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	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
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	<updated>2026-04-17T20:43:47Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
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		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-05T05:38:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt;  計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　　非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting task（ＷＣＳＴ）がある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=ref4/&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11337</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-05T05:31:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt;  計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;   非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting task（ＷＣＳＴ）がある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=ref4/&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11294</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11294"/>
		<updated>2012-07-04T07:59:24Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルにおいては情動反応と動機づけ行動に異常が見られる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機づけに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報の入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろの部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩野の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。&amp;lt;br&amp;gt;　 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心であることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。また「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。&amp;lt;br&amp;gt;　 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差はたいして問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。&amp;lt;br&amp;gt;　 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。&amp;lt;br&amp;gt;　 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩野はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。&amp;lt;br&amp;gt;　 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激との連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　 こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。&amp;lt;br&amp;gt;　 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円とマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者は、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=ref3/&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。&amp;lt;br&amp;gt;　 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。&amp;lt;br&amp;gt;　 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。&amp;lt;br&amp;gt; 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えられている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。&amp;lt;br&amp;gt;　 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 前頭葉、前帯状皮質&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11293</id>
		<title>前脳基底部</title>
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		<updated>2012-07-04T07:52:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前脳基底部のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コリン作動性ニューロンと可塑性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害される。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12797965&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== アルツハイマー病  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがアルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16014654&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 睡眠に果たす役割  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Deurveilher S, Semba k&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons.&amp;lt;br&amp;gt; &#039;&#039;Sleep and Biological Rhythms&#039;&#039;, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11292</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-04T07:49:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt;  計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;  非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting task（ＷＣＳＴ）がある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=ref4/&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11243</id>
		<title>前頭前野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11243"/>
		<updated>2012-07-03T07:35:44Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt; 計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt; 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=ref4/&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11242</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-03T07:35:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt; 計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt; 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=ref4/&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11241</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-03T07:32:08Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt; 計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt; 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11240</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11240"/>
		<updated>2012-07-03T07:23:34Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機duづけに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。&amp;lt;br&amp;gt;　 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。&amp;lt;br&amp;gt;　 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。&amp;lt;br&amp;gt;　 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。&amp;lt;br&amp;gt;　 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩野はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。&amp;lt;br&amp;gt;　 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　 こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。&amp;lt;br&amp;gt;　 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=ref3/&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。&amp;lt;br&amp;gt;　 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。&amp;lt;br&amp;gt;　 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br&amp;gt;　 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。&amp;lt;br&amp;gt; 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。&amp;lt;br&amp;gt;　 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 前頭葉、前帯状皮質&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11238</id>
		<title>前頭前野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11238"/>
		<updated>2012-07-03T07:18:37Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。&amp;lt;br&amp;gt;　 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。&amp;lt;br&amp;gt; 　前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。&amp;lt;br&amp;gt; 計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。&amp;lt;br&amp;gt; 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。&amp;lt;br&amp;gt;　 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。&amp;lt;br&amp;gt;　 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。&amp;lt;br&amp;gt;　 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。&amp;lt;br&amp;gt;　 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。&amp;lt;br&amp;gt;　 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。&amp;lt;br&amp;gt; 　COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11236</id>
		<title>前脳基底部</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11236"/>
		<updated>2012-07-03T06:57:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前脳基底部のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コリン作動性ニューロンと可塑性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12797965&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== アルツハイマー病  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがアルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16014654&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 睡眠に果たす役割  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Deurveilher S, Semba k&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons.&amp;lt;br&amp;gt; &#039;&#039;Sleep and Biological Rhythms&#039;&#039;, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11235</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11235"/>
		<updated>2012-07-03T06:49:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機duづけに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩野はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=ref3/&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 前頭葉、前帯状皮質&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11217</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-07-03T01:55:23Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図new１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とドーパミン  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E%E5%9B%B3new%EF%BC%91.jpg&amp;diff=11216</id>
		<title>ファイル:前頭前野図new１.jpg</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E%E5%9B%B3new%EF%BC%91.jpg&amp;diff=11216"/>
		<updated>2012-07-03T01:51:29Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11215</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11215"/>
		<updated>2012-07-03T01:50:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 前頭葉、前帯状皮質&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11214</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11214"/>
		<updated>2012-07-03T01:48:45Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 前頭葉、前帯状皮質&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11213</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-07-03T01:45:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図new１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E%E5%9B%B3new%EF%BC%91.jpg&amp;diff=11212</id>
		<title>ファイル:前頭眼窩野図new１.jpg</title>
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		<updated>2012-07-03T01:37:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11211</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-07-03T01:36:24Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語の関連用語：前頭前野、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11210</id>
		<title>前脳基底部</title>
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		<updated>2012-07-03T01:31:57Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前脳基底部のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コリン作動性ニューロンと可塑性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12797965&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== アルツハイマー病  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16014654&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 睡眠に果たす役割  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Deurveilher S, Semba k&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons.&amp;lt;br&amp;gt; &#039;&#039;Sleep and Biological Rhythms&#039;&#039;, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11168</id>
		<title>前脳基底部</title>
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		<updated>2012-06-29T05:22:49Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前脳基底部のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コリン作動性ニューロンと可塑性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12797965&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;[1]。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== アルツハイマー病  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16014654&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 睡眠に果たす役割  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Deurveilher S, Semba k&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons.&amp;lt;br&amp;gt; &#039;&#039;Sleep and Biological Rhythms&#039;&#039;, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11167</id>
		<title>前脳基底部</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=11167"/>
		<updated>2012-06-29T05:21:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次 １）前脳基底部のなりたち ２）コリン作動性ニューロンと可塑性 ３）記憶障害 ４）アルツハイマー病 ５）睡眠に果たす役割 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前脳基底部のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== コリン作動性ニューロンと可塑性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12797965&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;[1]。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== アルツハイマー病  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16014654&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 睡眠に果たす役割  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Deurveilher S, Semba k&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons.&amp;lt;br&amp;gt; &#039;&#039;Sleep and Biological Rhythms&#039;&#039;, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-06-29T05:11:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] &lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野とドーパミン== &lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
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		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-06-29T05:09:48Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x220px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] &lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野とドーパミン== &lt;br /&gt;
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11164</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-06-29T05:05:17Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|thumb|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野損傷事例  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Harlow JM&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;  Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393.&amp;lt;/ref&amp;gt;、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Penfield W and Evans J&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-13&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭葉ロボトミー  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 記憶・思考と前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Boller F, Grafman J (Eds.) &#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002&amp;lt;/ref&amp;gt;[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 反応の抑制・切り替えと前頭前野  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|thumb|right|402x200px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭前野とトップダウン信号  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野とドーパミン== 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16310964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他、前頭前野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. Academic Press.2008&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function (2nd ed) Oxford Univ. Press .2012&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11163</id>
		<title>前頭前野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=11163"/>
		<updated>2012-06-29T04:43:38Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|right|487x326px|図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野のなりたち==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野損傷事例== &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭葉ロボトミー==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==記憶・思考と前頭前野==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==反応の抑制・切り替えと前頭前野== &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|right|604x264px|図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野とトップダウン信号== &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==前頭前野とドーパミン== 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強い[[ストレス]]は前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11162</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-29T04:35:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Damasio AR&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt; Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000）&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11161</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11161"/>
		<updated>2012-06-29T02:38:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6850269&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17835457&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17259643&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Rolls ET&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11160</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11160"/>
		<updated>2012-06-29T02:18:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11159</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11159"/>
		<updated>2012-06-29T01:50:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある&amp;amp;lt;ref&amp;amp;gt;&amp;amp;lt;pubmed&amp;amp;gt; 14426011 &amp;amp;lt;/pubmed&amp;amp;gt;&amp;amp;lt;/ref&amp;amp;gt;。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
References &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11158</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-29T01:39:08Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある&amp;amp;lt;ref&amp;amp;gt;&amp;amp;lt;pubmed&amp;amp;gt; 14426011 &amp;amp;lt;/pubmed&amp;amp;gt;&amp;amp;lt;/ref&amp;amp;gt;。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11124</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-28T05:18:31Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|thumb|right|476x293px|ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11123</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-28T04:59:55Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 [[Image:前頭眼窩野図１.jpg|right|476x293px|caption]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11122</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-28T04:53:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図１.jpg|right|476x293px|caption]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図１）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=11121</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-06-28T04:52:29Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち ２）前 頭眼窩野の情動・動機づけ機能 ３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 ４）意思決定と前頭連合野腹内側部 ５）前頭連合野腹内側部とソマティック・マーカー仮説 ６）前頭眼窩野と感情障害 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図１.jpg|right|476x293px|caption]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のなりたち  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図１）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野の情動・動機づけ機能  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 意思決定と前頭連合野腹内側部  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 前頭眼窩野と感情障害  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=8636</id>
		<title>前脳基底部</title>
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		<updated>2012-05-18T08:16:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次&lt;br /&gt;
１）前脳基底部のなりたち&lt;br /&gt;
２）コリン作動性ニューロンと可塑性&lt;br /&gt;
３）記憶障害&lt;br /&gt;
４）アルツハイマー病&lt;br /&gt;
５）睡眠に果たす役割&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前脳基底部のなりたち&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2）コリン作動性ニューロンと可塑性&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている[1]。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）記憶障害&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）アルツハイマー病&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる[2]。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）睡眠に果たす役割&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている[3]。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献&lt;br /&gt;
1. Conner JM, Culberson A, Packowski C, Chiba AA, Tuszynski MH.&lt;br /&gt;
Lesions of the Basal forebrain cholinergic system impair task acquisition and abolish cortical plasticity associated with motor skill learning.&lt;br /&gt;
Neuron. 2003 38(5):819-29. [PubMed: 12797965] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. Teipel SJ, Flatz WH, Heinsen H, Bokde AL, Schoenberg SO, Stockel S, Dietrich O, Reiser MF, Moller HJ, Hampel H.&lt;br /&gt;
Measurement of basal forebrain atrophy in Alzheimer&#039;s disease using MRI.&lt;br /&gt;
Brain. 2005, 128(Pt 11):2626-44 [PubMed: 16014654] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. Deurveilher S, Semba k &lt;br /&gt;
Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons. Sleep and Biological Rhythms, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E9%83%A8&amp;diff=8635</id>
		<title>前脳基底部</title>
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		<updated>2012-05-18T08:16:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: ページの作成：「前脳基底部　Basal forebrain  要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイ...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前脳基底部　Basal forebrain&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前脳基底部は前頭葉底面の後端に位置し、主に脳幹部と辺縁系から入力を受ける。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のコリン作動性ニューロンが減少している。この部位は記憶や睡眠に重要な役割を果たす。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次&lt;br /&gt;
１）前脳基底部のなりたち&lt;br /&gt;
２）コリン作動性ニューロンと可塑性&lt;br /&gt;
３）記憶障害&lt;br /&gt;
４）アルツハイマー病&lt;br /&gt;
５）睡眠に果たす役割&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前脳基底部のなりたち&lt;br /&gt;
前脳基底部は前頭葉底面の後端（前頭眼窩野、前頭連合野内側部のすぐ後方）に位置し、ブローカの対角帯核 Nucleus of the diagonal band of Broca、内側中隔核 Medial septal nuclei、マイネルトの基底核Necleus basalis of Meynert を含む無名質Substantia Innominataなどの脳部位からなる。前脳基底部は腹側被蓋、縫線核、青班核などの脳幹部からと海馬、扁桃核などの辺縁系から入力を受ける。これらの部位、特にマイネルトの基底核にはコリン作動性ニューロンが多数存在するが、コリン作動性ニューロンは、記憶と関連する海馬およびその周辺領域、扁桃体、視床下部、中脳網様体とともに皮質にも広く出力を送っている。前脳基底部は前交通動脈瘤または前大脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血によって傷害されることが多く、その結果記憶障害や睡眠障害が起こることが多い。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2）コリン作動性ニューロンと可塑性&lt;br /&gt;
ヒトで見られるように、サルにおいてもこの脳部位の破壊により記憶の障害が見られる。ネズミでもこの脳部位の破壊でいろいろな学習行動が阻害されることが示されている。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは好ましい、嫌悪的である、あるいは新規である、というような生物学的に意味のある刺激があったときに出力部位にその情報を送り、その部位を活性化し、行動的覚醒、そして注意、集中を促す。コリン作動性ニューロンは情報を運ぶというより、脳全般の活動を調整することにより脳可塑性、すなわち学習に重要な役割を果たしていると考えられている[1]。実際、サルの前脳基底部には、刺激が報酬あるいは嫌悪刺激と結びついている、という学習をする過程並びにその学習の結果を反映した活動を示すニューロンが見られる。なお学習に関係してこの部位の破壊で海馬における長期増強（long term potentiation：ＬＴＰ）が抑制され、電気刺激ではＬＴＰが促進されることも示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）記憶障害&lt;br /&gt;
この部位の損傷患者は、記憶以外では神経心理テストで異常を示さないことが多い。記憶については、損傷前の数年から数十年の記憶がない、という「逆行性健忘」、今がいつで、自分がどこにいるのか、という「見当識の障害」、そして新しいことが憶えられないという「順行性健忘」が見られる。プライミングなどの潜在記憶は部分的に障害を受けるが、運転技術とか、泳ぎなどの手続記憶は障害を受けない。損傷患者では、ある情報をいつ、どこで得たのかに関する健忘（出典健忘）が見られる。また記憶の個々の項目同士をうまく結び付けすることが出来ず、起こったことを別の文脈のものと取り違えたりする行動や、空想的な「作話」もよく見られる。損傷患者は「想起」（思い出すこと）全般に障害を示すが、「再生法」では思い出せなくても、「聞いた事あるいは見たことがあるかどうか」を問う「再認法」で調べると一定の記憶は残っていることが示されることもある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）アルツハイマー病&lt;br /&gt;
前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる[2]。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）睡眠に果たす役割&lt;br /&gt;
この脳部位は、睡眠において脳幹のコリン作動性ニューロンの起始核である縫線核と皮質との中継的役割を果たしていると考えられており、損傷により睡眠障害がよく見られる。アセチリコリンの作動薬はREM睡眠を促進し、拮抗薬はREM睡眠を抑制することも示されている。ネコにおけるマイクロダイアリシス実験では、前脳基底部のアセチリコリンの量がREM睡眠時で最も大きく、NREM睡眠時に最も小さく、覚醒時にその中間レベルであることが示されている。この脳部位を破壊すると、皮質の覚醒の度合いが下がるとともに、REM睡眠障害が起こる。逆に、この脳部位を刺激すると覚醒度が上がることも示されている[3]。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：前頭葉、腹側被蓋、縫線核、青班核、海馬、扁桃核、アセチルコリン、ＬＴＰ,　健忘、手続き記憶、アルツハイマー病、ＲＥＭ睡眠&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献&lt;br /&gt;
1. Conner JM, Culberson A, Packowski C, Chiba AA, Tuszynski MH.&lt;br /&gt;
Lesions of the Basal forebrain cholinergic system impair task acquisition and abolish cortical plasticity associated with motor skill learning.&lt;br /&gt;
Neuron. 2003 38(5):819-29. [PubMed: 12797965] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. Teipel SJ, Flatz WH, Heinsen H, Bokde AL, Schoenberg SO, Stockel S, Dietrich O, Reiser MF, Moller HJ, Hampel H.&lt;br /&gt;
Measurement of basal forebrain atrophy in Alzheimer&#039;s disease using MRI.&lt;br /&gt;
Brain. 2005, 128(Pt 11):2626-44 [PubMed: 16014654] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. Deurveilher S, Semba k &lt;br /&gt;
Basal forebrain regulation of cortical activity and sleep-wake states: Roles of cholinergic and non-cholinergic neurons. Sleep and Biological Rhythms, 2011 9:65-70. [doi: 10.1111/j.1479-8425.2010.00465.x]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8634</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-05-18T08:13:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|487x326px|RTENOTITLE]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１．前頭前野のなりたち &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２．前頭前野損傷事例 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．前頭葉ロボトミー &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ４．記憶・思考と前頭前野&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|604x264px]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
６．前頭前野とトップダウン信号 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
７．前頭前野とドーパミン 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8633</id>
		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-05-18T08:11:22Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|487x326px|RTENOTITLE]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１．前頭前野のなりたち &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２．前頭前野損傷事例 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．前頭葉ロボトミー &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ４．記憶・思考と前頭前野&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図２.jpg|604x264px]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
６．前頭前野とトップダウン信号 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
７．前頭前野とドーパミン 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007.&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8632</id>
		<title>前頭前野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8632"/>
		<updated>2012-05-18T08:09:24Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|487x326px|RTENOTITLE]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１．前頭前野のなりたち &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２．前頭前野損傷事例 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．前頭葉ロボトミー &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ４．記憶・思考と前頭前野　&lt;br /&gt;
 前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５．反応の抑制・切り替えと前頭前野&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
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[[Image:前頭前野図２.jpg|604x264px]] &lt;br /&gt;
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図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
６．前頭前野とトップダウン信号 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
７．前頭前野とドーパミン 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007.&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8631</id>
		<title>前頭前野</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E5%89%8D%E9%87%8E&amp;diff=8631"/>
		<updated>2012-05-18T08:06:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭前野図１.jpg|487x326px|RTENOTITLE]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１．前頭前野のなりたち 人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２．前頭前野損傷事例 この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．前頭葉ロボトミー 現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ４．記憶・思考と前頭前野&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
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[[Image:前頭前野図２.jpg|604x264px]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
６．前頭前野とトップダウン信号 人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
７．前頭前野とドーパミン 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
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図の説明 &amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
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この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007.&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>前頭前野</title>
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		<updated>2012-05-18T06:44:36Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: ページの作成：「前頭前野　 英：prefrontal area   同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉   要約：前頭前野は人を人たらしめ，...」&lt;/p&gt;
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&lt;div&gt;前頭前野　 英：prefrontal area &lt;br /&gt;
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同義語：前頭連合野、前頭前皮質、前頭顆粒皮質、前頭葉 &lt;br /&gt;
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要約：前頭前野は人を人たらしめ，思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。前頭前野は系統発生的に人で最もよく発達した脳部位であるとともに，個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; 目次 １．前頭前野のなりたち ２．前頭前野損傷事例 ３．前頭葉ロボトミー ４．記憶・思考と前頭前野 ５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 ６．前頭前野とトップダウン信号 ７．前頭前野とドーパミン &lt;br /&gt;
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[[Image:前頭前野図１.jpg|487x326px|RTENOTITLE]] &lt;br /&gt;
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１．前頭前野のなりたち 人の大脳で感覚野、運動野には属さない部位を連合野association areaと呼ぶ。脳の後方の頭頂葉、側頭葉に位置する連合野として頭頂連合野parietal association area、側頭連合野 temporal association areaがある。前方の前頭葉frontal lobeに位置する連合野は前頭前野と呼ばれる。なお、前頭前野そのものを前頭葉と呼ぶこともある。またこの部位は前頭連合野、前頭前皮質とも呼ばれる。さらにこの脳部位はその第Ⅳ層に顆粒状の細胞が密に存在するという特徴から前頭顆粒皮質と呼ばれることもある。 　前頭前野には、側頭連合野、頭項連合野などの後連合野からの入力があり、ほとんどあらゆる感覚刺激に関して高次な処理を受けた情報が集まっている。また、背内側核を中心とした視床、帯状回や海馬、扁桃核などの辺縁系、それに視床下部、中脳網様体などからも線維連絡を受けており、動機づけや覚醒状態に関する情報の入力もある。なお、前頭前野とこれらの部位の線維連絡は一方通行ではなく、双方向に認められる。さらに前頭前野は、前頭葉内に位置し、運動性連合野である運動前野と補足運動野、それに大脳基底核basal gangliaの尾状核、被殻、淡蒼球などとも相互に線維連絡がある。 この脳部位の大脳に占める割合は、系統発生的phylogeneticに進化した哺乳動物ほど大きくなっており、ネコで3.5％、イヌで7％、サルで11.5％、チンパンジーで17％であるのに対し、ヒトでは29％を占めるに至っている。人は他の動物に比べて脳そのものも大きくなっているので、前頭前野が人ではいかに大きくなっているのかがわかる。個体発生的ontogeneticにも、前頭前野は成熟が最も遅い脳部位の１つにあげられる。逆に前頭前野は老化に伴って最も早く機能低下の起こる部位としても知られている。つまり前頭前野がその機能を十全に発揮できる期間は人生の中でかなり限られている。 前頭前野は認知・実行機能cognitive/executive functionと情動・動機づけ機能emotional/motivational functionを併せもっている。前頭前野は図１に示すように大きく外側部 lateral、内側部 medial、眼窩部 orbital（前頭眼窩野：orbitofrontal cortex）に分けられる。外側部はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を主に担っている。眼窩部は情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程に重要な役割を果たしている。前帯状皮質を含む内側部は社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」というような役割を果たしている。ここでは前頭前野の外側部の機能を中心に述べることにする。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２．前頭前野損傷事例 この前頭前野に損傷を受けるとどのような障害が現われるのかを示すものとしてアメリカ人、フィネアス・ゲージPhineas Gageの有名な例がある。「彼はバランスの取れた心をもち，仕事を極めて精力的かつ粘り強くこなす，敏腕で頭の切れる男として尊敬されていた」。しかし大きな鉄の棒が頭蓋骨を突き破るという爆発事故に見舞われ、前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けた。彼の主治医であったハーローによると[1]、「事故後の彼の身体的な健康状態は良好である。しかし知性と衝動とのバランスは破壊されてしまったようだ。彼は発作的で，無礼で，ときおりひどくばちあたりな行為に走る。自分の欲求に相反する束縛や忠告にがまんがならない。どうしようもないほど頑固になったかと思うと，移り気に戻るし，優柔不断で，将来の行動をあれこれ考えはするが，計画を立ててはすぐにやめてしまう。」という状態になってしまった。このことから、前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示される。ただ、この症例は、骨相学の知識が混入した歪みのあるものと批判もされている。 前頭前野損傷によって生じる障害に関し、脳科学者ペンフィールドのお姉さんの例を紹介しよう[2]。彼のお姉さんは前頭前野に脳腫瘍ができたため，その切除手術を受けた結果、例えば「料理」のような行動が困難になったことが報告されている。料理は，ヒトが行う極めて知的な作業のひとつである。献立を考え，必要な物をリストアップし，買い物をし，調理をするという一連の多彩な能力が要求される。調理の部分だけとってみても，材料によって違った処理が必要で，個々の材料を処理する方法や，処理する時間，火加減，味付けなど考えながら，しかも，そのいくつかの作業を並行して処理しなければならない。作った後にはできあがった料理をどのように美しく盛りつけするか，どのような順序で出すのかも考える必要がある。前頭前野に損傷を受けると，このような順序だった行動の組立をする，つまり段取りをうまくとる事ができなくなってしまうのである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．前頭葉ロボトミー 現在のような向精神薬がなかった時代には、精神病の治療法として有効なものはほとんどないに等しい状態であった。１９３０年代に、前頭前野を取り去ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験の報告がなされたことから、それに基づいて強度の興奮あるいは不安症状を持つ精神病患者に対して前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた。それが前頭葉ロボトミーfrontal lobotomyである。手術の結果、一部の患者では症状の改善が見られたと報告されたことから、世界で約５万人の人に対しこの手術が行われた。しかしその後この手術を受けた患者が、なにごとにもやる気がなくなり，外界に対して無関心，無頓着になること，反応性に乏しく，ものごとに注意を集中したり，状況を深く理解したり，推理したり，計画的に物事を行ったりすることが困難になること，感情が浅薄化し，節操がなくなり，時と場所をわきまえない言動が多くなることが明らかになった。その結果、現在ではこの手術は全く行なわれないが、症例から、前頭前野が意欲、注意、理解、パーソナリティーに重要な関わりがあることが示される。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 ４．記憶・思考と前頭前野&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭前野に損傷を受けても、一般に健忘症amnesiaのような記憶障害は生じない。しかし、「いつ、どこかである事柄をしなければならない」という将来の予定に関する記憶（展望記憶prospective memory）の障害、あるいは情報をいつ、どこで得たのかという記憶（出典記憶source memory）の障害、そして時間を隔てて生起したことがらの、どちらが先に起こったのかという順序の記憶 temporal order memoryの障害は見られる。 前頭前野が最も大きく関わる記憶の種類がワーキングメモリーworking memoryである。ヒトで用いられるワーキングメモリー課題の典型の１つに、ｎ－バック課題n-back taskと呼ばれるものがある。この課題では一定間隔をおいて次々に刺激が呈示されるが、被験者はそれぞれの刺激が呈示されるたびに、それがｎ個前のものと同じか違うかの判断をすることを求められる。ｎが３の場合を例に取ると、刺激が呈示されて比較が終わった時点では３個前のものを忘れ去り（リセットし）、２個前と１個前に呈示された刺激を「保持」しつつ、呈示されたばかりの刺激を新たに頭の中に入れるという「操作」を繰り返すことを要求される。前頭前野損傷患者はこの課題で著しい障害を示す。人の非侵襲的研究によると、ｎ－バック課題に関係して、前頭前野外側部で顕著な活性化が見られる。 サルで試みられるワーキングメモリー課題の典型として遅延反応delayed responseがある。この課題では、いったん呈示された刺激が消えたあとに、その内容を保持し、それに基づいて適切な反応が求められる。前頭前野破壊ザルは、この課題の遂行に著しい障害を示す。前頭前野からニューロン活動を記録すると、遅延期間中に活動の上昇を示すとともに、保持すべき内容を反映した活動を示すニューロンが多数見出される。 前頭前野損傷患者には評価、計画、推論などの思考過程に障害が見られる。評価に関しては、例えば「この物品はどのくらいの値段だと思いますか」，あるいは「世界で最も大きな船の長さはどのくらいだと思いますか」というような問いに対して，損傷患者は正常と大きくかけ離れた値を出す傾向がある。 　計画の立案や遂行においても障害が見られ、損傷患者は「順序だった計画を立てたり」，「計画を完成させたり」，「重要な項目と些細な項目を区別したり」，あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害を示す。例えば海外旅行の計画を立てる，というような場合，スーツケースに荷物をつめるという優先度が高いことは重要視しない一方で，親戚にどんなおみやげを買うのか，というような瑣末なことを重要視したりする傾向が見られる[3]。 非侵襲的研究によると、プラニングに関係して前頭前野外側部で活性化が見られるが、特にその中でも外側部の一番前に位置する前頭極frontal poleでは活性化がよく見られる。前頭極は推論に関係した活性化も示すが、この部位は、いくつかの処理を並行的に行う、関係性の統合を行うなど、ワーキングメモリー負荷の高い条件で推論を行うときに重要な役割を果たしていると考えられる。なお、被験者が十分に課題の練習をして熟達してくると、前頭前野の活動性は小さくなり、代わりに大脳基底核の活動性が大きくなる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５．反応の抑制・切り替えと前頭前野 前頭前野は不必要な反応や不適切な反応を抑制したり、必要に応じて適切な反応に切り替えたりすることに重要な役割を果たしている。 ゴー・ノーゴー課題go-no go taskではある刺激に一定の運動反応（ゴー反応）をし，別の刺激には運動反応を一切しないようにする（ノーゴー反応）ことが要求される。前頭前野に損傷のある患者は，ノーゴー反応が求められても，運動反応をしないように抑制することが困難である。ヒトの非侵襲的研究では、ノーゴーという行動抑制に関係して前頭前野外側部の特に下部で活性化が見られる。サルの前頭前野にも、ノーゴー反応が要求されたときに選択的に活動を示すニューロンが多数見出される。 おいしいものが目の前にあれば飲んだり、食べたりしたくなるもの（短期的欲求）であるが、それは肥満や生活習慣病にもつながることから、健康を考え（長期的欲求）、飲んだり食べたりするのをがまんすることをセルフコントロールself controlと呼ぶ。少しだけ働いて当面のわずかな収入を得る（短期的欲求）のではなく、将来の多くの収入（長期的目標）を目標に収入がほとんどない状態を耐える、ということが出来るのもセルフコントロール能力である。前頭前野はこのセルフコントロールにも重要な役割を果たしており、損傷患者は長期的利益より短期的利益を優先する傾向にある。人の非侵襲的研究においては、セルフコントロールに関係して前頭前野の外側部の活性化が見られている。また、この部位を磁気刺激して活動を抑制すると、セルフコントロール行動が阻害されることも示されている。さらに、サルに課題を訓練してニューロン活動を記録した研究によると、外側部ニューロンがセルフコントロールを担う活動をすることが示されている。 前頭前野損傷患者はまた，反応基準の切り替えset shiftingを要求される事態で障害を示す。反応基準の切り替えに関係して最もよく用いられる課題にウイスコンシン・カード分類課題Wisconsin card sorting taskがある。これは、図２のように色（赤、緑、黄、青）、形（三角、星、十字、丸）、数（１、２、３、４）がそれぞれ違う128枚のカードを、被験者に「色」か「形」か「数」のどれか１つを基準に分類していくことを求めるものである。被験者は分類の基準については教えられない。正答が６回続くと、被験者に知らせることなく突然分類の基準が変えられるので、被験者はフィードバックに従って新しい分類基準を見出し、それに基づいて反応しなければならない。 前頭前野に損傷のある患者は、分類の基準が変わっても、いつまでも前の基準に固執する傾向を示す。この課題遂行の上で最も重要な「分類基準の切り替え」には「左側」前頭前野外側部の下方後ろよりが重要な役割を持つとされる。なお、特に基準が変わった後に、以前の基準に基づく反応を抑制する上では、前頭極の重要性が指摘されている。また、サルにこの課題の簡易版を訓練して前頭前野のニューロン活動を記録した研究によると、現在の分類基準を保持する、それぞれの分類基準に基づく反応が正しかったか誤っていたのかを捉える、という活動を見出されている。 &lt;br /&gt;
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６．前頭前野とトップダウン信号 人の非侵襲的研究においては、刺激呈示前に視覚野や聴覚野で活動性の変容が見られるときには、前頭前野を含む前頭葉の多くの部位が活性化することが示されている。またサルの前頭前野を電気刺激すると、視覚関連領野の活動が促進されることも示されている。こうした大脳後部における活動性の変容は、前頭前野からのトップダウン信号top-down signalを受けた結果生じたのではないかと想定される。こうしたトップダウン信号は、課題に関係した刺激の処理を効率化することにより、適切な反応に導くという役割を担っていると考えられる。 認知と情動・動機づけは相互作用することが知られている。たとえば、被験者の情動を操作することにより，前頭前野の活動性が変化するとともに，ワーキングメモリー課題の成績も変化することが示されている。人の非侵襲的研究によると、このワーキングメモリーと情動・動機づけの統合に関係して、前頭前野の外側部、特にその前頭極でより顕著な活性化が見出されている。こうした前頭前野における活動は、トップダウン信号として脳の後ろの部位に伝えられ、行動制御に重要な役割を果たしていると考えられる。サルのニューロンレベルの研究でも、より好ましい報酬が期待できるときには，前頭前野ニューロンにおいてワーキングメモリーに関係した活動が促進され、正解率も上昇することが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
７．前頭前野とドーパミン 　前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。これらの物質が欠乏すると，人はワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。 ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は，前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると，サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく，多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野のドーパミン量と認知課題の成績の間には逆Ｕ字関係が認められており、前頭前野が効率的に働くためには，ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる，あるいは上げるような薬物を投与すると人でもサルでも前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くない人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよい人にそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる[4]。ドーパミンの受容体にはＤ１からＤ５の５種類があるが、認知課題に最も重要なのがＤ１受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンＤ１受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆Ｕ字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならＳ／Ｎ比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動は阻害されるのである。サルの前頭前野の外側部にドーパミンＤ１受容体の作動薬を投与すると、視覚野連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。 COMT (catechol-O-methyl transferase)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型の人は前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。人にドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型の人ではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型の人では課題成績が減少する、ということも見られる[4]。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図の説明 図－１：　ヒトの大脳前頭前野の外側面（外側から見える面）、内側面（大脳を左右に二分して現れる面）と眼窩面（下から見える面）。図中の数字はブロードマンの領野。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図－２：ウィスコンシン・カード分類テスト（ＷＣＳＴ）。被験者は選択カードを「色」か「数」か「形」のどれかの次元で分類することを求められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この用語とリンクする用語：頭頂連合野、側頭連合野、ドーパミン、ウイスコンシン・カード分類課題、ワーキングメモリー、大脳基底核、推論、思考、非侵襲的研究、反応基準の切り替え、トップダウン信号、遺伝子多型 文献 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1) Harlow JM Passage of an iron rod through the head. Boston Medical and surgical Journal 1948 39:389-393. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Penfield W and Evans J The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals Brain 1935 68:115-133. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Boller F, Grafman J (Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2nd Edition: The Frontal Lobes, Elsevier 2002 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4) Williams GV, Castner SA Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory. Neuroscience 2006 139:263-76. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考書 Fuster JS The Prefrontal Cortex, Fourth Edition. 2008 Academic Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Stuss DT, Knight R (eds.) Principles of Frontal Lobes Function Oxford Univ. Press. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
Dynamic Landscape of the Frontal Lobe: A Tribute to Patricia S. Goldman-Rakic. Special Issue of Cerebral Cortex supple 7 2007.&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
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		<title>ファイル:前頭前野図２.jpg</title>
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		<updated>2012-05-18T06:19:00Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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		<title>ファイル:前頭前野図１.jpg</title>
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		<updated>2012-05-18T06:18:39Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-05-18T06:13:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち ２）前 頭眼窩野の情動・動機づけ機能 ３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 ４）意思決定と前頭連合野腹内側部 ５）前頭連合野腹内側部とソマティック・マーカー仮説 ６）前頭眼窩野と感情障害&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前頭眼窩野図１.jpg|476x293px]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち 前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図１）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 　 ２）前頭眼窩野の情動・動機づけ機能 前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）意思決定と前頭連合野腹内側部 私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説 ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭眼窩野と感情障害 　前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-05-18T06:00:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち &lt;br /&gt;
２）前頭眼窩野の情動・動機づけ機能 &lt;br /&gt;
３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 &lt;br /&gt;
４）意思決定と前頭連合野腹内側部 &lt;br /&gt;
５）前頭連合野腹内側部とソマティック・マーカー仮説 &lt;br /&gt;
６）前頭眼窩野と感情障害 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち 前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図１）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 　 ２）前頭眼窩野の情動・動機づけ機能 前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）意思決定と前頭連合野腹内側部 私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説 ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭眼窩野と感情障害 　前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図の説明 &lt;br /&gt;
図－１：　ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 &lt;br /&gt;
1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E9%A0%AD%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E9%87%8E&amp;diff=8352</id>
		<title>前頭眼窩野</title>
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		<updated>2012-05-16T06:55:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;前頭眼窩野　Orbitofrontal area &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
類似語：前頭連合野眼窩部 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置しており、この脳部位には視覚、聴覚、体性感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂している。扁桃体を中心とする辺縁系とも密接な結びつきがある。この脳部位の損傷患者や破壊ザルは情動反応と動機づけ行動に異常が生じる。また学習行動の消去が困難になるとともに、逆転学習に障害が生じる。この脳部位は報酬や嫌悪刺激の価値の評価に関わるとともに、それらの予測、期待にも関係している。またこの脳部位は情動・動機付けに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
目次 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 １）前頭眼窩野のなりたち&lt;br /&gt;
 ２）前頭眼窩野の情動・動機づけ機能 &lt;br /&gt;
 ３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究&lt;br /&gt;
 ４）意思決定と前頭連合野腹内側部&lt;br /&gt;
 ５）前頭連合野腹内側部とソマティック・マーカー仮説&lt;br /&gt;
 ６）前頭眼窩野と感情障害 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
１）前頭眼窩野のなりたち 前頭眼窩野は前頭葉の腹側面（下部）に位置している（図１）。前頭連合野の他の重要部位である外側部が視床の背内側核小細胞部から入力を受けるのに対し、眼窩野は視床背内側核の大細胞部から入力を受けている。前頭眼窩野の後ろよりの部分には味覚、嗅覚、内臓感覚の入力がある。より前方にある部分（１３野の前よりの部分と１１野）には、視覚、聴覚、体性感覚情報入力があり、これらの情報と前頭眼窩野の後ろ部分からの味覚、嗅覚情報との連合が生じている。眼窩野はまた扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 　 ２）前頭眼窩野の情動・動機づけ機能 前頭眼窩野に損傷を受けた患者では、情動・動機づけ機能に障害がみられ、パーソナリティーが浅薄でルーズになる傾向が見られる。また食べ物に対する好みが損傷前と変化する。不適切な多幸感やいらいら感、性的放縦、パラノイア、感情鈍磨、衝動性なども報告される。眼窩部の損傷患者はまた、何かが目に入ると，それで何かしなさいとも，手を触れていいとも言われていないのに，躊躇なくそれを取り上げ，いじる，というような行動（利用行動utilization behavior）を示す傾向もある[1]。 学習行動でよく見られるのが「消去」における障害と「逆転学習」の障害である。すなわち、ある反応をすると好ましいものが得られることを一旦学習した後、その反応をしてももはや好ましいものは得られない、という事態になっても（消去事態）、前頭眼窩野損傷患者はその反応をいつまでも続ける傾向にある。またＡは正（好ましいものと結びついている）、Ｂは負（好ましくないものと結びついている）の信号であることを学習した後に、今度はＡが負、Ｂが正の信号であることを学ぶ、という「逆転学習」も損傷患者には困難になることも知られている。 この脳部位を破壊したサルにおいても、消去がなかなか生じない、逆転学習が困難である、という人と同じ障害が見られる。さらに破壊ザルが、「報酬価値を減少させる」操作に敏感でないことも知られている。すなわち、ほぼ同じ価値（おいしさ）を持つＸ，Ｙという食べ物があったとして、Ｘだけたくさん食べさせる、という操作をすると、通常のサルなら、Ｙという食べ物を取るのには熱心でも、Ｘを取るのは熱心でなくなる。ところが前頭眼窩野を破壊したサルはＹに対してと同じようにＸをとるためにも熱心になることが知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）前頭眼窩野のニューロン活動とｆＭＲI研究 サル前頭眼窩野には，報酬や嫌悪刺激に応答したり、そうした刺激の予測，期待に関係して「予期的」な活動変化を示したりするニューロンが見出される。最近の研究では、サルの眼窩野ニューロンが報酬や嫌悪刺激の価値（好ましさや嫌悪度）を反映した活動を示すことが明らかにされている。すなわちサルにとって、Ａという報酬は価値が高く、Ｂという報酬は価値が低い場合、例えばサルにとってＡの１単位と、Ｂの３単位がほぼ同価値という場合、眼窩野のニューロンは、Ａの１単位とＢの３単位の報酬には同じ応答を示す（共通通貨で表されるような価値を反映した活動を示す）ことが知られている。「価値を減少させる」操作をすれば、その減少した価値を反映した活動を示す。 なお、価値はものによって大きな幅がある。例えば車を選ぶときの価値のレベル（１万円、２万円の差は問題にならない）と、洗剤を選ぶときの価値のレベル（１０円、２０円の差が問題になる）は大きく異なる。眼窩野のニューロンは、価値レベルに応じて反応様式を変える。例えば絶対的な価値レベルが高い対象に対しては、その絶対的な価値を持つ刺激対象群という文脈内での相対的な価値を反映した活動を示し、群内では相対的に低価値のものに対する反応は（絶対的な価値は高くても）低い。一方、絶対的な価値レベルは低い対象群の中での相対的に高価値なものには大きな反応を示すことも示されている。つまり眼窩野ニューロンは文脈に基づき、対象の文脈内での相対的な価値を反映した活動を示す。なお価値という場合、その対象そのものだけでなく、それが得られる確率、得られるまでの時間、得るために要する労力、さらには仮想的な報酬（本当は得られないが、得られたとしたら手にするもの）のような情報も眼窩野ニューロンは反映している。 近年のｆＭＲＩ研究では、報酬や嫌悪刺激に関連して前頭眼窩野の活動を調べた研究は多いが、この脳部位は解剖学的に副鼻腔に近く、呼吸に伴う空気の動きの雑音の影響を受けやすいことから、この部位のデータの信頼性は他の部位のものより劣る。 人における非侵襲的研究によると、好ましい刺激や嫌悪刺激の呈示に対して前頭眼窩野はそれらの価値を反映した活動を示すとともに、そうした刺激の期待・予期過程に関しても活性化を示す。刺激としては、食べ物、飲み物、性的刺激、さらにはお金や社会的評判、芸術的対象（美しい、醜い）も含まれる。また、「価値を減少させる」操作に対しても前頭眼窩部はその減少した価値を反映した活動を示す。さらにこの脳部位は疲労感に関係した活動変化も示す。 なお、多くの研究で前頭眼窩野の１１，１３野を中心とした内側よりの部分は報酬を、１２野と中心とした外側部よりの部分は罰を表象する、とされるが、否定的な研究もあり、この脳部位内で正負の価値が異なった部位で表象されているかどうかはまだ議論の対象である。一方、前頭眼窩野内で、後ろよりの部分は報酬や嫌悪刺激そのものを捉えることにより関わり、前よりの部分ほど視覚や体性感覚刺激と味覚・嗅覚刺激の連合に関わること、より抽象度の高い刺激（社会的刺激や芸術的対象）への反応が見られることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）意思決定と前頭連合野腹内側部 私たちは日々、色々な意思決定場面に遭遇するが、「これしかない」というような解は見つからない場合も多い。そうした状況でヒトはよく論理的な道筋に沿うよりも、かなりの部分を背後の知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックheuristicな意思決定decision makingを行う傾向にある[2]。 　こうしたヒューリスティックな意思決定には、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側（底面）の前の方（腹内側部ventorolateralと呼ばれる）が重要な役割を果たしている。ダマジオはその著「デカルト・エラー」Decartes’error[3]の中で、脳腫瘍のためこの脳部位の切除手術を受けた結果、「当面している事態の重要性を評価したり、これからやらなければならな事柄の間に優先順位をつけたりする場合、社会的な常識から大きくかけ離れた判断をしてしまう」、あるいは「リスク事態において、小さくても長期的には利益につながる方に賭けるのではなく，短期的には大きな利益を生むかも知れないが，長期的には損失につながるような選択をする」ようになった患者の例を紹介している。こうした患者をテストするのによく用いられるものにアイオワ・ギャンブリング課題Iowa Gambling Taskというものがある。 このテストではA,B,C,D4種類のカードの山があって、被験者はそこからカードを1枚ずつ引く。A,Bを引くと1万円、B,Cを引くと5千円がもらえるとしよう。ただし、A,Bには1/10の割合で-12.5万円のマイナスになるカード、C,Dには1/10の割合で-2.5万円になるカードが入っている。一見するとA,Bを選ぶ方が有利に見えるが、結果的にはC,Dの方が得になるという課題になっている。実験を受ける被験者にはこのことを教えずにカードを１枚ずつ自由に引いてもらうと、最初はだれもA,Bの方が有利だと感じてA,Bのカードの山からカードを引くようになるが、しばらくするとC,Dの方が有利だと気づいてC,Dの山からカードを引くようになる。前頭連合野腹内側部の機能障害を持った患者の場合、その選択が最終的に損であると分かっている場合ですらA,　Bのカードを選択し続ける傾向にある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭連合野腹内側部とソマティックマーカー仮説 ダマジオはこうした障害のメカニズムについてソマティックマーカー仮説somatic marker hypothesisを提唱している。彼は情動、動機づけには常に「身体的、内臓系の反応」（ソマティック反応）が付随すると考えた。そして（１）前頭連合野腹内側部は外的な刺激とそれに伴う情動、動機づけを連合する場所と考えられる。（２）この連合が成立している場合には、外的な刺激が認知されると、腹内側部でその連合に基づいたソマティック反応を身体、内臓系に生じさせる信号が出るが、その信号は「良い」あるいは「悪い」という価値に従いマークされている。（３）このマーク機能は意思決定を効率的にするように作用する、と考えた。腹内側部に損傷をもつ患者では、外部状況が認知されても通常なら生起するソマティック・マーカーが起こらないため、マーカーがあれば可能であるような迅速、適切な行動が出来なくなると考えるわけである。 アイオワ・ギャンブル課題中に被験者の体に発汗（自律神経の働きからくる）を調べることができる装置をつけておくと、健常者がA, Bのカードを選択しようとする際には、20枚目くらいで発汗量に増加がみられる。２０枚目というと、まだA,Bのカードが不利であることは意識化されていない段階であるが、生理的な反応が出ることにより、被験者の意思決定は有利なものになるわけであるが、前頭前野腹内側部損傷患者ではそうした反応が出ないのである。 ダマジオの説は、意思決定における感情の果たす役割や、無意識的判断というものについて神経的基礎を与えるもので、多いに注目を集めているが、実証されているとは言い難く、批判も少なくない。たとえば、ロールズなどは、腹内側部損傷患者が適切な意思決定ができないのは、罰刺激のような負の経験に基づいて反応変容ができない、という前頭眼窩野に見られる消去や逆転学習の障害の反映と解釈すべきとしている[4]。 さらに最近の研究によると、前頭前野腹内側部損傷患者は、確実な情報がないような条件での意思決定場面だけでなく、単純な「好きー嫌い」の判断にも一貫性のないことが示されている。検査対象者に食べ物、有名人、色見本紙につき、６つの中から２つの間でどちらが好きかを何度も尋ねると、この脳部位の損傷患者では、反応の一貫性に乏しく、聞くたびに好みが変化する、というような傾向が見られている[5]。これは、ソマティック・マーカーがないと適切な反応が出来ない、というような事態でなくても、損傷患者の判断に障害が見られることを示し、逆に損傷患者の不確定事態における判断の障害も、こうした好きー嫌いの判断の非一貫性の反映に過ぎない可能性も指摘されている。 ソマティック・マーカー仮説の当否は別としても、情動がからむ意思決定、選択肢間の価値の比較が求められる意思決定に関係して、前頭連合野腹内側部が活性化するとした研究は多い。コーラ（コカ、あるいはペプシ）の好みに関し銘柄を隠して判断させると、この脳部位が活性化したのに対し、銘柄を知らせると、好みの判断に関係して海馬や前頭連合野外側部などが活性化した、という報告がある。また道徳に基づいた社会的行動の適切性の判断にもこの脳部位が活性化するが、特にネガティブな情動を引き起こすような状況での判断で、ポジティブな情動を引き起こすような状況での判断より前頭連合野腹内側部の活性化が大きいことも示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）前頭眼窩野と感情障害 　前頭眼窩野の損傷患者ではうつ病になるリスクが高いことが知られているが、うつ病はこの脳部位がもつ情動・動機づけ制御機能が適切に働かないことと関係していると考えられる。うつ病患者ではこの脳部位の体積が減少していることが知られている。一方、安静時の脳代謝や脳血流量を調べると、この脳部位の活動がうつ病患者では増加していること、適切な治療がされるとこの増加がなくなることが示されている。この活動の増加は、うつ病患者がくよくよ考えることに関係しているとも考えられる。 　情動・動機づけ制御機能に障害が考えられるものに「社会病質」Psychopathyもある。これは他人の痛みを感じることがなく、他者に暴力的な反応をしても罪の意識を感じず、同じ犯罪を繰り返し行う行動傾向を指す。社会病質者では、前頭眼窩野の活動性が（うつ病）と違って低いが、この脳部位の損傷で社会病質者になるという報告はない。社会病質者の多くには扁桃核に障害があり、その結果として前頭眼窩野の働きに障害が出ると考えらえている。 　前頭眼窩野の情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン，セロトニン、ノルエピネフリン，ＧＡＢＡ（ガンマアミノ酪酸）などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。ＰＥＴ研究によると、うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられる。うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 トリプトファン（たんぱく質に含まれるアミノ酸）はセロトニンの前駆物質であるが、このトリプトファン成分だけ除去した食事を実験的に続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。サルにおいてセロトニンを神経伝達物質とするニューロンは、長期の報酬予測の制御に関係していることも知られている。人では、実験的にトリプトファンを欠乏させると短期的思考が多くなり、過剰にすると長期予測の割合が増すという報告もある。うつ病患者では、特に前頭眼窩野の脳内セロトニン低下により長期予測機能が低下しており、結果として目先のことしか考えられないという短期的思考になり、将来に希望が持てなくなるという仮説も提示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
図の説明 図－１：　ヒト（左）とサル（右）の前頭前野外側部（上）と前頭眼窩野（下）。図中の数字はブロードマンの領野。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
文献 １）Lhermitte F. &#039;Utilization behaviour&#039; and its relation to lesions of the frontal lobes. Brain 1983, 106:237-255. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２）Toversky A. Kahneman D. Judgment under uncertainty: Heuristics and biases. Science 1974, 185: 1124-1131. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３）Damasio AR Decartes’ Error Grossset/Putnam New York 1994 （日本語訳　「生存する脳」田中三彦　講談社，2000） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４）Rolls ET The brain and emotion. Oxford Univ Press 1999. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
５）Fellows LK, Farah MJ. The Role of Ventromedial Prefrontal Cortex in Decision Making: Judgment under Uncertainty or Judgment Per Se? Cerebral Cortex 2007 17: 2669-2674. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
その他　前頭眼窩野に関する参考書 1) Cerebral Cortex Special Issue The Mysterious Orbitofrontal Cortex (2000) 10 (3) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2) Schoenbaum G et al. (Eds) Critical Contributions of the Orbitofrontal Cortex to Behavior (Annals of the New York Academy of Sciences) Wiley-Blackwell 2011 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3) Zald D, Rauch B (Eds.) The Orbitofrontal Cortex, Oxford University Press 2006. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：渡邊正孝、担当編集委員：入來篤史）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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		<title>ファイル:前頭眼窩野図１.jpg</title>
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		<updated>2012-05-16T06:42:22Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: 「ファイル:前頭眼窩野図１.jpg」の新しい版をアップロードしました: 2012年5月16日 (水)06:15の版へ差し戻し&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: 「ファイル:前頭眼窩野図１.jpg」の新しい版をアップロードしました&lt;/p&gt;
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		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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		<updated>2012-05-16T06:15:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Masatakawatanabe: &lt;/p&gt;
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		<author><name>Masatakawatanabe</name></author>
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