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	<title>脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]</title>
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	<updated>2026-04-17T01:22:12Z</updated>
	<subtitle>利用者の投稿記録</subtitle>
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		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2015-02-04T03:07:02Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&amp;lt;div align=&amp;quot;right&amp;quot;&amp;gt;  &lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/tyam 山崎 匡]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報･通信工学専攻・情報理工学部 情報・通信工学科&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;font size=&amp;quot;+1&amp;quot;&amp;gt;[http://researchmap.jp/read0023042 永雄 総一]&amp;lt;/font&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&#039;&#039;独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
DOI [[XXXX]]/XXXX　原稿受付日：2012年7月4日　原稿完成日：2013年月日&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
担当編集委員：[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大]（京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座）&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&amp;lt;/div&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
英語名：Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
{{box|text=&lt;br /&gt;
　運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。[[小脳]]は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や[[認知]]機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
}}&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== タイミング制御に関係する課題  ==&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図1rev.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図1. 小脳によるタイミング制御を調べるのに用いられる課題&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A) 回内・回外運動課題、(B) タッピング課題、(C) 時間長弁別課題、(D) Voice Onset Time (VOT)。]] &lt;br /&gt;
　一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査法が知られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12582062&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。代表的な[[小脳症状]]に[[反復性拮抗不全]] (adiadochokinesis)がある(図1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの[[主動筋]]と[[拮抗筋]]を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[タッピング課題]]（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[時間長弁別課題]]（図1C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の[[認知]]機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、[[Voice Onset Time]] (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の[[wikipedia:ja:無声破裂音|無声破裂音]]と[[wikipedia:ja:有声破裂音|有声破裂音]]では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には[[wikipedia:ja:構音筋|構音筋]]の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遅延型瞬目反射の条件付け  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図2.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図2. 遅延型瞬目反射の条件付け&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A) は条件付けのスキーム、(B)は関与する神経伝達の経路。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、[[瞬目反射の条件付け]]のパラダイム(図 2A)が用いられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14657256&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。遅延型瞬目反射の条件付けとは、[[無条件反射]]（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす[[無条件刺激]] (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による[[条件刺激]]（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという[[条件反応]]（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る[[三叉神経核]]から、[[下オリーブ核]]を経由し、[[登上線維]]によって[[小脳皮質]]の第VI[[小脳半球]]の[[プルキンエ細胞]]とその出力先である小脳[[中位核]]と[[歯状核]]に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、[[蝸牛神経核]]から[[橋核]]を経て、[[苔状線維]]により、同じく第VI小脳半球の[[顆粒細胞]]に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は[[赤核]]を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する[[顔面神経]]の[[運動核]]と[[外転神経核]]に伝えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　小脳皮質の[[平行線維]]―プルキンエ細胞間[[シナプス]]には、登上線維入力によって[[長期抑圧]](long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;7097592&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては以降で解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳神経回路の神経活動の同期的振動  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　神経細胞集団の同期した[[スパイク]]発射や[[膜電位]]の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、[[海馬]]や[[大脳皮質]][[視覚野]]について提出されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14643372&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。[[顆粒細胞層]]は顆粒細胞と[[ゴルジ細胞]]からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19409229&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。ハルマリン[[Harmaline]]を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;3795074&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。ハルマリンはモノアミン酸化酵素の阻害作用をもつ向精神性アルカロイドで、下オリーブ核の神経細胞の膜電位を発振させる薬理作用を持つが、その機序はよく分かっていない。しかしながら、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16182386&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M.&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an Implicit Self.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;FT Press&#039;&#039;, New York, 2011&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref9&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一, 山崎匡&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 2012, 63:3-10. &amp;lt;/ref&amp;gt;。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳皮質によるタイミング学習の理論　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図3.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図3. 遅延型瞬目反射の条件付けに関わる小脳回路&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A)は全体、(B)では小脳皮質のみの回路を示す。]] [[Image:Yamazaki Nagao 図4.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図4. CSの時系列を表現する顆粒細胞集団の活動の理論モデル&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt; (A) ゴルジ細胞―顆粒細胞フィードバック回路によるランダムネットワークモデル。(B) シミュレーションされた顆粒細胞集団によるCSの時系列のコーデイング。(C) 遅延型瞬目反射の条件付けの計算機シミュレーション。トレーニング中のトライアル1,18,19でのプルキンエ細胞(上)と小脳核(下)の膜電位のプロット。USが500ミリ秒で呈示されるとすると、プルキンエ細胞はその前後でスパイク発射を停止し、その結果脱抑制された小脳核がバースト的にスパイクを発射する。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構については、[[遅延型瞬目反射]]の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図3Aに、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の[[軸索]]突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした[[微小電極]]による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19495900&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。図4はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞は[[ゴルジ細胞]]を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C,&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19495900&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;)。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム&amp;lt;ref&amp;gt;http://cerebellum.neuroinf.jp/&amp;lt;/ref&amp;gt;にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳によるタイミング制御の特徴 ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、[[ワーキングメモリー]](作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。[[大脳基底核]]の障害では、[[パーキンソン病]]のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、[[舞踏病]]や[[チック]]のような急速な[[不随意運動]]と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という2つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[瞬目反射の条件付け]] &lt;br /&gt;
*[[前庭動眼反射]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14485</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
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		<updated>2012-09-28T09:20:26Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（optokinetic nystagmus, OKN）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向に動く時には反応するが、耳から鼻の方向に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視覚運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視覚運動性眼振 (OKN) が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視（覚）運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視覚運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14484</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14484"/>
		<updated>2012-09-28T09:19:13Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（optokinetic nystagmus, OKN）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向に動く時には反応するが、耳から鼻の方向に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視覚運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視覚運動性眼振 (OKN) が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視（覚）運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14483</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
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		<updated>2012-09-28T09:16:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（optokinetic nystagmus, OKN）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向に動く時には反応するが、耳から鼻の方向に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視覚運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視覚運動性眼振 (OKN) が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B33_v1.jpg&amp;diff=14404</id>
		<title>ファイル:図3 v1.jpg</title>
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		<updated>2012-09-26T06:32:14Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: 図3． OKNの特徴。（A）ウサギの周りにおいたドラム状のスクリーンを、左方向に定速度（30o/s）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる�&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;図3． OKNの特徴。（A）ウサギの周りにおいたドラム状のスクリーンを、左方向に定速度（30o/s）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。 スクリーンの回転を止め暗闇におくと、OKANが出現する。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。　スクリーンの回転を止め暗闇にすると、短期間小さなOKANが出現する。　ウサギに比べサルではOKNの速度が大きい。一方、OKANは、ヒトではOKNに比べて速度が小さく、かつ、ウサギに比べてごく短時間しか見られないのが特徴である。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBはそれぞれ(10)と(11)を改変。Cは (9)を改変。&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14403</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14403"/>
		<updated>2012-09-26T06:29:59Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向に動く時には反応するが、耳から鼻の方向に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視覚運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視覚運動性眼振 (OKN) (タイトルは視覚運動性眼振になっております。どちらかに統一を御願い致します）が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14402</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14402"/>
		<updated>2012-09-26T06:29:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向に動く時には反応するが、耳から鼻の方向に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視運動性眼振 (OKN) (タイトルは視覚運動性眼振になっております。どちらかに統一を御願い致します）が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14401</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14401"/>
		<updated>2012-09-26T06:28:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の緩徐相の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視運動性眼振 (OKN) (タイトルは視覚運動性眼振になっております。どちらかに統一を御願い致します）が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14400</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=14400"/>
		<updated>2012-09-26T06:21:38Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：optokinetic nystagmus　独：Optokinetischer Nystagmus　仏：nystagmus optocinétique &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
同義語：視運動性眼振 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い[[眼球運動]](緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視覚運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による[[視機性眼球反応]]（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、[[網膜]]上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、[[前庭動眼反射]]とともに[[姿勢保持]]に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための[[滑動性追跡眼球運動]](smooth pursuit eye movement)が発達している。[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視機性眼球反応の神経回路と動特性  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　視機性眼球反応 (OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、[[網膜]]に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは[[wikipedia:ja:正弦波|正弦波]]状に回転させる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;6609085&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;11849733&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。周辺視しかない単眼視の動物種([[wikipedia:ja:魚類|魚類]]、[[wikipedia:ja:鳥類|鳥類]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]や[[wikipedia:ja:ウサギ|ウサギ]])では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが[[両眼視]]で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、[[固視]]の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の[[視細胞]]に感知され、その情報は視神経により対側の[[視蓋前域]]にある[[視索路核]] (nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は[[脳幹]]の[[橋被蓋網様核]]（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の[[前庭神経核]]の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や[[小脳]]の神経回路を共有する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum and neural control.&amp;lt;br&amp;gt;Raven, New York, 1984.&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an implicit self.&amp;lt;br&amp;gt;FT Press, New York, 2011. &amp;lt;/ref&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Collewijn H&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The oculomotor system of the rabbit and plasticity.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;Springer&#039;&#039;, Berlin Heidelberg New York, 1981 &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくは[[wikipedia:Search coil|サーチコイル]]で記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の[[wikipedia:ja:外眼筋|外眼筋]]を支配する神経を[[局所麻酔]]し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot; /&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref2 /&amp;gt;を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。&amp;lt;ref name=ref1 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳片葉による視機性眼球反応ゲインの適応調節　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[小脳片葉]]が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域の[[プルキンエ細胞]]には、[[平行線維]]を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　[[長期抑圧]]とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、[[wikipedia:ja:伊藤正男|伊藤正男]]らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を[[片葉仮説]]と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や[[下オリーブ核]]の破壊実験、薬理学や[[遺伝子ノックアウトマウス]]を用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot; /&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot; /&amp;gt;&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;神経研究の進歩 44:748-758, 2000.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を[[記憶痕跡]] (memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を[[局所麻酔剤]]で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16458438&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 63: 34-41, 2012.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図2．OKRのゲインの適応&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。&amp;lt;ref name=ref7 /&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 視運動性眼振と視機性眼球反応  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発される視運動性眼振 (OKN) (タイトルは視覚運動性眼振になっております。どちらかに統一を御願い致します）が用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者である[[wikipedia:Jan Evangelista Purkyně|J. E. Purkinje]] (1787－1869) によって初めて記載された。図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の[[前庭器官]]を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の[[迷路]]障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;時田喬&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;眼振の生理と検査&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;金原出版&#039;&#039;, 東京, 1973.&amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は[[追従性眼球運動反応]](ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には[[大脳皮質]][[視覚連合野]][[MT野]]や[[橋核]]、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の[[前頭眼野]]や[[頭頂連合野]]に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|thumb|250px|&#039;&#039;&#039;図3．視運動性眼振（OKN）の特徴&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは&amp;lt;ref name=ref10 /&amp;gt;を改変。Cは &amp;lt;ref name=ref9&amp;gt;&#039;&#039;&#039;篠田義一&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;医学書院&#039;&#039;，東京, 1985．&amp;lt;/ref&amp;gt;を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[視運動性眼振]] &lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[小脳によるタイミング制御]] &lt;br /&gt;
*[[瞬膜反射の条件付け]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 外部リンク  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[http://cerebellum.neuroinf.jp/ 小脳プラットフォーム]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一　編集担当委員：伊佐正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11349</id>
		<title>小脳によるタイミング制御</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11349"/>
		<updated>2012-07-05T07:55:58Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;英語名：Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== タイミング制御に関係する課題  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図1rev.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図1. 小脳によるタイミング制御を調べるのに用いられる課題&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A) 回内・回外運動課題、(B) タッピング課題、(C) 時間長弁別課題、(D) Voice Onset Time (VOT)。]]&amp;lt;br&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査法が知られている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref1&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;12582062&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図1C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 遅延型瞬目反射の条件付け  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図2.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図2. 遅延型瞬目反射の条件付け&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A) は条件付けのスキーム、(B)は関与する神経伝達の経路。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref2&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14657256&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。図2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref3&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;7097592&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳神経回路の神経活動の同期的振動  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref4&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;14643372&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref5&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19409229&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref6&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;3795074&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref7&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;16182386&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref8&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;Ito M.&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;The cerebellum: Brain for an Implicit Self.&amp;lt;br&amp;gt;&#039;&#039;FT Press&#039;&#039;, New York, 2011&amp;lt;/ref&amp;gt; &amp;lt;ref name=&amp;quot;ref9&amp;quot;&amp;gt;&#039;&#039;&#039;永雄総一, 山崎匡&#039;&#039;&#039;&amp;lt;br&amp;gt;生体の科学 2012, 63:3-10. &amp;lt;/ref&amp;gt;。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳皮質によるタイミング学習の理論　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図3.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図3. 遅延型瞬目反射の条件付けに関わる小脳回路&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt;(A)は全体、(B)では小脳皮質のみの回路を示す。]] [[Image:Yamazaki Nagao 図4.jpg|thumb|250px|&amp;lt;b&amp;gt;図4. CSの時系列を表現する顆粒細胞集団の活動の理論モデル&amp;lt;/b&amp;gt;&amp;lt;br /&amp;gt; (A) ゴルジ細胞―顆粒細胞フィードバック回路によるランダムネットワークモデル。(B) シミュレーションされた顆粒細胞集団によるCSの時系列のコーデイング。(C) 遅延型瞬目反射の条件付けの計算機シミュレーション。トレーニング中のトライアル1,18,19でのプルキンエ細胞(上)と小脳核(下)の膜電位のプロット。USが500ミリ秒で呈示されるとすると、プルキンエ細胞はその前後でスパイク発射を停止し、その結果脱抑制された小脳核がバースト的にスパイクを発射する。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3Aに、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19495900&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;。図4はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C,&amp;lt;ref name=&amp;quot;ref10&amp;quot;&amp;gt;&amp;lt;pubmed&amp;gt;19495900&amp;lt;/pubmed&amp;gt;&amp;lt;/ref&amp;gt;)。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム&amp;lt;ref&amp;gt;http://cerebellum.neuroinf.jp/&amp;lt;/ref&amp;gt;にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 小脳によるタイミング制御の特徴　  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という2つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 関連項目  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
*[[小脳の神経回路]] &lt;br /&gt;
*[[瞬目反射の条件付け]] &lt;br /&gt;
*[[前庭動眼反射]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
== 参考文献  ==&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;references /&amp;gt; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt; (執筆者: 山崎匡、永雄総一　担当編集委員: 渡辺大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11207</id>
		<title>小脳によるタイミング制御</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11207"/>
		<updated>2012-07-02T09:00:33Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1． タイミング制御に関係する課題&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査法が知られている [1]。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図 1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図１C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図1rev.jpg|図 1.　小脳によるタイミング制御を調べるのに用いられる課題。(A) 回内・回外運動課題、(B) タッピング課題、(C) 時間長弁別課題、(D) Voice Onset Time (VOT)。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる [2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる [3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図2.jpg|図2. 遅延型瞬目反射の条件付け。　(A) は条件付けのスキーム、(B)は関与する神経伝達の経路。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている [4]。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている [5]。小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている [10]。図４はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C, [10])。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp/)にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図3.jpg|図 3.遅延型瞬目反射の条件付けに関わる小脳回路。(A)は全体、(B)では小脳皮質のみの回路を示す。]][[Image:Yamazaki Nagao 図4.jpg|図 4.　CSの時系列を表現する顆粒細胞集団の活動の理論モデル (A) ゴルジ細胞―顆粒細胞フィードバック回路によるランダムネットワークモデル。(B) シミュレーションされた顆粒細胞集団によるCSの時系列のコーデイング。(C) 遅延型瞬目反射の条件付けの計算機シミュレーション。トレーニング中のトライアル1,18,19でのプルキンエ細胞(上)と小脳核(下)の膜電位のプロット。USが500ミリ秒で呈示されるとすると、プルキンエ細胞はその前後でスパイク発射を停止し、その結果脱抑制された小脳核がバースト的にスパイクを発射する。]]5. 小脳によるタイミング制御5. 5. 小脳のタイミング制御の特徴　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という２つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 [1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317. [2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455. [3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134. [4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559. [5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15. [6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986. [7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. [8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. [9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10. [10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11205</id>
		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2012-07-02T02:16:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1． 臨床で用いられるタイミング制御の課題 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査が臨床で用いられている [1]。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図 1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図１C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki_Nagao_図1rev.jpg|図 1.　小脳によるタイミング制御を調べるのに用いられる課題。(A) 回内・回外運動課題、(B) タッピング課題、(C) 時間長弁別課題、(D) Voice Onset Time (VOT)。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる [2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる [3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図2.jpg|図2. 遅延型瞬目反射の条件付け。　(A) は条件付けのスキーム、(B)は関与する神経伝達の経路。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている [4]。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている [5]。小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている [10]。図４はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C, [10])。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp/)にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki Nagao 図3.jpg|図 3.遅延型瞬目反射の条件付けに関わる小脳回路。(A)は全体、(B)では小脳皮質のみの回路を示す。]][[Image:Yamazaki Nagao 図4.jpg|図 4.　CSの時系列を表現する顆粒細胞集団の活動の理論モデル (A) ゴルジ細胞―顆粒細胞フィードバック回路によるランダムネットワークモデル。(B) シミュレーションされた顆粒細胞集団によるCSの時系列のコーデイング。(C) 遅延型瞬目反射の条件付けの計算機シミュレーション。トレーニング中のトライアル1,18,19でのプルキンエ細胞(上)と小脳核(下)の膜電位のプロット。USが500ミリ秒で呈示されるとすると、プルキンエ細胞はその前後でスパイク発射を停止し、その結果脱抑制された小脳核がバースト的にスパイクを発射する。]]5. 小脳によるタイミング制御5. 5. 小脳のタイミング制御の特徴　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という２つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 [1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317. [2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455. [3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134. [4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559. [5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15. [6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986. [7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. [8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. [9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10. [10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<updated>2012-07-02T02:13:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
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		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2012-07-02T02:12:45Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1． 臨床で用いられるタイミング制御の課題&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査が臨床で用いられている [1]。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図 1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図１C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる [2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる [3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki_Nagao_図2.jpg|図2. 遅延型瞬目反射の条件付け。　(A) は条件付けのスキーム、(B)は関与する神経伝達の経路。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている [4]。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている [5]。小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている [10]。図４はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C, [10])。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp/)にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:Yamazaki_Nagao_図3.jpg|図 3.遅延型瞬目反射の条件付けに関わる小脳回路。(A)は全体、(B)では小脳皮質のみの回路を示す。]][[Image:Yamazaki_Nagao_図4.jpg|図 4.　CSの時系列を表現する顆粒細胞集団の活動の理論モデル (A) ゴルジ細胞―顆粒細胞フィードバック回路によるランダムネットワークモデル。(B) シミュレーションされた顆粒細胞集団によるCSの時系列のコーデイング。(C) 遅延型瞬目反射の条件付けの計算機シミュレーション。トレーニング中のトライアル1,18,19でのプルキンエ細胞(上)と小脳核(下)の膜電位のプロット。USが500ミリ秒で呈示されるとすると、プルキンエ細胞はその前後でスパイク発射を停止し、その結果脱抑制された小脳核がバースト的にスパイクを発射する。]]5. 小脳によるタイミング制御5. 5. 小脳のタイミング制御の特徴　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という２つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 [1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317. [2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455. [3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134. [4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559. [5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15. [6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986. [7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. [8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. [9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10. [10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11202</id>
		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2012-07-01T23:33:16Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．	臨床で用いられるタイミング制御の課題&lt;br /&gt;
一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査が臨床で用いられている [1]。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図 1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図１C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け&lt;br /&gt;
小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる [2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。&lt;br /&gt;
図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。&lt;br /&gt;
遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる [3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動&lt;br /&gt;
神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている [4]。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。&lt;br /&gt;
小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている [5]。&lt;br /&gt;
小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。&lt;br /&gt;
　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。&lt;br /&gt;
顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている [10]。図４はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C, [10])。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp/)にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
5. 小脳によるタイミング制御の特徴&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という２つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
[1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317.&lt;br /&gt;
[2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455.&lt;br /&gt;
[3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134.&lt;br /&gt;
[4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559.&lt;br /&gt;
[5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15.&lt;br /&gt;
[6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986.&lt;br /&gt;
[7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. &lt;br /&gt;
[8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. &lt;br /&gt;
[9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10.&lt;br /&gt;
[10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
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		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
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		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2012-07-01T23:13:15Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．タイミング制御の臨床検査に用いられる課題&lt;br /&gt;
 一般的に、小脳が障害されると運動の速度が遅くなるとともに運動のリズムが不正確になる 。運動のタイミングに関して、以下のような検査が臨床で用いられている [1]。代表的な小脳症状に反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図 1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）は、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後もそのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者はボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。時間長弁別課題（図１C)は、持続の長さの異なる2種類の音を間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、小脳症状の検査として、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングに数十ミリ秒の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け&lt;br /&gt;
 小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる [2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。瞬きは刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。&lt;br /&gt;
図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。&lt;br /&gt;
遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる [3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動&lt;br /&gt;
 神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている [4]。小脳でも複数の場所で神経活動の同期振動が見られ、それがタイミング制御に関係しているとする考え方が提出されている。&lt;br /&gt;
小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（次節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている [5]。&lt;br /&gt;
小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。&lt;br /&gt;
　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては、実験的に検証されていない。&lt;br /&gt;
顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている [10]。図４はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞からなる神経回路は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞間の結合が空間的にランダムだと仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイクの発射活動と停止を繰り返すことが可能である(図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻で活動する顆粒細胞の集団は一意に定まり、かつ活動する顆粒細胞集団は時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、活動する顆粒細胞集団が遷移することによって、CS呈示開始からの時系列を表現することが可能になる。この様な考え方に基づいて、遅延型瞬目反射の条件付けを計算機シミュレーションにより再現することが可能である(図4C, [10])。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp/)にはこのモデルを含めた様々なモデルが登録されているので、参照されたい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
5. 小脳によるタイミング制御の特徴&lt;br /&gt;
　　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という２つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳障害では、運動の開始が遅延し、運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けの例が示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより運動誤差を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
[1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317.&lt;br /&gt;
[2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455.&lt;br /&gt;
[3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134.&lt;br /&gt;
[4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559.&lt;br /&gt;
[5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15.&lt;br /&gt;
[6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986.&lt;br /&gt;
[7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. &lt;br /&gt;
[8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. &lt;br /&gt;
[9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10.&lt;br /&gt;
[10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%B0%8F%E8%84%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%88%B6%E5%BE%A1&amp;diff=11186</id>
		<title>小脳によるタイミング制御</title>
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		<updated>2012-06-30T07:11:09Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: ページの作成：「Cerebellar Timing Control  要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Cerebellar Timing Control&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：運動を正確に行うには、複数の筋が協調して活動することが必要である。それには筋をそれぞれ適切な強さ(ゲイン)と的確なタイミングで収縮させるような制御が必須である。小脳は運動のゲインを制御するのみならず、同時に数十ミリ秒〜数百ミリ秒の単位のタイミングの制御に重要であることが、臨床医学、生理学や計算論的な研究により示唆されている。ここでは、小脳によるタイミング制御の研究に用いられる運動や認知機能の課題を紹介し、そこから推定される小脳のタイミング制御のメカニズムと特徴について解説する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．タイミング制御の臨床検査に用いられる課題&lt;br /&gt;
小脳が障害されると運動のリズムが不正確になるとともに、運動が遅くなる[1]。小脳症状の１つに、反復性拮抗不全(Adiadochokinesis)がある(図1A)。これは例えば、手のひらをくるくる回すなどの主動筋と拮抗筋を交互に活動させる動作を行う時に、滑らかな一定のリズムで動かすことができないという症状であり、リズム形成の障害と考えられる。タッピング課題（図1B）とは、音や光の点滅による指示に従って一定のリズムでボタンを押し、指示が消えた後も、そのリズムでボタン押しを続けられるかを調べるものである。健常者は、指示されたリズムでボタン押しを続けることができるが、小脳疾患の患者ではボタン押しのタイミングにばらつきが生じることが知られている。&lt;br /&gt;
時間長弁別課題（図1C)は、持続の長さの異なる2種類の音を、間隔をおいて提示し、その持続時間の違いを問う課題であり、小脳の認知機能を調べるものである。音声言語医学の分野では、Voice Onset Time (VOT)の生成と認識の課題が、小脳症状の検査として利用される(図1D)。「バ」と「パ」等の無声破裂音と有声破裂音では、第一フォルマントの立ち上がりのタイミングにはわずか数十ミリ秒程度の違いしかない。その発音には構音筋の微妙な協調運動を必要するため、小脳疾患の患者では発音を仕分けるのが困難になる。またその聞き分けは、時間長弁別課題と同様に小脳の認知機能に関係する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2. 遅延型瞬目反射の条件付け&lt;br /&gt;
小脳のタイミング制御機構を実験的に検討するのに、瞬目反射の条件付けのパラダイム(図 2A)が用いられる[2]。遅延型瞬目反射の条件付けとは、無条件反射（Unconditioned Stimulus, US）である瞬きを引き起こす無条件刺激 (眼球へのエアパフ刺激)と、音やフラッシュ光による条件刺激（Conditioned Stimulus, CS）を組み合わせて提示することを繰り返すと、CSだけで瞬きをするという条件反応（Conditioned Response, CR）が生じる運動学習である。この反射の目的は、CSが提示されるタイミングを予測し、その時点で眼を閉じることを学習することで、侵害刺激であるUSを回避することにある。また瞬きが、音刺激開始直後ではなく、エアパフのタイミングに同期して起こることが重要である。&lt;br /&gt;
図 2Bに遅延型瞬目反射の条件付けに関係する神経回路を示す。エアパフの情報（US）は、眼球の知覚を司る三叉神経核から、下オリーブ核を経由し、登上線維によって小脳皮質の第VI小脳半球のプルキンエ細胞とその出力先である小脳中位核と歯状核に、それぞれ伝えられる。音に関する情報（CS）は、蝸牛神経核から橋核を経て、苔状線維により、同じく第VI小脳半球の顆粒細胞に送られるとともに、その側枝により、第VI小脳半球のプルキンエ細胞の出力先の小脳中位核と歯状核にも送られる。従って、小脳皮質と小脳核にはそれぞれ苔状線維と登上線維の入力によりCSとUSの情報が伝えられることになる。小脳核の出力は赤核を経て、瞬きを引き起こす筋群を駆動する顔面神経の運動核と外転神経核に伝えられる。&lt;br /&gt;
遅延型瞬目反射の条件付けに小脳を含む神経回路が重要な役割を演じていることが、破壊実験や薬物を用いた不活化の実験、神経活動の記録実験の結果により示唆されている。条件付けを行なう前に小脳皮質を破壊すると、いくらトレーニングを行なってもCSに同期した正確なCRが生じない。また条件付けが生じた後に小脳皮質を破壊すると、CSのタイミングに同期したCRが消失する。このことは小脳皮質がCSの時間情報を正確に反映する条件付けに必要であり、CSとCRの連合には主に小脳核が関与していることを示唆する。小脳皮質の平行線維―プルキンエ細胞間シナプスには、登上線維入力によって長期抑圧(Long-term depression, LTD)と呼ばれる可塑性が生じる[3]が、これが小脳皮質によるCSのタイミングの学習の原因であるという仮説が提出されている。これについては4節で解説する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3. 小脳神経回路の神経活動の同期的振動&lt;br /&gt;
神経細胞集団の同期したスパイク発射や膜電位の小さな振動が、脳の情報処理の基盤となるという仮説が、海馬や大脳皮質視覚野について提出されている[4]。小脳でも神経活動の同期振動が見られ、それが時間情報処理に関与しているとする考え方が提出されている。&lt;br /&gt;
小脳皮質の顆粒細胞層の局所電場電位に、10Hz程度の同期的振動があることが知られている。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなるが、この同期的振動に、これらの神経細胞の膜の性質や神経細胞間ネットワークなどが関与することが示唆されている（第4節参照）。この振動は主に動物が静止している時に観測され、運動開始とともに消失するのが特徴であり、運動の開始に関係すると考えられている　[5]。&lt;br /&gt;
一方、小脳皮質に登上線維を送る下オリーブ核の神経細胞には電気的結合があり、その膜電位にも小さな10Hz程度の同期振動が見られる。Harmalineという薬物を全身投与すると、全身に10Hz程度の振戦症状が出現することから、下オリーブ核の神経細胞の同期的振動が、小脳のベースクロックとなるという考え方が提出されている [6]。しかし、無麻酔覚醒の動物から記録される下オリーブ核の神経活動（複雑発射）には同期する傾向はなく、むしろ運動の開始や運動誤差を反映していることが報告されており、この考え方は広く認められるにはいたっていない [7-9]。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
4.小脳皮質によるタイミング学習の理論&lt;br /&gt;
　小脳のタイミング制御機構については、遅延型瞬目反射の条件付けの実験をもとに、理論モデルが提案されている。図3A に、条件付けに関係する小脳皮質と小脳核の神経回路を示す。小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞には、苔状線維の入力を受けた顆粒細胞の軸索突起である平行線維を介して、CSの時系列を反映する情報が伝えられる。CSが呈示されると、小脳核は興奮性入力とプルキンエ細胞を介する抑制性入力をともに受けるので強く興奮できず、その結果CRは生じない。USの信号は登上線維によってプルキンエ細胞に伝えられているので、CSとUSを同時に提示することを繰り返すと平行線維―プルキンエ細胞間シナプスに長期抑圧がおこり、USが生じる時に活性化する平行線維とプルキンエ細胞間のシナプスの伝達効率は低下する。その結果、小脳核はCSに対して強く興奮するようになり、CRが生じるようになる。&lt;br /&gt;
　このように長期抑圧が遅延型瞬目反射の条件付けの原因であると仮定すると、CS呈示開始からUSまでの時間経過の情報が、平行線維―プルキンエ細胞間シナプス入力という空間情報に変換されることが必要となる。もしCSが呈示されている間、異なる顆粒細胞集団が時系列的に順番に活動するものとすれば(図3B)、USが生じた時点で活動している顆粒細胞の平行線維が形成するシナプスのみが長期抑圧によって減弱されるが、他の顆粒細胞集団が形成する平行線維のシナプスは影響を受けないことになる(図3B)。しかしながら、顆粒細胞は小脳皮質の他の神経細胞に比べ小さくかつ数が極めて多いので、無麻酔覚醒の動物を対象にした微小電極による細胞レベルの解析は技術的に困難であり、果たして顆粒細胞の集団の活動がCSの時系列を反映しているかどうかについては検証されていない。&lt;br /&gt;
顆粒細胞の集団がCSの時系列をコードする可能性については、理論モデルを用いたシミュレーションによる研究がなされている　[10]。図4はその代表例である。顆粒細胞層は顆粒細胞とゴルジ細胞からなり、顆粒細胞はゴルジ細胞を興奮させゴルジ細胞は顆粒細胞を抑制する。即ちこの2種類の神経細胞の神経結合は抑制性フィードバック回路を形成する(図4A)。ここで、ゴルジ細胞－顆粒細胞の結合が空間的にランダムであると仮定すると、時間的に定常的な入力に対して、各顆粒細胞はそれぞれ異なる時間パターンで間欠的にスパイク(活動電位)の発射と停止を繰り返すことが想定される (図4B)。つまり集団として見ると、ある特定の時刻に活動する顆粒細胞群が一意的に定まり、かつそれらは時間経過とともに徐々に変化することになる。従って、顆粒細胞の異なった集団がCSの開始から次々とスパイクを発射することによって、CSの時系列を表現することが可能になる。図4Cはこの様な考え方を用いて、計算機シミュレーションにより遅延型瞬目反射の条件付けを再現したものである。シミュレーションの具体的な内容については小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neroinf.jp)を参照されたい。今後このようなモデルに対する実験的検証が望まれる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
5. 小脳によるタイミング制御の特徴&lt;br /&gt;
　時間情報は脳の様々な部位で表現され、運動制御や認知機能に利用される。小脳のタイミング制御の特徴は、無意識で行われる前向き制御の運動のタイミングを学習により正確にすることであり、制御できる時間は数十ミリ秒～数百ミリ秒の範囲である。一方、大脳皮質の時間情報処理は、ワーキングメモリー(作業記憶)を特異的にコードする神経細胞があることからもわかるように、制御できる時間は数百ミリ秒～数秒以上にわたり、かつ意識されることが特徴である。また、その時間情報の精度は小脳ほど正確ではない。大脳基底核の障害では、パーキンソン病のように自発的な運動が全般的に遅くなるような症状と、舞踏病やチックのような急速な不随意運動と、対極的な症状が出現する。大脳基底核の機能については、運動によって生じる報酬の予測という考え方が主流となっているが、これが運動の遅延と急速化という2つの対極的状態とどのように関連するかは今のところ知られてはいない。小脳が障害されると、運動の開始が遅延し運動のリズムが遅くなることがしばしば生じるが、これは、感覚フィードバックを用いる運動に比べて十分に速い運動を可能にする小脳による前向き制御の障害によるものと解釈される。瞬目反射の条件付けのパラダイムが示すように、小脳皮質のタイミング学習の目標は、あくまでも、運動を起こす時間を正確にすることにより、運動の結果生じる誤差や不具合を最小にすることにある。ヒトでは小脳皮質のタイミング学習は認知機能とも深く関わっているようであるが、その詳細については今後の研究課題である。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
[1] Ivry RB et al. (2002) Ann NY Acad Sci 978:302-317.&lt;br /&gt;
[2] Christian KM, Thompson RF. (2003) Learn Mem 11:427-455.&lt;br /&gt;
[3] Ito M, Sakurai M, Tongroach P. (1982) J Physiol (Lond) 324: 113-134.&lt;br /&gt;
[4] Ward LM. (2003) TINS 7:553-559.&lt;br /&gt;
[5] D&#039;Angelo E et al. (2009) Neuroscience 162:805-15.&lt;br /&gt;
[6] Llinas R, Yarom Y. (1986) J Physiol (Lond) 376:163-82. 1986.&lt;br /&gt;
[7] Kitazawa S, Wolpert DM. (2005) TINS 28:611-619. &lt;br /&gt;
[8] Ito M. (2011) The cerebellum: Brain for an Implicit Self. FT Press, New York. &lt;br /&gt;
[9] 永雄総一, 山崎匡. (2012) 生体の科学　63:3-10.&lt;br /&gt;
[10] Yamazaki T, Tanaka S. (2009) Cerebellum 8:423-432.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目:　小脳の神経回路、瞬目反射の条件付け、前庭動眼反射&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
(執筆者: 山崎 匡、永雄 総一、担当編集委員: 渡辺 大）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=10041</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-06-05T05:56:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経結合により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合や対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合や対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平衡班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来のVORによると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させてVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、誘発された眼球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.3~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0度付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.小脳片葉によるVOR ゲインの適応制御 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フイードフォーワード(前向き）制御の反射である。この反射が、小脳による運動学習によって調節されることが知られている。前庭小脳の片葉は、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受し、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインに適応(adaptation)を生じさせることができる(1,4,9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続するとゲインが変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる前庭の訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにおいたドラム様のスクリーンを、回転台と同期して動かすことにより、同様にVORゲインに適応が生じる。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応の例を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。 VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年代から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱される(長期抑圧)ことが証明されている。この長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験を用いて検証されている(1,7,8, 9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の部位については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれているが、前庭神経核に適応の長期の記憶が保持されるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. VORとカロリックテスト &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見されて以来、末梢の前庭機能の検査の方法として臨床的に用いられている。1983年にNASAのスペースシャトル内で、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような前庭障害によって生じるような病的眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
小脳片葉によるVORのゲイン調節機構は小脳による運動学習の実験モデルとして、詳細に研究されている。それについては小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) を参照されたい。&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：前庭核、視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9918</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9918"/>
		<updated>2012-06-04T09:25:19Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経結合により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合や対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合や対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平衡班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来のVORによると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させてVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、誘発された眼球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.3~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0度付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フイードフォーワード(前向き）制御の反射である。この反射が、小脳による運動学習によって調節されることが知られている。前庭小脳の片葉は、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受し、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインに適応(adaptation)を生じさせることができる(1,4,9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続するとゲインが変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる前庭の訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにおいたドラム様のスクリーンを、回転台と同期して動かすことにより、同様にVORゲインに適応が生じる。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応の例を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。 VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年代から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱される(長期抑圧)ことが証明されている。この長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験を用いて検証されている(1,7,8, 9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の部位については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれているが、前庭神経核に適応の長期の記憶が保持されるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. VORとカロリックテスト &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見されて以来、末梢の前庭機能の検査の方法として臨床的に用いられている。1983年にNASAのスペースシャトル内で、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような前庭障害によって生じるような病的眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
小脳片葉によるVORのゲイン調節機構は小脳による運動学習の実験モデルとして、詳細に研究されている。それについては小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) を参照されたい。&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：前庭核、視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9679</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-06-02T07:30:04Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経結合により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合や対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合や対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平衡班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来のVORによると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させてVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、誘発された眼球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.3~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0度付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フイードフォーワード(前向き）制御の反射である。この反射が、小脳による運動学習によって調節されることが知られている。前庭小脳の片葉は、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受し、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインに適応(adaptation)を生じさせることができる(1,4,9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続するとゲインが変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる前庭の訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにおいたドラム様のスクリーンを、回転台と同期して動かすことにより、同様にVORゲインに適応が生じる。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応の例を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。 VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年代から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱される(長期抑圧)ことが証明されている。この長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験を用いて検証されている(1,7,8, 9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の部位については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれているが、前庭神経核に適応の長期の記憶が保持されるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. VORと 臨床 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見されて以来、末梢の前庭機能の検査の方法として臨床的に用いられている。1983年にNASAのスペースシャトル内で、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような前庭障害によって生じるような病的眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
小脳片葉によるVORのゲイン調節機構は小脳による運動学習の実験モデルとして、詳細に研究されている。それについては小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) を参照されたい。&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：前庭核、視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-06-02T07:23:37Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経結合により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合や対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合や対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平衡班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来のVORによると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させてVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、誘発された眼球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.3~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0度付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フイードフォーワード(前向き）制御の反射である。この反射が、小脳による運動学習によって調節されることが知られている。前庭小脳の片葉は、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受し、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインに適応(adaptation)を生じさせることができる(1,4,9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続するとゲインが変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる前庭の訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにおいたドラム様のスクリーンを、回転台と同期して動かすことにより、同様にVORゲインに適応が生じる。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応の例を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。 VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年代から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱される(長期抑圧)ことが証明されている。この長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験を用いて検証されている(1,7,8, 9)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　さらに、適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の部位については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれているが、前庭神経核に適応の長期の記憶が保持されるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. VORと 臨床 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見されて以来、末梢の前庭機能の検査の方法として臨床的に用いられている。1983年にNASAのスペースシャトル内で、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような前庭障害によって生じるような病的眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&amp;amp;nbsp; &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9677</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9677"/>
		<updated>2012-06-02T06:17:47Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Optokinetic nystagmus &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視(覚)運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による視機性眼球反応（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、網膜上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、前庭動眼反射とともに姿勢保持に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)が発達している。ヒトやサルの視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．視機性眼球反応（OKR）の神経回路と動特性 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 視機性眼球反応(OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、網膜に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは正弦波状に回転させる(1,2)。周辺視しかない単眼視の動物種(魚類、鳥類、マウス、ラットやウサギ)では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが両眼視で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、固視の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の視細胞に感知され、その情報は視神経により対側の視蓋前域にある視索路核(nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は脳幹の橋被蓋網様核（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の前庭神経核の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。OKRと前庭動眼反射は、脳幹や小脳の神経回路を共有する(3,4,5)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　 NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない(5)。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくはサーチコイルで記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅いスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、スクリーンの回転が速くなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0度であるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループのOKRゲインも測定されている。一側の外眼筋を支配する神経を局所麻酔し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで開ループゲインが求められる。OKRの開ループゲインは100程度である(5)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|300px|図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム。（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。(2)を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。(1)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２.小脳片葉によるOKRゲインの適応調節　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはゲインが高く外界の動きに追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、外界が速く動くとゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができなくなる。そのような場合に、小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に動くスクリーンを眼前に提示することを1時間持続的に行うとOKRに適応が生じ、ゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。小脳片葉が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、平行線維を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。長期抑圧とは、平行線維―プルキンエ細胞間のシナプス伝達が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、伊藤正男(東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問)らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を片葉仮説と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や下オリーブ核の破壊実験、薬理学や遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている(3,4,6)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を記憶痕跡(memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を局所麻酔剤で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない(7,8)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|300px|図2．OKRのゲインの適応。（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。(7)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．視運動性眼振(OKN)とOKR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発されるOKNが用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje (1787－1869) によって初めて記載された。 図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来すると考えられる（図3C）。サルでは両側の前庭器官を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の迷路障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する(10)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は追従性眼球運動反応(ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には大脳皮質視覚連合野MT野や橋核、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の前頭眼野や頭頂連合野に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|300px|図3．視運動性眼振（OKN）の特徴。（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは(10)を改変。Cは (9)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 2. Shutoh F et al.: Neurosci Res 42: 141-145, 2002. 3. Ito M: The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 4. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 5. Collewijn H: The oculomotor system of the rabbit and plasticity. Springer, Berlin Heidelberg New York, 1981 6. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758, 2000. 7. Shutoh F et al.: Neuroscience 139: 767-777, 2006. 8. 永雄総一：生体の科学 63: 34-41, 2012. 9. 篠田義一: 視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）医学書院，東京, 1985． 10. 時田喬: 眼振の生理と検査.　金原出版, 東京, 1973. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9419</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
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		<updated>2012-05-29T09:18:51Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Optokinetic nystagmus &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視(覚)運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による視機性眼球反応（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、網膜上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、前庭動眼反射とともに姿勢保持に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)が発達している。ヒトやサルの視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．視機性眼球反応（OKR）の神経回路と動特性 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 視機性眼球反応(OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、網膜に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipはキャンセルもしくは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは正弦波状に回転させる(1,2)。周辺視しかない単眼視の動物種(魚類、鳥類、マウス、ラットやウサギ)では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが両眼視で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、固視の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の視細胞に感知され、その情報は視神経により対側の視蓋前域にある視索路核(nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は脳幹の橋被蓋網様核（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の前庭神経核の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。これに対応して、OKRと前庭動眼反射は脳幹や小脳の神経回路を共有する(3,4,5)。 NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない(5)。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくはサーチコイルで記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅い周波数のスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、周波数が大きくなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0oであるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループゲイン測は、一側の外眼筋を支配する神経を局所麻酔し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで計測されている。OKRの開ループゲインは100程度である(5)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|300px|図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム。（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。(2)を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。(1)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２.小脳片葉によるOKRゲインの適応調節　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはよく追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、速い動きゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができない。そこで小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に眼前のスクリーンを振動させことを1時間持続的に行うと適応が生じ、OKRゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。小脳片葉が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、平行線維を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。長期抑圧とは、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、伊藤正男(東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問)らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を片葉仮説と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や下オリーブ核の破壊実験、薬理学や遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている(3,4,6)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を記憶痕跡(memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を局所麻酔剤で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない(7,8)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|300px|図2．OKRのゲインの適応。（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。(7)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．視運動性眼振(OKN)とOKR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発されるOKNが用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje (1787－1869) によって初めて記載された。 図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来するようである（図3C）。サルでは両側の前庭器官を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の迷路障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する(10)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は追従性眼球運動反応(ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には大脳皮質視覚連合野MT野や橋核、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の前頭眼野や頭頂連合野に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|300px|図3．視運動性眼振（OKN）の特徴。（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは(10)を改変。Cは (9)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 2. Shutoh F et al.: Neurosci Res 42: 141-145, 2002. 3. Ito M: The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 4. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 5. Collewijn H: The oculomotor system of the rabbit and plasticity. Springer, Berlin Heidelberg New York, 1981 6. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758, 2000. 7. Shutoh F et al.: Neuroscience 139: 767-777, 2006. 8. 永雄総一：生体の科学 63: 34-41, 2012. 9. 篠田義一: 視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）医学書院，東京, 1985． 10. 時田喬: 眼振の生理と検査.　金原出版, 東京, 1973. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9417</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-29T09:14:40Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. VORと 臨床&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9416</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9416"/>
		<updated>2012-05-29T07:36:03Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Optokinetic nystagmus &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視(覚)運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による視機性眼球反応（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、網膜上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、前庭動眼反射とともに姿勢保持に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)が発達している。ヒトやサルの視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．視機性眼球反応（OKR）の神経回路と動特性&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 視機性眼球反応(OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、網膜に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipはキャンセルもしくは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは正弦波状に回転させる(1,2)。周辺視しかない単眼視の動物種(魚類、鳥類、マウス、ラットやウサギ)では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが両眼視で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、固視の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の視細胞に感知され、その情報は視神経により対側の視蓋前域にある視索路核(nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は脳幹の橋被蓋網様核（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の前庭神経核の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。これに対応して、OKRと前庭動眼反射は脳幹や小脳の神経回路を共有する(3,4,5)。 NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない(5)。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくはサーチコイルで記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅い周波数のスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、周波数が大きくなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0oであるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループゲイン測は、一側の外眼筋を支配する神経を局所麻酔し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで計測されている。OKRの開ループゲインは100程度である(5)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1 OKN.jpg|300px|図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム。（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。(2)を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。(1)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２.小脳片葉によるOKRゲインの適応調節　&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはよく追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、速い動きゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができない。そこで小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に眼前のスクリーンを振動させことを1時間持続的に行うと適応が生じ、OKRゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。小脳片葉が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、平行線維を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。長期抑圧とは、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、伊藤正男(東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問)らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を片葉仮説と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や下オリーブ核の破壊実験、薬理学や遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている(3,4,6)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp;&amp;amp;nbsp; ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を記憶痕跡(memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を局所麻酔剤で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない(7,8)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2 OKN.jpg|300px|図2．OKRのゲインの適応。（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;amp;lt; 0.01; *, P &amp;amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。(7)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．視運動性眼振(OKN)とOKR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; 前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発されるOKNが用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje (1787－1869) によって初めて記載された。 図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来するようである（図3C）。サルでは両側の前庭器官を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の迷路障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する(10)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;amp;nbsp; ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は追従性眼球運動反応(ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には大脳皮質視覚連合野MT野や橋核、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の前頭眼野や頭頂連合野に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3 OKN rev.jpg|300px|図3．視運動性眼振（OKN）の特徴。（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは(10)を改変。Cは (9)を改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 2. Shutoh F et al.: Neurosci Res 42: 141-145, 2002. 3. Ito M: The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 4. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 5. Collewijn H: The oculomotor system of the rabbit and plasticity. Springer, Berlin Heidelberg New York, 1981 6. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758, 2000. 7. Shutoh F et al.: Neuroscience 139: 767-777, 2006. 8. 永雄総一：生体の科学 63: 34-41, 2012. 9. 篠田義一: 視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）医学書院，東京, 1985． 10. 時田喬: 眼振の生理と検査.　金原出版, 東京, 1973. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9403</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-29T04:45:02Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1revVOR.jpg|300px|図１．前庭器官と外眼筋。（A）半規管系、耳石器と蝸牛。（B）眼球と6つの外眼筋。（C）半規管膨大部。膨大部には有毛細胞があり、毛はゼラチン質からなるクプラで覆われている。頭の回転により生じた内リンパ液の流れでクプラが変形することで、有毛細胞が興奮ないし抑制される。（D）三半規管系と膨大部の位置。青の矢印は有毛細胞が興奮を受ける頭の回転方向を示す。内リンパ流の向きはこれと反対である。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:前庭動眼反射表.jpg|250px|表1.　前庭動眼反射]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B31revVOR.jpg&amp;diff=9402</id>
		<title>ファイル:図1revVOR.jpg</title>
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		<updated>2012-05-29T04:39:27Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9401</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-29T04:21:39Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR.jpg|200px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]] &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<updated>2012-05-29T02:14:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9341</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-28T09:43:31Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2VOR|331x341px|図2．VORの測定法。（A）回転台の正弦波状回転により生じたアカゲザルの眼球運動。黒線は眼球位置データ。青線は眼球位置データから急速相とドリフトを除去したもの。(6) より改変。(B）VORのゲインと位相差。青線は平均眼球位置とレース。赤線は頭(台)の位置とレース。（C）オランダウサギ(□)と黒眼ウサギ(●)のVORの利得と位相。(3)より改変。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3VOR.jpg|350px|図3．VORの適応と片葉仮説。（A）黒眼ウサギのVORゲイン適応。●は縞模様のスクリーンと台を0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時、▲は0.1Hz-10度で逆の方向に正弦波状に回転させトレーニングした時のゲインの変化。□は対照として4時間暗闇の中で台の回転によるVORのトレーニングした時のゲインの変化を示す。（B）両側の小脳片葉をカイニン酸で破壊後、Aと同様のトレーニングをしたもの。AとBは(3)を改変。（C）VORのゲイン適応における片葉の役割と適応の記憶の場。1～数時間のトレーニングによる適応の記憶は片葉に保持されているが、数日のトレーニングの記憶は前庭核に保持される。]]&amp;lt;br&amp;gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図4VOR.jpg|350px|図4．温度刺激で誘発される前庭眼振とその発現の神経機構。（頭を60度後屈させ、右の外耳道に温水を注入したときに生じる水平半規管のリンパ流と、それにより生じる水平性VOR。図は頭の後部より中耳を眺めたもの。水平半器管は、この頭位では垂直に位置する。誘発される眼振の緩徐相（VOR）と急速相を右下に示す。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9224</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-26T06:58:42Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9223</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
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		<updated>2012-05-26T06:57:08Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Optokinetic nystagmus &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視(覚)運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による視機性眼球反応（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、網膜上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、前庭動眼反射とともに姿勢保持に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)が発達している。ヒトやサルの視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．視機性眼球反応（OKR）の神経回路と動特性視機性眼球反応(OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、網膜に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipはキャンセルもしくは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは正弦波状に回転させる(1,2)。周辺視しかない単眼視の動物種(魚類、鳥類、マウス、ラットやウサギ)では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが両眼視で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、固視の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の視細胞に感知され、その情報は視神経により対側の視蓋前域にある視索路核(nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は脳幹の橋被蓋網様核（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の前庭神経核の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。これに対応して、OKRと前庭動眼反射は脳幹や小脳の神経回路を共有する(3,4,5)。 NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない(5)。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくはサーチコイルで記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅い周波数のスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、周波数が大きくなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0oであるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループゲイン測は、一側の外眼筋を支配する神経を局所麻酔し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで計測されている。OKRの開ループゲインは100程度である(5)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1_OKN.jpg|300px|図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム。（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。(2)を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。(1)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２.小脳片葉によるOKRゲインの適応調節　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはよく追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、速い動きゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができない。そこで小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に眼前のスクリーンを振動させことを1時間持続的に行うと適応が生じ、OKRゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。小脳片葉が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、平行線維を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。長期抑圧とは、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、伊藤正男(東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問)らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を片葉仮説と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や下オリーブ核の破壊実験、薬理学や遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている(3,4,6)。ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を記憶痕跡(memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を局所麻酔剤で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない(7,8)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2_OKN.jpg|300px|図2．OKRのゲインの適応。（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;lt; 0.01; *, P &amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。(7)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．視運動性眼振(OKN)とOKR 前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発されるOKNが用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje (1787－1869) によって初めて記載された。 図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来するようである（図3C）。サルでは両側の前庭器官を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の迷路障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する(10)。ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は追従性眼球運動反応(ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には大脳皮質視覚連合野MT野や橋核、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の前頭眼野や頭頂連合野に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3_OKN_rev.jpg|300px|図3．視運動性眼振（OKN）の特徴。（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは(10)を改変。Cは (9)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 2. Shutoh F et al.: Neurosci Res 42: 141-145, 2002. 3. Ito M: The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 4. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 5. Collewijn H: The oculomotor system of the rabbit and plasticity. Springer, Berlin Heidelberg New York, 1981 6. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758, 2000. 7. Shutoh F et al.: Neuroscience 139: 767-777, 2006. 8. 永雄総一：生体の科学 63: 34-41, 2012. 9. 篠田義一: 視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）医学書院，東京, 1985． 10. 時田喬: 眼振の生理と検査.　金原出版, 東京, 1973.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（執筆者：永雄総一、編集担当委員：伊佐　正）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B34VOR.jpg&amp;diff=9219</id>
		<title>ファイル:図4VOR.jpg</title>
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		<updated>2012-05-26T06:33:36Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9218</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
		<link rel="alternate" type="text/html" href="https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9218"/>
		<updated>2012-05-26T06:26:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路　　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　　図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（永雄総一、理研・脳センター・運動学習制御研究チーム）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9217</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-26T06:22:05Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路&lt;br /&gt;
 図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
 球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。 VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。 VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985． 3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991. 5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003. 6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010. 7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000. 8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012. &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;（永雄総一、理研・脳センター・運動学習制御研究チーム）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9216</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-26T06:19:20Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1.VORの脳幹の神経回路&lt;br /&gt;
 図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1）。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.VORの動特性&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。&lt;br /&gt;
　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.VOR のゲインの適応&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。&lt;br /&gt;
VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。&lt;br /&gt;
VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。&lt;br /&gt;
適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR&lt;br /&gt;
 　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp)&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984.&lt;br /&gt;
2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985．&lt;br /&gt;
3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983.&lt;br /&gt;
4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991.&lt;br /&gt;
5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003.  &lt;br /&gt;
6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010.&lt;br /&gt;
7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000.&lt;br /&gt;
8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011.&lt;br /&gt;
9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（永雄総一、理研・脳センター・運動学習制御研究チーム）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
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		<updated>2012-05-26T06:04:43Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
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		<title>ファイル:図3VOR.jpg</title>
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		<updated>2012-05-26T06:02:57Z</updated>

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&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
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		<title>ファイル:図2VOR.jpg</title>
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&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
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		<title>ファイル:図1VOR.jpg</title>
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&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
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		<title>前庭動眼反射</title>
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		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．	VORの脳幹の神経回路&lt;br /&gt;
 図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1）。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
 球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.　 VORの動特性&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。&lt;br /&gt;
　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.　VOR のゲインの適応&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。&lt;br /&gt;
VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。&lt;br /&gt;
VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。&lt;br /&gt;
適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR&lt;br /&gt;
 　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp)&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984.&lt;br /&gt;
2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985．&lt;br /&gt;
3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983.&lt;br /&gt;
4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991.&lt;br /&gt;
5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003.  &lt;br /&gt;
6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010.&lt;br /&gt;
7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000.&lt;br /&gt;
8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011.&lt;br /&gt;
9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（永雄総一、理研・脳センター・運動学習制御研究チーム）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%89%8D%E5%BA%AD%E5%8B%95%E7%9C%BC%E5%8F%8D%E5%B0%84&amp;diff=9210</id>
		<title>前庭動眼反射</title>
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		<updated>2012-05-26T05:57:43Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: ページの作成：「Vestibulo-ocular reflex  要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の...」&lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Vestibulo-ocular reflex&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：　前庭動眼反射(Vestibulo-ocular reflex, VOR)は、視機性眼球反応（Optokinetic Response, OKR）とともに姿勢保持の役割を担う重要な反射である。頭の3次元の動きは側頭骨にある前庭器で感知され、その情報は前庭神経核と前庭小脳に伝えられる。VORを中継する前庭神経核の神経細胞は外眼筋の運動神経核群に興奮性若しくは抑制性の出力を送り、頭の動きを補正するような眼球運動を誘発する。VORと視機性眼球反応の働きにより、頭が動いても眼球の網膜に写る像がぶれずにすむ。小脳片葉は、運動学習のメカニズムにより、VORの効率(利得)を調節する。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．	VORの脳幹の神経回路&lt;br /&gt;
図1に示すように、内耳にある前庭器官には3つの半規管(前半規管、水平（外側）半規管と後半規管)と２つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)がある。また眼球には6つの外眼筋があり、水平面と、回旋を含む垂直面の眼球運動を引き起こす。3つの半規管には互いに直交しており、水平 (外側)半規管はネコ、サルやヒトでは水平から約30度後向に傾いている。半規管の内部は内リンパ液で満たされており、膨大部と呼ばれるところには有毛細胞がある。有毛細胞の感覚毛はゼラチン質からなるクプラの中に延びて包みこまれている(図1C)。例えば、頭を水平半規管の面上で右に動く時、半規管内の内リンパ液は慣性により頭の回転とは逆向きに流れる。これにより右側の水平半規管のクプラが曲げられて有毛細胞は脱分極し、生じた活動電位は右側の内側前庭核に伝えられる。また左側の水平半規管の有毛細胞には過分極が生じ、左側の内側前庭核へのドライブが弱まる。VORを中継する前庭核の神経細胞には興奮性のものと抑制性のものがある。興奮性の神経細胞は、同側の眼球の内直筋を支配する動眼神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の外直筋を支配する対側の外転神経核の神経細胞と結合する(表1)。一方、抑制性の神経細胞は、同側の眼球の外直筋を支配する同側の外転神経核の神経細胞と結合するか、もしくは対側の眼球の内直筋を支配する対側の動眼神経核の神経細胞と結合する。このような神経回路により、頭が右に回転した時、右側の眼球の内直筋は収縮(興奮)し、外直筋は弛緩(抑制)する。同様に左側の眼球の内直筋は弛緩し、外直筋は収縮する。その結果は両側の眼球は頭とは逆に左に回転する。このようにVORは基本的には3個の神経細胞からなる反射の回路(反射弓)で構成される。水平性のVOR では左右の水平半規管に相反的な活動が生じるが、垂直のVORの場合には一側の前半規管と対側後半規管、一側の後半規管と対側の前半規管との間にそれぞれ相反的な活動が生じる(図1D)。前半規管と同側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合、対側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、ならびに後半規管と同側の眼球の上斜筋と下斜筋との神経結合、対側の眼球の上直筋と下直筋との神経結合については表1を参照されたい（1,2）。&lt;br /&gt;
球形嚢と卵形嚢では平行班に有毛細胞が分布する。有毛細胞の表面はゼラチン様物質からなる耳石膜におおわれており、さらにその上に炭酸カルシウムからなる耳石が分布する。この有毛細胞が刺激されるのは平衡班にせん断力が作用する時、即ち有毛細胞と耳石膜との間にずれが生じるときであり、具体的には水平もしくは垂直方向に線形的な加速度が加わったときである。仰臥位で身体を床に平行に振り直線的加速度を加えてやると、右方向の加速に対して眼は左側に偏位する。また頭をゆっくりと左右に傾けると、両眼球が眼軸を中心として反対側に回旋する。これらの眼球運動は球形嚢由来の反射によると考えられている。卵形嚢が関与するVORについてはよくわかっていない(2)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
2.　 VORの動特性&lt;br /&gt;
　VORはslowの眼球運動である。通常0.1-1Hzの周波数で、刺激をする半規管の面に平行になるように頭を固定し、暗闇の中で回転台(ターンテーブル)を正弦波状に振動させVORを誘発する。赤外線テレビカメラもしくはサーチコイルにより、眼誘発された球運動を記録する。サッケード状の急速眼球運動、瞬きや遅いドリフトを除去し、VORに由来する眼球運動を抽出する。それをもとに、VORの利得(ゲイン)と位相差を算出する。図2にVORの計測の例を示す。前述のごとくVORは頭(台)とは逆方向に動きであるので、回転台と眼球運動のズレを、伝統的に位相の進み(phase advance)と呼ぶ（図2B）。&lt;br /&gt;
　水平性のVORの動特性は魚(コイ、キンギョ)、ニワトリ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、サルやヒトで測定されている。ゲインは動物種によってほぼ一定で周波数依存性はあまりない。サルでは1前後、ヒトでは0.8~0.9、ネコは0.6～0.8程度で。他の動物種では0.4~0.6程度である。図2Bにウサギの水平性VORの動特性を示す。垂直性のVORは、測定が水平性のVORに比べて大がかりになるので、あまり調べられていないが、ゲインは一般的に水平性VORのゲインより低い。位相差はゲインが高いところでは0o付近であり、ゲインが下がるにつれて進みが大きくなる(1,3)。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
3.　VOR のゲインの適応&lt;br /&gt;
　VORは、頭が動いた時に生じる網膜上の像のブレをなくすように、頭の動きを補正するように働く反射である。前庭器官には頭の動いた結果の情報は入ってこないので、フェードフォーワード(前向き制御)の反射ということになる。これに対して、前庭小脳の片葉が、前庭器官から前庭核に送る信号を傍受するとともに、眼球運動の結果生じたものの見え方の変化をもとに、VORを中継する前庭核への抑制を変えることで、ゲインを短期間の間に調節することができる(1,4,9)。&lt;br /&gt;
VORの視覚を組み合わせたトレーニングを数時間行なうと、ゲインに適応(adaptation)が生じる。VORのゲインは、VORが誘発された時にエラーが十分生じるような状況、つまり外界がぶれて見える（retinal slipが生じる）ことが持続すると変化する。ヒト、サル、ネコでは、拡大レンズを装着させて回転台を正弦波状に回転させる訓練を数時間程度行うと、水平性VORのゲインが20～50%程度増加する。一方、縮小レンズや左右逆転プリズムで同様のトレーニングをするとゲインは減少する。また、メガネやプリズムのかわりに、回転台の周りにドラム様のスクリーンを張り、回転台と同期して振動させてトレーニングする方法も有効である。台とスクリーンが反対方向に同じ振幅で動く場合はゲインが増加し、台とスクリーンが同方向に動く場合はゲインが減少する。ウサギのVORゲインの適応を図3Aに示す。このようなVORゲインの変化は、24時間以内に回復するので、短期の適応である(5)。さらに数日間持続的にレンズやプリズムを装着させて訓練を行うと、長期の適応が生じ、ゲインは長期間にわたり大きく変化する(6)。一般的に、逆転プリズムや拡大レンズを用いたトレーニングでゲインが変化しても、位相差はあまり変化しない。例えば、逆転プリズムを長期間装着したときに、ゲインは数日で変化するが、位相差は1～3週にわたり持続的に装着しないと変化しない。&lt;br /&gt;
VORの適応は、脳によるゲインの運動学習の実験モデルとして広く研究されてきている。VORのゲインの適応に前庭小脳の片葉が不可欠であることが、1970年台から様々な実験結果により示されている（図3B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、前庭神経節もしくは前庭神経核由来の信号が平行線維を介して伝えられる。また適応が起きるのに必要なretinal slipの情報は、下オリーブ内側副核から登上線維によってH-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は、水平性のVORを中継する内側前庭核の神経細胞を直接抑制する。実際に適応が生じたときにH-ゾーンのプルキンエ細胞を観察すると、適応と同方向の神経活動が見られる。さらに、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率は、同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり抑制される(長期抑圧)ことが証明されている。これらをもとに、長期抑圧がVORのゲインの適応の原因であるという考え方（片葉仮説）が、伊藤正男（東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問）により提案されている(図3C)。この仮説は30年前に提案され、これまで薬理学や遺伝子ノックアウトマウスなど様々な実験から検証されてきたが、長期抑圧が1～数時間のトレーニングで生じるゲインの適応の原因の1つであることは確かであり、現在、他のメカニズムも関与するかどうかが議論されているところである(1,7,8, 9)。&lt;br /&gt;
適応に関する記憶が脳のどの部位に保持されていることが、神経組織の活動を薬物（局所麻酔剤）により遮断する方法で調べられている(5,6)。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶の痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応によって生じたゲインの変化は直ちに消去されるはずである。VORの適応の記憶の場については、ネコとアカゲザルで調べられており、1～2時間のトレーニングにより生じた適応の記憶は片葉に保持されているが、それ以前のトレーニングによって生じた長期の適応の記憶は前庭核に保持されていることが示唆されている（図3C）。この現象は適応の記憶痕跡のシナプス間移動と呼ばれるが、前庭神経核に長期記憶痕跡ができるメカニズムは現在のところよく知られていない。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
４. 臨床におけるVOR&lt;br /&gt;
 　ヒトでは、VORの検査にゲインの測定よりも、カロリックテストと呼ばれる方法がひろく用いられる（図4）。頭を60度後方に傾けた状態にして水平半規管がほぼ垂直になるようにして、一側の外耳道に温水を注入すると、中耳腔と側頭骨の温度差で生じる外リンパ液の対流によって注入側の水平半規管の有毛細胞が脱分極し、対側に向かう水平性VORが誘発される。眼球がある程度対側に偏位すると、リセットの急速な眼球運動が生じ、眼球はもとの位置にもどり、再び対側に向かう水平性VORが誘発される。このようにslowのVOR(緩徐相)とquickの眼球運動(急速相)が繰り返し生じる現象を前庭性眼振(vestibular nystagmus)と呼ぶ。冷水を注入すると、緩徐相と急速相の方向はそれぞれ逆転する。この温度眼振は1914年にNobel医学賞を受賞したバラニー(Robert Bàràny, 1876-1936)によって発見され、末梢性前庭機能の検査方法として臨床的に広く用いられている。1983年にNASAのスペースシャトルで、無重力状態でも、地上と同様な温度眼振が誘発されることが実験的に示された。重力のないところでは対流は生じにくいので、それ以外のメカニズムにも関与するようであるが、それについてはよくわかってはいない。前庭性眼振には、カロリックテストで誘発されるような生理的眼振と、メニエル病のような一側性前庭機能障害によって生じるような病的な自発性の眼振がある。カロリックテストを含む眼振の検査はめまいの診断に用いられる。&lt;br /&gt;
　前庭器官の有毛細胞は加齢や疾病により損傷を受けると考えられるが、VORのゲインは一生を通じてあまり変化を受けない。またメニエル病や突発性難聴に伴う前庭の機能障害により生じる前庭性眼振は短期間でかなり回復する。このような過程にも片葉によるVORのゲインの調節のメカニズムが関与していることが想定されている。片葉によりVORが制御されることで、前庭系の眼球反射は生涯を通じて比較的安定して機能すると考えられる。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp)&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献&lt;br /&gt;
1. Ito M, The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984.&lt;br /&gt;
2. 篠田義一.　眼球運動の生理学.　眼球運動の神経学（小松崎、篠田、丸尾編）,医学書院，東京、1985．&lt;br /&gt;
3. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983.&lt;br /&gt;
4. Ito M, Nagao S: Comp Biochem Physiol 98C: 221-228, 1991.&lt;br /&gt;
5. Nagao S, Kitazawa H: Neuroscience 118: 563-570, 2003.  &lt;br /&gt;
6. Anzai M, et al.: Neurosci Res　68: 191-198, 2010.&lt;br /&gt;
7. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758，2000.&lt;br /&gt;
8. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011.&lt;br /&gt;
9. 永雄総一, 山崎匡: 生体の科学 63: 3-10, 2012.&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（永雄総一、理研・脳センター・運動学習制御研究チーム）&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%80%A7%E7%9C%BC%E6%8C%AF&amp;diff=9209</id>
		<title>視覚運動性眼振</title>
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		<updated>2012-05-26T04:38:28Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;Optokinetic nystagmus &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
要約：外界が大きく動く時、例えば、電車中でぼんやりと車窓から景色を眺めている時には、流れていく風景を追うよう遅い眼球運動(緩徐相)と、リセットのための緩徐相とは逆向きの速い眼球運動(急速相)が繰り返される。これを視(覚)運動性眼振（Optokinetic nystagmus）と呼ぶ。視運動性眼振の緩徐相の眼球運動は、周辺視による視機性眼球反応（optokinetic response, OKR）に起因する。視機性眼球反応は、網膜上の像が外界の動きによってブレないように作用する眼球運動であり、前庭動眼反射とともに姿勢保持に重要な役割を演じている。霊長類では、網膜の中心窩に対象を捉えてものを固視する（中心視）のための滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)が発達している。ヒトやサルの視運動性眼振の一部はこの滑動性追跡眼球運動に起因する。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
1．視機性眼球反応（OKR）の神経回路と動特性視機性眼球反応(OKR)とは、動物のまわりの視野が動く時に、網膜に写る外界の像がブレないように眼が動く反射である。OKRを誘発するのは、網膜上に像の滑り（retinal slip）が生じることであり、眼が動くことによってretinal slipはキャンセルもしくは減少する。従って、OKRはネガテイブフィードバック制御の反射である。OKRはすべての動物種に見られる。実験的にOKRを誘発するには、動物の眼前に、コントラストが明瞭な縦縞もしくはチェック模様のドラム状の大きなスクリーンをおき、それを一方向もしくは正弦波状に回転させる(1,2)。周辺視しかない単眼視の動物種(魚類、鳥類、マウス、ラットやウサギ)では、スクリーンをゆっくりと動かした時に、それを追従するようにOKRが誘発される。ところが両眼視で中心視の発達しているサルやヒトなどの霊長類では、固視の機能があるので、ただ単に単純な模様のスクリーンを廻してもOKRはほとんど誘発されない。ヒトやサルでこのような方法でOKRが観察されるのは、固視機能があまり発達していない幼弱期か、あるいは特定の視標に注視していない時、例えば電車に乗ってぼんやりと外を眺めている時である。 OKRを起こす刺激となる外界の大きな動きは網膜の視細胞に感知され、その情報は視神経により対側の視蓋前域にある視索路核(nucleus of optic tract)に伝わる。視索路核は脳幹の橋被蓋網様核（nucleus reticularis tegmenti pontis、NRTP）に投射し、NRTPは対側（従って刺激された眼球とは同側）の前庭神経核の前庭動眼反射を中継する神経細胞群に投射する。　明るいところで頭を回転したとき、前庭動眼反射により、頭の回転を補正する方向に眼が動くが、前庭動眼反射だけでは、頭の回転を完全に補償することができないので、retinal slipが生じる。するとそのretinal slipを打ち消すようにOKRが働き、結果として頭の動きを完全に補償だけ眼が動き視野はぶれずにすむ。このようにOKRと前庭動眼反射は機能的に強く関連している。これに対応して、OKRと前庭動眼反射は脳幹や小脳の神経回路を共有する(3,4,5)。 NOTやNRTPの神経細胞は対側の眼球上で、スクリーンが鼻から耳の方向（naso-temporal）に動く時には反応するが、逆の方向（temporo-nasal）に動く時はあまり反応しない。従ってOKRにも方向選択性があり、単眼にスクリーンの回転刺激を提示した時に、鼻―耳方向に誘発されるOKRに比べて、耳―鼻方向に誘発されるOKRははるかに小さい。一方、垂直方向のOKRには、水平性のOKRで見られるような方向選択性はない(5)。　OKR の動特性を調べるには、縞もしくがパターン模様のスクリーンを眼前におき、それを正弦波状に動かし、誘発される眼球運動をテレビカメラもしくはサーチコイルで記録する方法を用いる(図1A)。誘発された眼球運動の位置もしくは速度のトレースを算出し、スクリーンの動きと比較することで、OKRの利得（ゲイン）と位相差を算出する(図1B)。図1Cにマウスと黒眼のウサギのOKRのゲインと位相差を示す。通常比較的遅い周波数のスクリーンの回転に対してはゲインほぼ一定であり、周波数が大きくなるとゲインは低下する。位相差は、ゲインが一定のところではほぼ0oであるが、ゲインが下がるにつれて遅れが増加する。これらは、閉ループのOKRの動特性である。開ループゲイン測は、一側の外眼筋を支配する神経を局所麻酔し眼球を不動化しその眼にのみ視覚刺激を提示しながら、視覚刺激を遮断した対側の眼球で誘発されるOKRを記録するか、あるいは通常の方法でOKRを誘発しながら、眼の動きを高速で記録しretinal slipが実質0となるようにスクリーンの動きを調節する（stabilized retinal image）することで計測されている。OKRの開ループゲインは100程度である(5)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図1_OKN.jpg|300px|図１．マウスを対象とした視機性眼球反応（OKR）の誘発と赤外線カメラを用いた測定システム。（A） マウスを円筒状の縞模様(ドットパターン)スクリーンの中に置き、頭を固定する。スクリーンを正弦波状に回転させたときに誘発される眼球運動を赤外線テレビカメラで記録し、瞳孔の中心の位置を計測する。（B）OKRのゲインと位相差の算出法。計測された眼球運動とスクリーンの動きとを比較し、ゲインと位相差(時間、もしくは1周期360度として角度に換算)を算出する。（C）マウスの水平性OKRの位相差とゲイン。(2)を改変。（D）黒眼ウサギの水平性OKRの位相差とゲイン。(1)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
２.小脳片葉によるOKRゲインの適応調節　OKRは、ゆっくりとした外界の動きにはよく追従できるので、それだけでretinal slipを十分少なくすることができるが、速い動きゲインはかなり低くなり、生じたretinal slipをネガテイブフイードバックの機構では十分に補正することができない。そこで小脳によるフィードフォーワード制御のメカニズムが必要となる。図2Aはマウスの例であるが、高速度で正弦波状に眼前のスクリーンを振動させことを1時間持続的に行うと適応が生じ、OKRゲインが増加する。同様なOKRの適応によるゲインの増加は、魚、鳥やウサギでも報告されている。このような1時間のトレーニングで生じるゲインの増加は通常24時間で回復するので短期の適応である。さらに、毎日1時間のOKRの訓練を1週間続けると、各日の訓練前のOKRゲインが徐々に上昇する。この長期間の訓練によるゲインの増加は、訓練終了後も2週間程度持続するので長期の適応である。小脳片葉が短期の適応に不可欠であることが、前庭動眼反射と同様にOKRでも様々な実験結果により確認されている（図2B）。片葉のH-ゾーンと呼ばれる領域のプルキンエ細胞には、平行線維を介してOKRを引き起こすのに必要な視覚情報が伝えられる。また適応に必要なretinal slipの情報は、登上線維を介して下オリーブ核（正中副オリーブ）背側帽(dorsal cap)から、H-ゾーンのプルキンエ細胞に伝えられる。一方、H-ゾーンのプルキンエ細胞は前庭動眼反射を中継する前庭神経核の神経細胞に投射する。長期抑圧とは、平行線維―プルキンエ細胞のシナプスの伝達効率が同じプルキンエ細胞に入力する登上線維の信号によって長期間にわたり減弱されるという可塑性であり、伊藤正男(東京大学名誉教授、理化学研究所特別顧問)らによって1982年に発見された。この長期抑圧が原因となって、片葉による前庭動眼反射とOKRのゲインの適応が生じるという仮説を片葉仮説と呼ぶ。片葉仮説は、片葉や下オリーブ核の破壊実験、薬理学や遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験、片葉の神経活動の記録実験や計算論によるシミュレーションの研究により支持されている(3,4,6)。ところで、適応のような運動学習の結果は、脳の記憶としてある程度保持され利用されるはずである。記憶のもとになる神経の変化を記憶痕跡(memory trace)と呼ぶ。このOKRの適応の記憶痕跡が脳のどの部位に保持されているかが、神経組織の活動を局所麻酔剤で遮断する方法により調べられている。もし神経活動が遮断された脳部位に記憶痕跡が存在するならば、遮断により記憶が消され、適応は直ちに消去されるはずである。実験の結果は、前庭動眼反射の場合と同様に、数時間のトレーニングで生じた短期の適応の記憶の痕跡は片葉に保持されているのに対して、数日間の長期の適応の記憶の痕跡は片葉の出力先の前庭神経核に保持されていることを示唆する(図2B)。このようにトレーニングを繰り返し行うことで、OKRの適応の記憶痕跡がプルキンエ細胞からシナプスを越えて前庭神経核に移動することになるが、これがどのようなメカニズムによるものかはよく知られていない(7,8)。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図2_OKN.jpg|300px|図2．OKRのゲインの適応。（A）OKRの短期と長期のゲインの適応。マウスに1日1時間の周期0.16Hz、振幅15度の正弦波状スクリーンの回転によるトレーニングを連続して5日間行ったときのOKRのゲインの変化。○は毎日のトレーニングの前のゲイン、●は1時間のトレーニング後のゲイン。トレーニング時以外はマウスを暗所飼育した。5日間のトレーニング後、マウスを通常の飼育(明、12時間；暗、12時間)に戻し、OKRのゲインの回復を2週間ほど調べた。右は、同じマウスの1日目と3,　4、6日目のOKRの平均とレース。**, P &amp;lt; 0.01; *, P &amp;lt;0.1 (paired t-test).（B）小脳片葉によるOKRの適応制御機構。適応の短期の記憶痕跡は小脳片葉に形成されるが、長期の記憶は前庭神経核に保持される。(7)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
３．視運動性眼振(OKN)とOKR 前庭や視覚の機能の検査に、ドラム状の縞模様のスクリーンを定加速度かつ定方向にまわすことで誘発されるOKNが用いられる。OKNは、1820年に、小脳のプルキンエ細胞の命名者であるJ. E. Purkinje (1787－1869) によって初めて記載された。 図3AにウサギとヒトのOKNの例を示す。OKNでは、遅い眼球運動と速い眼球運動が規則的に繰り返される。遅い眼球運動は、OKRと同じくスクリーンの回転と同方向に生じ、緩徐相（slow phase）と呼ばれる。一方、スクリーンの回転と逆方向に生じる速い眼球運動は、急速相（fast phase）と呼ばれる。ウサギでは、スクリーンの回転開始からかなり遅れてOKNの緩徐相が出現し、やがて一定速度に達する。その速度はスクリーンの速度に比べてかなり小さい。一方、ヒトやサルでは、緩徐相はスクリーンが回転を始めると急速に立ち上がり、そのあと数秒かけて徐々に増加しやがてスクリーンの回転速度にほぼ等しくなる。一方、OKNの緩徐相がスクリーンの回転速度に達した段階でスクリーンの回転を止めてまっ暗にすると、視運動性後眼振(optokinetic after nystagmus, OKAN) が生じる（図3B）。ヒトやサルのOKANの緩徐相の速度とその減衰の時間経過は、ウサギのOKANの緩徐相のそれらに似ている 。一方、ウサギで観察されるOKNの緩徐相には、サルやヒトで見られる速い立ち上がりの成分はなく、OKANの緩徐相と同じような遅い成分しかない。そこで、ヒトやサルのOKNの緩徐相のうちの数秒の時間経過で立ち上がる遅い部分とOKANの緩徐相が、OKRによるものと考えられる。ヒトやサルのOKNの緩徐相の立ち上がりの速い成分はOKRではなく、むしろに随意運動の滑動性追跡眼球運動に由来するようである（図3C）。サルでは両側の前庭器官を破壊するとOKANが完全に消失し、ヒトでも両側の迷路障害でOKANが障害される。ヒトで網膜の中心部の損傷により滑動性追跡眼球運動が障害されても、遅い成分のOKNは誘発される。これらの所見は、ヒトやサルの立ち上がりの遅いOKNの緩徐相 = OKANの緩徐相 = OKRという考え方を支持する(10)。ヒトのサルでは、眼前に提示した比較的大きなパターンをステップランプ状に動かす時に、サッケード眼球運動に引き続いてランプ状のパターンの動きに依存したドリフト状の遅い眼球運動が誘発される。この眼球運動は追従性眼球運動反応(ocular following response, OFR)と呼ばれる。OFRは前述の立ち上がりの速いOKNの緩徐相に相当するようであるが、その発現には大脳皮質視覚連合野MT野や橋核、小脳腹側傍片葉が関与する。滑動性追跡眼球運動には大脳皮質の前頭眼野や頭頂連合野に由来するものがあり、OFRはそのうちの頭頂連合野に由来するものと考えられる。 &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
[[Image:図3_OKN_rev.jpg|300px|図3．視運動性眼振（OKN）の特徴。（A）ウサギの周りのドラム状のスクリーンを左方向に定加速度（1o/s2）で回転させると、ウサギの左眼には、回転と同じ方向の緩徐相と、逆の方向の急速相が生じる。緩徐相が一定の速度に達するには時間がかかり、かつその最高速度はスクリーンの回転速度に比べて小さい。（B）Aと同様の実験をヒト(ドラムの加速度、1o/s2)で行なったときに観察されるOKN。ウサギの時に比べて、OKNはすぐに立ち上がり、そのあとやや遅れてスクリーンの速度と同じ速度に達する。（C）OKNとOKANの速度の時間経過をヒト、サル、ネコ,ウサギで比べたもの。AとBは(10)を改変。Cは (9)を改変。]]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
（永雄総一、　理化学研究所・脳科学総合研究センター・運動学習制御研究チーム） &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&amp;lt;br&amp;gt;関連項目：視運動性眼振、小脳の神経回路、小脳によるタイミング制御、瞬膜反射の条件付け、小脳プラットフォーム(http://cerebellum.neuroinf.jp) &lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
参考文献 1. Nagao S: Exp Brain Res 53: 36-46, 1983. 2. Shutoh F et al.: Neurosci Res 42: 141-145, 2002. 3. Ito M: The cerebellum and neural control. Raven, New York, 1984. 4. Ito M: The cerebellum: Brain for an implicit self. FT Press, New York, 2011. 5. Collewijn H: The oculomotor system of the rabbit and plasticity. Springer, Berlin Heidelberg New York, 1981 6. 永雄総一: 神経研究の進歩 44:748-758, 2000. 7. Shutoh F et al.: Neuroscience 139: 767-777, 2006. 8. 永雄総一：生体の科学 63: 34-41, 2012. 9. 篠田義一: 視運動性眼振の動特性と神経機構. 眼球運動の生理学（小松崎, 篠田,丸尾編）医学書院，東京, 1985． 10. 時田喬: 眼振の生理と検査.　金原出版, 東京, 1973.&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B33_OKN_rev.jpg&amp;diff=9208</id>
		<title>ファイル:図3 OKN rev.jpg</title>
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		<updated>2012-05-26T04:20:24Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B32_OKN.jpg&amp;diff=9207</id>
		<title>ファイル:図2 OKN.jpg</title>
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		<updated>2012-05-26T04:20:07Z</updated>

		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
	<entry>
		<id>https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%9B%B31_OKN.jpg&amp;diff=9206</id>
		<title>ファイル:図1 OKN.jpg</title>
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		<summary type="html">&lt;p&gt;Soichinagao: &lt;/p&gt;
&lt;hr /&gt;
&lt;div&gt;&lt;/div&gt;</summary>
		<author><name>Soichinagao</name></author>
	</entry>
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