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	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
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	<updated>2026-04-15T09:23:52Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4144</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-26T12:45:54Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Mouse iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Marmoset iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Human iPSC.png|250px]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　マウスiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　マーモセットiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒトiPS細胞&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5はES細胞の増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞はFbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することから、G418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等、ES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能、不死性を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるともいえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　これまでにマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導が試みられた細胞系譜は多岐に亘る。例えば、神経系（神経幹細胞、運動ニューロン等の各種ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト）、眼・耳（網膜色素上皮細胞、視細胞、網膜神経節細胞、感覚有毛細胞）、表皮（ケラチノサイト、メラノサイト）、血球系（造血幹細胞、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、巨核球、血小板、赤血球）、心血管系（心筋細胞、心血管、血管内皮、壁細胞）、筋（骨格筋、平滑筋）、骨・間葉系（間葉系幹細胞、造骨細胞、破骨細胞、軟骨、白色・褐色脂肪細胞）、歯（エナメル芽細胞）、消化器系（肝芽細胞、肝細胞、後腎間充織、尿細管細胞、腸管組織、膵島細胞）、生殖細胞等が挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成するための方法の開発が必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞からの神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4140</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-26T10:42:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Mouse iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Marmoset iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Human iPSC.png|250px]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　マウスiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　マーモセットiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒトiPS細胞&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5はES細胞の増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞はFbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することから、G418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等、ES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能、不死性を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるともいえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　これまでにマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導が試みられた細胞系譜は多岐に亘る。例えば、神経系（神経幹細胞、運動ニューロン等の各種ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト）、眼・耳（網膜色素上皮細胞、視細胞、網膜神経節細胞、有毛細胞）、表皮（ケラチノサイト、メラノサイト）、血球系（造血幹細胞、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、巨核球、血小板、赤血球）、心血管系（心筋細胞、心血管、血管内皮、血管芽細胞）、筋（骨格筋幹細胞、骨格筋、平滑筋）、骨・間葉系（間葉系幹細胞、造骨細胞、破骨細胞、軟骨、白色・褐色脂肪細胞）、歯（エナメル芽細胞、象牙芽細胞）、消化器系（肝内胚葉、肝芽細胞、肝細胞、腎臓系列、後腎間充織、尿細管細胞、腸管様組織、膵島細胞）、生殖細胞等が挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成するための方法の開発が必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞からの神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4138</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4138"/>
		<updated>2012-03-26T09:58:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Mouse iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Marmoset iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Human iPSC.png|250px]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　マウスiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　マーモセットiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒトiPS細胞&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　これまでにマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導が試みられた細胞系譜は多岐に亘る。例えば、神経系（神経幹細胞、運動ニューロン等の各種ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト）、眼・耳（網膜色素上皮細胞、視細胞、網膜神経節細胞、有毛細胞）、表皮（ケラチノサイト、メラノサイト）、血球系（造血幹細胞、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、巨核球、血小板、赤血球）、心血管系（心筋細胞、心血管、血管内皮、血管芽細胞）、筋（骨格筋幹細胞、骨格筋、平滑筋）、骨・間葉系（間葉系幹細胞、造骨細胞、破骨細胞、軟骨、白色・褐色脂肪細胞）、歯（エナメル芽細胞、象牙芽細胞）、消化器系（肝内胚葉、肝芽細胞、肝細胞、腎臓系列、後腎間充織、尿細管細胞、腸管様組織、膵島細胞）、生殖細胞等が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4135</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=4135"/>
		<updated>2012-03-26T09:48:44Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Mouse iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Marmoset iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Human iPSC.png|250px]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　マウスiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　マーモセットiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒトiPS細胞&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　これまでに、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導が試みられた細胞系譜は多岐に亘る。例えば、神経系（マウス：神経幹細胞、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ヒト：マウスに加えて運動ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン、グルタミン酸作動性ニューロン）、眼・耳（マウス：網膜色素上皮、視細胞、網膜神経節細胞、有毛細胞、ヒト：網膜色素上皮、視細胞）、血球系（マウス：造血幹細胞、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、ナチュラルキラーT細胞、ヒト：造血幹細胞、マクロファージ、好中球、巨核球、血小板、赤血球）、心血管系（マウス：心筋細胞、心血管、血管内皮、血管芽細胞、ヒト：心筋細胞、血管内皮、血管芽細胞、血管新生前駆細胞）、筋（マウス：骨格筋、骨格筋幹細胞、ヒト：骨格筋、平滑筋）、骨・間葉系（マウス：造骨細胞、脂肪細胞、ヒト：マウスに加えて破骨細胞、間葉系幹細胞、軟骨、白色・褐色脂肪細胞）、歯（マウス：エナメル芽細胞、象牙芽細胞）、消化器系（マウス：肝細胞、腎臓系列、後腎間充織、尿細管細胞、腸管様組織、ヒト：肝細胞、肝芽細胞、肝内胚葉、膵島細胞、腸管様組織）、&amp;lt;br&amp;gt;この他に、マウスでは胸腺上皮、ケラチノサイト、ヒトでメラノサイトを誘導した報告がある。生殖細胞&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3973</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3973"/>
		<updated>2012-03-23T11:16:45Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Mouse iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Marmoset iPSC.png|250px]]&amp;amp;nbsp; [[Image:Human iPSC.png|250px]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　マウスiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　マーモセットiPS細胞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヒトiPS細胞&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Marmoset_iPSC.png&amp;diff=3972</id>
		<title>ファイル:Marmoset iPSC.png</title>
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		<updated>2012-03-23T10:16:42Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>ファイル:Human iPSC.png</title>
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		<updated>2012-03-23T10:16:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>ファイル:Mouse iPSC.png</title>
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		<updated>2012-03-23T10:04:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3949</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3949"/>
		<updated>2012-03-23T07:59:46Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3946</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3946"/>
		<updated>2012-03-23T07:43:46Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3944</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3944"/>
		<updated>2012-03-23T07:37:37Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士（当時、ハワイ大学）らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3943</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3943"/>
		<updated>2012-03-23T07:31:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞を用いた細胞移植医療を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞はキメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがためにiPS細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞由来の心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療実験例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らもヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的、技術的制限を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、多能性幹細胞から機能的な精子と卵を培養下で分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で作成した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースさえ入手すれば誘導ができてしまうことから、「ヒト細胞の管理」に対するシステム整備や意識改革も求められる。iPS細胞は医学・農学・生物学において多大な恩恵をもたらす技術であるからこそ、その有用性を損なわないためにも生殖倫理や法的な観点から適正に議論が交わされることが必要である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3934</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-23T06:34:40Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率の向上や選択が容易になるという報告例が示されている。また、エピジェネティック変化を促す化合物であるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進することも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用を目指す上で、品質評価と安全性の確保は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途には克服すべき様々な懸念材料がある。例えば、c-MycをゲノムDNAに導入したマウスiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度に腫瘍を誘発する。これらの腫瘍では外来性c-Mycが再活性化しており、初期化因子のゲノムへの組込みはiPS細胞利用における永続的なリスクファクターであることが示された。また、分化誘導時に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞の混入は、移植レシピエントにおいてテラトーマ形成を引き起こす。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、複数のマウスiPS細胞株から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、移植を受けたマウス全体の4割において未分化細胞に起因するテラトーマ形成が観察された。こうした造腫瘍性はiPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）していた。一方、成体マウスの肝実質細胞由来のiPS細胞は、キメラマウスへと寄与するものの、周産期において原因不明の高い死亡率を示すことが報告されている。極めて人工的な手法で作成される細胞であるがために細胞の基本特性について不明な点も多く、医療適正のあるiPS細胞株を精査、選別、作成していくことが必要不可欠である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースを入手すれば誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3902</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3902"/>
		<updated>2012-03-23T04:11:00Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってもiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1やmiRNA-290クラスター等の導入、およびInk4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）を添加することによって、iPS細胞の誘導効率が向上することや選択が容易になることが報告されている。また、エピジェネティック変化を促すヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進するとの報告例も知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用に際し、安全性の確保と品質管理は最重要事項である。実際、iPS細胞の治療用途への応用には克服すべき様々な懸念材料がある。ヒトES細胞と共通のリスクとして、移植の際に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞に起因するテラトーマ形成がある。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（ニューロスフェア）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、樹立されたiPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。また、iPS細胞特有のリスクとして初期化不全や導入因子による影響も考えられる。c-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したニューロスフェアを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースを入手すれば誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3749</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3749"/>
		<updated>2012-03-19T14:32:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542やA83-01）の添加によるiPS細胞誘導の促進や選択。また、エピジェネティック変化を促す化合物として、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進するとの報告例もある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用に際し、安全性の確保と品質管理は急務かつ重要事項である。実際、iPS細胞の治療応用には克服すべき様々な懸念材料がある。ヒトES細胞と共通のリスクとして、移植の際に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞に起因するテラトーマ形成がある。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、樹立されたiPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。また、iPS細胞特有のリスクとして初期化不全や導入因子による影響も考えられる。c-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースを入手すれば誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3748</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-19T13:45:39Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT（ES cell associated transcript）と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、体細胞起源であるiPS細胞はヒト胚の利用に関する倫理的問題には該当せず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易であることに加え、母体への侵襲や胚操作の実施が困難な動物種にも適用できる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と因子を出発点に体細胞初期化についてアプローチできることから、iPS細胞の誘導は初期化をもたらす分子機構を解明するための強力かつ簡便な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等、多様な細胞種からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは通常、多能性幹細胞において強力な発現抑制（サイレンシング）を受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや分化後も導入遺伝子の活性化が起こりうることから、細胞移植への応用には腫瘍形成といったリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、そもそもゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入するiPS細胞の作成についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立できることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広く用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制等が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促す化合物として、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等がiPS細胞誘導を促進するとの報告例もある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用に際し、安全性の確保と品質管理は急務かつ重要事項である。実際、iPS細胞の治療応用には克服すべき様々な懸念材料がある。ヒトES細胞と共通のリスクとして、移植の際に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞に起因するテラトーマ形成がある。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、樹立されたiPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。また、iPS細胞特有のリスクとして初期化不全や導入因子による影響も考えられる。c-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースを入手すれば誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、初期化、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3708</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-17T08:01:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、品質管理と安全性の確保は急務かつ重要事項である。実際、iPS細胞の治療応用には克服すべき様々な懸念材料がある。ヒトES細胞と共通のリスクとして、移植の際に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞に起因するテラトーマ形成がある。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、樹立されたiPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。また、iPS細胞特有のリスクとして初期化不全や導入因子による影響も考えられる。c-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法には創薬研究が挙げられる。例えば、心機能におよぼす副作用の評価系としてiPS細胞由来の心筋細胞を用いた薬剤誘発性QT延長試験が提示されており、こうした利用を見据えてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞、ドーパミン神経細胞、肝細胞が既に市販ベースにある。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例もある。国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植を行い、モデルマウスの運動機能が回復することを確認している。また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースを入手すれば誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3684</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-16T08:25:51Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、品質管理と安全性の確保は急務かつ重要事項である。実際、iPS細胞の治療応用には克服すべき様々な懸念材料がある。ヒトES細胞と共通のリスクとして、移植の際に残存する未分化細胞、とりわけ「分化抵抗性」細胞に起因するテラトーマ形成がある。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、樹立されたiPS細胞の起源と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。また、iPS細胞の特有のリスクとして、初期化不全や導入因子による影響が考えられる。c-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法としては、創薬研究における試験が考えられる。具体的な例としては、iPS細胞由来の心筋細胞をQT延長試験。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例も示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも独自に、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植によってモデルマウスの運動機能が回復することを確認している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢の開発も並行して進められることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備や意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3651</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-16T05:49:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞の治療応用には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最も早期の実用化が期待されるヒトiPS細胞の利用法としては、創薬研究における試験が考えられる。具体的な例としては、iPS細胞由来の心筋細胞をQT延長試験。一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を利用した最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。一方、パーキンソン病患者のiPS細胞由来のドーパミン神経を異種移植したラットにおいても、同様に運動機能の改善がみられている。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例も示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。脊髄損傷に関しては、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一博士らも独自に、ヒトiPS細胞の神経幹細胞（神経上皮様幹細胞）への分化誘導と移植によってモデルマウスの運動機能が回復することを確認している。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢の開発も並行して進められることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3636</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3636"/>
		<updated>2012-03-16T04:08:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、マウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に異種移植し、行動改善がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。パーキンソン病については、パーキンソン患者から作成したiPS細胞由来のドーパミン神経。また、正常マウスのiPS細胞から内皮細胞を誘導し、血友病Aモデルマウスの肝臓へと他家移植した治療例も示されている。一方、国内では、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループがマウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植し、下肢運動機能に改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3623</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3623"/>
		<updated>2012-03-15T13:57:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループはマウスiPS細胞から分化誘導したドーパミン神経をパーキンソン病モデルラット成体脳に移植し、機能回復がみられることについても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3622</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3622"/>
		<updated>2012-03-15T11:58:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554336 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。同グループは、パーキンソン病についても報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18391196 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3621</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-15T11:14:40Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4/Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することを明らかにしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けたより実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが実現した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3597</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-15T07:12:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成されたが、間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞が樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・異なる組合せでのiPS細胞誘導も可能である。iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制が報告されている。一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。これらの阻害剤やTGFβ受容体阻害剤（SB431542）の添加によって。また、エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）等の効果についても。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指すに際し、安全性の評価と確保は急務である。実際、iPS細胞には様々な。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた実践的な基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療の実例を示した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3589</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3589"/>
		<updated>2012-03-15T06:34:03Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、脂肪間質細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトにおけるiPS細胞の移植医療への応用を目指す、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入したiPS細胞は、キメラマウスおよびその子孫において高頻度にがんを誘発した。また、原因は不明であるが、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞から作出したキメラマウスは周産期の死亡率が高いということも報告されている。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3579</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-15T05:51:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるが、キメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等とES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することによって、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下においてiPS細胞を様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずヒトiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞の樹立には「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が伴うことから、倫理的な問題となっていた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、SCNT研究の場面においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。これに対し、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に関する倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。また、技術的にも非常に容易である。さらに、ES細胞が未だ樹立されていない動物種のiPS細胞も樹立可能であることから、母体への侵襲や胚操作の実施が難しい動物種からでも多能性幹細胞が得られる利点も大きい。基礎生物学的な観点からみると、特定の起源細胞と初期化因子を出発点に研究を開始することができることから、iPS細胞誘導は体細胞初期化の分子機構を解明するためのシステムとして簡便かつ強力な実験系であるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3577</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-15T04:03:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、体細胞の初期化レベルには多様性があることが明らかとなった。まず、山中4因子が同定される過程において、Sox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）の導入によってもG418耐性コロニーが得られていた。しかし、この細胞はES細胞マーカー遺伝子を一部しか発現しておらず、また造腫瘍性は有するものの分化能は獲得していなかった。一方、Fbx15の発現に基づいて誘導されたiPS細胞は、確かに分化多能性を獲得してはいるがキメラマウスは胎性致死であり、遺伝子発現においてもECAT1の発現が認められない等、ES細胞とは明らかに異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をFbx15からNanogやOct4の発現に変更することで、キメラマウスの出生および生殖系列に寄与するiPS細胞が樹立できるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の一般的な細胞特性として、ES細胞を規定する特性である自己複製能、分化多能性、造腫瘍性、活発な増殖能を備えている。後述の通り、培養下において様々な細胞系譜へと分化誘導することも可能である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は基本的に同種のES細胞と相同であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、各々の細胞株として反映する発生段階の差に起因すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。後述するように、ES細胞が未だ樹立されていない動物種からでもiPS細胞は樹立されていることから、ES細胞の樹立のための侵襲や胚操作なく多能性幹細胞が得られる利点も大きい。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとしてiPS細胞誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近ではiPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢も並行して開発されることが期待される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3576</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-15T03:05:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は同種のES細胞と同等であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、細胞株として反映する発生段階を差によるものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19590502 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18063756 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20615974 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21949375 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3575</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3575"/>
		<updated>2012-03-15T02:57:00Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は同種のES細胞と同等であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、細胞株として反映する発生段階を差によるものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関（胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度）することが明らかとなった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3574</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3574"/>
		<updated>2012-03-15T02:33:11Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 16904174 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいても個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12787504 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot; /&amp;gt;。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17554338 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は同種のES細胞と同等であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、細胞株として反映する発生段階を差によるものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18035408 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18029452 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot; /&amp;gt;、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt;。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3573</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-14T11:48:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は同種のES細胞と同等であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、細胞株として反映する発生段階を差によるものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体の尾繊維芽細胞が、最初のヒトiPS細胞の樹立には胎児、新生児、成人の繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、毛乳頭細胞、色素細胞、血管内皮細胞、血液細胞、羊膜細胞、神経幹細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Nr5a2、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子やmiRNA-290クラスターの導入、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGF受容体阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合は「3i」、後者2種の混合は「2i」と俗称される。また、TGFβ受容体阻害剤（SB431542）。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤（バルプロ酸や酪酸）、G9a阻害剤（BIX01294）、DNAメチル化阻害剤（5-アザシチジンやRG108）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3557</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-14T09:09:39Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
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&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
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== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、LIFとBMP4依存的に自己複製する。ナイーブ状態の中でも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す細胞はグラウンドステート（ground state）にあるとも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 自己複製にはFGF2とActivin Aを必要とし、扁平なコロニーを形成して増殖する。iPS細胞の多能性状態（ナイーブまたはプライムド）は同種のES細胞と同等であるが、これは種の相違によって規定されているものではなく、細胞株として反映する発生段階を差によるものと考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、希少な遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　最初のマウスiPS細胞の樹立には胎仔の繊維芽細胞および成体尻尾の繊維芽細胞が、ヒトiPS細胞の樹立には成人皮膚繊維芽細胞が用いられた。その後、胃上皮細胞、肝実質細胞、ケラチノサイト、神経幹細胞、血液細胞、脂肪幹細胞、歯髄幹細胞、間葉系幹細胞等からの樹立が相次いで報告されている。一方、ヒトiPS細胞に関しては、毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、脂肪間質細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初、遺伝子導入のベクターとしてはレトロウイルスやレンチウイルスが利用された。しかし、どちらのウイルスも導入細胞のゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子の発現に及ぼす影響といった予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターは多能性幹細胞において強力なサイレンシングを受けるが、初期化レベルが低いiPS細胞では発現が持続していることや、分化後においても導入遺伝子の活性化が起こりうることから、腫瘍形成等のリスクが伴う。そこで、iPS細胞樹立後に導入遺伝子を除去する手法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いた誘導法も利用されている。さらに、ベクターを介さずに直接、組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを導入してiPS細胞を作成する方法についても報告がなされている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に用いられている遺伝子セットはプロトタイプである山中4因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導しうるように、細胞種によっては少ない因子・組合せでのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要素として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の追加因子の導入や、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。ES細胞の自己複製を亢進・維持する低分子化合物としてFGFR阻害剤（SU5402）、MEK阻害剤（PD1843352またはPD0325901）、GSK3阻害剤（CHIR99021）が知られており、3種の混合を「3i」、後者2種の混合を「2i」と呼称する。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やトリコスタチンA（TSA）、G9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3540</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3540"/>
		<updated>2012-03-14T07:42:35Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。多能性幹細胞が有する分化多能性を表す一つの基準として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊の起源をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。形態的にはドーム状のコロニーを形成し、。なかでも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す状態は、グラウンドステート（ground state）とも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストの起源に相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、血液細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入に伴うDNA配列の変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターに含まれるウイルスプロモーターはES細胞においてはサイレンシングを受けるが、。さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いる手法も実施されている。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加導入や、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告がなされている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。FGFR阻害剤のSU5402、MEK阻害剤のPD1843352またはPD0325901、GSK3阻害剤のCHIR99021の組合せ、俗に2iや3iと呼ばれる。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やトリコスタチンA（TSA）、G9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす新たな課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、iPS細胞によって全ての課題が克服されたわけではなく、また新たな課題をも生み出している。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞への分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが現実化した場合、iPS細胞を介して同一人物や同性の精子と卵の受精といったことも可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精とヒト胚の作製を禁止している。しかし、こうした規制状況は国によって大きく異なる。既成の規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、「ヒト細胞の管理」に対する厳密なシステム整備・意識改革が求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
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		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-14T07:04:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。ES細胞の性質を表す一つの定義として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。なかでも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す状態は、グラウンドステート（ground state）とも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストに相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、血液細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入に伴うDNA配列の変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターに含まれるウイルスプロモーターはES細胞においてはサイレンシングを受けるが、。さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いる手法も実施されている。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加導入や、Ink4Arf、p53、p21、Baxの抑制効果についても報告がなされている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。FGFR阻害剤のSU5402、MEK阻害剤のPD1843352またはPD0325901、GSK3阻害剤のCHIR99021の組合せ、俗に2iや3iと呼ばれる。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やトリコスタチンA（TSA）、G9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、全ての課題を克服できるわけではなく、これまでとは別種の課題を生み出してもいる。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞の分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが可能となった際には、同一人物、同性間の可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精によるヒト胚の作製を禁止している。しかし、規制状況は国によって大きく異なる。規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、iPS細胞、細胞の厳密な管理。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3537</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-14T06:58:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルにみられる多様性とその向上  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。ES細胞の性質を表す一つの定義として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）の区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。なかでも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す状態は、グラウンドステート（ground state）とも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストに相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞に先んじてSCNTやES細胞培養が確立されていたにも関わらずiPS細胞の作成が求められた背景には、ヒト初期胚の研究利用をとりまく様々な課題や制限の存在があった。まず、ヒトES細胞を樹立するためには「生命の萌芽」と位置付けられるヒト受精卵の破壊が必要であり、倫理的な問題となっていた。また、SCNT研究の場合においては、ヒト卵の入手と使用に関わる数的・倫理的制限に加えて胚操作上の技術的困難が挙げられた。また、細胞移植治療への応用を鑑みた際、ES細胞はレシピエントとは他人の細胞であることから、そのままでは免疫拒絶反応が惹起されてしまう。一方、iPS細胞は初期胚ではなく体細胞起源であることから、ヒト胚の利用に倫理的問題の範疇には当てはまらず、細胞ソースの調達における数的制限もない。さらに、基礎生物学的な観点からみると、特定の因子評価、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌのほか、非ヒト霊長類であるマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいてもiPS細胞が樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、血液細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入に伴うDNA配列の変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターに含まれるウイルスプロモーターはES細胞においてはサイレンシングを受けるが、。さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いる手法も実施されている。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加や、p53、p21、Baxの抑制等の効果について報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。FGFR阻害剤のSU5402、MEK阻害剤のPD1843352またはPD0325901、GSK3阻害剤のCHIR99021の組合せ、俗に2iや3iと呼ばれる。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やトリコスタチンA（TSA）、G9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす課題  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、全ての課題を克服できるわけではなく、これまでとは別種の課題を生み出してもいる。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞の分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが可能となった際には、同一人物、同性間の可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精によるヒト胚の作製を禁止している。しかし、規制状況は国によって大きく異なる。規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、iPS細胞、細胞の厳密な管理。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3535</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-14T03:58:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に自己複製（self-renewal）する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞樹立の経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化レベルの多様性の発見と向上 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞の誘導法の発見に付随して、初期化レベルには多様性があることが判明した。山中4因子からSox2を除いた3遺伝子（Oct4、Klf4、c-Myc）を導入した場合、G418耐性のコロニーが。また、Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は確かに分化多能性を獲得してはいるものの、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞が樹立されるようになった。Fbx15の発現に基づく初期化レベルの低いiPS細胞は「第一世代」、Oct4やNanogの発現に基づく初期化レベルの高いiPS細胞は「第二世代」と呼ばれるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の特徴 =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の細胞特性 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的な細胞特性として、iPS細胞は、後述の通り、培養下においても様々な細胞系譜へと分化誘導が可能である。また、iPS細胞の形質は基本的に同種のES細胞と相同である。ES細胞の性質を表す一つの定義として、ナイーブ状態（naive state）とプライムド状態（primed state）という区分がある。ナイーブ状態は胚盤胞の内部細胞塊をより強く反映していると考えられ、マウスやラットのES細胞はこちらに分類される。なかでも、非常に高いキメラ形成能および生殖系列への寄与を示す状態は、グラウンドステート（ground state）とも表現される。一方、プライムド状態は胚盤胞より発生が進んだエピブラストに相当すると考えられ、ウサギや霊長類のES細胞が含まれる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の利点 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　そもそもiPS細胞に先んじてSCNTやES細胞の培養が確立されていたにも関わらず、iPS細胞の作成が必要であった背景には様々な倫理的、技術的、。倫理的な課題としては、SCNTにはヒト卵、ES細胞の樹立にはヒト受精卵の利用が。胚操作が困難。また、基礎生物学的な観点からみると、体細胞初期化のメカニズムを解明するためのツールとして、iPS細胞の誘導は簡便なシステムであるといえる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウスにおけるiPS細胞の樹立が報告された翌年、ヒトiPS細胞の樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいても樹立されている。また、絶滅危惧種であるシロサイやマンドリルのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、血液細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入に伴うDNA配列の変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、予期しない異常が生じる危険性を包含している。また、レトロウイルスベクターに含まれるウイルスプロモーターはES細胞においてはサイレンシングを受けるが、。さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、Cre-loxPシステムの利用やトランスポゾンの特性を利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いる手法も実施されている。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する因子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加や、p53、p21、Baxの抑制等の効果について報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。FGFR阻害剤のSU5402、MEK阻害剤のPD1843352またはPD0325901、GSK3阻害剤のCHIR99021の組合せ、俗に2iや3iと呼ばれる。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やトリコスタチンA（TSA）、G9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞がもたらす課題 =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の通り、iPS細胞の誕生はES細胞やSCNT技術が抱える様々な倫理的および技術的課題を回避する新たな方法論を提起した。しかし、全ての課題を克服できるわけではなく、これまでとは別種の課題を生み出してもいる。その一つに、ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞の分化誘導が挙げられる。現時点では、培養下で多能性幹細胞から機能的な精子と卵を分化誘導する手法は確立されていない。しかし、将来的にこれが可能となった際には、同一人物、同性間の可能となる。日本においては「ヒトiPS細胞またはヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針（2010年に公布・施行）」によって、培養下で誘導した生殖細胞の受精によるヒト胚の作製を禁止している。しかし、規制状況は国によって大きく異なる。規制や指針以前に、生殖倫理の観点や法的な議論が必要である。また、iPS細胞は血液や毛根といった僅かな細胞ソースからでも誘導が可能であるから、iPS細胞、細胞の厳密な管理。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
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		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T13:34:21Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は「第一世代」と呼ばれ、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立されるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか毛乳頭、色素細胞、羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つに、iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、トランスポゾンを利用したピギーバック（piggyBac）やCre-loxPシステムが開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、アデノウイルスやセンダイウイルス、プラスミドDNAを用いる手法も挙げられる。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加や、p53、p21、Baxの抑制等の効果について報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。俗に2iや3iと呼ばれる。BayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やG9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞の安全性 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞移植治療への挑戦 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。Rudolf Jaenisch博士らは、貧血モデルマウスから作成したiPS細胞に対して疾患原因遺伝子の修復を施し、そこから分化誘導した造血幹細胞による移植治療を行うという、iPS細胞を用いた自家移植治療のモデルケースを示した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3529</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3529"/>
		<updated>2012-03-13T12:36:57Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによりクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が示された。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性となる。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した場合、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子を差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。Fbx15の発現に基づく薬剤選択によって作成されたiPS細胞は「第一世代」と呼ばれ、キメラマウス形成能や遺伝子発現上、ES細胞とは異なっていた。しかし、iPS細胞選択の指標をNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立されるようになった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、さらには導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等、予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、遺伝子挿入に伴うリスクを避けるための新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つに、iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、トランスポゾンを利用したピギーバック（piggyBac）やCre-loxPシステムが開発された。一方、はじめからゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法も挙げられる。さらに、ベクターを介することなく組換えタンパク質や合成RNA、miRNAを直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合もマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独の導入によってiPS細胞が誘導し得るように、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加や、p53、p21、Baxの抑制等の効果について報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。俗に2iや3iBayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やG9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3527</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T10:40:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。「第一世代」と呼ばれる iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立された。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つに、iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、トランスポゾンを利用したピギーバック（piggyBac）やCre-loxPシステムが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAや組換えタンパク質を直接導入する方法についても報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においてもマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独でのiPS細胞、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化レベルを向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1等の因子の追加やp53、p21、BAXの抑制等の効果について報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。俗に2iや3iBayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やG9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3512</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3512"/>
		<updated>2012-03-13T07:58:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。「第一世代」と呼ばれる iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立された。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つに、iPS細胞樹立後の導入遺伝子の除去を可能とする方法として、トランスポゾンを利用したピギーバック（piggyBac）やCre-loxPシステムが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAや組換えタンパク質を直接導入する方法についても報告されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においてもマウスと同じ遺伝子セットでiPS細胞の誘導が可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らはOCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いている。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独でのiPS細胞、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化の質を向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1の導入やp53、p21、BAXの抑制等が報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。俗に2iや3iBayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やG9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3511</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T07:41:36Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。「第一世代」と呼ばれる iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立された。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバック（piggyBac）が開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においてもマウスと同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞について報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28の組合せを用いていた。最も広範に利用されている遺伝子セットは山中因子であるが、神経幹細胞の場合はOct4単独でのiPS細胞、細胞種によっては少ない因子でのiPS細胞誘導も可能である。また、iPS細胞の誘導効率や初期化の質を向上させる要因として、Esrrb、Tbx3、L-Myc、Glis1の導入やp53、p21、BAXの抑制等が報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;　一方、遺伝子導入ではなく低分子化合物を併用したiPS細胞誘導についても多数の報告がある。俗に2iや3iBayK8644。エピジェネティック変化を促すものとして、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のバルプロ酸（VPA）やG9a阻害剤のBIX01294、シチジン類縁体の5-アザシチジン。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3509</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T06:18:32Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。「第一世代」と呼ばれる iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立された。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。また、誘導効率や初期化の質を向上させる追加因子として、Esrrb、L-Myc、Glis1等が報告されている。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3508</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T05:54:51Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的にES細胞様コロニーの誘導には4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞マーカー遺伝子を発現しているほか、胚葉体形成培養や皮下移植によるテラトーマ形成実験により三胚葉に分化する能力を有することが確認され、iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。「第一世代」と呼ばれる iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与する「第二世代」のiPS細胞が樹立された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。また、誘導効率や初期化の質を向上させる追加因子として、Esrrb、L-Myc、Glis1等が報告されている。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3506</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3506"/>
		<updated>2012-03-13T04:03:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の複数の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用いて各候補遺伝子が1種類ずつ導入されたが、この場合にはG418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を同時に導入した実験においては、ES細胞に類似したG418耐性細胞コロニーが出現することが明らかとなった。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はES細胞iPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。その後、 iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から、分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3505</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-13T03:50:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の複数の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。初期化因子候補としては計24の遺伝子が絞り込まれ、上述のFbx15遺伝子座にネオマイシン耐性遺伝子が挿入されたノックインマウスの細胞が利用された。このマウスの体細胞はECATであるFbx15を発現していないため、G418（ネオマイシン耐性遺伝子によって不活性化される抗生物質）を添加すると細胞は死滅する。一方、ES細胞等の多能性幹細胞では、Fbx15の発現と一致してネオマイシン耐性遺伝子を発現することからG418に対して耐性を示す。このシステムを用い、各候補遺伝子の1種類ずつの導入が行われたが、G418耐性のES細胞様コロニーは観察されなかった。ところが、24種類全ての候補遺伝子を混合した実験においては、ES細胞に類似したコロニーが出現した。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組合せで十分であることが判明した。得られた細胞はiPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。その後、 iPS細胞の薬剤選択に用いる遺伝子をFbx15から、分化多能性により密接したNanogやOct4に変更することで、生殖系列にも寄与するiPS細胞&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞（Neurosphere）を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植に伴う腫瘍形成を規定する要因は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、慶應義塾大学の岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3491</id>
		<title>IPS細胞</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3491"/>
		<updated>2012-03-12T13:05:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性（pluripotency）の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質内部に体細胞を移植することによってクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の複数の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞の自己複製を支持する既知遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を体細胞であるマウス胎仔繊維芽細胞（MEF）に導入する実験を試みた。計24の遺伝子が初期化因子候補として絞り込まれ、各遺伝子を1種類ずつ導入した場合にはES様の細胞は得られなかった。一方、24種類全てを混合して導入した場合、ES細胞に類似のコロニーが得られた。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組み合わせで十分であることが判明した。得られた細胞はiPS細胞と名付けられた。また、iPS細胞を誘導する遺伝子セットは通称「山中4因子」とも呼ばれる。その後、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立方法 =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に及ぼす影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターを介することなく合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子（山中4因子）を導入することによって作成された。間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いたOct4、Sox2、Klf4のみ（山中3因子）によってもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞から特定の細胞系譜への分化誘導 =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。一方、岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
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		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-12T12:31:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植（somatic cell nuclear transfer, SCNT）の研究において、卵子の細胞質に体細胞またはその核を移植することでクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1やTdrd12/ECAT8等の複数の新規遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から各ECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であること、恒常活性化型Rasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うこと等が明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子の一つである。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、山中博士らは「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」という仮説に基づき、ECATおよびES細胞を支持する既知遺伝子（STAT3やβ-catenin等）を繊維芽細胞に導入する実験を試みた。 各遺伝子を1種類ずつ導入した場合にはES様の細胞は得られなかった。一方、24種類全てを混合して導入した場合、頻度は低いながらもES細胞様のコロニーが得られた。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組み合わせで十分であることが判明した。この細胞をiPS細胞と名付けられた。その後、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザル、マンドリルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に与える影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターという形式を用いず、合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子を導入することで作成された。それから間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いた3因子でもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞を用いた分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。一方、岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3489</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-12T12:16:46Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似の特徴を示し、分化多能性の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立の以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。まず、体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer, SCNT)の研究において、卵子の細胞質に体細胞またはその核を移植することでクローン動物やクローンES細胞の作成が可能であることが示された。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換されることが明らかとなった。とりわけ、ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、これらの発見はその後の初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構の解明を第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングによってES細胞特異的な遺伝子群が同定され、ECAT(ES cell associated transcript)と命名された。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、ECAT1や/ECAT8複数の新規の遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から、これらECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、その結果、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であることや、恒常活性化型のRasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うことなどが明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子である。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」との仮説に基づき、ECATおよびES細胞の維持に重要であることが報告されている他の遺伝子を繊維芽細胞に導入する実験が試みられた。 ECATを1種類ずつ導入した場合にはES様の細胞は得られなかった。一方、24種類全てを混合して導入した場合、頻度は低いながらもES細胞様のコロニーが得られた。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組み合わせで十分であることが判明した。この細胞をiPS細胞と名付けられた。その後、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に与える影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターという形式を用いず、合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子を導入することで作成された。それから間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いた3因子でもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞を用いた分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。一方、岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3486</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-12T10:27:24Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似した特徴を示し、分化多能性の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては個々人の生検試料からiPS細胞を作成することが可能であることから、疾患特異的iPS細胞を利用した病態解明や薬剤スクリーニング、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer, SCNT)の研究においては、卵子の細胞質に体細胞またはその核を移植することでクローン動物やクローンES細胞の作成が可能である。有名な例として、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換することが明らかとなった。ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、この発見は初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構を解明することを第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群をの同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングにより、ECAT(ES cell associated transcript)と命名した。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、複数の新規の遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から、これらECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、その結果、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であることや、恒常活性化型のRasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うことなどが明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子である。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」との仮説に基づき、ECATおよびES細胞の維持に重要であることが報告されている他の遺伝子を繊維芽細胞に導入する実験が試みられた。 ECATを1種類ずつ導入した場合にはES様の細胞は得られなかった。一方、24種類全てを混合して導入した場合、頻度は低いながらもES細胞様のコロニーが得られた。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組み合わせで十分であることが判明した。この細胞をiPS細胞と名付けられた。その後、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に与える影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターという形式を用いず、合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子を導入することで作成された。それから間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いた3因子でもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞を用いた分化誘導  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。一方、岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=IPS%E7%B4%B0%E8%83%9E&amp;diff=3436</id>
		<title>IPS細胞</title>
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		<updated>2012-03-12T05:31:30Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masanoriimamura: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：induced pluripotent stem cells、英語略名：iPS cells, iPSCs、日本語名：人工多能性幹細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞（人工多能性幹細胞）とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に特定の因子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称である。胚盤胞と呼ばれる初期胚の内部細胞塊から樹立されたES細胞（胚性幹細胞）と類似した特徴を示し、分化多能性の定義である三胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）や生殖細胞への分化能を保持したまま、培養下で半永久的に増殖する。2006年に京都大学の高橋和利博士と山中伸弥博士によって最初の報告がなされて以降、様々な動物種、細胞種を起源とするiPS細胞が樹立されている。ヒトにおいては、個々人の生検試料からiPS細胞を作成することにより、疾患特異的iPS細胞を用いた病態解明や薬剤スクリーニングのほか、免疫拒絶を回避した再生医療への応用が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立までの経緯  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 体細胞を初期化する因子の存在  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞樹立以前から、卵子やES細胞には体細胞を初期化（リプログラミング）する因子が含まれていることが知られていた。体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer, SCNT)の研究では、卵子の細胞質に体細胞またはその核を移植することでクローン動物やクローンES細胞が作成できる。有名な例としては、Ian Wilmut博士らによるクローン羊のドリーや若山照彦博士(当時、ハワイ大学)らによるクローンマウスのキュムリーナが挙げられる。一方、京都大学の多田高博士らは、ES細胞と体細胞を電気刺激により細胞融合させる一連の研究により、融合細胞はES細胞と同様の細胞特性を示すこと、体細胞側のゲノムDNAがES細胞様のエピジェネティック状態に転換することが明らかとなった。ES細胞は培養下で容易かつ半永久的に増幅可能であることから、この発見は初期化因子の探索において非常に大きな僥倖となった。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 初期化因子の探索  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上述の背景のもと、山中伸弥博士（当時、奈良先端科学技術大学院大学）はES細胞の分化多能性維持機構を解明することを第一の目的とし、ES細胞で特異的に発現する遺伝子群をの同定を行った。公共のデータベースを利用したin silicoのスクリーニングにより、ECAT(ES cell associated transcript)と命名した。ECATの中にはEsg1/ECAT2/Dppa5やOct4等の既知のES細胞マーカー遺伝子のほか、複数の新規の遺伝子も含まれていた。「ES細胞で特異的に発現している遺伝子≒ES細胞において機能的に重要な遺伝子」との仮説から、これらECATのノックアウトや強制発現実験が試みられ、その結果、ホメオボックス転写因子であるNanog/ECAT4は多能性ネットワークの構築と維持における中心であることや、恒常活性化型のRasタンパク質であるERas/ECAT5は増殖と造腫瘍性を担うことなどが明らかとなった。 また、iPS細胞を選択するために最初に利用されたFbx15/ECAT3も、このスクリーニングによって同定された遺伝子である。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== iPS細胞樹立の成功  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　続いて、「ES細胞において機能的に重要な遺伝子≒体細胞の初期化を誘導する遺伝子」との仮説に基づき、ECATおよびES細胞の維持に重要であることが報告されている他の遺伝子を繊維芽細胞に導入する実験が試みられた。 ECATを1種類ずつ導入した場合にはES様の細胞は得られなかった。一方、24種類全てを混合して導入した場合、頻度は低いながらもES細胞様のコロニーが得られた。その後、24遺伝子から1遺伝子ずつ差し引いた23遺伝子を導入する実験により、最終的に4種類の遺伝子（Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc）の組み合わせで十分であることが判明した。この細胞をiPS細胞と名付けられた。その後、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
= iPS細胞の樹立  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== &amp;amp;nbsp;動物種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞はマウスにおいて最初に樹立され、その翌年、ヒトにおける樹立が報告された。その後、ウサギ、。非ヒト霊長類ではマーモセット、アカゲザル、カニクイザルにおいて樹立されている。最近では絶滅危惧種であるシロサイやのiPS細胞樹立の報告もあり、遺伝子資源の保存といった観点からも注目されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞種  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　マウス胎仔の繊維芽細胞（mouse embryonic fibroblast, MEF）が用いられた。&amp;amp;nbsp;成体の尻尾の繊維芽細胞、胃上皮細胞、肝実質細胞、神経幹細胞、T細胞、間葉系幹細胞。一方、ヒトiPS細胞に関しては、皮膚繊維芽細胞のほか羊膜細胞、臍帯血、末梢血、骨髄、ケラチノサイト、脂肪間質細胞、歯髄幹細胞からの樹立が報告されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遺伝子導入方法  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　iPS細胞が樹立された当初は、遺伝子導入の手段としてレトロウイルスやレンチウイルスがベクターとして利用された。しかし、どちらのウイルスもゲノムDNAに組み込まれることから、挿入変異や近傍の遺伝子に与える影響、導入遺伝子の活性化による腫瘍形成等の予期しない異常が生じる危険性を包含している。そこで、こうしたリスクを避けるとして、新たな遺伝子導入方法が考案されてきた。その一つとして、遺伝子導入箇所の特定と除去を可能とする、トランスポゾンを利用したピギーバックが開発された。一方、ゲノムに組み込まれないエピソーマルベクターとして、センダイウイルスやプラスミドDNAを用いる手法が挙げられる。さらに、ベクターという形式を用いず、合成RNAを直接導入する方法についても報告されている。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
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&lt;br /&gt;
== iPS細胞を誘導する遺伝子  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前述の通り、最初のiPS細胞はOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子を導入することで作成された。それから間もなく、誘導効率は低下するもののc-Mycを除いた3因子でもiPS細胞は樹立可能であることが示された。ヒトの場合においても同じ遺伝子セットで誘導可能であるが、山中博士らとほぼ同時にヒトiPS細胞の作成を報告したJames Thomson博士らは、OCT4、SOX2、NANOG、LIN28。Glis1。また、様々な低分子化合物を併用した誘導方法についても多数の報告がある。 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
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= iPS細胞を用いた分化誘導  =&lt;br /&gt;
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　中島君よろしく！ &lt;br /&gt;
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&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
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= 医療応用の可能性  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトへの応用を安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。一方、岡野栄之博士らにより、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞を脊髄損傷マウスに移植することで、機能回復が認められた。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
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= 参考文献  =&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：人工多能性幹細胞、iPS細胞 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連用語：ES細胞、胚性幹細胞、分化多能性、ダイレクトリプログラミング &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：今村公紀、中島龍介、岡野栄之、担当編集委員：岡野栄之）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masanoriimamura</name></author>
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