刺激に対して特別な閾値や潜時を示さない．蝸牛器官で記録されるマイクロホン電位は有毛細胞の頂部で極性が変化する．現在では，このマイクロホン電位は受容器電流により生じるものであり，数の上で多い外有毛細胞の活動に起因すると考えられている．また，この外有毛細胞の活動は鼓膜の外から音としても記録することができ，耳音響放射と呼ばれ，新生児の内耳機能検査にも利用されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2902</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-02-22T07:16:42Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&amp;quot;&amp;quot;:2005&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2901</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-02-22T07:11:01Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&amp;quot;&amp;quot;:2005&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2900</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-02-22T07:06:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&amp;quot;&amp;quot;:2005&amp;lt;/ref&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．&lt;br /&gt;
CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21238485 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;/ref&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2899</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-02-22T07:03:49Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&amp;lt;ref&amp;gt;&#039;&#039;&#039; Winer JA, Schreiner CE&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The inferior colliculus&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&amp;quot;&amp;quot;:2005&amp;lt;ref/&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．&lt;br /&gt;
CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3624552 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;ref/&amp;gt;.  興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7680052 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;ref/&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16472635 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;ref/&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 14527266 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;ref/&amp;gt;.  一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない．&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20664077 &amp;lt;/pubmed&amp;gt; &amp;lt;ref/&amp;gt;.  &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E4%B8%8B%E4%B8%98&amp;diff=2898</id>
		<title>下丘</title>
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		<updated>2012-02-22T06:30:11Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Hiroshikuba: ページの作成：「  下丘（inferior colliculus, IC）  中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
下丘（inferior colliculus, IC）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中脳にある聴覚神経核であり，背側に突出した構造をもつ．中心核（central nucleus, CIC）と背側皮質（dorsal cortex, DCIC），外側皮質（external cortex, ICX）の3領域からなる．すべての上行性の聴覚情報は下丘を経由して視床へ至る．下丘では，下位脳幹の神経核に比べて複雑な情報処理が行われており，聴覚情報を統合的に処理する最初の神経核だと考えられる．音の周波数弁別，音の高さ，音声言語，聴覚空間の認知など，様々な聴覚機能に関わる．また，下丘へは体性感覚などの聴覚以外の感覚入力があり，これらの感覚と聴覚との擦り合わせも行われる．大脳皮質からの下行性の投射は，注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
構造&lt;br /&gt;
中脳蓋にある四丘体とよばれる2対の隆起のうち、尾側の1対に相当する。頭側の1対は上丘と呼ばれ，ヒトでは眼球運動に関わる．下丘は細胞構築および機能的に，CIC，DCIC，ICXの3領域に分けられる．&lt;br /&gt;
CICは下丘の中央部を占める下丘最大の領域である．CICには下位脳幹のほぼ全ての聴覚神経核からの投射入力が収束する．興奮性入力の起始核には対側の蝸牛神経核（背側核，後腹側核，前腹側核）と外側上オリーブ核，同側の内側上オリーブ核と腹側外側毛帯核があり，抑制性入力の起始核には同側の外側上オリーブ核と腹側外側毛帯核，両側の背側外側毛帯核と下丘がある．前二者はグリシン作動性，後二者はGABA作動性の入力を送る．CICはこれらの入力の修飾と統合を行い，さらに上位の視床へと伝達する．DCICはCICの背内側を覆い，その内側にある下丘交連は左右の下丘をつなぐ．対側の背側外側毛帯核からの投射線維もこの下丘交連を通る．DCICには同側の大脳皮質（聴皮質，下側頭回，海馬傍回）からの入力があり，下行性の情報修飾が行われる．ICXはCICの外側にあり，その外側をさらに下丘腕が覆っている．下丘腕には，下丘から視床への上行性投射と大脳皮質からの下行性投射が含まれている．ICXには同側の背側外側毛帯核，対側の背側蝸牛神経核，両側の下丘など聴覚神経系のからの入力に加えて，薄束核や楔状束核，三叉神経脊髄路核，上丘など聴覚系以外の感覚神経核からの入力，さらに黒質緻密部，中心灰白質，脳質周囲核，大脳皮質（角回）などからの入力もみられ，より高次な情報の修飾と統合が行われる．このように，下丘へは上行性と下行性，さらに下丘内から局所性に多様な入力があり，これらが統合的に処理されている．下丘で処理された情報は，視床の内側膝状体へと送られ，さらに聴皮質へと伝えられる．また下丘からは，背側蝸牛神経核，傍オリーブ核，背側外側毛帯核を含む聴覚神経核，さらに橋核や網様体などへも投射がみられ，下行性の情報修飾が行われる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
機能&lt;br /&gt;
下丘のCICには，下位脳幹の聴覚神経核と同様，特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する周波数局在構造（tonotopic organization）がみられる．これは，音が蝸牛で各周波数成分に分解された後，周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる．このことに一致して，CICではこれらの投射線維と神経細胞の樹状突起が層構造（laminae）を形成することが知られている．しかしながら，CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ，はるかに高い周波数選択性を示す．これには，CIC内のGABA性神経細胞を介した側方抑制機構が関わると考えられている．正確な音の周波数弁別には，このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である．&lt;br /&gt;
下丘は，音の周波数弁別以外にも，音声言語や聴覚空間の認知を含め，様々な聴覚機能に関わる．このため，下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる．例えば，片耳からの音にのみ応答するもの，音のスペクトルに応答するもの，左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの，振幅変調（amplitude modulation, AM）音に応答するもの，周波数変調（frequency modulation, FM）音に応答するもの，さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる．これらの多様な応答特性は，下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか，もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる．応答特性のよく似た神経細胞は，CICでは各周波数局在領域内でcluster状に分布し，機能単位を形成することが知られている（nucleotopic organization）．一方，下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり，聴覚情報の修飾に関わる．例えば，ICXでは自己の声には応答せず，他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ，これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている．また，ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり，これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
音源定位&lt;br /&gt;
聴覚では，両耳に到達する音の時間差（位相差）と強度差，さらには音のスペクトルなどを手がかりとして，音源の位置を特定する．哺乳類では，前二者は水平面での音源の位置情報を与え，後者は垂直面での位置情報を与える．これらの情報は，哺乳類では内側上オリーブ核，外側上オリーブ核，背側蝸牛神経核でそれぞれ抽出された後に，下丘へと送られる．下丘は，これらの情報を先鋭化し，さらに統合することで，音源定位を可能にする．実際，下丘には特定の方向から来た音に対してのみ応答する細胞が存在する．高い音源定位能力をもつことで知られるメンフクロウでは，ICXの神経細胞の方位選択性が極めて高く，一個の細胞のもつ精度で動物の音源定位行動の精度を説明することが可能である．この高い方位選択性は，GABA性神経細胞の働きによって実現される．メンフクロウのICXには，各方位に対応する細胞が規則正しく配置されることで，聴覚空間の地図が形成されている．一方，哺乳類では，個々の神経細胞のもつ精度はそれほど高くなく，音源の位置は細胞集団によって符号化されているという考えが支配的である．また，哺乳類の下丘には明確な地図は認められていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
反響定位（echolocation）&lt;br /&gt;
反響定位とは，自分の発した音とものにぶつかってはね返ってきた音の時間差（位相差）を検出することにより，ものとの距離を特定する行動である．コウモリやクジラの一種が反響定位を行うことが知られている．コウモリの下丘には，FM音の特定の時間遅れに応答する神経細胞の存在が知られている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：久場博司，担当編集委員：藤田一郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Hiroshikuba</name></author>
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