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	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
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	<updated>2026-04-17T02:00:40Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=23871</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
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		<updated>2013-11-27T08:03:40Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 歴史 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学大学院医学系研究科 神経内科学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/read0170557 井原 康夫]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;同志社大学 生命医科学部医生命システム学科&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2013年4月24日　原稿完成日：2013年10月19日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/read0141446 漆谷 真]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD　独：Alzheimer-Krankheit　仏：maladie d&#039;Alzheimer&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　多くは老年期に発症し緩徐に進行する、[[記憶障害]]を中心とした[[認知機能障害]]を主な症状とする認知症であり、[[認知症]]の中で最も多くを占める。病理学的に[[海馬]]をはじめとする[[大脳皮質]]の萎縮、組織学的には細胞外の[[老人斑]]と細胞内の[[神経原線維変化]]を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者[[wikipedia:ja:アロイス・アルツハイマー|アロイス・アルツハイマー]]によって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは[[wikipedia:ja:梅毒|梅毒]]によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と[[妄想]]を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者[[wikipedia:Auguste Deter|アウグステ・データー]]の病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある[[老年期認知症|老年期（senile）認知症]]とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子[[プレセニリン1]] (&#039;&#039;[[PSEN1]]&#039;&#039;)変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床診断と病理診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年の[[wikipedia:ja:バイオマーカー|バイオマーカー]]の発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床的特徴===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると[[wikipedia:ja:指数関数|指数関数]]的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者では[[argyrophilic grain disease]]や[[tangle-predominant dementia]]（または[[tangle only dementia]]）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、[[記銘力障害]]（[[もの忘れ]]）で発症し、進行と共に[[視空間認知]]など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると[[失行]]や[[失認]]、[[失語]]が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、[[せん妄]]、[[失禁]]、[[徘徊]]が見られるようになる。[[大脳皮質]]が障害されることを反映して、時に[[てんかん]]を合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や[[失行]]、[[失書]]といった[[頭頂葉]]症状で発症することがあり、臨床的に[[posterior cortical atrophy]]と称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、[[CT]]・[[MRI]]で初期は海馬の萎縮、進行性に[[頭頂葉]]の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。[[PET]]、[[SPECT]]では初期から[[後部帯状回]]～[[楔前部]]や頭頂葉の[[wikipedia:ja:糖代謝|糖代謝]]・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病理所見===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と[[側頭葉]]内側を含み、次いで頭頂葉と[[前頭葉]]に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性[[グリオーシス]]、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものを[[neuritic plaque]]と呼ぶ。また老人斑の主要構成成分[[βアミロイド]]（[[Aβ]]）の免疫組織化学により、[[アミロイド]]を検出するための[[wikipedia:ja:コンゴーレッド染色|コンゴーレッド染色]]では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。[[神経細胞死]]の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また[[アミロイドアンギオパチー]]が大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、[[プレセニリン2]]（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、[[アミロイド前駆蛋白質]]（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述する[[γセクレターゼ]]の構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や[[痙性対麻痺]]が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらが[[wikipedia:ja:ヴォルガ・ドイツ人|ヴォルガ・ドイツ人]]の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によっては[[パーキンソニズム]]や[[幻覚]]を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝|常染色体優性遺伝]]形式のアミロイドーシスを伴う[[遺伝性脳出血]]Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーの[[ダウン症候群]]で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、[[βセクレターゼ]]切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;[[APOE]]&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年の[[Genome-wide association study]]（[[GWAS]]）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度は[[wikipedia:ja:コーカシアン|コーカシアン]]ではそれぞれ8%、78%、14%、[[wikipedia:ja:日本人|日本人]]ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質はADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがある。その中で、apoEは[[分泌]]されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、生理的環境下ではAβへの結合はわずかであるとのデータもあり議論の余地が残されている。また、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβと[[タウ]]と同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈する[[ダウン症]]脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主に[[Aβ42]]と[[Aβ40]]があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらに[[リン酸化]]されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;[[MAPT]]&#039;&#039;は1997年に[[進行性核上性麻痺]]の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖する[[パーキンソン病]]を伴う[[前頭側頭型認知症]]の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体は[[β-site APP cleaving enzyme 1]]（[[BACE1]]）という1回膜貫通型の[[アスパラギン酸プロテアーゼ]]である。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、[[ニカストリン]]、[[Aph-1]]、[[Pen-2]]とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、[[Aβ49]]→[[Aβ46]]→[[Aβ43]]→Aβ40と[[Aβ48]]→[[Aβ45]]→Aβ42→[[Aβ38]]という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位で[[アセチルコリン#生合成|コリンアセチル転移酵素]] ([[[アセチルコリン#生合成|choline acetyltransferase]])の活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主に[[マイネルト核]]）の[[コリン]]作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後から[[アセチルコリン]]仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用の[[アセチルコリン#代謝、分解|アセチルコリンエステラーゼ]][[阻害剤]]が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説とは、&lt;br /&gt;
#&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、&lt;br /&gt;
#Aβ42の産生と蓄積が増加し、&lt;br /&gt;
#Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、&lt;br /&gt;
#Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、&lt;br /&gt;
#シナプスや神経細胞傷害が起こり、&lt;br /&gt;
#神経細胞内で恒常性が変化し、&lt;br /&gt;
#キナーゼ活性が変化し、&lt;br /&gt;
#神経原線維変化を生じ、&lt;br /&gt;
#同時に神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、&lt;br /&gt;
#認知症を生じる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
という仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、8.は脇道である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPP[[トランスジェニックマウス]]でも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主には[[ネプリライシン]]によりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ[[長期増強]]（[[LTP]]）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPP[[トランスジェニックマウス]]においても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、[[シナプス]]の変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[バイオマーカー]]とは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、[[脳脊髄液]]（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
#脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕&lt;br /&gt;
#シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕&lt;br /&gt;
#タウによる神経変性〔CSFタウ〕&lt;br /&gt;
#神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕&lt;br /&gt;
#認知機能障害&lt;br /&gt;
#全般機能障害&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の[[ドネペジル]]、[[ガランタミン]]、[[リバスチグミン]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニスト]]の[[メマンチン]]が上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストや[[セロトニン]]受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 疾患修飾薬 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&amp;lt;b&amp;gt;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&amp;lt;/b&amp;gt;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに[[wikipedia:ja:臨床治験|臨床治験]]に入った薬物について述べる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==== Aβ産生阻害薬====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====Aβ除去薬====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として[[wikipedia:ja:血管原性浮腫|血管原性浮腫]]を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に[[髄膜脳炎]]の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==== &#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;  ====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担う[[GSK-3β]]の阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23346</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23346"/>
		<updated>2013-10-22T02:09:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/atsushiiwata 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学　大学院医学系研究科　神経内科学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は前項で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=23345</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=23345"/>
		<updated>2013-10-22T01:52:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学大学院医学系研究科 神経内科学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/read0170557 井原 康夫]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;同志社大学 生命医科学部医生命システム学科&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2013年4月24日　原稿完成日：2013年10月19日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/read0141446 漆谷 真]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD　独：Alzheimer-Krankheit　仏：maladie d&#039;Alzheimer&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　多くは老年期に発症し緩徐に進行する、[[記憶障害]]を中心とした[[認知機能障害]]を主な症状とする認知症であり、[[認知症]]の中で最も多くを占める。病理学的に[[海馬]]をはじめとする[[大脳皮質]]の萎縮、組織学的には細胞外の[[老人斑]]と細胞内の[[神経原線維変化]]を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者[[wikipedia:ja:アロイス・アルツハイマー|アロイス・アルツハイマー]]によって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは[[wikipedia:ja:梅毒|梅毒]]によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と[[妄想]]を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者[[wikipedia:Auguste Deter|アウグステ・データー]]の病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある[[老年期認知症|老年期（senile）認知症]]とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子[[プレセニリン1]] (&#039;&#039;[[PSEN1]]&#039;)&#039;変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床診断と病理診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年の[[wikipedia:ja:バイオマーカー|バイオマーカー]]の発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床的特徴===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると[[wikipedia:ja:指数関数|指数関数]]的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者では[[argyrophilic grain disease]]や[[tangle-predominant dementia]]（または[[tangle only dementia]]）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、[[記銘力障害]]（[[もの忘れ]]）で発症し、進行と共に[[視空間認知]]など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると[[失行]]や[[失認]]、[[失語]]が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、[[せん妄]]、[[失禁]]、[[徘徊]]が見られるようになる。[[大脳皮質]]が障害されることを反映して、時に[[てんかん]]を合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や[[失行]]、[[失書]]といった[[頭頂葉]]症状で発症することがあり、臨床的に[[posterior cortical atrophy]]と称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、[[CT]]・[[MRI]]で初期は海馬の萎縮、進行性に[[頭頂葉]]の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。[[PET]]、[[SPECT]]では初期から[[後部帯状回]]～[[楔前部]]や頭頂葉の[[wikipedia:ja:糖代謝|糖代謝]]・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病理所見===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と[[側頭葉]]内側を含み、次いで頭頂葉と[[前頭葉]]に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性[[グリオーシス]]、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものを[[neuritic plaque]]と呼ぶ。また老人斑の主要構成成分[[βアミロイド]]（[[Aβ]]）の免疫組織化学により、[[アミロイド]]を検出するための[[wikipedia:ja:コンゴーレッド染色|コンゴーレッド染色]]では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。[[神経細胞死]]の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また[[アミロイドアンギオパチー]]が大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、[[プレセニリン2]]（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、[[アミロイド前駆蛋白質]]（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述する[[γセクレターゼ]]の構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や[[痙性対麻痺]]が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらが[[wikipedia:ja:ヴォルガ・ドイツ人|ヴォルガ・ドイツ人]]の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によっては[[パーキンソニズム]]や[[幻覚]]を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝|常染色体優性遺伝]]形式のアミロイドーシスを伴う[[遺伝性脳出血]]Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーの[[ダウン症候群]]で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、[[βセクレターゼ]]切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;[[APOE]]&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年の[[Genome-wide association study]]（[[GWAS]]）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度は[[wikipedia:ja:コーカシアン|コーカシアン]]ではそれぞれ8%、78%、14%、[[wikipedia:ja:日本人|日本人]]ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質はADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがある。その中で、apoEは[[分泌]]されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、生理的環境下ではAβへの結合はわずかであるとのデータもあり議論の余地が残されている。また、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβと[[タウ]]と同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈する[[ダウン症]]脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主に[[Aβ42]]と[[Aβ40]]があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらに[[リン酸化]]されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;[[MAPT]]&#039;&#039;は1997年に[[進行性核上性麻痺]]の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖する[[パーキンソン病]]を伴う[[前頭側頭型認知症]]の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体は[[β-site APP cleaving enzyme 1]]（[[BACE1]]）という1回膜貫通型の[[アスパラギン酸プロテアーゼ]]である。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、[[ニカストリン]]、[[Aph-1]]、[[Pen-2]]とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、[[Aβ49]]→[[Aβ46]]→[[Aβ43]]→Aβ40と[[Aβ48]]→[[Aβ45]]→Aβ42→[[Aβ38]]という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位で[[アセチルコリン#生合成|コリンアセチル転移酵素]] ([[[アセチルコリン#生合成|choline acetyltransferase]])の活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主に[[マイネルト核]]）の[[コリン]]作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後から[[アセチルコリン]]仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用の[[アセチルコリン#代謝、分解|アセチルコリンエステラーゼ]][[阻害剤]]が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説とは、&lt;br /&gt;
#&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、&lt;br /&gt;
#Aβ42の産生と蓄積が増加し、&lt;br /&gt;
#Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、&lt;br /&gt;
#Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、&lt;br /&gt;
#シナプスや神経細胞傷害が起こり、&lt;br /&gt;
#神経細胞内で恒常性が変化し、&lt;br /&gt;
#キナーゼ活性が変化し、&lt;br /&gt;
#神経原線維変化を生じ、&lt;br /&gt;
#同時に神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、&lt;br /&gt;
#認知症を生じる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
という仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、8.は脇道である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPP[[トランスジェニックマウス]]でも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主には[[ネプリライシン]]によりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ[[長期増強]]（[[LTP]]）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPP[[トランスジェニックマウス]]においても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、[[シナプス]]の変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[バイオマーカー]]とは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、[[脳脊髄液]]（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
#脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕&lt;br /&gt;
#シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕&lt;br /&gt;
#タウによる神経変性〔CSFタウ〕&lt;br /&gt;
#神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕&lt;br /&gt;
#認知機能障害&lt;br /&gt;
#全般機能障害&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の[[ドネペジル]]、[[ガランタミン]]、[[リバスチグミン]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニスト]]の[[メマンチン]]が上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストや[[セロトニン]]受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 疾患修飾薬 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&amp;lt;b&amp;gt;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&amp;lt;/b&amp;gt;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに[[wikipedia:ja:臨床治験|臨床治験]]に入った薬物について述べる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==== Aβ産生阻害薬====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質である[[Notch]]を介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====Aβ除去薬====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として[[wikipedia:ja:血管原性浮腫|血管原性浮腫]]を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に[[髄膜脳炎]]の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==== &#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;  ====&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担う[[GSK-3β]]の阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23344</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23344"/>
		<updated>2013-10-22T01:51:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/atsushiiwata 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学神経内科&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は前項で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23343</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23343"/>
		<updated>2013-10-22T01:50:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学神経内科&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は前項で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23342</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23342"/>
		<updated>2013-10-22T01:49:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 治療 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は前項で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23341</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23341"/>
		<updated>2013-10-22T01:48:46Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 治療 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23340</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23340"/>
		<updated>2013-10-22T01:44:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 治療 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記で述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23339</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23339"/>
		<updated>2013-10-22T01:43:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* オートファジー機能異常 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23338</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23338"/>
		<updated>2013-10-22T01:42:38Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23337</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23337"/>
		<updated>2013-10-22T01:42:19Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 鑑別診断 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン類縁疾患2型（Huntington disease-like 2, HDL2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、遺伝性脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　HDL2の臨床症状および経過は極めてハンチントン病に似ることが知られているが、殆どの症例はアフリカ系であり、日本での報告はない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23336</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23336"/>
		<updated>2013-10-22T01:28:48Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 鑑別診断 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病、妊娠舞踏病、脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー、その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病、脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2）、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、脊髄小脳変性症17型、有棘赤血球症を伴う舞踏病、捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23335</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23335"/>
		<updated>2013-10-22T01:27:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち、いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動。ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性、無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23334</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23334"/>
		<updated>2013-10-22T01:26:57Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断、すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが、臨床診断基準として下記の診断基準が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす、あるいは(3)及び(6)を満たすもの。〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23333</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23333"/>
		<updated>2013-10-22T01:26:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床経過 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で、死因は誤嚥性肺炎や低栄養、窒息などである。前述のように若年発症者では進行が速く、予後は短い。高齢発症者では進行は緩徐である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23332</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23332"/>
		<updated>2013-10-22T01:25:48Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する。手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し、協調運動障害も認めるようになる。また、並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化、幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる。さらに認知機能が緩徐に低下していく。これらの症状は進行性である。このような経過を「古典型」と表現する。しかしながら、臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり、ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く、初発時に運動症状を呈する例は少ない。若年型の場合、運動症状として、舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある。発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く、発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる。若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり、それを反映して多彩な症状が出現し、進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある。一方、60歳以降の高齢発症者は、精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23331</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23331"/>
		<updated>2013-10-22T01:23:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 治療 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで、有効性が示された根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な根本治療は上記でも述べた他に、少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23330</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23330"/>
		<updated>2013-10-22T01:20:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 治療 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　不随意運動に対する対症療法としては、長らくチアプリドやハロペリドール、ペルフェナジンといったドパミン受容体遮断作用を有する向精神薬が用いられてきた。2008年にFDAにより、ハンチントン病に伴う舞踏運動に対する薬剤としてテトラベナジンが承認された。テトラベナジンは、欧米で昔から不随意運動に対する治療薬として用いられてきたモノアミン小胞トランスポーター2（VMAT2）の選択的阻害剤であり、線条体の神経終末にてドパミンを枯渇させることによって不随意運動を抑制する機序を有する。無作為化比較試験にて不随意運動の減少効果が認められ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16476934&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、テトラベナジンは米国神経学会による治療ガイドラインでは第一選択に位置付けられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22815556&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。本邦でも2012年12月に承認された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23329</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23329"/>
		<updated>2013-10-22T01:17:03Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAGリピートの長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23328</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23328"/>
		<updated>2013-10-22T01:16:43Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAGリピートが36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23327</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23327"/>
		<updated>2013-10-22T01:15:48Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 鑑別診断 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
　以下の疾患が鑑別に挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1) 症候性舞踏病：　小舞踏病，妊娠舞踏病，脳血管障害に伴うものなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2) 薬剤性舞踏病：　遅発性ジスキネジー，その他の薬剤性ジスキネジーなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3) 代謝性疾患：　ウィルソン病，脂質代謝異常症など&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4) 他の神経変性疾患：　ハンチントン病類症2型（Huntington disease-like 2），歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症，脊髄小脳変性症17型，有棘赤血球症を伴う舞踏病，捻転ジストニアなど&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23326</id>
		<title>ハンチントン病</title>
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		<updated>2013-10-22T01:03:54Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3のIT15（interesting transcript 15）領域に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23325</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23325"/>
		<updated>2013-10-22T01:01:50Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に成人発症でも不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23324</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23324"/>
		<updated>2013-10-22T01:00:38Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床経過 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年で，死因は誤嚥性肺炎や低栄養，窒息などである．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23323</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23323"/>
		<updated>2013-10-22T00:58:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23322</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23322"/>
		<updated>2013-10-22T00:58:01Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23321</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23321"/>
		<updated>2013-10-22T00:57:42Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23320</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23320"/>
		<updated>2013-10-22T00:57:02Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．〔厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約〕&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23319</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23319"/>
		<updated>2013-10-22T00:56:08Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
:(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．（厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23318</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23318"/>
		<updated>2013-10-22T00:55:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
::③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23317</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23317"/>
		<updated>2013-10-22T00:52:03Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 基準 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
　有症状者の確定診断は遺伝子診断，すなわちハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列が36以上であることによるが，臨床診断基準として，下記の診断基準が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(1)　経過が進行性である&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(2)　常染色体優性遺伝の家族歴がある&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(3)　下記の神経所見のうち，いずれか1つ以上がみられる&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
：：①　舞踏運動を中心とした不随意運動．ただし若年発症例ではパーキンソニズム症状を呈することがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
：：②　易怒性，無頓着などの性格変化・精神症状&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
：：③　記銘力低下などの認知症&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(4)　脳画像検査で尾状核萎縮を伴う両側の側脳室拡大を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(5)　鑑別診断が除外される&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(6)　遺伝子診断でハンチントン病遺伝子にCAGリピートの伸長を認める&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
上記の(1)～(5)を全て満たす，あるいは(3)及び(6)を満たすもの．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（厚生労働省特定疾患治療研究事業による認定基準を要約）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23316</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23316"/>
		<updated>2013-10-22T00:44:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病遺伝子のCAG繰り返し配列の長さが長いほど若年発症の傾向が強まる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23315</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23315"/>
		<updated>2013-10-22T00:42:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床経過 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
　典型的な症例では罹病期間は10～20年である．前述のように若年発症者では進行が速く，予後は短い．高齢発症者では進行は緩徐である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23314</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23314"/>
		<updated>2013-10-22T00:40:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
（予後など特記すべきこと、ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23313</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23313"/>
		<updated>2013-10-22T00:39:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
（予後など特記すべきこと、ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23312</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=23312"/>
		<updated>2013-10-22T00:38:19Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: /* 臨床症状 */&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/cdg_tricot 井原 涼子]、[http://researchmap.jp/read0018784 岩田 淳]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;東京大学&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI XXXX/XXXX　原稿受付日：2012年6月26日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://researchmap.jp/ryosuketakahashi 高橋 良輔]（京都大学 大学院医学研究科）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英：Huntington’s disease、英略語：HD　独：Huntington-Krankheit　仏：maladie de Huntington &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ[[舞踏運動]]（chorea）を中心とする[[不随意運動]]、[[易怒性]]や[[易刺激性]]などの[[性格]]変化、[[注意力]]や[[記銘力]]低下などの[[認知機能]]障害、[[幻覚]]・[[妄想]]などの精神障害を古典的主症状とする[[wikipedia:ja:常染色体優性遺伝形|常染色体優性遺伝形]]式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置する[[ハンチンチン]]（huntingtin）タンパク質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、第1[[エクソン]][[コーディング領域]]の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列は[[wikipedia:ja:グルタミン|グルタミン]]に翻訳されるため、トリプレット病のうち、[[ポリグルタミン病]]（polyQ disease）あるいは[[CAGリピート病]]と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。[[Image:Huntington.jpg|thumb|right|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図　ハンチントン病患者のMR前額断像&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;尾状核頭部萎縮、側脳室前角の拡大、大脳皮質の萎縮が認められる。http://www.radpod.org/2007/05/01/huntingtons-disease/より。]] &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 歴史  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのは[[wikipedia:George Huntington|George Huntington]]である。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==症状 ==&lt;br /&gt;
===臨床症状===&lt;br /&gt;
　多くは30～40歳代に発症する．手足次いで頭頸部に舞踏運動を中心とした不随意運動が出現し，協調運動障害も認めるようになる．また，並行して易怒性や落ち着きのなさなどの性格変化，幻覚・妄想などの精神症状が見られるようになる．さらに認知機能が緩徐に低下していく．症状は進行性である．このような経過を「古典型」と表現する．しかしながら，臨床経過は症例ごとに大きくばらつきがあり，ごく稀に不随意運動を伴わない症例もある．&lt;br /&gt;
　20歳以下で発症する若年型ハンチントン病では精神症状や認知機能障害で始まることが多く，初発時に運動症状を呈する例は少ない．若年型の場合，運動症状としては，舞踏運動ではなくパーキンソニズムやジストニアが見られることもある．発症年齢が若いほどてんかん発作の頻度が多く，発症年齢が10歳以下では1/2～1/3に見られる．若年発症型の方が広汎かつ重度な神経変性があり，それを反映して多彩な症状が出現し，進行が早く発症から5,6年で寝たきりとなる症例もある．一方，60歳以降の高齢発症者は，精神障害や知的障害を伴わないなど症状は軽度である．&lt;br /&gt;
　多くの場合罹病期間は10～20年であるが，上述のように若年発症者は進行が速く，高齢発症者は進行が遅い．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===臨床経過===&lt;br /&gt;
（予後など特記すべきこと、ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
==診断==&lt;br /&gt;
===基準===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
===検査所見===&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部[[CT]]、[[MRI]]にて[[尾状核]]の萎縮と[[側脳室]]前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い[[大脳]]萎縮も認める。 &lt;br /&gt;
===鑑別診断===&lt;br /&gt;
（ございましたら御記述ください）&lt;br /&gt;
（Huntington disease-like 2 (HDL2)との関係などについてはいかがでしょうか。）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==疫学==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を[[表現促進現象]]（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、[[wikipedia:ja:コーカソイド|コーカソイド]]の10分の1程度である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 病理所見  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病理学的には[[尾状核]]と[[被殻]]の神経細胞脱落と[[グリオーシス]]が見られる。特に[[線条体]]では[[GABA]]作動性小型細胞の脱落が顕著であり、[[アセチルコリン]]作動性の大型細胞は比較的残存する。[[ユビキチン]]あるいはハンチンチンの免疫染色により、[[核内封入体]]が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの構造・機能  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大なタンパク質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では[[核]]内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたってタンパク質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, [[wikipedia:Elongator factor3|Elongator factor3]], [[wikipedia:PR65/A regulatory subunit of PP2A|PR65/A regulatory subunit of PP2A]], and [[wikipedia:Tor1|Tor1]]（HEAT）リピートを有する。[[wikipedia:ja:HEATリピート|HEATリピート]]領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;の[[ノックアウトマウス]]では、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する[[wikipedia:ja:外胚葉|外胚葉]]において[[アポトーシス]]の増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ハンチンチンの断片化  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積タンパク質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に[[線条体]]において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1[[トランスジェニックマウス]]（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前から第1エクソンに相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断する[[カスパーゼ6]]による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、[[カルパイン]]、[[カテプシン]]といった[[プロテアーゼ]]によって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== プロテアソーム機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ユビキチン―[[プロテアソーム]]系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性したタンパク質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。 　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、[[HSP40]]、[[HSP70]]、[[BiP/GRP78]]といった分子[[シャペロン]]がハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチン第1エクソンのTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内タンパク質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスに[[wikipedia:ja:トレハロース|トレハロース]]を投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と[[細胞死]]を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== オートファジー機能異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[オートファジー]]は種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のあるタンパク質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。[[ノックインマウス]]においても初期にはオートファジー関連タンパク質の増加が認められる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子である[[Mammalian target of rapamycin]]（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤である[[ラパマイシン]処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[ラパマイシン]]は副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 転写制御異常  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳における[[mRNA]]レベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の[[尾状核]]において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、[[代謝調節型]]や[[イオン調節型受容体]]サブユニットや異なる[[神経伝達物質]]からシグナルを受ける[[受容体]]のmRNAレベルの変化が見られた。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、[[核内受容体リプレッサー]]NCoR、[[CREB binding protein]]（CBP）、[[TATA-binding protein]]（TBP）、[[TAFII130]]、[[Repressor element 1 transcription factor]]（REST）といった多くの[[転写活性化タンパク質]]と相互作用し、そのうち一部のタンパク質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンは[[PPARγ coactivator 1α]]（PGC 1α）の[[プロモーター]]領域に直接結合して[[転写因子]][[CREB]]/[[TAF4]]の結合を妨げ、[[PGC 1α]]の発現を抑制する。PGC1αは[[ミトコンドリア]]の生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞における[[脳由来神経栄養因子]] (brain-derived neurotrophic factor,&amp;amp;nbsp;BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子REST/[[Neuron restrictive silencer factor]]（NRSF）に結合して核への移行を留め、[[神経選択的サイレンサー]]neural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待される[[ヒストン脱アセチル化酵素]] (histon deacetylase, HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 細胞内輸送の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、[[HAP1]]、[[HIP1]]、[[HIP14]]、[[HAP40]]、[[PSCSIN1]]といった[[小胞輸送]]に関わるいくつかのタンパク質や[[SNARE]]が介在する[[小胞融合]]に関わるタンパク質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接[[ダイニン]]に結合し、小胞の可動性を促進することや、[[ゴルジ装置]]の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのようなタンパク質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンにより[[APP]]やBDNFを含む複数のタンパク質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連タンパク質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、[[wikipedia:ja:電子顕微鏡|電子顕微鏡]]観察にて[[軸索]]断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に[[軸索輸送]]を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要なタンパク質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような[[細胞内輸送]]の障害の結果、[[神経栄養因子]]の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、[[神経伝達物質]][[受容体]]の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== エネルギー代謝の障害  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]]（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 興奮毒性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の[[中型有棘ニューロン]]の脱落が認められる。これらの細胞は[[NMDA受容体|NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[NR2B]]サブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病[[トランスジェニックマウス]]と野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の[[放出確率]]は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA型グルタミン酸受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的[[アンタゴニスト]]による治療の試みは成功していない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== Sirtuinの関与  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られる[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin]]も病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）において[[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirtuin1]] ([[アセチル化#ヒストン脱アセチル化酵素|Sirt1]])を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体[[TrkB]]のリン酸化、および[[ドーパミン]]シグナルカスケードの主要な構成分子である[[DARPP32]]の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わる[[Foxo3a]]が知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 治療  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにて[[D2受容体|D&amp;lt;sub&amp;gt;2&amp;lt;/sub&amp;gt;受容体]]結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスでは[[AAVベクター]]を用いたハンチンチンに対する[[RNAi]]治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]] &lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]] &lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]] &lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]] &lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=20013</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=20013"/>
		<updated>2013-04-30T09:09:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer&#039;s diasease、AD）は、多くは老年期に発症し緩徐に進行する、記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり、認知症の中で最も多くを占める。病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮、組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年のバイオマーカーの発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、記銘力障害（もの忘れ）で発症し、進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると失行や失認、失語が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、せん妄、失禁、徘徊が見られるようになる。大脳皮質が障害されることを反映して、時にてんかんを合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や失行、失書といった頭頂葉症状で発症することがあり、臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、CT・MRIで初期は海馬の萎縮、進行性に頭頂葉の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み、次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ。また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により、アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述するγセクレターゼの構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%、78%、14%、日本人ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質はADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがある。その中で、apoEは分泌されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、生理的環境下ではAβへの結合はわずかであるとのデータもあり議論の余地が残されている。また、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらにリン酸化されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、ニカストリン、Aph-1、Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。アミロイドカスケード仮説とは、①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、②Aβ42の産生と蓄積が増加し、③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり、⑥神経細胞内で恒常性が変化し、⑦キナーゼ活性が変化し、⑧神経原線維変化を生じ、同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、⑧は脇道である。孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原涼子、井原康夫　担当編集委員：高橋良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=20012</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=20012"/>
		<updated>2013-04-30T09:06:06Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer&#039;s diasease、AD）は、多くは老年期に発症し緩徐に進行する、記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり、認知症の中で最も多くを占める。病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮、組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年のバイオマーカーの発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、記銘力障害（もの忘れ）で発症し、進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると失行や失認、失語が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、せん妄、失禁、徘徊が見られるようになる。大脳皮質が障害されることを反映して、時にてんかんを合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や失行、失書といった頭頂葉症状で発症することがあり、臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、CT・MRIで初期は海馬の萎縮、進行性に頭頂葉の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み、次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ。また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により、アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述するγセクレターゼの構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%、78%、14%、日本人ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質はADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがある。その中で、apoEは分泌されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、生理的環境下ではAβへの結合はわずかであるとのデータもあり議論の余地が残されている。また、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらにリン酸化されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、ニカストリン、Aph-1、Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。アミロイドカスケード仮説とは、①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、②Aβ42の産生と蓄積が増加し、③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり、⑥神経細胞内で恒常性が変化し、⑦キナーゼ活性が変化し、⑧神経原線維変化を生じ、同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、⑧は脇道である。孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原涼子、井原康夫　担当編集委員：高橋良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19996</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19996"/>
		<updated>2013-04-30T02:07:48Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer&#039;s diasease、AD）は、多くは老年期に発症し緩徐に進行する、記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり、認知症の中で最も多くを占める。病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮、組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年のバイオマーカーの発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、記銘力障害（もの忘れ）で発症し、進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると失行や失認、失語が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、せん妄、失禁、徘徊が見られるようになる。大脳皮質が障害されることを反映して、時にてんかんを合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や失行、失書といった頭頂葉症状で発症することがあり、臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、CT・MRIで初期は海馬の萎縮、進行性に頭頂葉の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み、次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ。また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により、アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述するγセクレターゼの構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%、78%、14%、日本人ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが、apoEは分泌されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、Aβとの結合を否定する報告もある。一方、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらにリン酸化されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、ニカストリン、Aph-1、Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。アミロイドカスケード仮説とは、①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、②Aβ42の産生と蓄積が増加し、③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり、⑥神経細胞内で恒常性が変化し、⑦キナーゼ活性が変化し、⑧神経原線維変化を生じ、同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、⑧は脇道である。孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原涼子、井原康夫　担当編集委員：高橋良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19995</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
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		<updated>2013-04-30T01:56:54Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer&#039;s disease、英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer&#039;s diasease、AD）は、多くは老年期に発症し緩徐に進行する、記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり、認知症の中で最も多くを占める。病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮、組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は、1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された。当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが、初老期（presenile）に発症し、進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し、剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した。しかし、最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳）、アルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが、1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論に至った。最初に記載された症例が若年発症だったことについて、病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され、2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer&#039;s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では、臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer&#039;s disease）」、それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer&#039;s disease）」と同一の病名を用いていたが、しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」、臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される。これは臨床と病理が1対1に対応しない、すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと、また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる。 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer&#039;s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」、病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている。近年のバイオマーカーの発達により、生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり、臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く、80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する。ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている。逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び、遺伝的素因を疑う。2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）。高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており、2050年には有病率は85人に1人になると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては、記銘力障害（もの忘れ）で発症し、進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され、徐々に日常生活の自立性が保てなくなる。さらに進行すると失行や失認、失語が見られるようになり、周囲への無関心さが目立ち、昼夜逆転、せん妄、失禁、徘徊が見られるようになる。大脳皮質が障害されることを反映して、時にてんかんを合併する。稀なケースとして、視空間認知障害や失行、失書といった頭頂葉症状で発症することがあり、臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが、その多くは病理学的にADである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は、軽度認知障害（mild cognitive impairment、MCI）としてADとは区別するが、長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては、CT・MRIで初期は海馬の萎縮、進行性に頭頂葉の萎縮、次第にびまん性の大脳萎縮を認める。PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める。検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図1．AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質、右：海馬、Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化、矢印が老人斑。海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している。]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み、次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める。組織学的には、萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス、老人斑（senile plaque）、神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める。老人斑、NFTは本疾患に特徴的であるが、いずれも疾患特異的ではない。老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する、周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ。また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により、アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり、現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い。その中で、中心に核を持った斑をdense-core plaque、核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び、後者が圧倒的に多数を占める。 NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが、神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ。神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを、ghost tangleと表現する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には、老人斑がどのような広がりであり（Thal phase）、神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage）、neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる。これはAβが血管壁に蓄積することによる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである。これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;）、プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;）、アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている。プレセニリン1・2は、後述するγセクレターゼの構成分子であり、その活性中心を構成する。ほとんどの変異が浸透率100%である。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;SEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに、世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある。変異は遺伝子産物の全長にまたがるが、その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する。臨床的には、変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり、病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく、コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが、哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない。1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。現在までに13の病的変異の報告がある。変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これにより、21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した。現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが、ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある。&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが、点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており、βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い。全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない。最初に変異が同定された家系のように、変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として、&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。この変異の1/オッズ比（odds ratio、OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが、極めて頻度の低い変異である。β切断部位近傍であり、β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている。近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが、それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38、防御アレルのOR 0.92-0.67であり、それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2、ε3、ε4のアレルがあり、アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%、78%、14%、日本人ではそれぞれ4%、87%、9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった。コーカシアンと日本人の疫学調査によると、ε3/ε3と比較して、ε3/ε4のORは2.7-5.6、ε4/ε4のORは11.8-33.1である。一方、ε2は発症に対して保護的に働き、ε2/ε3のORは0.6-0.9である。apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが、apoEは分泌されたAβに結合し、アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており、それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が重要視されているが、Aβとの結合を介さないでAβのクリアランスに作用するという報告もある。一方、&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では、アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており、Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は、1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと、1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により、&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて、1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり、さらにリン酸化されていることが明らかにされた。タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として、1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが、ADと関連する変異や多型は見つかっていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ、γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は、まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ、続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される。 βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである。γセクレターゼは、原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが、プレセニリン単独では活性を持たず、ニカストリン、Aph-1、Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった。γセクレターゼによってAβ40、Aβ42が産生されるが、&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり、凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが、全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない。γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており、Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という、3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが、トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により、AD患者脳では、大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された。また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され、この減少こそが病態の中心であるとの説である。1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された。現在では病態の本流ではなく、下流の現象であると考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから、どちらが先に起こる現象か、どちらが病態の中心にあるか、長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）。正常高齢者の病理学的な検討から、Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない）、家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから、Aβが上流であると考えられるようになった。アミロイドカスケード仮説とは、①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;、&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により、②Aβ42の産生と蓄積が増加し、③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり、④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され、⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり、⑥神経細胞内で恒常性が変化し、⑦キナーゼ活性が変化し、⑧神経原線維変化を生じ、同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり、⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている）、⑧は脇道である。孤発性ADをこの仮説に則って説明するために、孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇、Aβ42比率の上昇、Aβのクリアランスの低下が想定されている。&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり、その変異はAβ産生を減少させる効果があることは、この仮説を支持するデータである。また、ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも、タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも、ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは、この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており、主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている。何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは、最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する。アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても、この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが、Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降、Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ、「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった。日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は、臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり、培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が、線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ、シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである。&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する。診断や病期のステージングに用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには、ADの二つの特徴的な微細構造物、老人斑と神経原線維変化を反映するものとして、脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる。Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し、Aβ42/40比率が低下する。また、タウの変化が始まるとCSF中の総タウ、リン酸化タウが上昇する。総タウは他疾患でも上昇するが、リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い。血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない。また画像バイオマーカーとしては、Aβ凝集を検出するアミロイドPET、シナプス機能障害を表す機能MRI、神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET、神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと、バイオマーカーの変化は、①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ、アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET、機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている。このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており、2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に、 Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として、「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は、オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると、177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり、60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。日本でもJapanese Alzheimer&#039;s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており、60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている。疾患修飾薬の治験の失敗から、疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている。その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり、2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが、病態の進行を抑制しない薬を指す。多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で、コリン作動性のものが多い。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他、アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図2．アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である。アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている。Aβの産生抑制、Aβのクリアランス促進、蓄積したAβの除去、Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護、タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である。残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが、以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され、総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている。脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが、BACE1阻害剤が臨床開発段階にある。BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが、BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから、γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体、Aβワクチンが開発されている。抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した。オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており、オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き、凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている。Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである。最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが、副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され、臨床治験に入っている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として、タウ凝集阻害剤、タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原涼子、井原康夫　担当編集委員：高橋良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19912</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19912"/>
		<updated>2013-04-23T00:24:34Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer’s disease，英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり，認知症の中で最も多くを占める．病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮，組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は，1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された．当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが，初老期（presenile）に発症し，進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し，剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した．しかし，最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳），アルツハイマー病は初老期の認知症として，よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが，1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から，同一のものであるとの結論に至った．最初に記載された症例が若年発症だったことについて，病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され，2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では，臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer’s disease）」，それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer’s disease）」と同一の病名を用いていたが，しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」，臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される．これは臨床と病理が1対1に対応しない，すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと，また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる． 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer’s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」，病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている．近年のバイオマーカーの発達により，生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり，臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く，80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する．ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている．逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び，遺伝的素因を疑う．2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）．高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており，2050年には有病率は85人に1人になると推測されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては，記銘力障害（もの忘れ）で発症し，進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され，徐々に日常生活の自立性が保てなくなる．さらに進行すると失行や失認，失語が見られるようになり，周囲への無関心さが目立ち，昼夜逆転，せん妄，失禁，徘徊が見られるようになる．大脳皮質が障害されることを反映して，時にてんかんを合併する．稀なケースとして，視空間認知障害や失行，失書といった頭頂葉症状で発症することがあり，臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが，その多くは病理学的にADである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は，軽度認知障害（mild cognitive impairment，MCI）としてADとは区別するが，長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては，CT・MRIで初期は海馬の萎縮，進行性に頭頂葉の萎縮，次第にびまん性の大脳萎縮を認める．PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める．検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|440px|&#039;&#039;&#039;図1 AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質，右：海馬，Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化，矢印が老人斑．海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している．]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み，次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める．組織学的には，萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス，老人斑（senile plaque），神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める．老人斑，NFTは本疾患に特徴的であるが，いずれも疾患特異的ではない．老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する，周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ．また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により，アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり，現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い．その中で，中心に核を持った斑をdense-core plaque，核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び，後者が圧倒的に多数を占める． NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが，神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ．神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを，ghost tangleと表現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には，老人斑がどのような広がりであり（Thal phase），神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage），neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる．これはAβが血管壁に蓄積することによる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである．これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;），プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;），アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている．プレセニリン1・2は，後述するγセクレターゼの構成分子であり，その活性中心を構成する．ほとんどの変異が浸透率100%である．&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに，世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある．変異は遺伝子産物の全長にまたがるが，その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する．臨床的には，変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり，病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく，コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが，哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない．1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに13の病的変異の報告がある．変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これにより，21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した．現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが，ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある．&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが，点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており，βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い．全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない．最初に変異が同定された家系のように，変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として，&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．この変異の1/オッズ比（odds ratio，OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが，極めて頻度の低い変異である．β切断部位近傍であり，β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている．近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが，それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38，防御アレルのOR 0.92-0.67であり，それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2，ε3，ε4のアレルがあり，アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%，78%，14%，日本人ではそれぞれ4%，87%，9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった．コーカシアンと日本人の疫学調査によると，ε3/ε3と比較して，ε3/ε4のORは2.7-5.6，ε4/ε4のORは11.8-33.1である．一方，ε2は発症に対して保護的に働き，ε2/ε3のORは0.6-0.9である．apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが，apoEは分泌されたAβに結合し，アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており，それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が最も重要視されている．ただし，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では，アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており，Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は，1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと，1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス，1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された．翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により，その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により，&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが，AD脳の免疫組織化学から，老人斑の大部分はAβ42から構成され，またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて，1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり，さらにリン酸化されていることが明らかにされた．タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として，1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが，ADと関連する変異や多型は見つかっていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ，γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は，まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ，続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される． βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである．γセクレターゼは，原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが，プレセニリン単独では活性を持たず，ニカストリン，Aph-1，Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった．γセクレターゼによってAβ40，Aβ42が産生されるが，&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり，凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが，全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない．γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており，Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という，3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが，トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により，AD患者脳では，大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された．また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され，この減少こそが病態の中心であるとの説である．1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された．現在では病態の本流ではなく，下流の現象であると考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから，どちらが先に起こる現象か，どちらが病態の中心にあるか，長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）．正常高齢者の病理学的な検討から，Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない），家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから，Aβが上流であると考えられるようになった．アミロイドカスケード仮説とは，①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により，②Aβ42の産生と蓄積が増加し，③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり，④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され，⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり，⑥神経細胞内で恒常性が変化し，⑦キナーゼ活性が変化し，⑧神経原線維変化を生じ，同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり，⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている），⑧は脇道である．孤発性ADをこの仮説に則って説明するために，孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇，Aβ42比率の上昇，Aβのクリアランスの低下が想定されている．&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり，その変異はAβ産生を減少させる効果があることは，この仮説を支持するデータである．また，ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも，タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも，ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは，この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており，主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている．何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは，最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する．アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても，この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが，Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降，Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ，「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった．日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は，臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり，培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が，線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ，シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである．&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する．診断や病期のステージングに用いられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには，ADの二つの特徴的な微細構造物，老人斑と神経原線維変化を反映するものとして，脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる．Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し，Aβ42/40比率が低下する．また，タウの変化が始まるとCSF中の総タウ，リン酸化タウが上昇する．総タウは他疾患でも上昇するが，リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い．血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない．また画像バイオマーカーとしては，Aβ凝集を検出するアミロイドPET，シナプス機能障害を表す機能MRI，神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET，神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと，バイオマーカーの変化は，①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ，アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET，機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている．このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており，2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に， Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として，「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は，オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると，177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり，60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．日本でもJapanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており，60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている．疾患修飾薬の治験の失敗から，疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている．その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり，2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが，病態の進行を抑制しない薬を指す．多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で，コリン作動性のものが多い．アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル，ガランタミン，リバスチグミン，NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他，アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|440px|&#039;&#039;&#039;図2 アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である．アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている．Aβの産生抑制， Aβのクリアランス促進，蓄積したAβの除去，Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護，タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である．残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが，以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され，総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている．脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが，BACE1阻害剤が臨床開発段階にある．BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが，BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから，γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体，Aβワクチンが開発されている．抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した．オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており，オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き，凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている．Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである．最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが，副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され，臨床治験に入っている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として，タウ凝集阻害剤，タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、井原　康夫）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19897</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19897"/>
		<updated>2013-04-22T09:11:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer’s disease，英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり，認知症の中で最も多くを占める．病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮，組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は，1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された．当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが，初老期（presenile）に発症し，進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し，剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した．しかし，最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳），アルツハイマー病は初老期の認知症として，よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが，1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から，同一のものであるとの結論に至った．最初に記載された症例が若年発症だったことについて，病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され，2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では，臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer’s disease）」，それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer’s disease）」と同一の病名を用いていたが，しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」，臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される．これは臨床と病理が1対1に対応しない，すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと，また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる． 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer’s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」，病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている．近年のバイオマーカーの発達により，生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり，臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く，80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する．ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている．逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び，遺伝的素因を疑う．2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）．高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており，2050年には有病率は85人に1人になると推測されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては，記銘力障害（もの忘れ）で発症し，進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され，徐々に日常生活の自立性が保てなくなる．さらに進行すると失行や失認，失語が見られるようになり，周囲への無関心さが目立ち，昼夜逆転，せん妄，失禁，徘徊が見られるようになる．大脳皮質が障害されることを反映して，時にてんかんを合併する．稀なケースとして，視空間認知障害や失行，失書といった頭頂葉症状で発症することがあり，臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが，その多くは病理学的にADである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は，軽度認知障害（mild cognitive impairment，MCI）としてADとは区別するが，長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては，CT・MRIで初期は海馬の萎縮，進行性に頭頂葉の萎縮，次第にびまん性の大脳萎縮を認める．PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める．検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|440px|&#039;&#039;&#039;図1 AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質，右：海馬，Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化，矢印が老人斑．海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している．]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み，次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める．組織学的には，萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス，老人斑（senile plaque），神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める．老人斑，NFTは本疾患に特徴的であるが，いずれも疾患特異的ではない．老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する，周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ．また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により，アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり，現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い．その中で，中心に核を持った斑をdense-core plaque，核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び，後者が圧倒的に多数を占める． NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが，神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ．神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを，ghost tangleと表現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には，老人斑がどのような広がりであり（Thal phase），神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage），neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる．これはAβが血管壁に蓄積することによる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである．これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;），プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;），アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている．プレセニリン1・2は，後述するγセクレターゼの構成分子であり，その活性中心を構成する．ほとんどの変異が浸透率100%である．&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに，世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある．変異は遺伝子産物の全長にまたがるが，その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する．臨床的には，変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり，病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく，コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが，哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない．1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに13の病的変異の報告がある．変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これにより，21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した．現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが，ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある．&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが，点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており，βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い．全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない．最初に変異が同定された家系のように，変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として，&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．この変異の1/オッズ比（odds ratio，OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが，極めて頻度の低い変異である．β切断部位近傍であり，β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている．近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが，それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38，防御アレルのOR 0.92-0.67であり，それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2，ε3，ε4のアレルがあり，アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%，78%，14%，日本人ではそれぞれ4%，87%，9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった．コーカシアンと日本人の疫学調査によると，ε3/ε3と比較して，ε3/ε4のORは2.7-5.6，ε4/ε4のORは11.8-33.1である．一方，ε2は発症に対して保護的に働き，ε2/ε3のORは0.6-0.9である．apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが，apoEは分泌されたAβに結合し，アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており，それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が最も重要視されている．ただし，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では，アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており，Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は，1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと，1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス，1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された．翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により，その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により，&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが，AD脳の免疫組織化学から，老人斑の大部分はAβ42から構成され，またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて，1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり，さらにリン酸化されていることが明らかにされた．タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として，1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが，ADと関連する変異や多型は見つかっていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ，γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は，まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ，続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される． βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである．γセクレターゼは，原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが，プレセニリン単独では活性を持たず，ニカストリン，Aph-1，Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった．γセクレターゼによってAβ40，Aβ42が産生されるが，&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり，凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが，全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない．γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており，Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という，3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが，トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により，AD患者脳では，大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された．また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され，この減少こそが病態の中心であるとの説である．1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された．現在では病態の本流ではなく，下流の現象であると考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから，どちらが先に起こる現象か，どちらが病態の中心にあるか，長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）．正常高齢者の病理学的な検討から，Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない），家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから，Aβが上流であると考えられるようになった．アミロイドカスケード仮説とは，①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により，②Aβ42の産生と蓄積が増加し，③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり，④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され，⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり，⑥神経細胞内で恒常性が変化し，⑦キナーゼ活性が変化し，⑧神経原線維変化を生じ，同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり，⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている），⑧は脇道である．孤発性ADをこの仮説に則って説明するために，孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇，Aβ42比率の上昇，Aβのクリアランスの低下が想定されている．&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり，その変異はAβ産生を減少させる効果があることは，この仮説を支持するデータである．また，ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも，タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも，ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは，この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており，主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている．何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは，最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する．アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても，この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが，Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降，Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ，「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった．日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は，臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり，培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が，線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ，シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである．&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する．診断や病期のステージングに用いられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには，ADの二つの特徴的な微細構造物，老人斑と神経原線維変化を反映するものとして，脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる．Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し，Aβ42/40比率が低下する．また，タウの変化が始まるとCSF中の総タウ，リン酸化タウが上昇する．総タウは他疾患でも上昇するが，リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い．血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない．また画像バイオマーカーとしては，Aβ凝集を検出するアミロイドPET，シナプス機能障害を表す機能MRI，神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET，神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと，バイオマーカーの変化は，①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ，アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET，機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている．このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており，2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に， Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として，「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は，オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると，177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり，60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．日本でもJapanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており，60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている．疾患修飾薬の治験の失敗から，疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている．その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり，2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが，病態の進行を抑制しない薬を指す．多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で，コリン作動性のものが多い．アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル，ガランタミン，リバスチグミン，NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他，アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
[[ファイル:Ryokoihara-Fig2.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図2 アミロイドカスケード仮説とそれに基づいた創薬&#039;&#039;&#039;]]　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である．アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている．Aβの産生抑制， Aβのクリアランス促進，蓄積したAβの除去，Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護，タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である．残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが，以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され，総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている．脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが，BACE1阻害剤が臨床開発段階にある．BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが，BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから，γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体，Aβワクチンが開発されている．抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した．オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており，オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き，凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている．Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである．最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが，副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され，臨床治験に入っている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として，タウ凝集阻害剤，タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、井原　康夫）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
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		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19896"/>
		<updated>2013-04-22T09:07:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer’s disease，英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり，認知症の中で最も多くを占める．病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮，組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は，1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された．当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが，初老期（presenile）に発症し，進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し，剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した．しかし，最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳），アルツハイマー病は初老期の認知症として，よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが，1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から，同一のものであるとの結論に至った．最初に記載された症例が若年発症だったことについて，病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され，2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では，臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer’s disease）」，それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer’s disease）」と同一の病名を用いていたが，しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」，臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される．これは臨床と病理が1対1に対応しない，すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと，また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる． 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer’s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」，病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている．近年のバイオマーカーの発達により，生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり，臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く，80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する．ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている．逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び，遺伝的素因を疑う．2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）．高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており，2050年には有病率は85人に1人になると推測されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては，記銘力障害（もの忘れ）で発症し，進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され，徐々に日常生活の自立性が保てなくなる．さらに進行すると失行や失認，失語が見られるようになり，周囲への無関心さが目立ち，昼夜逆転，せん妄，失禁，徘徊が見られるようになる．大脳皮質が障害されることを反映して，時にてんかんを合併する．稀なケースとして，視空間認知障害や失行，失書といった頭頂葉症状で発症することがあり，臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが，その多くは病理学的にADである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は，軽度認知障害（mild cognitive impairment，MCI）としてADとは区別するが，長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては，CT・MRIで初期は海馬の萎縮，進行性に頭頂葉の萎縮，次第にびまん性の大脳萎縮を認める．PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める．検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
[[ファイル:Figure1.png|thumb|440px|&#039;&#039;&#039;図1 AD患者脳&#039;&#039;&#039;（左：側頭葉皮質，右：海馬，Bielchowsky染色）&amp;lt;br /&amp;gt;&lt;br /&gt;
矢頭は典型的な神経原線維変化，矢印が老人斑．海馬に存在する老人斑は「dystrophic neurite」という特徴的な形態を呈している．]]　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み，次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める．組織学的には，萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス，老人斑（senile plaque），神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める．老人斑，NFTは本疾患に特徴的であるが，いずれも疾患特異的ではない．老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する，周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ．また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により，アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり，現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い．その中で，中心に核を持った斑をdense-core plaque，核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び，後者が圧倒的に多数を占める． NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが，神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ．神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを，ghost tangleと表現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には，老人斑がどのような広がりであり（Thal phase），神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage），neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる．これはAβが血管壁に蓄積することによる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである．これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;），プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;），アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている．プレセニリン1・2は，後述するγセクレターゼの構成分子であり，その活性中心を構成する．ほとんどの変異が浸透率100%である．&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに，世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある．変異は遺伝子産物の全長にまたがるが，その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する．臨床的には，変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり，病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく，コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが，哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない．1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに13の病的変異の報告がある．変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これにより，21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した．現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが，ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある．&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが，点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており，βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い．全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない．最初に変異が同定された家系のように，変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として，&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．この変異の1/オッズ比（odds ratio，OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが，極めて頻度の低い変異である．β切断部位近傍であり，β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている．近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが，それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38，防御アレルのOR 0.92-0.67であり，それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2，ε3，ε4のアレルがあり，アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%，78%，14%，日本人ではそれぞれ4%，87%，9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった．コーカシアンと日本人の疫学調査によると，ε3/ε3と比較して，ε3/ε4のORは2.7-5.6，ε4/ε4のORは11.8-33.1である．一方，ε2は発症に対して保護的に働き，ε2/ε3のORは0.6-0.9である．apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが，apoEは分泌されたAβに結合し，アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており，それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が最も重要視されている．ただし，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では，アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており，Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は，1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと，1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス，1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された．翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により，その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により，&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが，AD脳の免疫組織化学から，老人斑の大部分はAβ42から構成され，またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて，1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり，さらにリン酸化されていることが明らかにされた．タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として，1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが，ADと関連する変異や多型は見つかっていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ，γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は，まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ，続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される． βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである．γセクレターゼは，原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが，プレセニリン単独では活性を持たず，ニカストリン，Aph-1，Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった．γセクレターゼによってAβ40，Aβ42が産生されるが，&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり，凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが，全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない．γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており，Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という，3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが，トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により，AD患者脳では，大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された．また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され，この減少こそが病態の中心であるとの説である．1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された．現在では病態の本流ではなく，下流の現象であると考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから，どちらが先に起こる現象か，どちらが病態の中心にあるか，長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）．正常高齢者の病理学的な検討から，Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない），家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから，Aβが上流であると考えられるようになった．アミロイドカスケード仮説とは，①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により，②Aβ42の産生と蓄積が増加し，③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり，④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され，⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり，⑥神経細胞内で恒常性が変化し，⑦キナーゼ活性が変化し，⑧神経原線維変化を生じ，同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり，⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている），⑧は脇道である．孤発性ADをこの仮説に則って説明するために，孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇，Aβ42比率の上昇，Aβのクリアランスの低下が想定されている．&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり，その変異はAβ産生を減少させる効果があることは，この仮説を支持するデータである．また，ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも，タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも，ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは，この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており，主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている．何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは，最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する．アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても，この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが，Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降，Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ，「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった．日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は，臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり，培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が，線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ，シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである．&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する．診断や病期のステージングに用いられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには，ADの二つの特徴的な微細構造物，老人斑と神経原線維変化を反映するものとして，脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる．Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し，Aβ42/40比率が低下する．また，タウの変化が始まるとCSF中の総タウ，リン酸化タウが上昇する．総タウは他疾患でも上昇するが，リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い．血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない．また画像バイオマーカーとしては，Aβ凝集を検出するアミロイドPET，シナプス機能障害を表す機能MRI，神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET，神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと，バイオマーカーの変化は，①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ，アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET，機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている．このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており，2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に， Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として，「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は，オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると，177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり，60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．日本でもJapanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており，60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている．疾患修飾薬の治験の失敗から，疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている．その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり，2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが，病態の進行を抑制しない薬を指す．多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で，コリン作動性のものが多い．アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル，ガランタミン，リバスチグミン，NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他，アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である．アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている．Aβの産生抑制， Aβのクリアランス促進，蓄積したAβの除去，Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護，タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である．残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが，以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され，総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている．脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが，BACE1阻害剤が臨床開発段階にある．BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが，BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから，γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体，Aβワクチンが開発されている．抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した．オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており，オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き，凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている．Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである．最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが，副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され，臨床治験に入っている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として，タウ凝集阻害剤，タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、井原　康夫）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Ryokoihara-Fig2.png&amp;diff=19889</id>
		<title>ファイル:Ryokoihara-Fig2.png</title>
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		<updated>2013-04-22T08:34:50Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Ryokoihara-Figure1.png&amp;diff=19888</id>
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		<updated>2013-04-22T08:02:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19887</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19887"/>
		<updated>2013-04-22T07:35:08Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer’s disease，英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり，認知症の中で最も多くを占める．病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮，組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は，1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された．当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが，初老期（presenile）に発症し，進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し，剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した．しかし，最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳），アルツハイマー病は初老期の認知症として，よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが，1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から，同一のものであるとの結論に至った．最初に記載された症例が若年発症だったことについて，病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され，2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では，臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer’s disease）」，それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer’s disease）」と同一の病名を用いていたが，しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」，臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される．これは臨床と病理が1対1に対応しない，すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと，また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる． 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer’s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」，病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている．近年のバイオマーカーの発達により，生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり，臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く，80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する．ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている．逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び，遺伝的素因を疑う．2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）．高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており，2050年には有病率は85人に1人になると推測されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては，記銘力障害（もの忘れ）で発症し，進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され，徐々に日常生活の自立性が保てなくなる．さらに進行すると失行や失認，失語が見られるようになり，周囲への無関心さが目立ち，昼夜逆転，せん妄，失禁，徘徊が見られるようになる．大脳皮質が障害されることを反映して，時にてんかんを合併する．稀なケースとして，視空間認知障害や失行，失書といった頭頂葉症状で発症することがあり，臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが，その多くは病理学的にADである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は，軽度認知障害（mild cognitive impairment，MCI）としてADとは区別するが，長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見としては，CT・MRIで初期は海馬の萎縮，進行性に頭頂葉の萎縮，次第にびまん性の大脳萎縮を認める．PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める．検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み，次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める．組織学的には，萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス，老人斑（senile plaque），神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める．老人斑，NFTは本疾患に特徴的であるが，いずれも疾患特異的ではない．老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する，周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ．また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により，アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり，現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い．その中で，中心に核を持った斑をdense-core plaque，核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び，後者が圧倒的に多数を占める． NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが，神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ．神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを，ghost tangleと表現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ADの病理学的診断には，老人斑がどのような広がりであり（Thal phase），神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage），neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる．これはAβが血管壁に蓄積することによる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである．これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;），プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;），アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている．プレセニリン1・2は，後述するγセクレターゼの構成分子であり，その活性中心を構成する．ほとんどの変異が浸透率100%である．&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに，世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある．変異は遺伝子産物の全長にまたがるが，その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する．臨床的には，変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり，病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく，コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが，哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない．1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに13の病的変異の報告がある．変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これにより，21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した．現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが，ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある．&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが，点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており，βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い．全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない．最初に変異が同定された家系のように，変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として，&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．この変異の1/オッズ比（odds ratio，OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが，極めて頻度の低い変異である．β切断部位近傍であり，β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている．近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが，それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38，防御アレルのOR 0.92-0.67であり，それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2，ε3，ε4のアレルがあり，アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%，78%，14%，日本人ではそれぞれ4%，87%，9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった．コーカシアンと日本人の疫学調査によると，ε3/ε3と比較して，ε3/ε4のORは2.7-5.6，ε4/ε4のORは11.8-33.1である．一方，ε2は発症に対して保護的に働き，ε2/ε3のORは0.6-0.9である．apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが，apoEは分泌されたAβに結合し，アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており，それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が最も重要視されている．ただし，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では，アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており，Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は，1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと，1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス，1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された．翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により，その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により，&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが，AD脳の免疫組織化学から，老人斑の大部分はAβ42から構成され，またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて，1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり，さらにリン酸化されていることが明らかにされた．タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として，1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが，ADと関連する変異や多型は見つかっていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ，γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は，まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ，続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される． βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである．γセクレターゼは，原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが，プレセニリン単独では活性を持たず，ニカストリン，Aph-1，Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった．γセクレターゼによってAβ40，Aβ42が産生されるが，&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり，凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが，全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない．γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており，Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という，3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが，トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により，AD患者脳では，大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された．また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され，この減少こそが病態の中心であるとの説である．1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された．現在では病態の本流ではなく，下流の現象であると考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから，どちらが先に起こる現象か，どちらが病態の中心にあるか，長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）．正常高齢者の病理学的な検討から，Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない），家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから，Aβが上流であると考えられるようになった．アミロイドカスケード仮説とは，①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により，②Aβ42の産生と蓄積が増加し，③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり，④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され，⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり，⑥神経細胞内で恒常性が変化し，⑦キナーゼ活性が変化し，⑧神経原線維変化を生じ，同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり，⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている），⑧は脇道である．孤発性ADをこの仮説に則って説明するために，孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇，Aβ42比率の上昇，Aβのクリアランスの低下が想定されている．&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり，その変異はAβ産生を減少させる効果があることは，この仮説を支持するデータである．また，ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも，タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも，ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは，この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており，主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている．何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは，最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する．アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても，この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが，Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降，Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ，「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった．日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は，臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり，培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が，線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ，シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである．&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する．診断や病期のステージングに用いられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには，ADの二つの特徴的な微細構造物，老人斑と神経原線維変化を反映するものとして，脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる．Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し，Aβ42/40比率が低下する．また，タウの変化が始まるとCSF中の総タウ，リン酸化タウが上昇する．総タウは他疾患でも上昇するが，リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い．血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない．また画像バイオマーカーとしては，Aβ凝集を検出するアミロイドPET，シナプス機能障害を表す機能MRI，神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET，神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと，バイオマーカーの変化は，①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ，アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET，機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている．このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており，2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に， Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として，「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は，オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると，177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり，60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．日本でもJapanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており，60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている．疾患修飾薬の治験の失敗から，疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている．その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり，2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが，病態の進行を抑制しない薬を指す．多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で，コリン作動性のものが多い．アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル，ガランタミン，リバスチグミン，NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他，アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である．アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている．Aβの産生抑制， Aβのクリアランス促進，蓄積したAβの除去，Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護，タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である．残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが，以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され，総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている．脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが，BACE1阻害剤が臨床開発段階にある．BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが，BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから，γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　抗Aβ抗体，Aβワクチンが開発されている．抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した．オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており，オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き，凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている．Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである．最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが，副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され，臨床治験に入っている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
:　タウ病理を抑制する薬物として，タウ凝集阻害剤，タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、井原　康夫）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85&amp;diff=19886</id>
		<title>アルツハイマー病</title>
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		<updated>2013-04-22T07:19:56Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: ページの作成：「英：Alzheimer’s disease，英略語：AD  　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Alzheimer’s disease，英略語：AD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病（Alzheimer’s diasease，AD）は，多くは老年期に発症し緩徐に進行する，記憶障害を中心とした認知機能障害を主な症状とする認知症であり，認知症の中で最も多くを占める．病理学的に海馬をはじめとする大脳皮質の萎縮，組織学的には細胞外の老人斑と細胞内の神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　アルツハイマー病は，1906年にドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマーによって初めて報告された．当時は認知症のほとんどは梅毒によると考えられていたが，初老期（presenile）に発症し，進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症を呈し，剖検の結果病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた女性患者アウグステ・データーの病気をアルツハイマー病として分離した．しかし，最初の症例が40代後半～50代前半と若年発症であったことから（アルツハイマー医師による初診時51歳），アルツハイマー病は初老期の認知症として，よくある老年期（senile）認知症とは区別されていたが，1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から，同一のものであるとの結論に至った．最初に記載された症例が若年発症だったことについて，病理スライドの再発見に伴い遺伝子検査が施行され，2012年に後述する家族性アルツハイマー病の原因遺伝子PSEN1変異の保因者であったことが判明した．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理診断と臨床診断==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　1984年のNINCDS-ADRDA（National Institute of Neurological and Communicative Disorders and Stroke &amp;amp; the Alzheimer’s Disease and Related Disorders Association）によるアルツハイマー病の診断基準では，臨床診断基準を満たすものを「確からしいアルツハイマー病（probable Alzheimer’s disease）」，それに加えて病理学的にアルツハイマー病理が確認された症例を「確実なアルツハイマー病（definite Alzheimer’s disease）」と同一の病名を用いていたが，しばしば病理学的疾患単位として「アルツハイマー病」，臨床的疾患単位として「アルツハイマー型（老年期）認知症」と区別されて表記される．これは臨床と病理が1対1に対応しない，すなわち臨床的にアルツハイマー病の診断基準を満たすような認知症を呈する症例が必ずしも病理学的にアルツハイマー病ではないこと，また病理学的にアルツハイマー病理を呈するが生前認知症を呈さない症例があることによる． 2011年に改訂されたNIA-AA（National Institute on Aging &amp;amp; Alzheimer’s Association）による臨床診断基準では「アルツハイマー病による認知症（AD dementia）」，病理学的評価ガイドラインでは「アルツハイマー病」と記載されている．近年のバイオマーカーの発達により，生前にアルツハイマー病理の有無を推測することがある程度可能となり，臨床診断と病理診断の垣根は低くなっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　発症年齢は65歳以上が多く，80歳以降になると指数関数的に有病率が増大する．ただし85歳以上の超高齢者ではargyrophilic grain diseaseやtangle-predominant dementia（またはtangle only dementia）といった他の認知症性の変性疾患の割合が増えると考えられている．逆に全体の約3～5%を占める65歳未満の発症例を早発性ADと呼び，遺伝的素因を疑う．2000年頃の疫学調査では我が国の65歳以上のADの有病率は2～3%である（最近のデータでは10%に近い）．高齢化に伴い全世界的に有病者が増え続けており，2050年には有病率は85人に1人になると推測されている．&lt;br /&gt;
　典型的な経過としては，記銘力障害（もの忘れ）で発症し，進行と共に視空間認知など他の認知ドメインが障害され，徐々に日常生活の自立性が保てなくなる．さらに進行すると失行や失認，失語が見られるようになり，周囲への無関心さが目立ち，昼夜逆転，せん妄，失禁，徘徊が見られるようになる．大脳皮質が障害されることを反映して，時にてんかんを合併する．稀なケースとして，視空間認知障害や失行，失書といった頭頂葉症状で発症することがあり，臨床的にposterior cortical atrophyと称されるが，その多くは病理学的にADである．&lt;br /&gt;
　認知障害のみで認知症ではない（即ち日常的にもの忘れはあるが自立して生活できる）段階は，軽度認知障害（mild cognitive impairment，MCI）としてADとは区別するが，長い疾患の軌跡の一部を便宜的に区切った病名と考えることができる．&lt;br /&gt;
　検査所見としては，CT・MRIで初期は海馬の萎縮，進行性に頭頂葉の萎縮，次第にびまん性の大脳萎縮を認める．PET・SPECTでは初期から後部帯状回～楔前部や頭頂葉の糖代謝・血流低下を認める．検査異常はしばしば臨床症状に先行して出現する．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　肉眼的には主に海馬と側頭葉内側を含み，次いで頭頂葉と前頭葉に強い大脳萎縮を認める．組織学的には，萎縮部位に一致して神経細胞脱落と反応性グリオーシス，老人斑（senile plaque），神経原線維変化（neurofibrillary tangle, NFT）を認める．老人斑，NFTは本疾患に特徴的であるが，いずれも疾患特異的ではない．老人斑の中で最も神経損傷と密接に関連する，周囲に神経突起を伴うものをneuritic plaqueと呼ぶ．また老人斑の主要構成成分βアミロイド（Aβ）の免疫組織化学により，アミロイドを検出するためのコンゴーレッド染色では見えない斑まで検出することが可能となり，現在ではこれらのAβ斑すべてを老人斑と呼ぶことが多い．その中で，中心に核を持った斑をdense-core plaque，核を持たず淡く境界が不明瞭なものをdiffuse plaqueと呼び，後者が圧倒的に多数を占める． NFTは神経細胞内に形成される糸くずが巻きついたような凝集体であるが，神経突起内（主に樹状突起の水平分枝）に凝集したものをneuropil threadと呼ぶ．神経細胞死の後にNFTだけが残されたものを，ghost tangleと表現する．&lt;br /&gt;
ADの病理学的診断には，老人斑がどのような広がりであり（Thal phase），神経原線維変化がどのような広がりであり（Braak NFT stage），neuritic plaqueがどのような密度で存在するか（CERAD score）をスコア化することによって世界的に標準的な診断が可能である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22265587 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　またアミロイドアンギオパチーが大部分の症例で見られる．これはAβが血管壁に蓄積することによる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==原因遺伝子とリスク遺伝子==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===原因遺伝子===&lt;br /&gt;
　ADの約1%が常染色体優性遺伝形式の家族性ADである．これまでに原因遺伝子としてプレセニリン1（&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;），プレセニリン2（&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;），アミロイド前駆蛋白質（&#039;&#039;APP&#039;&#039;）の変異が同定されている．プレセニリン1・2は，後述するγセクレターゼの構成分子であり，その活性中心を構成する．ほとんどの変異が浸透率100%である．&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1995年にSherringtonらによって家族性AD家系から&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;の5つの変異が同定された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7596406 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに，世界の各地域の350を超える家系から185の病的変異の報告がある．変異は遺伝子産物の全長にまたがるが，その多くは9つの膜貫通領域と第1・4・6ループ内に存在する．臨床的には，変異によっては失行や痙性対麻痺が目立つことがあり，病理学的には孤発例で見られるような核を有する老人斑やneuritic plaqueではなく，コンゴーレッドで染まらない綿花様の斑（cotton wool plaque）を特徴とする変異もある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;と非常に相同性が高いが，哺乳類神経細胞では&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;発現量は&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;に比して少なく，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;よりも変異の報告は少ない．1995年にLevy-Lahadらがヴォルガ・ドイツ人の7家系からPSEN2の変異を同定した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 7638621 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．現在までに13の病的変異の報告がある．変異によってはパーキンソニズムや幻覚を伴うものがある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====&#039;&#039;APP&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　1990年にLevyらにより常染色体優性遺伝形式のアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血Dutch typeの病因として21番染色体上の&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が同定され&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 2111584 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，翌1991年に早期発症の家族性ADの原因遺伝子として&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 1671712 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これにより，21番染色体トリソミーのDown症候群で若年性に老人斑が出現する理由が&#039;&#039;APP&#039;&#039;の重複のためらしいと判明した．現在までに9の遺伝子重複と23の点突然変異と1の部分欠失（1アミノ酸欠失であるE693Δ；剖検例はなくADの亜型としてよいか不明だが，ホモ接合体は認知症を呈する）の報告がある．&#039;&#039;APP&#039;&#039;の遺伝子産物は全長770アミノ酸だが，点突然変異はC末端寄りの膜貫通部位近傍に集中しており，βセクレターゼ切断部位とγセクレターゼ切断部位付近の変異が多い．全ての変異がAβの配列内に位置するわけではない．最初に変異が同定された家系のように，変異によっては脳アミロイドアンギオパチーが前面に立つ．&lt;br /&gt;
　2012年にADや加齢による認知機能低下を生じにくい変異として，&#039;&#039;APP&#039;&#039; A673T変異が報告された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22801501 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．この変異の1/オッズ比（odds ratio，OR）は4.24と高い保護効果が推測されるが，極めて頻度の低い変異である．β切断部位近傍であり，β切断を受けにくくなることがアルツハイマー病の発症に保護的に働くと考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===リスク遺伝子===&lt;br /&gt;
　AD発症に強力なリスク因子として&#039;&#039;APOE&#039;&#039;遺伝子多型が知られている．近年のGenome-wide association study（GWAS）により&#039;&#039;APOE&#039;&#039;以外にも複数の疾患関連遺伝子が同定されつつあるが，それらはリスクアレルのOR 1.11-1.38，防御アレルのOR 0.92-0.67であり，それらに比べると&#039;&#039;APOE&#039;&#039;のAD発症への影響は飛び抜けて高い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17192785 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====*&#039;&#039;APOE&#039;&#039;====&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;APOE&#039;&#039;にはε2，ε3，ε4のアレルがあり，アレル頻度はコーカシアンではそれぞれ8%，78%，14%，日本人ではそれぞれ4%，87%，9%との報告がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 9343467 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．1993年に晩発性の孤発性ADおよび孤発性ADにおいて，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4アレルが発症のリスクであると複数のグループから報告があった．コーカシアンと日本人の疫学調査によると，ε3/ε3と比較して，ε3/ε4のORは2.7-5.6，ε4/ε4のORは11.8-33.1である．一方，ε2は発症に対して保護的に働き，ε2/ε3のORは0.6-0.9である．apoE蛋白質がADの病態機序のあらゆる段階に作用するという実験データがあるが，apoEは分泌されたAβに結合し，アイソフォームごとにその結合能が異なることが示されており，それによってAβのクリアランスや凝集に関わるという説が最も重要視されている．ただし，&#039;&#039;APOE&#039;&#039; ε4保因者では，アミロイド蓄積の前から脳のfunctional connectivityの破綻が見られることが示されており，Aβを介さない毒性も示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 23296339 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　ADの病態解明に向けての研究は，1980年代に生化学的手法により老人斑と神経原線維変化という2つの特徴的な構造物の主要構成成分がそれぞれAβとタウと同定されたこと，1990年代に遺伝学的アプローチによって家族性ADの原因遺伝子&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;が同定されたことにより急速に進んできた．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序に関わる分子===&lt;br /&gt;
====Aβの発見====&lt;br /&gt;
　1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス，1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈するダウン症脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列（Aβ）であることが示された．翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により，その主要構成成分がAβであることが判明した&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 3159021 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての&#039;&#039;APP&#039;&#039;の発見により，&#039;&#039;APP&#039;&#039;の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった．&lt;br /&gt;
　細胞外に分泌されるAβには主にAβ42とAβ40があるが，AD脳の免疫組織化学から，老人斑の大部分はAβ42から構成され，またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 8043280 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====タウの発見====&lt;br /&gt;
　Aβに続いて，1985～1986年にかけて複数の研究グループにより神経原線維変化の主要構成成分が微小管結合蛋白質タウであり，さらにリン酸化されていることが明らかにされた．タウをコードする&#039;&#039;MAPT&#039;&#039;は1997年に進行性核上性麻痺の関連遺伝子（H1 haplotype）として，1998年に常染色体優性遺伝形式の17番染色体に連鎖するパーキンソン病を伴う前頭側頭型認知症の原因遺伝子として同定されたが，ADと関連する変異や多型は見つかっていない．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====βセクレターゼ，γセクレターゼ====&lt;br /&gt;
　APP蛋白質は，まず管腔外（AβのN末端側）でβセクレターゼ，続いて膜貫通部位（AβのC末端側）でγセクレターゼによって切断されることによりAβが産生される． βセクレターゼの正体はβ-site APP cleaving enzyme 1（BACE1）という1回膜貫通型のアスパラギン酸プロテアーゼである．γセクレターゼは，原因遺伝子としての&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の発見により9回膜貫通型蛋白質のプレセニリンがγセクレターゼの活性中心を構成することがわかったが，プレセニリン単独では活性を持たず，ニカストリン，Aph-1，Pen-2とともに4量体を形成することによって初めて活性を持つことが分かった．γセクレターゼによってAβ40，Aβ42が産生されるが，&#039;&#039;PSEN&#039;&#039;の変異の中には総Aβ産生が上昇したり，凝集性の高いAβ42の産生比率を増大させるものがあるが，全ての変異について同様の効果が証明されているわけではない．γセクレターゼの切断は段階的切断（sequential cleavage）様式をとることが示されており，Aβ49→Aβ46→Aβ43→Aβ40とAβ48→Aβ45→Aβ42→Aβ38という，3ペプチドごとに切断する（Aβ42→Aβ38のみ4ペプチド）2つの系列があることが推測されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 19828817 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．Aβ42とAβ40の産生比率の違いが病態に関係すると考えられてきたが，トリペプチド仮説により酵素側だけでなく基質側にも関心が集まっている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===病態機序の仮説===&lt;br /&gt;
====アセチルコリン仮説====&lt;br /&gt;
　分子生物学的手法の導入される前の1970年代の研究により，AD患者脳では，大脳の各部位でcholine acetyltransferaseの活性低下が観察された．また投射元の大脳基底部（主にマイネルト核）のコリン作動性神経細胞の減少が示され，この減少こそが病態の中心であるとの説である．1990年前後からアセチルコリン仮説に基づきAD治療薬としてアセチルコリンを増加させる作用のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が開発された．現在では病態の本流ではなく，下流の現象であると考えられている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====アミロイドカスケード仮説====&lt;br /&gt;
　AD脳ではAβとタウの両方の蓄積を認めることから，どちらが先に起こる現象か，どちらが病態の中心にあるか，長年議論があった（”BAPtists” vs “TAUists”）．正常高齢者の病理学的な検討から，Aβの蓄積は認めるが神経原線維変化を認めない症例があること（逆の症例はない），家族性ADの家系からAβ産生に関係する&#039;&#039;APP&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異が見つかったことから，Aβが上流であると考えられるようになった．アミロイドカスケード仮説とは，①&#039;&#039;APP&#039;&#039;や&#039;&#039;PSEN1&#039;&#039;，&#039;&#039;PSEN2&#039;&#039;の変異により，②Aβ42の産生と蓄積が増加し，③Aβのオリゴマー化と沈着が起こり，④Aβオリゴマーのシナプスへの毒性が惹起され，⑤シナプスや神経細胞傷害が起こり，⑥神経細胞内で恒常性が変化し，⑦キナーゼ活性が変化し，⑧神経原線維変化を生じ，同時に⑨神経細胞・神経突起の機能障害と遂には神経細胞死が起こり，⑩認知症を生じるという仮説である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 12130773 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．タウの毒性発揮には必ずしも神経原線維変化を伴わないと考えられており（神経原線維変化はむしろ保護的に働くと考えらえている），⑧は脇道である．孤発性ADをこの仮説に則って説明するために，孤発性ADでも何らかの要因によるAβの産生上昇，Aβ42比率の上昇，Aβのクリアランスの低下が想定されている．&#039;&#039;APP&#039;&#039;にAD抵抗性変異が見つかり，その変異はAβ産生を減少させる効果があることは，この仮説を支持するデータである．また，ADのモデルであるAPPトランスジェニックマウスでも，タウをノックアウトするとAβの蓄積があるにも関わらず認知機能障害が起こらなくなることも，ADの病態においてタウがAPPの下流にあることを支持する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 17478722 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　現在開発過程にあるADの病態に作用する疾患修飾薬（根本治療薬）の多くは，この仮説に基づいてAβの産生や蓄積に焦点を当てて開発されたものである．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
====オリゴマー仮説====&lt;br /&gt;
　Aβの細胞外への分泌は生理的状況でも行われており，主にはネプリライシンによりAβが分解されることによって平衡状態が保たれている．何らかの要因で過剰となった可溶性Aβは，最終的にミスフォールドされた不溶性の高い凝集体（老人斑）を形成する．アミロイドカスケード仮説が広く信じられるようになっても，この過程のどのAβ種が毒性発揮するかは謎のままであったが，Aβオリゴマーとモノマーを含むが線維体を含まない培養上清をラットの海馬に打ち込んだところ長期増強（LTP）が抑制されることを示した報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 11932745 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;以降，Aβオリゴマーの毒性を示した研究が相次ぎ，「Aβオリゴマーこそが毒性発揮の中心的役割を担う」と考えられるようになった．日本人の家族性認知症家系で同定された&#039;&#039;APP&#039;&#039; E693Δ変異（Aβ配列内の22番目アミノ酸Eの欠失）は，臨床的にアミロイドPETで検出されたAβ沈着はごくわずかであり，培養細胞レベルではAβの分泌は著明に減る（細胞内に貯留する）が，線維体を形成せず主にダイマー～テトラマーを含むオリゴマーの形成が顕著に促進されることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 18300294 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．またこの変異を有するAPPトランスジェニックマウスにおいても老人斑を形成しないが記憶障害を生じ，シナプスの変性やタウのリン酸化やグリオーシスや神経細胞死が生じていることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20371804 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．これはADの病態におけるオリゴマー化の重要性を支持するデータである．&lt;br /&gt;
　この仮説に基づいてオリゴマーを標的とした創薬も行われている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==バイオマーカーとpreclinical AD==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　バイオマーカーとは疾患の病態（病理変化）を反映する定量的な指標を意味する．診断や病期のステージングに用いられる．&lt;br /&gt;
　体液バイオマーカーには，ADの二つの特徴的な微細構造物，老人斑と神経原線維変化を反映するものとして，脳脊髄液（cerebrospinal fluid, CSF）Aβとタウが用いられる．Aβの蓄積が始まるとCSF中のAβ42が減少し，Aβ42/40比率が低下する．また，タウの変化が始まるとCSF中の総タウ，リン酸化タウが上昇する．総タウは他疾患でも上昇するが，リン酸化タウの上昇はADに特異性が高い．血漿や血清AβではCSFを超える感度・特異度は得られていない．&lt;br /&gt;
　また画像バイオマーカーとしては，Aβ凝集を検出するアミロイドPET，シナプス機能障害を表す機能MRI，神経細胞傷害を反映した糖代謝低下を検出するFDG-PET，神経細胞死を反映する構造的MRIによる海馬や側頭葉の容積定量が挙げられる．&lt;br /&gt;
　アミロイドカスケード仮説に基づくと，バイオマーカーの変化は，①脳内アミロイド沈着〔CSF Aβ，アミロイドPET〕→②シナプスおよび神経細胞機能不全〔FDG-PET，機能的MRI〕→③タウによる神経変性〔CSFタウ〕→④神経細胞死・脳萎縮〔構造的MRI〕→⑤認知機能障害→⑥全般機能障害の順で出現すると考えられており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20083042 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;，家族性ADの未発症保因者の観察研究から概ね正しいことが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 22784036 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．&lt;br /&gt;
　Aβ沈着が始まってから認知症発症まで15年前後の時間差があることが推測されている．このようにバイオマーカー変化は症状に先立って出現することが示されており，2011年のNIA-AAの診断基準改訂の際に， Aβ沈着を示唆するバイオマーカーデータを認めるが認知機能は正常あるいはMCIとは言えない程度の軽微な障害のみである段階として，「preclinical AD」という診断区分が研究目的のみに利用が制限されるものとして提言されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 21514248 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．健常高齢者におけるpreclinical ADの割合は，オーストラリアの大規模観察研究（Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle, AIBL）によると，177例の60歳以上の認知機能健常者のうち33%がPiBを用いたアミロイドPET陽性であり，60代では18%だが80歳以上では65%に上ることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt; 20472326 &amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;．日本でもJapanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative（J-ADNI）という観察研究が施行されており，60歳以上のアミロイド沈着バイオマーカー陽性率は20数%と目されている．疾患修飾薬の治験の失敗から，疾患修飾薬による治療介入は病理変化が少ない段階ほど効果を得やすいと考えられてきている．その点でpreclinical ADという病期は良い対象であり，2013年中の開始を目指してpreclinical ADを対象とした治験が計画されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬と症状改善薬に区別して述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===症状改善薬===&lt;br /&gt;
　症状改善薬は症状を緩和する効果はあるが，病態の進行を抑制しない薬を指す．多くはアセチルコリン仮説に基づいて創薬された薬物で，コリン作動性のものが多い．アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のドネペジル，ガランタミン，リバスチグミン，NMDAアンタゴニストのメマンチンが上市されている他，アセチルコリン受容体部分アゴニストやセロトニン受容体アンタゴニストが臨床開発段階にある．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===疾患修飾薬===&lt;br /&gt;
　疾患修飾薬は病態の進行そのものを抑制あるいは遅らせる薬である．アミロイドカスケード仮説に基づいた研究開発が盛んになされている．Aβの産生抑制， Aβのクリアランス促進，蓄積したAβの除去，Aβが惹起する神経毒性からの神経細胞保護，タウを介した毒性の抑制といった作用を狙った創薬である．残念ながら2013年現在までに第III相試験が成功した薬はないが，以下これまでに臨床治験に入った薬物について述べる．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ産生阻害&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
　γセクレターゼ阻害剤は基質であるNotchを介した重大な副作用のため開発が中止され，総Aβ中のAβ42の比率を低下させるγセクレターゼ修飾薬も開発が中断されている．脳内移行性やbioavailabilityの低さへの対策からγセクレターゼより遅れたが，BACE1阻害剤が臨床開発段階にある．BACE1の全ての基質は十分に明らかになっていないが，BACE1をノックアウトしても重大な形態・機能異常を認めないことから，γセクレターゼ阻害剤ほどの副作用は出現しないと期待されている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;Aβ除去&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
　抗Aβ抗体，Aβワクチンが開発されている．抗Aβ抗体は臨床開発当初に患者を対象とした際に副作用として血管原性浮腫を認めたことから開発が難航した．オリゴマーから凝集体まで様々な形態のAβを標的としたものが作られており，オリゴマーを標的としたものはAβの蓄積に抑制的に働き，凝集体を標的としたものは既にある老人斑の除去に働くと想定されている．Aβワクチンは抗体同様Aβ除去を狙ったものである．最初に臨床治験に入った全長Aβを用いたワクチンは6%に髄膜脳炎の副作用を認めたことから開発中止されたが，副作用軽減のためAβのN末端のワクチンが開発され，臨床治験に入っている．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*&#039;&#039;&#039;タウ毒性の抑制&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
　タウ病理を抑制する薬物として，タウ凝集阻害剤，タウのリン酸化を担うGSK-3βの阻害剤などが開発中である．&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[認知症]]&lt;br /&gt;
*[[アミロイド前駆蛋白質]]&lt;br /&gt;
*[[微小管結合蛋白質タウ]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、井原　康夫）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=10964</id>
		<title>ハンチントン病</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=10964"/>
		<updated>2012-06-25T05:58:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Huntington’s disease、英略語：HD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ舞踏運動（chorea）を中心とする不随意運動、易怒性や易刺激性などの性格変化、注意力や記銘力低下などの認知機能障害、幻覚・妄想などの精神障害を古典的主症状とする常染色体優性遺伝形式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置するハンチンチン（huntingtin）蛋白質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、エクソン1コーディング領域の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列はグルタミンに翻訳されるため、トリプレット病のうち、ポリグルタミン病（polyQ disease）あるいはCAGリピート病と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのはGeorge Huntingtonである。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を表現促進現象（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、コーカソイドの10分の1程度である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　典型的には舞踏運動発症の10年程前にうつや易刺激性などの精神障害あるいは行動異常が出現し、次いで手足や口唇に舞踏運動が出現し、それにより構音障害も伴う。進行に伴い認知機能低下が出現する。ジストニアやアテトーゼといった他の不随意運動を伴うこともある。10%未満を占める20歳以下で発症する若年型は、臨床像は多彩であるが、筋強剛や痙攣、知的機能障害が目立つ症例が多い。特に筋強剛型は若年型の1/3を占める。また、若年型はCAGリピート数が多いことが知られている。一方で高齢発症の症例としては60～70歳代での発症があるが、この場合リピート数は38-39程度であり、不随意運動のみで認知機能が保たれる場合が多い。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部CT、MRIにて尾状核の萎縮と側脳室前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い大脳萎縮も認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
　病理学的には尾状核と被殻の神経細胞脱落とグリオーシスが見られる。特に線条体ではGABA作動性小型細胞の脱落が顕著であり、アセチルコリン作動性の大型細胞は比較的残存する。ユビキチンあるいはハンチンチンの免疫染色により、核内封入体が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==ハンチンチンの構造・機能==&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大な蛋白質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では核内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたって蛋白質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, Elongator factor3, PR65/A regulatory subunit of PP2A, and Tor1（HEAT）リピートを有する。HEATリピート領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;のノックアウトマウスでは、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する外胚葉においてアポトーシスの増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===ハンチンチンの断片化===&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積蛋白質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に線条体において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1トランスジェニックマウス（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前からexon1に相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断するカスパーゼ6による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、カルパイン、カテプシンといったプロテアーゼによって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===プロテアソーム機能異常===&lt;br /&gt;
　ユビキチン―プロテアソーム系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性した蛋白質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、HSP40、HSP70、BiP/GRP78といった分子シャペロンがハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチンexon1のTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内蛋白質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　R6/2マウスにトレハロースを投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と細胞死を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===オートファジー機能異常===&lt;br /&gt;
　オートファジーは種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のある蛋白質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。ノックインマウスにおいても初期にはオートファジー関連蛋白質の増加が認められる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子であるmammalian target of rapamycin（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤であるラパマイシン処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　ラパマイシンは副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===転写制御異常===&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳におけるmRNAレベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の尾状核において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、代謝調節型やイオン調節型受容体サブユニットや異なる神経伝達物質からシグナルを受ける受容体のmRNAレベルの変化が見られた。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、核内受容体リプレッサーNCoR、CREB binding protein（CBP）、TATA-binding protein（TBP）、TAFII130、repressor element 1 transcription factor（REST）といった多くの転写活性化蛋白質と相互作用し、そのうち一部の蛋白質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンはPPARγ coactivator 1α（PGC 1α）のプロモーター領域に直接結合して転写因子CREB/TAF4の結合を妨げ、PGC 1αの発現を抑制する。PGC1αはミトコンドリアの生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞におけるbrain-derived neurotrophic factor（BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子repressor element-1 transcription factor/neuron restrictive silencer factor（REST/NRSF）に結合して核への移行を留め、神経選択的サイレンサーneural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待されるhiston deacetylase（HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===細胞内輸送の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、HAP1、HIP1、HIP14、HAP40、PSCSIN1といった小胞輸送に関わるいくつかの蛋白質やSNAREが介在する小胞融合に関わる蛋白質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接ダイニンに結合し、小胞の可動性を促進することや、ゴルジ装置の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのような蛋白質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンによりAPPやBDNFを含む複数の蛋白質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連蛋白質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、電子顕微鏡観察にて軸索断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に軸索輸送を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要な蛋白質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このような細胞内輸送の障害の結果、神経栄養因子の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、神経伝達物質受容体の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===エネルギー代謝の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。&lt;br /&gt;
MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳においてN-acetyl aspartate（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における乳酸の増加やクレアチンレベルの減少も観察され、FDG-PETにおいても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアのcomplex II/III活性の欠如、complex IV活性の減少による酸化的リン酸化の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa2+流入が減少しており、内膜の透過性亢進とATP産生を阻害する膜電位の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===興奮毒性===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の中型有棘ニューロンの脱落が認められる。これらの細胞はNMDA受容体のNR2Bサブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病トランスジェニックマウスと野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の放出確率は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的アンタゴニストによる治療の試みは成功していない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===Sirtuinの関与===&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られるSirtuinも病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）においてSirtuin1 (Sirt1)を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体TrkBのリン酸化、およびドパミンシグナルカスケードの主要な構成分子であるDARPP32の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わるFoxo3aが知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。&lt;br /&gt;
 &lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにてD2受容体結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスではAAVベクターを用いたハンチンチンに対するRNAi治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]]&lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]]&lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]]&lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、岩田　淳　担当編集委員：高橋　良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=10963</id>
		<title>ハンチントン病</title>
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		<updated>2012-06-25T05:40:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Huntington’s disease、英略語：HD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ舞踏運動（chorea）を中心とする不随意運動、易怒性や易刺激性などの性格変化、注意力や記銘力低下などの認知機能障害、幻覚・妄想などの精神障害を古典的主症状とする常染色体優性遺伝形式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置するハンチンチン（huntingtin）蛋白質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、エクソン1コーディング領域の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列はグルタミンに翻訳されるため、トリプレット病のうち、ポリグルタミン病（polyQ disease）あるいはCAGリピート病と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのはGeorge Huntingtonである。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を表現促進現象（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、コーカソイドの10分の1程度である。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　典型的には舞踏運動発症の10年程前にうつや易刺激性などの精神障害あるいは行動異常が出現し、次いで手足や口唇に舞踏運動が出現し、それにより構音障害も伴う。進行に伴い認知機能低下が出現する。ジストニアやアテトーゼといった他の不随意運動を伴うこともある。10%未満を占める20歳以下で発症する若年型は、臨床像は多彩であるが、筋強剛や痙攣、知的機能障害が目立つ症例が多い。特に筋強剛型は若年型の1/3を占める。また、若年型はCAGリピート数が多いことが知られている。一方で高齢発症の症例としては60～70歳代での発症があるが、この場合リピート数は38-39程度であり、不随意運動のみで認知機能が保たれる場合が多い。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部CT、MRIにて尾状核の萎縮と側脳室前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い大脳萎縮も認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
　病理学的には尾状核と被殻の神経細胞脱落とグリオーシスが見られる。特に線条体ではGABA作動性小型細胞の脱落が顕著であり、アセチルコリン作動性の大型細胞は比較的残存する。ユビキチンあるいはハンチンチンの免疫染色により、核内封入体が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==ハンチンチンの構造・機能==&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大な蛋白質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では核内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたって蛋白質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, Elongator factor3, PR65/A regulatory subunit of PP2A, and Tor1（HEAT）リピートを有する。HEATリピート領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;のノックアウトマウスでは、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する外胚葉においてアポトーシスの増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===ハンチンチンの断片化===&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積蛋白質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に線条体において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1トランスジェニックマウス（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前からexon1に相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断するカスパーゼ6による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、カルパイン、カテプシンといったプロテアーゼによって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===プロテアソーム機能異常===&lt;br /&gt;
　ユビキチン―プロテアソーム系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性した蛋白質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、HSP40、HSP70、BiP/GRP78といった分子シャペロンがハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチンexon1のTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内蛋白質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　R6/2マウスにトレハロースを投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と細胞死を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===オートファジー機能異常===&lt;br /&gt;
　オートファジーは種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のある蛋白質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。ノックインマウスにおいても初期にはオートファジー関連蛋白質の増加が認められる。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子であるmammalian target of rapamycin（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤であるラパマイシン処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　ラパマイシンは副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===転写制御異常===&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳におけるmRNAレベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の尾状核において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、代謝調節型やイオン調節型受容体サブユニットや異なる神経伝達物質からシグナルを受ける受容体のmRNAレベルの変化が見られた。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、核内受容体リプレッサーNCoR、CREB binding protein（CBP）、TATA-binding protein（TBP）、TAFII130、repressor element 1 transcription factor（REST）といった多くの転写活性化蛋白質と相互作用し、そのうち一部の蛋白質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンはPPARγ coactivator 1α（PGC 1α）のプロモーター領域に直接結合して転写因子CREB/TAF4の結合を妨げ、PGC 1αの発現を抑制する。PGC1αはミトコンドリアの生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞におけるbrain-derived neurotrophic factor（BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子repressor element-1 transcription factor/neuron restrictive silencer factor（REST/NRSF）に結合して核への移行を留め、神経選択的サイレンサーneural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待されるhiston deacetylase（HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===細胞内輸送の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、HAP1、HIP1、HIP14、HAP40、PSCSIN1といった小胞輸送に関わるいくつかの蛋白質やSNAREが介在する小胞融合に関わる蛋白質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接ダイニンに結合し、小胞の可動性を促進することや、ゴルジ装置の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのような蛋白質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンによりAPPやBDNFを含む複数の蛋白質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連蛋白質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、電子顕微鏡観察にて軸索断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に軸索輸送を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要な蛋白質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　このような細胞内輸送の障害の結果、神経栄養因子の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、神経伝達物質受容体の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===エネルギー代謝の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。&lt;br /&gt;
MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳においてN-acetyl aspartate（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における乳酸の増加やクレアチンレベルの減少も観察され、FDG-PETにおいても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアのcomplex II/III活性の欠如、complex IV活性の減少による酸化的リン酸化の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa2+流入が減少しており、内膜の透過性亢進とATP産生を阻害する膜電位の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===興奮毒性===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の中型有棘ニューロンの脱落が認められる。これらの細胞はNMDA受容体のNR2Bサブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病トランスジェニックマウスと野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の放出確率は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的アンタゴニストによる治療の試みは成功していない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===Sirtuinの関与===&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られるSirtuinも病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）においてSirtuin1 (Sirt1)を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体TrkBのリン酸化、およびドパミンシグナルカスケードの主要な構成分子であるDARPP32の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わるFoxo3aが知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。&amp;lt;br /&amp;gt; &lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにてD2受容体結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスではAAVベクターを用いたハンチンチンに対するRNAi治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==関連項目==&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]]&lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]]&lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]]&lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、岩田　淳　担当編集委員：高橋　良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E7%97%85&amp;diff=10962</id>
		<title>ハンチントン病</title>
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		<updated>2012-06-25T05:27:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Ryokoihara: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英：Huntington’s disease、英略語：HD&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ハンチントン病は、四肢末端に始まりやがて全身に及ぶ舞踏運動（chorea）を中心とする不随意運動、易怒性や易刺激性などの性格変化、注意力や記銘力低下などの認知機能障害、幻覚・妄想などの精神障害を古典的主症状とする常染色体優性遺伝形式の進行性の神経変性疾患である。病因遺伝子は4番染色体短腕4p16.3に位置するハンチンチン（huntingtin）蛋白質をコードする&#039;&#039;HTT&#039;&#039;遺伝子であり、エクソン1コーディング領域の三塩基CAGの繰り返し配列（リピート）の伸長によって起こる。CAG配列はグルタミンに翻訳されるため、トリプレット病のうち、ポリグルタミン病（polyQ disease）あるいはCAGリピート病と呼ばれる疾患の一つである。このリピート数は正常では35以下で、患者では36以上であるが、この境界は必ずしも厳密ではなく、人種やほかの遺伝的バックグラウンドによって若干のずれが生じうる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==歴史==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病を最初に報告したのはGeorge Huntingtonである。彼は米国New York州のLong Islandで祖父の代から開業していたが、その地域に広く見られる「あの病気」と言われる疾患の存在を父から知らされていた。彼はそれを詳細に調査し、成人発症で遺伝性の精神症状と舞踏運動を伴う疾患として1872年に発表した。時にHuntington舞踏病と呼ばれたが、舞踏運動以外の症状も重要であることより、現在ではHuntington病と呼ばれる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==臨床的特徴==&lt;br /&gt;
　発症年齢は30～40歳代が多いがばらつきがある。CAGリピート数と発症年齢は逆相関し、また父親から遺伝する場合には発症年齢の低下、臨床症候の重症化が認められる。この現象を表現促進現象（anticipation）という。我が国における有病率は100万人あたり7人程度であり、コーカソイドの10分の1程度である。&lt;br /&gt;
　典型的には舞踏運動発症の10年程前にうつや易刺激性などの精神障害あるいは行動異常が出現し、次いで手足や口唇に舞踏運動が出現し、それにより構音障害も伴う。進行に伴い認知機能低下が出現する。ジストニアやアテトーゼといった他の不随意運動を伴うこともある。10%未満を占める20歳以下で発症する若年型は、臨床像は多彩であるが、筋強剛や痙攣、知的機能障害が目立つ症例が多い。特に筋強剛型は若年型の1/3を占める。また、若年型はCAGリピート数が多いことが知られている。一方で高齢発症の症例としては60～70歳代での発症があるが、この場合リピート数は38-39程度であり、不随意運動のみで認知機能が保たれる場合が多い。&lt;br /&gt;
　検査所見として、次に述べる病理変化に対応して頭部CT、MRIにて尾状核の萎縮と側脳室前角の拡大が認められることが特徴的である。進行に伴い大脳萎縮も認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病理所見==&lt;br /&gt;
　病理学的には尾状核と被殻の神経細胞脱落とグリオーシスが見られる。特に線条体ではGABA作動性小型細胞の脱落が顕著であり、アセチルコリン作動性の大型細胞は比較的残存する。ユビキチンあるいはハンチンチンの免疫染色により、核内封入体が認められる。大脳皮質の神経突起内にもユビキチン陽性封入体を認める。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==ハンチンチンの構造・機能==&lt;br /&gt;
　病因遺伝子産物のハンチンチンは3145アミノ酸残基、分子量約330 kDaの巨大な蛋白質である。生理的に神経細胞を含む全身の細胞に発現し、正常では核内に局在する。ハンチンチンは最N末端領域とC末端領域にnuclear export signal（NES）を持ち、全長にわたって蛋白質間相互作用を司ると想定されるHuntingtin, Elongator factor3, PR65/A regulatory subunit of PP2A, and Tor1（HEAT）リピートを有する。HEATリピート領域は構造の弾性を生み、立体構造をとるための折りたたみ機能も持つと考えられている。またN末端領域のpolyQ鎖は何らかの重要な神経機能に関わることが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22180703&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;HTT&#039;&#039;ホモログである&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;のノックアウトマウスでは、&#039;&#039;Hdh&#039;&#039;を発現する外胚葉においてアポトーシスの増加が認められ、早期の胎生致死となることが示されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==病態生理==&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者に発現している伸長したpolyQ鎖を含む変異型ハンチンチンがどのように病態に関与するかについて多角的に検討されており、またそのような研究を通じて多岐にわたるハンチンチンの生理機能が部分的に解明されてきている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===ハンチンチンの断片化===&lt;br /&gt;
　いくつかの神経変性疾患において、凝集体内にその構成成分の断片が含まれることが知られており、蓄積蛋白質の切断は病態機序に関係していると考えられている。ハンチンチンのN末端領域を含む切断産物は特に線条体において多く認められ、ハンチントン病患者脳やモデルマウスで切断産物が増加していることから、病態との関与が示唆される。ハンチントン病患者脳の核内封入体はN末端領域の抗体によってのみ検出されること、細胞に発現させるとN末端断片は全長型よりも速く凝集し、より毒性が強いことから、N末端断片が毒性を持つと考えられてきた。特にマウスモデルを用いた研究から、N末端領域に相当する144-150リピートを含むexon1トランスジェニックマウス（R6/2マウス）は全長型を発現するトランスジェニックマウスと同様の症状及び病理変化をより早期からより急速に呈すること、150リピートを含むハンチンチンノックインマウス（HdhQ150ノックインマウス）では症状発現前からexon1に相当するN末端領域の断片の蓄積が見られること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20086007&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、586番アミノ酸で切断するカスパーゼ6による切断を受けない変異を導入した全長型のトランスジェニックマウスは運動症状や線条体の変性を来さないこと&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16777606&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が示されており、その推察を裏付ける根拠となっている。&lt;br /&gt;
　しかしながら、N末端断片のみの毒性に焦点を当てたCAGリピートの伸長したexon1の過剰発現は、細胞モデル・動物モデルの構築に簡便ではあるものの、ハンチンチンの有する多くの機能を無視した人工的なモデルであるとの批判もあり、真に病態を反映しているか疑問視する議論もある。またハンチンチンはカスパーゼ、カルパイン、カテプシンといったプロテアーゼによって切断され、多種の断片が存在することが明らかになってきていることからも、病態を模倣するためには全長型ハンチンチンを用いた研究が重要であろう。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===プロテアソーム機能異常===&lt;br /&gt;
　ユビキチン―プロテアソーム系（ubiquitin-proteasome system; UPS）は、ミスフォールドされた、あるいは異常局在した、あるいは変性した蛋白質を分解する機構であり、その機能不全が神経変性疾患の病態において重要な役割を果たすと考えられている。&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳、マウスモデル、細胞モデルのいずれにおいても変異型ハンチンチンの凝集体にはユビキチンが共局在していること&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;9302293&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;から、UPSの破綻が病態の本質であるとの根強い説がある。また、細胞モデルにおいてUPSの構成因子である26Sプロテアソームのサブユニットや、HSP40、HSP70、BiP/GRP78といった分子シャペロンがハンチンチン陽性封入体に含まれ、UPSの破綻が示されている。逆に変異型ハンチンチンexon1のTet誘導型トランスジェニックマウスを用いた検討から、ハンチンチンの発現抑制により凝集体は消失するものの、UPSの阻害で凝集体のクリアランスが抑制されることが示されている。同様にユビキチンの変異によりハンチンチンの凝集体形成は促進することが明らかになっている。&lt;br /&gt;
　一方、ハンチントン病患者脳やトランスジェニックマウスではUPS活性はむしろ上昇していることを示した研究もあり、UPSに関連しない細胞内プロセスの変化を反映している可能性や、変異型ハンチンチンによりUPSに過剰な負荷がかかっている可能性、あるいは大きな凝集体によって物理的にUPSが妨害されている可能性が挙げられる。それにより他の細胞内蛋白質の分解能が低下すると考えられる。また、変異型ハンチンチンの凝集体がUPSの構成因子を巻き込み、正常な細胞機能への利用を阻害している可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
　UPS活性の変化と変異ハンチンチンの蓄積のどちらが先に起こる事象であるかわかっていないが、封入体形成前よりも封入体形成後の方がUPSの障害の程度は低い、あるいは封入体形成を促進する薬物の投与により細胞毒性はむしろ減じるといった報告もあり、封入体形成はUPSを介して変異ハンチンチンの毒性からの保護的な役割を果たす可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
　R6/2マウスにトレハロースを投与すると、適切に立体構造を取れないポリグルタミン鎖が安定化し、それによりハンチンチンの凝集と細胞死を抑制し、運動機能や生存率を改善することが示された。凝集体形成過程における毒性の抑制であり、既に存在する凝集体への効果はないが、治療薬として期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14730359&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===オートファジー機能異常===&lt;br /&gt;
　オートファジーは種々の神経変性疾患において、ミスフォールドし凝集する傾向のある蛋白質の排出に重要な役割を果たす。ハンチントン病の細胞モデルでは、オートファジーコンパートメントの拡大が見られ、変異型ハンチンチンは部分的にオートファジー小胞と共局在する。ノックインマウスにおいても初期にはオートファジー関連蛋白質の増加が認められる。&lt;br /&gt;
　患者脳やモデルマウスにおいてオートファジーの抑制因子であるmammalian target of rapamycin（mTOR）は凝集体に巻き込まれていることが示されており、mTORのキナーゼ活性が低下し、その結果オートファジーの誘導が起きている。細胞モデルにおいてmTOR活性化によるオートファジー抑制によりハンチンチン凝集体の形成と細胞毒性の増加が認められ、逆にmTOR特異的阻害剤であるラパマイシン処理によりオートファジーが誘導され、ハンチンチンの凝集を抑制し、細胞死を抑制する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15146184&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。患者脳で認める現象は、毒性から細胞を守るメカニズムであろうと考えられている。&lt;br /&gt;
　変異型ハンチンチンは、翻訳後に444番リジン残基にアセチル化を受け、オートファジー小胞への輸送を増加させ、オートファジー経路による分解が促進される。一方、変異型ハンチンチン発現細胞において、オートファジー小胞の形成には問題ないものの、細胞質カーゴの認識の障害のため積み込みができず、ターンオーバーが低下し異常蓄積につながる可能性も示唆されている。&lt;br /&gt;
　ラパマイシンは副作用が大きくオートファジー促進剤としての使用は難しいが、それに代わるオートファジーの促進因子は治療薬候補の一つである。より選択的なシャペロン介在オートファジーの誘導も有望な治療法である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===転写制御異常===&lt;br /&gt;
　ハンチントン患者脳におけるmRNAレベルの減少は長年観察されていた現象であるが、患者脳や異なるモデルマウスにおいて非常に似たパターンの、特定のmRNAの減少が見られることがわかってきた。ハンチントン病の尾状核において発現レベルが変化している遺伝子は、神経シグナリングと恒常性にかかわる遺伝子であり、その多くは発現レベルが低下している。特に、代謝調節型やイオン調節型受容体サブユニットや異なる神経伝達物質からシグナルを受ける受容体のmRNAレベルの変化が見られた。&lt;br /&gt;
　このようなmRNAレベルの変化を起こすメカニズムも広く研究されている。例えば、ハンチンチンは、核内受容体リプレッサーNCoR、CREB binding protein（CBP）、TATA-binding protein（TBP）、TAFII130、repressor element 1 transcription factor（REST）といった多くの転写活性化蛋白質と相互作用し、そのうち一部の蛋白質はハンチンチン凝集体中に検出される。また、変異型ハンチンチンはPPARγ coactivator 1α（PGC 1α）のプロモーター領域に直接結合して転写因子CREB/TAF4の結合を妨げ、PGC 1αの発現を抑制する。PGC1αはミトコンドリアの生合成や呼吸を制御する因子であり、これにより後述するミトコンドリアへの作用の一部は説明できる可能性がある。&lt;br /&gt;
　さらに、ハンチンチンの過剰発現により、線条体神経細胞の生存に必要な皮質神経細胞におけるbrain-derived neurotrophic factor（BDNF）の転写のup-regulationが見られ、この作用はハンチンチンが細胞質において転写抑制因子repressor element-1 transcription factor/neuron restrictive silencer factor（REST/NRSF）に結合して核への移行を留め、神経選択的サイレンサーneural restrictive silencer element（NRSE）の活性を阻害することにより起こるという報告がある。一方、変異型ハンチンチンではREST/NRSFへの結合能が低下し、REST/NRSFの核への移行が見られ、その結果としてBDNFの転写の促進が見られないことも、病因の一つの理由として示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12881722&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
　転写の抑制に対して直接効果を発揮することが期待されるhiston deacetylase（HDAC）阻害剤など、RNA発現プロファイルの変化を改善するような治療法がトランスジェニックショウジョウバエ&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11607033&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;やトランスジェニックマウスモデル&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12576549&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;で試みられ、効果を示している。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===細胞内輸送の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチンチンは、HAP1、HIP1、HIP14、HAP40、PSCSIN1といった小胞輸送に関わるいくつかの蛋白質やSNAREが介在する小胞融合に関わる蛋白質と相互作用することが知られている。またハンチンチンは直接ダイニンに結合し、小胞の可動性を促進することや、ゴルジ装置の形成にはハンチンチンとダイニンやHAP1との相互作用に依存することなども示されている。変異型ハンチンチンではこのような蛋白質との相互作用が変化していることがわかってきた。ハンチンチンのノックアウトやノックダウンによりAPPやBDNFを含む複数の蛋白質の細胞内輸送が障害されること、細胞内小器官の蓄積が見られることも、ハンチンチンと細胞内輸送との関連を示すデータである。&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者脳における細胞内輸送の障害のメカニズムとして、輸送関連蛋白質のmRNAレベルの変化が示されている。他に特筆すべき現象として、他のポリグルタミン病と同様に、変異型ハンチンチン凝集体は非常に巨大なため、電子顕微鏡観察にて軸索断面全体を占めることがあり、細胞質や神経突起内で物理的に軸索輸送を阻害する可能性も示唆されている。また、凝集したハンチンチンが小胞輸送に必要な蛋白質を巻き込んでしまい利用できなくする可能性も挙げられる。&lt;br /&gt;
　このような細胞内輸送の障害の結果、神経栄養因子の供給ができなくなったり、神経突起の伸長や維持が障害されたり、ミトコンドリア輸送が障害された結果、エネルギー供給ができなくなったり、神経伝達物質受容体の輸送が障害されて数が減少したりするなどの異常が起こると推測されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===エネルギー代謝の障害===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。&lt;br /&gt;
MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳においてN-acetyl aspartate（NAA）が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における乳酸の増加やクレアチンレベルの減少も観察され、FDG-PETにおいても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。&lt;br /&gt;
　分子メカニズムとしては、ミトコンドリアのcomplex II/III活性の欠如、complex IV活性の減少による酸化的リン酸化の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa2+流入が減少しており、内膜の透過性亢進とATP産生を阻害する膜電位の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。&lt;br /&gt;
このようなミトコンドリアにおける代謝の変化は他の事象に引き続く二次的な変化の可能性が高いが、病態において重要な役割を果たすと考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===興奮毒性===&lt;br /&gt;
　ハンチントン病では、早期から線条体の投射ニューロンであるGABA作動性の中型有棘ニューロンの脱落が認められる。これらの細胞はNMDA受容体のNR2Bサブタイプを豊富に発現しており、大脳皮質からの興奮性入力を受け取る。そのため興奮毒性が長く疑われてきた。これを検証した研究として、ハンチントン病トランスジェニックマウスと野生型マウスの皮質線条体スライスを用いてEPSCを測定したところ、トランスジェニックマウスにおいて有意にEPSCが増加していることが示された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15240759&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、シナプス前のグルタミン酸の放出確率は変わらないことが示唆されることから、シナプス後のNMDA受容体活性が上昇していると考えられる。ただし、トランスジェニックマウスに対するNR2B選択的アンタゴニストによる治療の試みは成功していない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===Sirtuinの関与===&lt;br /&gt;
　抗老化遺伝子として知られるSirtuinも病態に関係する。変異型ハンチンチントランスジェニックマウス（N171-82Qマウス）においてSirtuin1 (Sirt1)を過剰発現させるとSirt1の脱アセチル化活性が促進し、トランスジェニックマウスにおいて減少していたBDNFの発現とその受容体TrkBのリン酸化、およびドパミンシグナルカスケードの主要な構成分子であるDARPP32の発現が回復し、それらにより神経保護作用を発揮し、運動機能や脳萎縮の改善をもたらすことが示されている。逆にSirt1のノックダウンにより変異型ハンチンチンの毒性は増悪する。&lt;br /&gt;
　このSirt1の神経保護作用にはSirt1の脱アセチル化活性が必要である。Sirt1の基質の一つにエネルギー代謝や酸化ストレスからの保護に関わるFoxo3aが知られているが、変異型ハンチンチンがSirt1に直接結合し脱アセチル活性を阻害することによって引き起こされるFoxo3aの過アセチル化に対し、過剰発現したSirt1の脱アセチル化活性が拮抗して作用し、生存促進機能が働く可能性が示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;22179319&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==治療==&lt;br /&gt;
　今後有望な治療薬は上記でも述べたが、現在のところ個々の症状に対する対症療法のみで有効とされる根本療法はない。&lt;br /&gt;
　少数例ではあるが胎児線条体の移植も試みられており、良好な経過をたどった症例では5年間を超えるフォローアップで臨床的な改善、PETにてD2受容体結合能の改善が続いていることが示されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18356253&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、トランスジェニックマウスではAAVベクターを用いたハンチンチンに対するRNAi治療により臨床症状の改善を示すことに成功しており、患者への応用が期待される&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15811941&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references/&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目&lt;br /&gt;
*[[神経変性疾患]]&lt;br /&gt;
*[[トリプレット病]]&lt;br /&gt;
*[[ユビキチン]]&lt;br /&gt;
*[[プロテアソーム]]&lt;br /&gt;
*[[オートファジー]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：井原　涼子、岩田　淳　担当編集委員：高橋　良輔）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Ryokoihara</name></author>
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