<?xml version="1.0"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom" xml:lang="ja">
	<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/api.php?action=feedcontributions&amp;feedformat=atom&amp;user=Shotakatori</id>
	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
	<link rel="self" type="application/atom+xml" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/api.php?action=feedcontributions&amp;feedformat=atom&amp;user=Shotakatori"/>
	<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5:%E6%8A%95%E7%A8%BF%E8%A8%98%E9%8C%B2/Shotakatori"/>
	<updated>2026-04-13T16:45:30Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
	<generator>MediaWiki 1.43.8</generator>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10147</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10147"/>
		<updated>2012-06-06T05:25:22Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質２重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質２重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に２つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に１つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた２重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質２重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は２次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における２次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は２重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図２）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の２種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は２次元の平面内を側方に動き回ることができる。２次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質２重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、２重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 生理的条件下での電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型（やや逆コーン型）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または負 || 円筒型～逆コーン型（糖鎖の長さによる）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10145</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10145"/>
		<updated>2012-06-06T05:22:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質２重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質２重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に２つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に１つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた２重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質２重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は２次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における２次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は２重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図２）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の２種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は２次元の平面内を側方に動き回ることができる。２次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質２重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、２重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 生理的条件下での電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型（やや逆コーン型）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または負 || 円筒型～逆コーン型（糖鎖の大きさによる）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10131</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=10131"/>
		<updated>2012-06-06T03:43:49Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質２重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質２重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に２つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に１つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた２重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質２重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は２次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における２次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は２重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図２）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の２種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は２次元の平面内を側方に動き回ることができる。２次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質２重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、２重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 生理的条件下での電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または負 || 円筒型、逆コーン型（頭部が大きな場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10130</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10130"/>
		<updated>2012-06-06T03:33:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;：&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:conformation.png|thumb|300px|&#039;&#039;&#039;図１　脂肪酸鎖の立体配座&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ミリスチン酸の全トランス型の立体配座（上）および１箇所のゴーシュ型立体配座を含む構造（下）。たった１箇所の回転で分子の形が大きく歪むことが分かる。Jmolにより描画。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス型|トランス型]]の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ型|ゴーシュ型]]の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできない。一方、ラフト局在分子を直接可視化するアプローチにより、細胞膜におけるラフトの性質について新たな知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の界面活性剤を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10083</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10083"/>
		<updated>2012-06-05T12:29:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;：&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:conformation.png|thumb|300px|&#039;&#039;&#039;図１　脂肪酸鎖の立体配座&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ミリスチン酸の全トランス型の立体配座（上）および１箇所のゴーシュ型立体配座を含む構造（下）。たった１箇所の回転で分子の形が大きく歪むことが分かる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできない。一方、ラフト局在分子を直接可視化するアプローチにより、細胞膜におけるラフトの性質について新たな知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の界面活性剤を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Conformation.png&amp;diff=10082</id>
		<title>ファイル:Conformation.png</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Conformation.png&amp;diff=10082"/>
		<updated>2012-06-05T12:12:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10081</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=10081"/>
		<updated>2012-06-05T12:11:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;：&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂肪酸の立体配座&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできない。一方、ラフト局在分子を直接可視化するアプローチにより、細胞膜におけるラフトの性質について新たな知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の界面活性剤を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9991</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9991"/>
		<updated>2012-06-05T02:30:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質２重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質２重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に２つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に１つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた２重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質２重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は２次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における２次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は２重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図２）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の２種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は２次元の平面内を側方に動き回ることができる。２次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質２重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、２重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 生理的条件下での電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または負 || 円筒型（頭部が非常に大きなものもある）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9989</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9989"/>
		<updated>2012-06-05T02:24:41Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質２重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質２重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に２つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に１つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた２重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質２重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は２次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における２次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は２重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図２）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の２種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質２重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は２次元の平面内を側方に動き回ることができる。２次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質２重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、２重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 生理的条件における電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または負 || 円筒型（頭部が非常に大きなものもある）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 負 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9984</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9984"/>
		<updated>2012-06-05T02:14:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質2重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させ、また水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子はほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 逆コーン型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9972</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9972"/>
		<updated>2012-06-05T01:41:30Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;：&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　膜脂質の脂肪酸鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできない。一方、ラフト局在分子を直接可視化するアプローチにより、細胞膜におけるラフトの性質について新たな知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の界面活性剤を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9969</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9969"/>
		<updated>2012-06-05T01:22:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;：&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　膜脂質の脂肪酸鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9968</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9968"/>
		<updated>2012-06-05T01:08:29Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　膜脂質の脂肪酸鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質２重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の脂肪酸鎖は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る液体秩序相と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9967</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9967"/>
		<updated>2012-06-05T01:03:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　膜脂質の脂肪酸鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質二重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる液体秩序相との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:脂肪酸鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9964</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9964"/>
		<updated>2012-06-05T00:32:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質2重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が結合した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和脂肪酸鎖|飽和脂肪酸鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 逆コーン型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含む脂肪酸鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9963</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9963"/>
		<updated>2012-06-05T00:29:53Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　膜脂質の脂肪酸鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和脂肪酸鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質二重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる液体秩序相との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:脂肪酸鎖]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上では脂肪酸鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]が脂肪酸鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和脂肪酸鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9960</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9960"/>
		<updated>2012-06-04T23:37:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質二重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる液体秩序相との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に得られる界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）に濃縮して回収される。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9959</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9959"/>
		<updated>2012-06-04T23:36:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質二重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる液体秩序相との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜でl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を作るスフィンゴ脂質やコレステロールは、生化学的に界面活性剤不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）として精製できる。同じ方法で細胞膜を分画すると同様の脂質組成を持つDRMが得られることから、細胞膜にも人工膜とおなじようにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相のドメインがあるという議論が行われた。しかしこのセクションで述べるように、DRMをラフトそのものと考えることはできず、細胞膜におけるラフトの性質についてはまだ多くの議論がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9861</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9861"/>
		<updated>2012-06-04T06:52:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である。しかし個々の脂質を特異的に同定したり、細胞内含量や分布を人為的に操作するための一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質二重膜の多くの性質は単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。脂質ラフトに関してはコレステロールを含む人工膜で見られる液体秩序相との関連が注目されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む膜画分が見出され、その膜画分に含まれるタンパク質分子の解析が行われてきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9850</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9850"/>
		<updated>2012-06-04T05:56:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」この定義ではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられていない。この点は過去１０年以上論争の的であり、いまだ完全な決着を見ていない。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9849</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9849"/>
		<updated>2012-06-04T05:51:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」ここではラフトが小さく、短寿命で不安定であり、タンパク質の関与で安定化する可能性が述べられているが、ラフトが脂質だけで形成されるどうかについては触れられておらず、議論の分かれている点である。またラフト以外のメカニズムで（例えばステロールの関与を必要とせずに）できる脂質集合もある。このため本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼び、上記の定義に沿う脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9846</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9846"/>
		<updated>2012-06-04T05:41:12Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　2006年に開催された脂質ラフトに関するキーストンシンポジウムでは、脂質ラフトは以下のように定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9840</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9840"/>
		<updated>2012-06-04T05:25:37Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質2重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アシル鎖|飽和アシル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 逆コーン型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和結合を含むアシル鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9839</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9839"/>
		<updated>2012-06-04T05:24:21Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質2重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アシル鎖|飽和アシル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 逆コーン型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9831</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9831"/>
		<updated>2012-06-04T05:11:17Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nmの脂質2重層を基盤とする膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アルキル鎖|飽和アルキル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。例えば水輸送担体であるアクアポリンが存在すると、膜を横断する水分子の輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 逆コーン型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（特に不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9820</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9820"/>
		<updated>2012-06-04T02:59:44Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。&#039;&#039;&#039;細胞膜は厚さ約5 nm（測定方法によって異なる）の脂質2重層であり、&#039;&#039;&#039;膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アルキル鎖|飽和アルキル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。&#039;&#039;&#039;この一例として、人工脂質2重層は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、ここに水輸送担体であるアクアポリンが存在した場合には膜を隔てた輸送が大きく促進される。&#039;&#039;&#039;輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9819</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9819"/>
		<updated>2012-06-04T02:51:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&#039;&#039;&#039;「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。&#039;&#039;&#039;以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Newman_projection.png&amp;diff=9817</id>
		<title>ファイル:Newman projection.png</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Newman_projection.png&amp;diff=9817"/>
		<updated>2012-06-04T02:49:35Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: 「ファイル:Newman projection.png」の新しい版をアップロードしました&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9816</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9816"/>
		<updated>2012-06-04T02:46:49Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&#039;&#039;&#039;「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。&#039;&#039;&#039;以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:phase_separation.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　相分離&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;スフィンゴ脂質と不飽和脂肪酸などから成る人工膜ではコレステロール依存的に相分離を生じる。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる（図２）。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図３）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図５　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図４）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図５）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている（図５）。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Phase_separation.png&amp;diff=9815</id>
		<title>ファイル:Phase separation.png</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Phase_separation.png&amp;diff=9815"/>
		<updated>2012-06-04T02:42:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9814</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9814"/>
		<updated>2012-06-04T02:42:00Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&#039;&#039;&#039;「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。&#039;&#039;&#039;以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　&#039;&#039;&#039;このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9813</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9813"/>
		<updated>2012-06-04T02:31:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;選択的に局在し、また領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9812</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9812"/>
		<updated>2012-06-04T02:29:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質は膜貫通領域の長さゆえにl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;に局在し或いは膜領域の境界付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9811</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9811"/>
		<updated>2012-06-04T02:25:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9810</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9810"/>
		<updated>2012-06-04T02:24:41Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　なお本稿では、形成のメカニズムを問わず脂質の集合を「脂質ドメイン」と呼ぶのに対し、特に相分離の原理に基づいて細胞膜上で形成される脂質ドメインを「脂質ラフト」と呼んで区別する。従って、以下に詳しく述べるように、脂質ラフトの存在の可否そのものが未だ議論の分かれる点であることに注意されたい。以下では、まず人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様のドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9809</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9809"/>
		<updated>2012-06-04T02:15:19Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面付近に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減する可能性がある。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9808</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9808"/>
		<updated>2012-06-04T02:11:50Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜は数千種の脂質を含む複雑な系である一方、現在までに個々の脂質を特異的に同定しまたその細胞内含量や分布を人為的に操作しうる一般的手法は確立されておらず、細胞膜における脂質の動態や機能を解析することは困難である。このため脂質ラフトの諸性質の多くは単純な組成から成る人工膜を用いて明らかにされてきた。特に２種以上の脂質を含む人工膜において脂質が自発的に集合する現象（相分離）が見出されたことが端緒となり、細胞膜においても同様の現象が起こる可能性が議論されるようになった。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜における脂質ラフト ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このセクションでは、細胞膜にl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質を持った脂質ラフトが存在する可能性について論じる。歴史的にはまずスフィンゴ脂質やコレステロールに富む生化学的画分が見出されたことにより、多くのラフト局在分子と局在の意義が明らかになってきた。さらにこれら分子を可視化するアプローチにより、脂質ラフトの性状や形成メカニズム、或いはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相との相違についても新しい知見が得られつつある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== ラフト局在分子 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質ラフトの機能 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9807</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9807"/>
		<updated>2012-06-04T02:07:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 人工膜における脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9539</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9539"/>
		<updated>2012-05-31T03:59:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。2006年に開催された脂質ラフトと細胞機能に関するキーストーンシンポジウムでは、脂質ラフトは次のようなものとして定義された&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16645198&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
「脂質ラフトはステロールとスフィンゴ脂質に富んだ10-200 nmサイズの小さく不均一で非常に動的なドメインであり、細胞機能のコンパートメント化を担う。小さなラフトはタンパク質―タンパク質間またはタンパク質―脂質間の相互作用によって安定化し、大きなプラットフォームを形成することがある。」&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9538</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9538"/>
		<updated>2012-05-31T03:32:25Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アルキル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9537</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9537"/>
		<updated>2012-05-31T03:29:37Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;全トランス型の立体配座はホスファチジルコリンの結晶構造中にも認められる。PearsonとPascherらの報告&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;492310&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;を参照されたい。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある（図１）。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9536</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9536"/>
		<updated>2012-05-31T03:17:39Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座（Newman投影式）&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図２）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図３）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図４）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9535</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9535"/>
		<updated>2012-05-31T03:16:00Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.png|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　脂質アルキル鎖の立体配座&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Newman投影式で表現した。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図１）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図２）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図３）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9534</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9534"/>
		<updated>2012-05-31T03:14:02Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Newman_projection.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図１）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図４　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図２）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図３）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Newman_projection.png&amp;diff=9533</id>
		<title>ファイル:Newman projection.png</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Newman_projection.png&amp;diff=9533"/>
		<updated>2012-05-31T03:12:52Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9532</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9532"/>
		<updated>2012-05-31T03:12:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図１）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図２）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図３）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9509</id>
		<title>脂質ラフト</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88&amp;diff=9509"/>
		<updated>2012-05-30T11:15:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名:lipid raft &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[細胞膜]]の[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]分布は均質ではなく、一部の脂質は限局して存在しドメインを形成している。その形成要因の一つとして、ある種の脂質分子間には特異的な相互作用が働き、自発的なドメイン形成に至る可能性が想定されている。特に、[[コレステロール]]の存在下では[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]が集合を形成する現象が人工膜を用いた解析により見出されており、細胞膜にも同様の集合が存在する可能性について議論がなされている。これを流動膜に浮かぶ筏になぞらえて脂質ラフトと呼ぶ。脂質ラフトはシグナル分子間の相互作用の場として働くことが示唆されている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20044567&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　本稿では、人工膜において見出された脂質ドメインについて概説した後、細胞膜に同様の脂質ドメインが存在する可能性について論じる。ここでは特に、ラフト分子を直接可視化する試みと、それによりラフト仮説がどのように修正されつつあるかという点に重点を置いた。また最後に、ラフト局在分子と、関連する生命現象を取り上げ、脂質ラフトの機能的意義について論じる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== リポソームにおける脂質ドメイン ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Raft2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　（Ａ）スフィンゴ脂質の構造と（Ｂ）スフィンゴ脂質―コレステロール間相互作用を説明するumbrella model&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;Ａの図では水素結合可能な部位（水色）と飽和アシル鎖（ピンク）が強調してある。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:リポソーム|リポソーム]]のような人工膜において、脂質の[[wikipedia:ja:アルカン|アルキル鎖]]は低温下では全て[[wikipedia:ja:トランス(化学)|トランス]]型の[[wikipedia:ja:立体配座|立体配座]]をとり伸びた状態にある。密なパッキングのため分子間には[[wikipedia:ja:ファンデルワールス力|ファンデルワールス力]]が強く働き、膜の流動性は妨げられている。一方、[[wikipedia:ja:相転移|相転移]]温度（Tm）以上ではアルキル鎖が融解し、一部がトランス型から[[wikipedia:ja:ゴーシュ|ゴーシュ]]型の立体配座へと変化する（液晶相）。この状態では、分子間相互作用が減弱するため脂質の運動性が高まる。ここにコレステロールが共存した場合、硬い平板構造をもつ[[ステロール骨格]]がアルキル鎖の間隙を埋め、トランス型の立体配座を安定化することによって秩序性が増す。一方、脂質の運動性はよく保たれており、拡散係数は液晶相に比較して2～3分の1程度減少するに過ぎない&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15139814&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。さらにコレステロールは飽和アルキル鎖のみから成る脂質と安定に相互作用するため、[[wikipedia:ja:飽和脂質|飽和脂質]]と[[wikipedia:ja:不飽和脂質|不飽和脂質]]、およびコレステロールの３者混合系では同一膜内で相分離を生じる。すなわち、飽和脂質とコレステロールから成る[[wikipedia:ja:液体秩序相|液体秩序相]]（liquid-ordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;）と、不飽和脂質が分布する[[wikipedia:ja:液体非秩序相|液体非秩序相]]（liquid-disordered; l&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;）とが共存した状態になる。l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;には直鎖状の飽和脂肪酸をもつ脂質が集積するため、周囲のl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;相よりも膜が厚い特徴がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　動物細胞の細胞膜（形質膜）は、他のオルガネラとは異なり、30 mol%程度という多量のコレステロールを含有している。また動物細胞における主要な膜脂質である[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]は不飽和脂肪酸を持つものが大半を占めるが、細胞膜に多いスフィンゴ脂質の構成脂肪酸の殆どは飽和脂肪酸である。これらの理由から、細胞膜のスフィンゴ脂質とコレステロールもl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相を形成する可能性がある。なおスフィンゴ脂質とコレステロールの集合ができるメカニズムについては、前述のモデル以外にスフィンゴシン骨格のアミド結合が分子間で水素結合をつくり安定化するモデルや、スフィンゴ脂質の嵩高い極性頭部の下の空隙をコレステロールが埋めるというumbrella model&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;10096908&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が提唱されている（図１）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の脂質ラフトについての検討 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　リポソームを用いた研究によって脂質の相分離現象に関する多くの知見が得られ、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相の性質についての理解も進んできた。しかし細胞膜は、高密度の膜タンパク質の存在、内葉と外葉の非対称性、[[エンドサイトーシス]]、[[エクソサイトーシス]]などによる絶えざる膜成分の出入りなどの点でリポソームとは大きく異なる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 界面活性剤不溶性に基づく分画 ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[wikipedia:ja:Triton X-100|Triton X-100]]など非イオン性の[[wikipedia:ja:界面活性剤|界面活性剤]]を用いて低温で細胞を可溶化することにより、[[wikipedia:ja:比重|比重]]の小さい不溶性画分（detergent-resistant membrane; DRM）が得られる。DRMにはスフィンゴ脂質やコレステロールとともに[[GPIアンカー|グリコシルホスファチジルイノシトール（GPI）アンカー型タンパク質]]などが分画される。膜結合型の[[シグナル伝達]]分子が[[リガンド]]刺激依存的にDRMに移行することや、形質膜のコレステロールを減少させる薬剤処理によってこの移行が妨げられることが明らかにされており、DRMを脂質ラフトを[[wikipedia:ja:生化学|生化学]]的に分離した画分として取り扱っている研究は多い。しかし一方、ラフトとDRMを同一視することには異論があり、界面活性剤処理によって膜分子分布に人工的な再編成が起こりうること、用いる界面活性剤によって回収されるタンパク質の種類が異なること、不溶性画分どうしの融合が起こりうることなどの問題点が指摘されている。DRMに含まれることが必ずしも細胞膜上での集合を意味しない点に注意する必要がある。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 顕微鏡による可視化 ===&lt;br /&gt;
[[Image:Raft1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質ラフトの形成と安定化&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
[[Image:Raft3.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図３　疎水性領域の長さに基づく脂質―タンパク質間相互作用&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;必要に応じ、図の説明を御願い致します。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相はミクロンスケールのドメインとして観察されるのに対し、細胞膜では通常このような大きなラフトは観察されない。これはラフトの大きさが通常の[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]の分解能の限界よりも小さいためと考えられる。しかし高分解能の可視化技術を用いることにより、直径10～200 nmの脂質ドメインが観察される。たとえば、[[超解像度光学顕微鏡]]のひとつ[[stimulated emission depletion (STED) microscopy]]を用いた解析では、スフィンゴ脂質やGPIアンカー型受容体が20 nmサイズの領域にごく短時間（&amp;amp;lt;10-20 ms）局在することが明らかになった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19098897&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。また、楠見らは[[1粒子追跡法]]（single particle tracking）によりGPIアンカー型受容体の動態を解析し、リガンドや抗体によって多量体化した場合に、[[受容体]]が50 nmサイズの領域に一過性（約0.5 s）にトラップされる現象を見出した。トラップが起きるためには細胞質側の[[チロシンリン酸化#.E9.9D.9E.E5.8F.97.E5.AE.B9.E4.BD.93.E5.9E.8B.E3.83.81.E3.83.AD.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.82.AD.E3.83.8A.E3.83.BC.E3.82.BC|Lyn]]など[[エフェクター分子]]の活性化が必要であった&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17517964&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。こうした多くの報告を総合することで、非刺激状態の細胞のラフトは当初想定されていたよりも小さくかつ短寿命であり、何らかの刺激を受けることによって安定化されると考えられている（図２）。またラフトの形成には脂質の相分離のみならず、[[アクチン]]などのタンパク質と脂質の相互作用の関与が強く示唆されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　人工膜のl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相と違って細胞膜のラフトが小さい理由については幾つかの考察がある。単純な２相系のリポソームでは、l&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相は平衡状態では融合して大きな領域を作る。これはl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の境界部で脂質鎖の長さにミスマッチを生じると、疎水部が親水性環境に露出してエネルギー的に不利であるため、境界/面積比が最小になるように融合が進むことによる。一方、細胞膜では膜タンパク質が脂質との相互作用によりラフト形成や安定化に寄与しうる。例えば、ある種の膜貫通タンパク質はl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;とl&amp;lt;sub&amp;gt;d&amp;lt;/sub&amp;gt;の界面に分布することで膜の厚さのミスマッチを軽減すると考えられる（図３）。また細胞膜では膜成分に絶え間ない出入がある。これらの要因を考慮すると、細胞膜でのラフトは数十nm程度のサイズで分散した状態が安定であるという定量的考察がなされている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16241845&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== ラフト局在と機能的意義 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトと非ラフトとでは膜の脂質組成や物性（膜の厚さや膜内分子の拡散速度など）に違いがあるため、膜タンパク質はそれぞれの膜領域に対して異なる親和性を示す。ラフトに局在するタンパク質には次の２つのタイプが知られている。①脂質修飾を受けたタンパク質と②膜貫通領域（transmembrane domain; TMD）がラフトに親和性をもつタンパク質である。①に関係する脂質修飾には、アシル化（[[ミリストイル化]]、[[パルミトイル化]]）や[[GPIアンカー]]付加などがあり、反対に[[プレニル化]]（[[ファルネシル化]]、[[ゲラニルゲラニル化]]）を受けたタンパク質はラフトから排除される傾向があることが報告されている。一方、②については、特にTMDの長い膜タンパク質が疎水性部分の露出を避けるため、膜の厚いラフト環境を好むことが推測されている。実際、細胞膜に存在する膜タンパク質では、[[ゴルジ体]]にあるタンパク質よりもTMDが長い傾向がある&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20603021&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質ラフトの重要な機能は、これらのタンパク質を選別して特定の領域内に分布させることにより、分子間相互作用を効率化することであると考えられる。また、ある種のタンパク質では脂質環境の違いによって膜タンパク質のコンフォメーションが変化し、活性が変化すると考えられている。異なるスフィンゴ脂質が互いに排他的なドメインを形成している場合も明らかになっており&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;17392511&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;、異なる種類のラフトが特定のタンパク質の分子機能の制御に関わる可能性がある。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ラフトが関与する具体的な生命現象としては、[[wikipedia:ja:IgE受容体|IgE受容体]]や[[wikipedia:ja:T細胞受容体|T細胞受容体]] (TCR)によるシグナル伝達複合体の形成の例がよく知られている。TCRの場合には、[[wikipedia:ja:抗原提示細胞|抗原提示細胞]]から提示された[[wikipedia:ja:MHCリガンド|MHCリガンド]]との結合により、TCRの近傍に[[wikipedia:Lck|Lck]]や[[wikipedia:LAT|LAT]]などラフト親和性をもったタンパク質の一群がリクルートされる。この構造体は[[wikipedia:ja:免疫シナプス|免疫シナプス]]と呼ばれ、周囲の膜環境は、膜環境感受性色素である[[wikipedia:ja:Laurdan|Laurdan]]を用いたイメージング法によりl&amp;lt;sub&amp;gt;o&amp;lt;/sub&amp;gt;相に類似した性質をもつことが明らかになっている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19177148&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また脂質ラフトの病態生理学的な役割についても近年注目されている。最も頻度の高い[[神経変性疾患]]である[[アルツハイマー病]]の発症には、I型膜貫通タンパク質[[APP]]が&amp;amp;beta;および&amp;amp;gamma;[[セクレターゼ]]による段階的切断を受けて生じる[[アミロイド&amp;amp;beta;ペプチド]]（A&amp;amp;beta;）が重要な役割を果たしている。これらのタンパク質群はいずれもDRMに分画されることが知られており、脂質ラフト局在と[[アミロイド]]産生の関連に興味がもたれる&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;20303415&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9507</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9507"/>
		<updated>2012-05-30T11:11:42Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nm（測定方法によって異なる）の脂質2重層であり、膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アルキル鎖|飽和アルキル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。この一例として、人工脂質2重層は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、水輸送担体であるアクアポリンは膜を隔てた水分子の輸送を促進する。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9505</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9505"/>
		<updated>2012-05-30T11:05:19Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nm（測定方法によって異なる）の脂質2重層であり、膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アルキル鎖|飽和アルキル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。この一例として、細胞膜は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、水輸送担体であるアクアポリンは膜を隔てた水分子の輸送を促進する。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9504</id>
		<title>細胞膜</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E7%B4%B0%E8%83%9E%E8%86%9C&amp;diff=9504"/>
		<updated>2012-05-30T11:00:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Shotakatori: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：plasma membrane&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：細胞表面膜、形質膜&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　細胞膜とは、細胞質と細胞外環境を隔てる[[wikipedia:ja:脂質膜|脂質膜]]を指し、細胞表面膜あるいは形質膜とも呼ばれる。細胞膜は厚さ約5 nm（測定方法によって異なる）の脂質2重層であり、膜平面内にタンパク質が密に分布している。細胞膜という用語は、広義には細胞を構成する膜全般を表すが、本稿では後者を生体膜と呼んで区別する。以下では、動物細胞の生体膜に共通した性質を概説しながら、細胞膜の特殊性について論じる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 細胞膜の分子構築  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質2重層  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜の主要構成成分は[[wikipedia:ja:脂質|脂質]]と[[wikipedia:ja:タンパク質|タンパク質]]である。このうち脂質は、[[wikipedia:ja:グリセロリン脂質|グリセロリン脂質]]と[[wikipedia:ja:スフィンゴ脂質|スフィンゴ脂質]]、[[ステロール]]に大別される。グリセロリン脂質は[[wikipedia:ja:グリセロール|グリセロール]]骨格に2つの[[wikipedia:ja:アシル基|アシル基]]が置換した構造を、またスフィンゴ脂質は高級[[wikipedia:ja:アミノアルコール|アミノアルコール]]の[[wikipedia:ja:スフィンゴシン骨格|スフィンゴシン骨格]]に1つのアシル基が結合した構造をしており、極性部分と[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]部分を併せ持つ[[wikipedia:ja:両親媒性|両親媒性]]分子である。これらの脂質は、水中では炭化水素鎖の疎水性相互作用により会合し、極性頭部を溶媒に向けた2重層構造を形成する。細胞膜の基本構造は、脂質2重層によるマトリックスに種々の膜タンパク質が浮遊した構造であると考えられており、SingerとNicolsonによって[[wikipedia:Fluid_mosaic_model#Fluid_mosaic_model|流動モザイクモデル]]として初めて提示された（図１）&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4333397&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM1.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図１　流動モザイクモデル&#039;&#039;&#039;]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は細胞内外の物質透過性を制限するバリアの役割を果たしているが、膜そのものは極めて流動的であり、膜成分は2次元平面内を容易に移動する。さらに細胞膜では[[エンドサイトーシス]]と[[エクソサイトーシス]]によって、膜成分に絶え間ない流出入がある。従って、細胞膜は単なるバリアとしての静的なオルガネラではなく、常に状態を変化させていると言える。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
===脂質組成  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜脂質の組成は細胞種やオルガネラによって大きく異なるが、動物細胞では一般に[[wikipedia:ja:リン脂質|リン脂質]]が大部分を占め、[[wikipedia:ja:糖脂質|糖脂質]]などは比較的少ない。具体的には、[[wikipedia:ja:ホスファチジルコリン|ホスファチジルコリン]]（PC）、[[wikipedia:ja:スフィンゴミエリン|スフィンゴミエリン]]（SM）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルエタノールアミン|ホスファチジルエタノールアミン]]（PE）、[[wikipedia:ja:ホスファチジルセリン|ホスファチジルセリン]]（PS）が多い。一方、細胞膜の特徴はSMと[[コレステロール]]が豊富であることである。[[ラット]][[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]由来の細胞膜を例にとると、リン脂質のおよそ40 mol%がPC、20 mol%がSMであり、コレステロール/リン脂質比は0.8～1に達する&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;5134192&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;18216768&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。人工膜を用いた実験において、コレステロールは[[wikipedia:ja:飽和アルキル鎖|飽和アルキル鎖]]と高い親和性をもつという知見があり、コレステロールの存在によってスフィンゴ脂質が「[[脂質ラフト]]」と呼ばれる液体秩序相を形成する可能性が指摘されている。定常状態の細胞膜に脂質ラフトが存在するか否かは論争のあるところであるが、種々の方法によって同一膜における脂質の不均一分布が確認されている。詳しくは脂質ラフトの項を参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また同一膜内における2次元的な不均一分布に加えて、生体膜における膜脂質は2重層の外葉と内葉とでは組成に偏りがあることが知られている（図2）。これに関しては、[[#脂質分布の非対称性|脂質分布の非対称性]]の項で詳述する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:PM2.PNG|thumb|350px|&#039;&#039;&#039;図２　脂質分布の不均一性&#039;&#039;&#039;]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 膜タンパク質  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜は多量のタンパク質を含んでおり、タンパク質／脂質比は0.2～3と膜によって様々である&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;4263713&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。膜タンパク質は、生化学的な性質の違いによって次の2種類に分類される。&lt;br /&gt;
#[[界面活性剤]]などで脂質膜を破壊して初めて可溶化される内在性タンパク質（integral protein）&lt;br /&gt;
#イオン強度やpHの変化だけで膜から遊離する表在性タンパク質（peripheral protein）&lt;br /&gt;
前者の場合、タンパク質自体に疎水性の領域があり、タンパク質と脂質膜が疎水性相互作用により結合している。[[wikipedia:ja:膜貫通タンパク質|膜貫通タンパク質]]や、[[wikipedia:ja:脂質修飾|脂質修飾]]によって膜にアンカーしているタンパク質がこの範疇に入る。一方、後者には、膜表面と[[wikipedia:ja:静電的|静電的]]に相互作用しているタンパク質や、膜タンパク質との相互作用を介して間接的に膜と結合しているものなどがある。細胞膜に発現する膜タンパク質は、細胞が外界の環境を検知して応答し、また外界と物質をやりとりするために重要な役割を果たしている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 物理化学的性質  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 物質の透過性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　脂質2重層は、膜中央部に疎水性の領域を有するため、脂溶性の物質を容易に透過させるが、[[wikipedia:ja:イオン|イオン]]のように電荷を持った分子をほとんど透過させない。一方で、細胞膜上には選択的な物質透過性をもつ膜タンパク質群が発現しており、[[wikipedia:ja:輸送担体|輸送担体]]（transporter）と呼ばれる。この一例として、細胞膜は水分子のように小さな極性分子をわずかに透過させることが知られているが、水輸送担体であるアクアポリンは膜を隔てた水分子の拡散を促進する。輸送担体による輸送には、利用するエネルギーの種別によって[[wikipedia:ja:受動輸送|受動輸送]]と[[wikipedia:ja:能動輸送|能動輸送]]とがある。前者は細胞膜を貫通する孔を形成し、[[wikipedia:ja:濃度勾配|濃度勾配]]を利用した物質輸送（[[wikipedia:ja:促進拡散|促進拡散]]）を担うことから[[チャネル]]と呼ばれる。一方、後者には、[[wikipedia:ja:ATP|ATP]]の[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]により得たエネルギーで物質を輸送する[[ポンプ]]や、イオンの濃度勾配すなわち[[電気化学ポテンシャル]]を利用して物質を輸送する[[共輸送体]]（symporter）や[[対向輸送体]]（antiporter）がある。膜を隔てた物質の非対称性はこれらの輸送担体の作用で形成され、脂質膜によって維持される。特に細胞内外の各種イオンの濃度勾配（Na&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、K&amp;lt;sup&amp;gt;+&amp;lt;/sup&amp;gt;、Ca&amp;lt;sup&amp;gt;2+&amp;lt;/sup&amp;gt;など）は厳密に維持されており、[[神経細胞]]など[[興奮性膜]]現象の物理化学的基盤となっている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質膜の流動性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生理的条件下において膜脂質は流動性の高い[[wikipedia:ja:液晶|液晶]]状態にあり、脂質や膜タンパク質は2次元の平面内を側方に動き回ることができる。2次元のランダムな拡散現象は[[wikipedia:ja:アドルフ・オイゲン・フィック|Fick]]の[[wikipedia:ja:拡散方程式|拡散方程式]]により記述できるが、これによると膜分子が&amp;lt;math&amp;gt;t&amp;lt;/math&amp;gt;秒間に移動する平均距離は&amp;lt;math&amp;gt;\sqrt{4Dt}&amp;lt;/math&amp;gt;と表される。ここで[[wikipedia:ja:フィックの法則|拡散係数]]&amp;lt;span class=&amp;quot;texhtml&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;D&#039;&#039;&amp;lt;/span&amp;gt;は、標識した膜分子の動態を追跡することによって実験的に決定され、人工膜中の脂質の場合には約10&amp;lt;sup&amp;gt;-2&amp;lt;/sup&amp;gt;～10 µm&amp;lt;sup&amp;gt;2&amp;lt;/sup&amp;gt;/sである。これは脂質分子が1秒間に平均0.2～6 µmの距離を移動することに相当し、細胞の直径が高々数10 µmであることを考えると極めて速い運動といえる。しかし生体膜における拡散係数は人工膜中よりも小さく、1/10～1/100程度である。これに関して楠見らは、膜貫通タンパク質が[[アクチン]]骨格と結合して杭のように並ぶことにより、脂質に対する「picket」すなわち拡散障壁として働くというモデルを提唱している&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;15869394&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。なおスフィンゴ脂質に関しては人工膜中でも拡散が遅い例が報告されており、脂質間相互作用に基づく相分離の関与も想定される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　また極性を持つ細胞の細胞膜においては、[[wikipedia:ja:管腔|管腔]]側と[[基底膜]]側など異なる領域間で膜成分の交換が著しく制限されているという観察結果がある。神経細胞を例にとると、[[軸索]]と[[細胞体]]の境界にある[[軸索起始部]]（initial segment）では、膜成分の側方運動が制限されており、膜タンパク質や膜骨格が拡散障壁として機能していると考えられている&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;1406997&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
=== 脂質分布の非対称性  ===&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　生体膜では脂質二重層の内葉と外葉の間に脂質分子の非対称性分布が見られる（下表）。PCとスフィンゴ脂質は外葉に多く、特に後者はほぼ外葉にのみ存在しているが、PE、PS、[[ホスファチジルイノシトール]]（PI）は内葉に多い&amp;lt;ref&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;8363559&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。PSの負電荷は種々のタンパク質の内葉へのリクルートに重要である。また細胞内シグナル伝達に関わるホスホイノシチド産生の基質となるPIが内葉に偏在していることは理に適う。その他の多くの脂質の非対称分布の意義については不明な点が多いが、膜タンパク質に結合して機能制御に関与する例が報告されている。&lt;br /&gt;
　脂質分子の側方拡散がかなり速いことは前述した通りであるが、2重層を横切る脂質の移動、すなわち外葉から内葉に移動するflipと内葉から外葉に移動するflopは、人工膜では極めて遅い。これは荷電した脂質の極性頭部が疎水性部分を横切るエネルギー障壁が非常に大きいためと考えられる。この考えは[[セラミド]]やコレステロール、[[wikipedia:ja:プロトン|プロトン]]化した[[wikipedia:ja:ホスファチジン酸|ホスファチジン酸]]など、極性頭部が小さい脂質のflip-flopが相対的に速いことによって支持される。&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
　細胞膜では、脂質の非対称性分布は、脂質を内外葉間で輸送するタンパク質群によって形成、維持されている。脂質の非対称性分布が変化する例として、[[アポトーシス]]細胞ではPSが細胞膜外葉に提示され、[[wikipedia:ja:貪食細胞|貪食細胞]]に対する「eat me」シグナルとして働く例がよく知られている。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{| class=&amp;quot;wikitable&amp;quot;&lt;br /&gt;
|+ 細胞膜における脂質の分布と性状&lt;br /&gt;
! 分布 !! 脂質 !! 電荷 !! 分子の形状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に外葉&lt;br /&gt;
| PC || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| SM || 中性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 糖脂質 || 中性または酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| rowspan=&amp;quot;3&amp;quot; | 主に内葉&lt;br /&gt;
| PE || 中性 || コーン型（不飽和鎖を持つ場合）&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PS || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| PI || 酸性 || 円筒型&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
| 不明 || コレステロール || 中性 || 平板状&lt;br /&gt;
|-&lt;br /&gt;
|}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
==参考文献==&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：高鳥翔、藤本豊士　担当編集委員：河西春郎）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Shotakatori</name></author>
	</entry>
</feed>