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脳科学辞典 - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-03-28T12:57:55Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.39.6
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%89%8D%E9%A0%AD%E8%91%89&diff=30599
トーク:前頭葉
2015-06-26T07:48:42Z
<p>Keiji: ページの作成:「担当編集委員の田中啓治です。素晴らしい原稿を有難うございました。前頭前野の節の「容易に感覚刺激によって集中が削...」</p>
<hr />
<div>担当編集委員の田中啓治です。素晴らしい原稿を有難うございました。[[前頭前野]]の節の「容易に感覚刺激によって集中が削がれたりする」という文について、何により何への集中が削がれるかより明確にしていただくと良いと思いました。例えば、「**への集中」と足していただくなどです。(2015年6月26日 田中啓治)</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24611
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2014-01-14T08:46:22Z
<p>Keiji: /* 編集 田中 作業記録 */</p>
<hr />
<div>==編集 林 作業記録 ==<br />
<br />
*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
<br />
渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
<br />
--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
<br />
==編集 田中 作業記録 ==<br />
<br />
横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日<br />
<br />
==編集 林 作業記録2==<br />
*追加記述部分にリンク作成。<br />
<br />
--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] ([[利用者・トーク:WikiSysop|トーク]]) 2013年7月7日 (日) 11:48 (JST)<br />
<br />
<br />
==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 対応が遅くなり済みません。恐縮ですが、記述の明確化のため本文を直接直させていただきました。適当かどうかチェックください。不適当であったら元に戻すか、さらに修正するかしてください。図において抑制性非錐体細胞が非錐体細胞とだけ書かれていますが、抑制性非錐体細胞と書く必要があると思います。同意いただければ図を修正ください。<br />
<br />
2014年1月13日<br />
<br />
==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 ご苦労様でした。編集部で図を入れ替えてください。<br />
<br />
2014年1月14日</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24535
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T13:18:29Z
<p>Keiji: /* 編集 田中 作業記録 */</p>
<hr />
<div>==編集 林 作業記録 ==<br />
<br />
*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
<br />
渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
<br />
==編集 田中 作業記録 ==<br />
<br />
横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日<br />
<br />
==編集 林 作業記録2==<br />
*追加記述部分にリンク作成。<br />
<br />
--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] ([[利用者・トーク:WikiSysop|トーク]]) 2013年7月7日 (日) 11:48 (JST)<br />
<br />
<br />
==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 対応が遅くなり済みません。恐縮ですが、記述の明確化のため本文を直接直させていただきました。適当かどうかチェックください。不適当であったら元に戻すか、さらに修正するかしてください。図において抑制性非錐体細胞が非錐体細胞とだけ書かれていますが、抑制性非錐体細胞と書く必要があると思います。同意いただければ図を修正ください。<br />
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2014年1月13日</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24534
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T13:17:55Z
<p>Keiji: /* 編集 田中 作業記録 */</p>
<hr />
<div>==編集 林 作業記録 ==<br />
<br />
*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
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渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
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==編集 田中 作業記録 ==<br />
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横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日<br />
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==編集 林 作業記録2==<br />
*追加記述部分にリンク作成。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] ([[利用者・トーク:WikiSysop|トーク]]) 2013年7月7日 (日) 11:48 (JST)<br />
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==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 対応が遅くなり済みません。恐縮ですが、記述の明確化のため本文を直接直させていただきました。適当かどうかチェックください。不適当であったら元に戻すか、さらに修正するかしてください。図において抑制性非錐体細胞が非錐体細胞とだけ書かれていますが、抑制性非錐体細胞と書く必要があると思います。同意いただければ図を修正ください。<br />
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2014年1月13日</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24533
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T13:17:34Z
<p>Keiji: /* 編集 林 作業記録 */</p>
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<div>==編集 林 作業記録 ==<br />
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*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
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渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
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==編集 田中 作業記録 ==<br />
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横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日<br />
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==編集 林 作業記録2==<br />
*追加記述部分にリンク作成。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] ([[利用者・トーク:WikiSysop|トーク]]) 2013年7月7日 (日) 11:48 (JST)<br />
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==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 対応が遅くなり済みません。恐縮ですが、記述の明確化のため本文を直接直させていただきました。適当かどうかチェックください。不適当であったら元に戻すか、さらに修正するかしてください。図において抑制性非錐体細胞が非錐体細胞とだけ書かれていますが、抑制性非錐体細胞と書く必要があると思います。同意いただければ図を修正ください。</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24532
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T13:16:58Z
<p>Keiji: /* 編集 林 作業記録2 */</p>
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<div>==編集 林 作業記録 ==<br />
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*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
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渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
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横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日<br />
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==編集 林 作業記録2==<br />
*追加記述部分にリンク作成。<br />
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--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] ([[利用者・トーク:WikiSysop|トーク]]) 2013年7月7日 (日) 11:48 (JST)<br />
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==編集 田中 作業記録==<br />
窪田先生 対応が遅くなり済みません。恐縮ですが、記述の明確化のため本文を直接直させていただきました。適当かどうかチェックください。不適当であったら元に戻すか、さらに修正するかしてください。図において抑制性非錐体細胞が非錐体細胞とだけ書かれていますが、抑制性非錐体細胞と書く必要があると思います。同意いただければ図を修正ください。</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:Keiji&diff=24531
利用者・トーク:Keiji
2014-01-13T13:12:17Z
<p>Keiji: ページの白紙化</p>
<hr />
<div></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:Keiji&diff=24530
利用者・トーク:Keiji
2014-01-13T13:11:44Z
<p>Keiji: ページの作成:「窪田先生 査読が遅くなって誠に済みません。」</p>
<hr />
<div>窪田先生<br />
<br />
査読が遅くなって誠に済みません。</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24528
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T13:05:44Z
<p>Keiji: /* シナプス結合選択性 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御する(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプは [[バスケット細胞]]であり、fast spiking (FS)型の発火様式を示す。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の細胞体近位部に抑制性シナプスを形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
バスケット細胞だけでなくもう一つの抑制性非錐体細胞サブタイプである[[シャンデリア細胞]]もFS型発火様式を示す。シャンデリア細胞の数は少ない。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を強く制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。結合のターゲットには錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でもよく調べられている<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。この結果から、皮質領域内に機能しない部位ができた際にすぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割を水平軸索が持つとの考えが提唱されている。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内の錐体細胞のうち軸索側枝により直接結合している細胞同士は、直接結合していない細胞同士より、共通の4層興奮性神経細胞からの興奮入力をより多く受ける傾向がある。一方、5層から2/3層内の錐体細胞への興奮性入力や4層から2/3層内の錐体細胞への抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には層やターゲットの細胞タイプによる選択性がある一方、抑制性細胞は周辺の細胞にランダムに結合していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24527
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:55:03Z
<p>Keiji: /* 水平軸索結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御する(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプは [[バスケット細胞]]であり、fast spiking (FS)型の発火様式を示す。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の細胞体近位部に抑制性シナプスを形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
バスケット細胞だけでなくもう一つの抑制性非錐体細胞サブタイプである[[シャンデリア細胞]]もFS型発火様式を示す。シャンデリア細胞の数は少ない。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を強く制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。結合のターゲットには錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でもよく調べられている<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。この結果から、皮質領域内に機能しない部位ができた際にすぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割を水平軸索が持つとの考えが提唱されている。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24526
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:50:18Z
<p>Keiji: /* 水平軸索結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
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[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
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== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御する(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプは [[バスケット細胞]]であり、fast spiking (FS)型の発火様式を示す。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の細胞体近位部に抑制性シナプスを形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
バスケット細胞だけでなくもう一つの抑制性非錐体細胞サブタイプである[[シャンデリア細胞]]もFS型発火様式を示す。シャンデリア細胞の数は少ない。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を強く制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。結合のターゲットには錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でもよく調べられている<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24525
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:48:54Z
<p>Keiji: /* 抑制性結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御する(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプは [[バスケット細胞]]であり、fast spiking (FS)型の発火様式を示す。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の細胞体近位部に抑制性シナプスを形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
バスケット細胞だけでなくもう一つの抑制性非錐体細胞サブタイプである[[シャンデリア細胞]]もFS型発火様式を示す。シャンデリア細胞の数は少ない。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を強く制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3番目に多い抑制性非錐体細胞のサブタイプは[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。結合のターゲットには錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
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== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24524
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:32:39Z
<p>Keiji: /* 抑制性結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の細胞体近位部に抑制性シナプスを形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24523
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:27:17Z
<p>Keiji: /* 局所神経回路の構造 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性非錐体細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24522
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:24:37Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、4層の興奮生細胞から2/3層の細胞へシナプス結合があり、また4層の興奮性細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに4層の興奮性細胞は6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を作り、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞にもシナプス結合する事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭葉の大脳皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、視床由来神経線維の神経末端の皮質内分布と皮質細胞への結合様式が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭葉では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維の神経末端が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24521
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:09:35Z
<p>Keiji: /* 興奮性結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2はサルの第一次視覚野で明らかにされた層間での結合様式を示す。と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24520
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T12:03:26Z
<p>Keiji: /* 興奮性結合 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合の中では、錐体細胞間のシナプス結合と、視床からの求心性神経線維から錐体細胞へのシナプス結合の性質が比較的良く知られている。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24519
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:59:50Z
<p>Keiji: /* 局所神経回路の構造 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制性細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合う。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24518
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:57:57Z
<p>Keiji: /* 局所神経回路の構造 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性細胞が抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する。抑制性細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]の異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの抑制生細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24517
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:51:33Z
<p>Keiji: /* 局所神経回路の構造 */</p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、主に[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])である。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。<br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
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== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24516
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:49:13Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、ひとつのミニ円柱構造の中に、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。数百個のミニ円柱が集まり、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだミニ円柱構造と機能円柱構造との間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24515
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:43:20Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に向かって伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞で構成され、横方向に23μmの幅を持つ)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、このミニ円柱構造は、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだこの機能円柱構造とミニ円柱構造の間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24514
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:38:32Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成される大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞、互いに23μm間隔をおいて並列的に分布)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、このミニ円柱構造は、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだこの機能円柱構造とミニ円柱構造の間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24513
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:37:49Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成されるミニ円柱構造と呼ばれる最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成されると言われている大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞、互いに23μm間隔をおいて並列的に分布)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、このミニ円柱構造は、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだこの機能円柱構造とミニ円柱構造の間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24512
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:35:55Z
<p>Keiji: </p>
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<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、80個程度の[[神経細胞]]で構成される最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成されると言われている大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞、互いに23μm間隔をおいて並列的に分布)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、このミニ円柱構造は、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだこの機能円柱構造とミニ円柱構造の間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=24511
大脳皮質の局所神経回路
2014-01-13T11:34:57Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><div align="right"> <br />
<font size="+1">[http://researchmap.jp/yoshiyukikubota 窪田芳之]、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口泰雄]</font><br><br />
''自然科学研究機構 生理学研究所 大[[脳神経]]回路論研究部門''<br><br />
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br><br />
担当編集委員:[http://www.phy.med.kyoto-u.ac.jp/dw.html 渡辺 大](京都大学大学院 生命科学研究科認知情報学講座・医学研究科生体情報科学講座)<br><br />
</div><br />
<br />
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3-1.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>LS: late spiking, FS: fast spiking, RS/BSNP: regular spiking/burst spiking, CCK: コレシストキニン]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]] <br />
<br />
英語名:cortical local microcircuit <br />
<br />
{{box|text=<br />
[[大脳皮質]]には、[[神経細胞]]が80個程度で構成される最小単位の局所神経回路があり、その単位神経回路が多数並列的に存在する事で、概算で神経細胞26億個<ref name="ref1"><pubmed>4165856</pubmed></ref>(ヒトの場合)により構成されると言われている大脳皮質の神経回路が作られている。 <br />
}}<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
大脳皮質の神経細胞の概要が、解剖学的に示されたのは百年余前の事である。[[wikipedia:Santiago Ramón y Cajal|Santiago Ramón y Cajal]]によって、[[ゴルジ染色]]法により神経細胞が染色され、[[wikipedia:ja:光学顕微鏡|光学顕微鏡]]による観察とスケッチで、長く脳表面に伸展する特徴的な尖端[[樹状突起]](apical dendrite)を持つ[[錐体細胞]](pyramidal cell)や、比較的小さい非錐体細胞(nonpyramidal cell)等が詳細に描画され、報告された。それらは、現在の大脳皮質局所神経回路研究の礎となっている。 <br />
<br />
== 局所神経回路ユニットと機能円柱 ==<br />
<br />
大脳皮質は、解剖学的に、縦方向に神経細胞が柱状に並んでおり<ref name="ref2"><pubmed>10805761</pubmed></ref>、ミニ円柱(minicolumn)構造(80個の神経細胞、互いに23μm間隔をおいて並列的に分布)と呼ばれている。横方向にこのミニ円柱構造が繰り返し分布している<ref name="ref3"><pubmed>22171052</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:サル|サル]]の大脳皮質の[[一次視覚野]]では、このミニ円柱構造は、18個の2/3層の錐体細胞、6個の5層の錐体細胞、10個の6層の錐体細胞の尖端樹状突起とその[[軸索]](axon)が束をなし、上述の錐体細胞を含んだ64個の興奮性の神経細胞(錐体細胞、[[Spiny stellate 細胞]]等)と16個の抑制性の非錐体細胞がその周りを取り囲む様に分布し、一種の機能的なユニット構造を構成していると考えられている<ref name="ref4"><pubmed>8822167</pubmed></ref>。それらが互いに[[シナプス]]結合で連絡し合いながら、良く似た形をした物体に視覚的に反応する幅約400 µmの[[機能円柱]](column)構造を形成していると考えられている<ref name="ref5"><pubmed>1448150</pubmed></ref>。ただし、まだこの機能円柱構造とミニ円柱構造の間の関係は明らかにはなっていない。 <br />
<br />
== 局所神経回路の構造 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[有棘星状細胞]]([[spiny stellate細胞]])や[[星状錐体細胞]]([[Star pyramid細胞]])等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。 <br />
<br />
== 興奮性結合 ==<br />
<br />
大脳皮質の局所神経回路の[[興奮性シナプス]]結合は、錐体細胞間にあるシナプス結合と、視床からの求心性神経線維が錐体細胞にシナプス結合するものに区分できる。 <br />
<br />
皮質の興奮性細胞間のシナプス結合様式は、近年、ペア電気生理記録法により詳細に検討され報告されている<ref name="ref10"><pubmed>12466210</pubmed></ref>。それによると、図2に示されたようなサルの皮質視覚野の層間での結合様式と同様に、4層から2/3層へシナプス結合がある。また、4層の細胞は他の4層の細胞とも結合が強い。さらに6層にも少ないながら結合している。2/3層の錐体細胞は、同じ層の中でシナプス結合を示す。さらに、5層の錐体細胞に最も強いシナプス結合で信号を送る。5層の錐体細胞は同じ層の錐体細胞と結合し、6層の錐体細胞にも信号を送る。6層の錐体細胞は、4層5層6層の錐体細胞に出力している事が報告されている。5層の錐体細胞間の結合特性はさらに解析が進んでいる。5層錐体細胞は、対側皮質へ投射するもの投射するもの(commissural cell; COM細胞)と橋核へ行くもの(corticopontine cell; CPn細胞)に分かれる。前頭皮質のCOM細胞には、対側[[線条体]]にも投射するもの(crossed-corticostriatal cell; CCS細胞)がある。5層錐体細胞投射サブタイプの間で、樹状突起形態や生理的性質が[[分化]]している(図4)。そしてこれらサブタイプの組み合わせで、それらの結合方向性、相互結合頻度、短期可塑性が異なっている。<ref name="ref11"><pubmed>16624959</pubmed></ref> <ref name="ref12"><pubmed>21753015</pubmed></ref> <ref name=ref013><pubmed>21389241</pubmed></ref> <ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref>。 <br />
<br />
一方、視床からの興奮性神経線維の結合解析に、[[視床皮質神経線維]]を選択的に発現する[[小胞型グルタミン酸トランスポーター]] Type 2 (VGLUT2)をマーカーとして使うことで、皮質内の視床由来神経線維入力分布が明らかとなった<ref name="ref14"><pubmed>12949784</pubmed></ref>。前頭皮質では、1層上部、4層、5層下部(5b層)に、より多くの視床皮質線維が分布している(図5)。その[[神経終末]]の大半は錐体細胞の[[棘突起]]に入力し、その棘突起の1割には[[抑制性シナプス]]が同時に入力し、視床からの興奮性信号を選択的に抑制すると考えられている<ref name=ref7 /> <ref><pubmed>23661763</pubmed></ref>。 <br />
<br />
== 抑制性結合 ==<br />
<br />
GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name=ref013 /> <ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref> <ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。 <br />
<br />
FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞全体のごく少数であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。 <br />
<br />
2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[マルチノッチ細胞]]([[Martinotti細胞]])である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。 <br />
<br />
3つめのサブタイプは、[[ダブルブーケ細胞]]([[Double bouquet細胞]])と呼ばれており、軸索がまとまって束となり[[白質]]方向に下降するのが特徴である。[[カルシウム]]結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。 <br />
<br />
Late spiking発火特性を持つのは、[[ニューログリアフォーム細胞]]([[Neurogliaform細胞]])である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。<br />
<br />
== 水平軸索結合 ==<br />
<br />
[[wj:ネコ|ネコ]]の[[一次視覚野]]の錐体細胞は、軸索を水平方向に0.5 – 3mm程のばし、そこで終末側枝を多数分岐している<ref name=ref22><pubmed>552600</pubmed></ref>。同様な水平軸索結合は、[[wj:サル|サル]]の下側頭回や<ref name=ref23><pubmed>8744437</pubmed></ref>、ネコの[[一次聴覚野]]でも見られる<ref name=ref24><pubmed>15145086</pubmed></ref>。この水平軸索は、最長で8mmまで走行する。ネコ1次視覚野では、この水平軸索結合は、同じ方向選択性を持つ機能円柱(orientation column)どうしをつなぐ役割を持っている<ref name=ref25><pubmed>1704130</pubmed></ref>。また、[[網膜]]の一部を壊すと、その視野に対応していた皮質部位は、一時的に視覚刺激応答しなくなる。しかし、しばらくすると、それまでは[[閾値]]以下の興奮しか起こせなかった周囲の正常部位にある錐体細胞の水平軸索からの入力が強化され、視覚応答するようになる<ref name=ref26><pubmed>7596409</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>8570604</pubmed></ref>。このように、水平軸索は、いわば、機能しなくなる部位ができた際、すぐに代償の信号ルートを作る為の予備的な回路の役割をもっているといえる。<br />
<br />
== シナプス結合選択性 ==<br />
<br />
大脳新皮質2/3層内で結合している錐体細胞は、4層興奮性神経細胞から共通入力を多く受ける一方、5層からの興奮性入力や4層からの抑制性入力に関しては、このような選択的な入力パターンは見られない<ref name=ref28><pubmed>15729343</pubmed></ref>。さらに、抑制性細胞サブタイプであるパルブアルブミン陽性のFS細胞やソマトスタチン陽性の[[マルチノッティ細胞]]では、周囲にある錐体細胞を選択性なく神経支配している事が知られている<ref name=ref29><pubmed>21435562</pubmed></ref> <ref name=ref30><pubmed>21917809</pubmed></ref>。錐体細胞からの興奮性結合の一部には、層やターゲットのニューロンタイプによって選択性がある一方で抑制性細胞はランダムに出力していると考えられる。<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
<br />
<references /></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=16160
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2012-12-07T03:29:32Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>== &nbsp;編集 林 作業記録 ==<br />
<br />
*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
<br />
渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
<br />
--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
<br />
横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治 2012年12月7日</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF:%E5%A4%A7%E8%84%B3%E7%9A%AE%E8%B3%AA%E3%81%AE%E5%B1%80%E6%89%80%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%9B%9E%E8%B7%AF&diff=16159
トーク:大脳皮質の局所神経回路
2012-12-07T03:28:49Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>== &nbsp;編集 林 作業記録 ==<br />
<br />
*図の説明を御願い致します。<br />
*統一の為、用語をなるべく日本語として頂けると幸いです。本文中に記してあります。<br />
*内部リンク、外部リンク作成致しました。<br />
<br />
渡辺先生、査読をお願い致します。<br />
<br />
--[[利用者:WikiSysop|Yasunori Hayashi]] 2012年6月23日 (土) 00:23 (JST)<br />
<br />
横から失礼します。大脳皮質の局所神経回路としては錐体細胞軸索側枝による水平結合もよく話題に上る要素だと思います。これについての記述もあった方がよいと思いますが、いかがでしょうか。 田中啓治</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8:%E5%9F%B7%E7%AD%86%E6%96%B9%E6%B3%95&diff=421
脳科学辞典:執筆方法
2011-10-11T00:25:28Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><span style="display: none;" id="1315545379074S">&nbsp;</span> <br />
<br />
== 用語 ==<br />
<br />
編集部より、担当用語、担当編集委員、パスワードを御知らせ致します. <br />
<br />
== 事前準備 ==<br />
<br />
*サイトにアクセスして、ログインします<br />
<br />
[[Image:Login.jpg|center|640px|Login.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*御知せした利用者名、パスワードを入力して「ログイン」ボタンを押します。<br />
<br />
[[Image:Login2.jpg|center|640px|Login2.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*依頼された担当用語を検索ボックスに入力して検索して下さい.無い場合は新しく作成して下さい.<br />
<br />
*「ウォッチ」をクリックします(例:用語DDのページ担当の場合)。コンピューター環境により「ウォッチ」が見えない時には「履歴表示」の下向きの右の三角形を押すと出てきます.これにより、右上の「ウオッチリスト』を押すと頁が編集されれば表示出来る様になります.<br />
<br />
[[Image:Addwatchlist.jpg|center|640px|Addwatchlist.jpg]] <br />
<br />
<br> <br> <br />
<br />
== 執筆中のページ保存と査読依頼の出し方 ==<br />
<br />
*担当用語ページの「作成」をクリックして、用語解説の執筆を行います。[[Help:テキストの書き方|テキストの書き方]]、[[Help:図の入れ方|図の入れ方]]、[[Help:動画の入れ方|動画の入れ方]]をご参照下さい.Textricheditorの利用をお勧めします(テキストの書き方参照)。<br />
<br />
*最初の行に用語の英語名を書いてください。必要に応じて英語の略語名も書いてください。例 英語名:Green fluoscent protein 英語略語名:GFP<br />
<br />
*最後の行に執筆者名と担当編集委員名を括弧に入れて書いてください。例 (執筆者:佐藤太郎、担当編集委員:鈴木次郎)<br />
<br />
[[Image:Writing.jpg|center|640px|Writing.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆中のページを(査読依頼を発行しないで)一時保存するには、画面下の「これは細部の編集です」にチェックを付けて「ページを保存」をクリックします。<br />
<br />
[[Image:Minor.jpg|center|640px|Minor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆を完了して査読依頼を出す場合は、「これは細部の編集です」をチェックせずに、「ページを保存」をクリックします。「編集内容の要約」欄に査読者へのメッセージを記入することができます。<br />
<br />
[[Image:Request-review.jpg|center|640px|Request-review.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*査読依頼を出しても返事が無い場合、編者の方でウオッチリストに加えるのを忘れている可能性があります.しばらく経っても返事が無い場合は、編集部bsd@brain.riken.jpにご連絡下さい.</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8:%E5%9F%B7%E7%AD%86%E6%96%B9%E6%B3%95&diff=420
脳科学辞典:執筆方法
2011-10-11T00:22:30Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><span style="display: none;" id="1315545379074S">&nbsp;</span> <br />
<br />
== 用語 ==<br />
<br />
編集部より、担当用語、担当編集委員、パスワードを御知らせ致します. <br />
<br />
== 事前準備 ==<br />
<br />
*サイトにアクセスして、ログインします<br />
<br />
[[Image:Login.jpg|center|640px|Login.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*御知せした利用者名、パスワードを入力して「ログイン」ボタンを押します。<br />
<br />
[[Image:Login2.jpg|center|640px|Login2.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*依頼された担当用語を検索ボックスに入力して検索して下さい.無い場合は新しく作成して下さい.<br />
<br />
*「ウォッチ」をクリックします(例:用語DDのページ担当の場合)。コンピューター環境により「ウォッチ」が見えない時には「履歴表示」の下向きの右の三角形を押すと出てきます.これにより、右上の「ウオッチリスト』を押すと頁が編集されれば表示出来る様になります.<br />
<br />
[[Image:Addwatchlist.jpg|center|640px|Addwatchlist.jpg]] <br />
<br />
<br> <br> <br />
<br />
== 執筆中のページ保存と査読依頼の出し方 ==<br />
<br />
*担当用語ページの「作成」をクリックして、用語解説の執筆を行います。[[Help:テキストの書き方|テキストの書き方]]、[[Help:図の入れ方|図の入れ方]]、[[Help:動画の入れ方|動画の入れ方]]をご参照下さい.Textricheditorの利用をお勧めします(テキストの書き方参照)。<br />
*最初の行に用語の英語名を書いてください。必要に応じて英語の略語名も書いてください。例 英語名:Green fluoscent protein 英語略語名:GFP<br />
*最後の行に執筆者名と担当編集委員名を括弧に入れて書いてください。例 (執筆者:佐藤太郎、担当編集委員:鈴木次郎)<br />
<br />
[[Image:Writing.jpg|center|640px|Writing.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆中のページを(査読依頼を発行しないで)一時保存するには、画面下の「これは細部の編集です」にチェックを付けて「ページを保存」をクリックします。<br />
<br />
[[Image:Minor.jpg|center|640px|Minor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆を完了して査読依頼を出す場合は、「これは細部の編集です」をチェックせずに、「ページを保存」をクリックします。「編集内容の要約」欄に査読者へのメッセージを記入することができます。<br />
<br />
[[Image:Request-review.jpg|center|640px|Request-review.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*査読依頼を出しても返事が無い場合、編者の方でウオッチリストに加えるのを忘れている可能性があります.しばらく経っても返事が無い場合は、編集部bsd@brain.riken.jpにご連絡下さい.</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=MST%E9%87%8E%EF%BC%88%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%EF%BC%89&diff=418
MST野(テスト)
2011-10-11T00:18:07Z
<p>Keiji: MST野(MST area)(テスト)をMST野(テスト)へ移動</p>
<hr />
<div>英語名:MST area <br />
<br />
MST野はマカク属サルの高次視覚野のひとつで、上側頭溝後部の前壁および底部に広がる。MSTの語源はmedial superior temporal areaである。上側頭溝後部の後壁にあるMT野から強い線維投射を受け、上側頭溝後部の背側の脳表面に広がる7a野へ投射する。 <br />
<br />
図1はMT野とMST野のそれぞれ典型的な大きさの受容野をいくつか重ね書きしたものである。MT野の細胞の受容野は、視野中心のそばでは小さい。例えば視野中心から5度では3度程度の直径を持ち、視野中心から10度では5度程度の直径を持つ。視野周辺部へ行くと大きくなるが,なお受容野の内側の境界はだんだんに視野中心から遠ざかり、視野中心を含む大きな受容野はない。一方、MST野背側部の細胞の受容野はずっと大きく。多くが視野中心を含んで左右両側の視野に広がる。このような広い受容野を持つことから、MST野の細胞は広視野ににわたる情報の統合を行っている可能性がある。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図1.jpg|thumb|center|400px|図1 MT野とMST野の神経細胞の受容野の例。それぞれの領野の数個の神経細胞の受容野を重ね書きしてある。]] <br />
<br />
MST野の大部分の細胞は、MT野の細胞と同じく、刺激が特定の方向に動いた特にだけ興奮反応する運動方向選択性を持つ。それに加えて、MST野背側部の細胞は刺激の広がりに対する選択性を持ち、広い視野が同時に動いたときにだけ反応する。広い視野の同期した動きは通常動物自身の眼球、頭、体の動きによって引き起こされる。小さな物体の動きには影響されず、広視野に広がったパターンが同時に動いたときにだけ反応するMST野背側部の細胞は、視野の動きから自分自身の体の動きを知覚する役割を果たしているのではなかろうか。 <br />
<br />
動物の自己運動の結果起こる広視野の動きは、各点が同じ方向、同じスピードで動く直線運動に限らない。動物が進行方向を見ながら前進した場合はパターンの放射方向への動き、すなわちパターンの拡大が網膜上に起こる。後退した場合はパターンの縮小が、また視軸を中心として回転したときはパターンの回転が生じる。これに対応するように、MST野背側部には広視野パターンの直線運動、拡大、縮小、時計回転、反時計回転にそれぞれ選択的に反応する細胞が存在する。そこでMST野背側部の中のどの細胞群が興奮反応しているかを見ることによって、自分自身の動きを知ることができる。図2にはパターンの拡大(上)および時計方向の回転(下)にそれぞれ選択的に反応する細胞の例を示す。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図2.jpg|thumb|center|400px|図2 拡大と時計回転にそれぞれ選択的に反応するMST野細胞の例。]] <br />
<br />
このようなMST野背側部の細胞の反応はどのようなメカニズムで生じているのであろうか。MST野はMT野から強い線維投射を受けるから、MT野細胞からの入力を受けてMST野の受容野を作るモデルを考える。MST野細胞の受容野はMT野細胞の受容野よりずっと大きいから、異なった場所に受容野を持つMT野細胞を集めてくる必要がある。同じ最適運動方向を持つ入力細胞を集めれば,直線運動に反応する細胞ができあがる(図3左)。一方、最適運動方向が放射状に並んだ入力細胞を集めれば、パターンの拡大に反応する細胞ができあがり(図3中)、最適運動方向が同心円の接線方向に並んだ入力細胞を集めれば,回転に反応する細胞ができあがる(図3右)。そして、多数の入力細胞が同時に興奮したときにだけ入力が活動電位発射の閾値を超えるように高い閾値を設定すれば、広視野が動いたときにだけ反応する刺激の広がりに対する選択性が実現される。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図3.jpg|thumb|center|400px|図3 MST野細胞の反応選択性を作るモデル]] <br />
<br />
MST野背側部の等距離面上の直線運動に反応する細胞の90%は刺激の左右眼視差にも選択的である。ほとんどの細胞は、注視点より奥の広い範囲の視差に反応する遠方細胞、あるいは注視点より手前の広い範囲の視差に反応する手前細胞であり、同調興奮細胞はほとんどない。少数の細胞では注視点より遠方と手前で最適運動方向が反転する。外界に静止した物体を注視しながら自分が横に動くと、注視した物体の手前にある物体と奥にある物体は網膜上で反対の方向に動く。遠方と手前で最適運動方向が反転する細胞は、自己運動の抽出を2つの動きの組合わせでより確かにしているのではないだろうか。 <br />
<br />
MST野腹側部の細胞は、背側部の細胞と同じく、動く刺激に運動方向選択的に強く反応し、広い受容野を持つ。しかし、背側部と腹側部の細胞の間では刺激の広がりに対する選択性が異なる。MST野腹側部の細胞は小さい物体が動いたときに強く反応する。MST野腹側部の細胞の多くが、小さい物体とその背景の間の相対運動に対応した反応をする。静止した物体の背景で広視野が動いたときに、背景の手前で物体が動いたときと、反対方向で反応する。この反応はMT野では見つかっていない。MST野腹側部細胞による物体と背景の間の相対運動の表出は、MT野の周辺抑制野を持った細胞による表出よりも広範な条件をカバーしている。 <br />
<br />
(執筆者:田中啓治、担当編集委員:未定)</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=MST%E9%87%8E%EF%BC%88%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%EF%BC%89&diff=417
MST野(テスト)
2011-10-11T00:17:45Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>英語名:MST area <br />
<br />
MST野はマカク属サルの高次視覚野のひとつで、上側頭溝後部の前壁および底部に広がる。MSTの語源はmedial superior temporal areaである。上側頭溝後部の後壁にあるMT野から強い線維投射を受け、上側頭溝後部の背側の脳表面に広がる7a野へ投射する。 <br />
<br />
図1はMT野とMST野のそれぞれ典型的な大きさの受容野をいくつか重ね書きしたものである。MT野の細胞の受容野は、視野中心のそばでは小さい。例えば視野中心から5度では3度程度の直径を持ち、視野中心から10度では5度程度の直径を持つ。視野周辺部へ行くと大きくなるが,なお受容野の内側の境界はだんだんに視野中心から遠ざかり、視野中心を含む大きな受容野はない。一方、MST野背側部の細胞の受容野はずっと大きく。多くが視野中心を含んで左右両側の視野に広がる。このような広い受容野を持つことから、MST野の細胞は広視野ににわたる情報の統合を行っている可能性がある。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図1.jpg|thumb|center|400px|図1 MT野とMST野の神経細胞の受容野の例。それぞれの領野の数個の神経細胞の受容野を重ね書きしてある。]] <br />
<br />
MST野の大部分の細胞は、MT野の細胞と同じく、刺激が特定の方向に動いた特にだけ興奮反応する運動方向選択性を持つ。それに加えて、MST野背側部の細胞は刺激の広がりに対する選択性を持ち、広い視野が同時に動いたときにだけ反応する。広い視野の同期した動きは通常動物自身の眼球、頭、体の動きによって引き起こされる。小さな物体の動きには影響されず、広視野に広がったパターンが同時に動いたときにだけ反応するMST野背側部の細胞は、視野の動きから自分自身の体の動きを知覚する役割を果たしているのではなかろうか。 <br />
<br />
動物の自己運動の結果起こる広視野の動きは、各点が同じ方向、同じスピードで動く直線運動に限らない。動物が進行方向を見ながら前進した場合はパターンの放射方向への動き、すなわちパターンの拡大が網膜上に起こる。後退した場合はパターンの縮小が、また視軸を中心として回転したときはパターンの回転が生じる。これに対応するように、MST野背側部には広視野パターンの直線運動、拡大、縮小、時計回転、反時計回転にそれぞれ選択的に反応する細胞が存在する。そこでMST野背側部の中のどの細胞群が興奮反応しているかを見ることによって、自分自身の動きを知ることができる。図2にはパターンの拡大(上)および時計方向の回転(下)にそれぞれ選択的に反応する細胞の例を示す。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図2.jpg|thumb|center|400px|図2 拡大と時計回転にそれぞれ選択的に反応するMST野細胞の例。]] <br />
<br />
このようなMST野背側部の細胞の反応はどのようなメカニズムで生じているのであろうか。MST野はMT野から強い線維投射を受けるから、MT野細胞からの入力を受けてMST野の受容野を作るモデルを考える。MST野細胞の受容野はMT野細胞の受容野よりずっと大きいから、異なった場所に受容野を持つMT野細胞を集めてくる必要がある。同じ最適運動方向を持つ入力細胞を集めれば,直線運動に反応する細胞ができあがる(図3左)。一方、最適運動方向が放射状に並んだ入力細胞を集めれば、パターンの拡大に反応する細胞ができあがり(図3中)、最適運動方向が同心円の接線方向に並んだ入力細胞を集めれば,回転に反応する細胞ができあがる(図3右)。そして、多数の入力細胞が同時に興奮したときにだけ入力が活動電位発射の閾値を超えるように高い閾値を設定すれば、広視野が動いたときにだけ反応する刺激の広がりに対する選択性が実現される。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図3.jpg|thumb|center|400px|図3 MST野細胞の反応選択性を作るモデル]] <br />
<br />
MST野背側部の等距離面上の直線運動に反応する細胞の90%は刺激の左右眼視差にも選択的である。ほとんどの細胞は、注視点より奥の広い範囲の視差に反応する遠方細胞、あるいは注視点より手前の広い範囲の視差に反応する手前細胞であり、同調興奮細胞はほとんどない。少数の細胞では注視点より遠方と手前で最適運動方向が反転する。外界に静止した物体を注視しながら自分が横に動くと、注視した物体の手前にある物体と奥にある物体は網膜上で反対の方向に動く。遠方と手前で最適運動方向が反転する細胞は、自己運動の抽出を2つの動きの組合わせでより確かにしているのではないだろうか。 <br />
<br />
MST野腹側部の細胞は、背側部の細胞と同じく、動く刺激に運動方向選択的に強く反応し、広い受容野を持つ。しかし、背側部と腹側部の細胞の間では刺激の広がりに対する選択性が異なる。MST野腹側部の細胞は小さい物体が動いたときに強く反応する。MST野腹側部の細胞の多くが、小さい物体とその背景の間の相対運動に対応した反応をする。静止した物体の背景で広視野が動いたときに、背景の手前で物体が動いたときと、反対方向で反応する。この反応はMT野では見つかっていない。MST野腹側部細胞による物体と背景の間の相対運動の表出は、MT野の周辺抑制野を持った細胞による表出よりも広範な条件をカバーしている。 <br />
<br />
(執筆者:田中啓治、担当編集委員:未定)</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E5%9B%B3%E6%8C%BF%E5%85%A5%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88&diff=401
図挿入テスト
2011-10-10T05:01:24Z
<p>Keiji: ページの作成:「これは図挿入のテストです。同じ図をThumbnail、Frame、Borderで表示します。 [[Image:将棋直観概念図.jpg|thumb|center|250px|将棋盤面を...」</p>
<hr />
<div>これは図挿入のテストです。同じ図をThumbnail、Frame、Borderで表示します。 <br />
<br />
[[Image:将棋直観概念図.jpg|thumb|center|250px|将棋盤面を見て局面を知覚し最善の次の一手を案出する神経回路]]<br />
<br />
[[Image:将棋直観概念図.jpg|frame|center|250px|将棋盤面を見て局面を知覚し最善の次の一手を案出する神経回路]]<br />
<br />
[[Image:将棋直観概念図.jpg|border|center|250px|将棋盤面を見て局面を知覚し最善の次の一手を案出する神経回路]]<br />
<br />
図の後に書いた文章です。</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%B0%86%E6%A3%8B%E7%9B%B4%E8%A6%B3%E6%A6%82%E5%BF%B5%E5%9B%B3.jpg&diff=400
ファイル:将棋直観概念図.jpg
2011-10-10T04:54:59Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=MST%E9%87%8E%EF%BC%88%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%EF%BC%89&diff=399
MST野(テスト)
2011-10-10T04:46:14Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div> MST野はマカク属サルの高次視覚野のひとつで、上側頭溝後部の前壁および底部に広がる。MSTの語源はmedial superior temporal areaである。上側頭溝後部の後壁にあるMT野から強い線維投射を受け、上側頭溝後部の背側の脳表面に広がる7a野へ投射する。 <br />
<br />
図1はMT野とMST野のそれぞれ典型的な大きさの受容野をいくつか重ね書きしたものである。MT野の細胞の受容野は、視野中心のそばでは小さい。例えば視野中心から5度では3度程度の直径を持ち、視野中心から10度では5度程度の直径を持つ。視野周辺部へ行くと大きくなるが,なお受容野の内側の境界はだんだんに視野中心から遠ざかり、視野中心を含む大きな受容野はない。一方、MST野背側部の細胞の受容野はずっと大きく。多くが視野中心を含んで左右両側の視野に広がる。このような広い受容野を持つことから、MST野の細胞は広視野ににわたる情報の統合を行っている可能性がある。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図1.jpg|thumb|center|400px|図1 MT野とMST野の神経細胞の受容野の例。それぞれの領野の数個の神経細胞の受容野を重ね書きしてある。]] <br />
<br />
MST野の大部分の細胞は、MT野の細胞と同じく、刺激が特定の方向に動いた特にだけ興奮反応する運動方向選択性を持つ。それに加えて、MST野背側部の細胞は刺激の広がりに対する選択性を持ち、広い視野が同時に動いたときにだけ反応する。広い視野の同期した動きは通常動物自身の眼球、頭、体の動きによって引き起こされる。小さな物体の動きには影響されず、広視野に広がったパターンが同時に動いたときにだけ反応するMST野背側部の細胞は、視野の動きから自分自身の体の動きを知覚する役割を果たしているのではなかろうか。 <br />
<br />
動物の自己運動の結果起こる広視野の動きは、各点が同じ方向、同じスピードで動く直線運動に限らない。動物が進行方向を見ながら前進した場合はパターンの放射方向への動き、すなわちパターンの拡大が網膜上に起こる。後退した場合はパターンの縮小が、また視軸を中心として回転したときはパターンの回転が生じる。これに対応するように、MST野背側部には広視野パターンの直線運動、拡大、縮小、時計回転、反時計回転にそれぞれ選択的に反応する細胞が存在する。そこでMST野背側部の中のどの細胞群が興奮反応しているかを見ることによって、自分自身の動きを知ることができる。図2にはパターンの拡大(上)および時計方向の回転(下)にそれぞれ選択的に反応する細胞の例を示す。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図2.jpg|thumb|center|400px|図2 拡大と時計回転にそれぞれ選択的に反応するMST野細胞の例。]] <br />
<br />
このようなMST野背側部の細胞の反応はどのようなメカニズムで生じているのであろうか。MST野はMT野から強い線維投射を受けるから、MT野細胞からの入力を受けてMST野の受容野を作るモデルを考える。MST野細胞の受容野はMT野細胞の受容野よりずっと大きいから、異なった場所に受容野を持つMT野細胞を集めてくる必要がある。同じ最適運動方向を持つ入力細胞を集めれば,直線運動に反応する細胞ができあがる(図3左)。一方、最適運動方向が放射状に並んだ入力細胞を集めれば、パターンの拡大に反応する細胞ができあがり(図3中)、最適運動方向が同心円の接線方向に並んだ入力細胞を集めれば,回転に反応する細胞ができあがる(図3右)。そして、多数の入力細胞が同時に興奮したときにだけ入力が活動電位発射の閾値を超えるように高い閾値を設定すれば、広視野が動いたときにだけ反応する刺激の広がりに対する選択性が実現される。 <br />
<br />
[[Image:田中テスト図3.jpg|thumb|center|400px|図3 MST野細胞の反応選択性を作るモデル]] <br />
<br />
MST野背側部の等距離面上の直線運動に反応する細胞の90%は刺激の左右眼視差にも選択的である。ほとんどの細胞は、注視点より奥の広い範囲の視差に反応する遠方細胞、あるいは注視点より手前の広い範囲の視差に反応する手前細胞であり、同調興奮細胞はほとんどない。少数の細胞では注視点より遠方と手前で最適運動方向が反転する。外界に静止した物体を注視しながら自分が横に動くと、注視した物体の手前にある物体と奥にある物体は網膜上で反対の方向に動く。遠方と手前で最適運動方向が反転する細胞は、自己運動の抽出を2つの動きの組合わせでより確かにしているのではないだろうか。 <br />
<br />
MST野腹側部の細胞は、背側部の細胞と同じく、動く刺激に運動方向選択的に強く反応し、広い受容野を持つ。しかし、背側部と腹側部の細胞の間では刺激の広がりに対する選択性が異なる。MST野腹側部の細胞は小さい物体が動いたときに強く反応する。MST野腹側部の細胞の多くが、小さい物体とその背景の間の相対運動に対応した反応をする。静止した物体の背景で広視野が動いたときに、背景の手前で物体が動いたときと、反対方向で反応する。この反応はMT野では見つかっていない。MST野腹側部細胞による物体と背景の間の相対運動の表出は、MT野の周辺抑制野を持った細胞による表出よりも広範な条件をカバーしている。 <br />
<br />
(執筆者:田中啓治、担当編集委員:未定)</div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=384
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:40:05Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献リストを自動的に作る方法==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストを自動的に作ることができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、文章内の記述順に従って、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません.デフォールトの入力方法を用い、[http://meta.wikimedia.org/wiki/ヘルプ:数式の書き方 MediaWikiの数式記述法]を参照して、入力してください.以下に例を示します.<br />
<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=383
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:39:23Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献リストを自動的に作る方法==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストを自動的に作ることができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、文章内の記述順に従って、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません.デフォールトの入力方法を用い、MediaWikiの数式記述法([http://meta.wikimedia.org/wiki/ヘルプ:数式の書き方 MediaWikiの数式記述法])を参照して、入力してください.以下に例を示します.<br />
<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=382
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:36:20Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献リストを自動的に作る方法==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストを自動的に作ることができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、文章内の記述順に従って、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません.デフォールトの入力方法を用い、MediaWikiの数式記述法(http://meta.wikimedia.org/wiki/ヘルプ:数式の書き方)を参照して、入力してください.以下に例を示します.<br />
<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=381
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:33:55Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません.デフォールトの入力方法を用い、MediaWikiの数式記述法(http://meta.wikimedia.org/wiki/ヘルプ:数式の書き方)を参照して、入力してください.以下に例を示します.<br />
<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=380
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:32:14Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません.デフォールトの入力方法を用い、MediaWikiの数式記述法(http://meta.wikimedia.org/wiki/ヘルプ:数式の書き方)を参照して、入力してください.以下に例を示します.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=378
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:25:44Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを使用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません。デフォールトの入力方法を用いて、以下の例のように入力して下さい.この他の数式記号については****を参照してください。<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=377
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:24:27Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* (Textricheditorを使用しない)デフォールトの入力方法では、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを利用する場合は、デフォールト入力法での表記法にならって、ご自分で引用文献番号と文献リスト(末尾)を記載してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません。デフォールトの入力方法を用いて、以下の例のように入力して下さい.この他の数式記号については****を参照してください。<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
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ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:14:49Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Textricheditorを使用せずに入力する場合は、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
<br />
*Textricheditorを利用する場合は、Textricheditorを使った場合の表記法にならって、ご自分で引用文献番号を記載し、文献リストを作成して末尾に記述してください。<br />
<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Textricheditorでは数式入力はできません。Textricheditorを使用しないデフォールトの入力方法を用いて、以下の例のように入力して下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
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ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:11:38Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Textricheditorを使用せずに入力する場合は、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして記述の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
*Textricheditorを利用する場合は、Textricheditorを使った場合の表記法にならって、ご自分で引用文献番号を記載し、文献リストを作成して末尾に記述してください。<br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=373
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:05:54Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Textricheditorを使用せずに入力する場合は、以下のようにして、文献リストの自動作成機能を使うことができます。<br />
<br />
*<nowiki>下の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、右のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして項目の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=371
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:02:55Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Text Rich Editorを使用する場合は、通常の入力方法で記入してください.<br />
<br />
*<nowiki>次の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、以下のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして項目の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=370
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T15:01:27Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Text Rich Editorを使用する場合は、通常の入力方法で記入してください.<br />
<br />
*<nowiki>次の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>*****<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、以下のように引用文献が番号で表されます。<br />
*****<ref>Miyawaki A (2005) Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron 48:189-99.</ref>.<br />
<br />
そして項目の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=369
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T14:58:13Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Text Rich Editorを使用する場合は、通常の入力方法で記入してください.<br />
<br />
*<nowiki>次の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki><ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、このように引用文献が番号で表されます<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref>.<br />
<br />
そして項目の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97:%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9&diff=368
ヘルプ:テキストの書き方
2011-10-09T14:52:25Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div>*基本的なWikiの構文の文法に関しては、下記をご参照下さい.<br />
<br />
<br />
[[wikimedia:jp:ヘルプ:ページの編集|Wikimedia上のヘルプ]]<br />
<br />
[http://www.mediawiki.org/wiki/Help:Formatting/ja Mediawiki上のヘルプ]<br />
<br />
<br />
==Text Rich Editor==<br />
<br />
*また本サイトではWiki構文を使わずに、ワードプロセッサーソフトウエア様の入力を可能にするText Rich Editorも実装しています.<br />
<br />
*Wikiページの編集画面を表示して&lt;textricheditor&gt;をクリックします。<br />
<br />
[[Image:FCKEditor.jpg|center|640px|FCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*入力画面が変化します。<br />
<br />
[[Image:ChangeFCKEditor.jpg|center|640px|ChangeFCKEditor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
==文献の引用の仕方==<br />
<br />
* Text Rich Editorを使用する場合は、通常の入力方法で記入してください.<br />
<br />
*<nowiki>次の様に文献を引用したい場所で<ref>と</ref>で文献を囲って下さい.</nowiki><br />
<br />
<nowiki>このように引用文献が番号で表されます<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref></nowiki><br />
<br />
すると、このように引用文献が番号で表されます<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref>.<br />
<br />
そして項目の最後に次の様に入力します.<br />
<br />
<nowiki><references/></nowiki><br />
<br />
すると、文献リストが出来ます.<br />
<br />
<references/><br />
<br />
== 数式の入力 ==<br />
<br />
*Text Rich Editorは対応していないので、通常の入力方法で行なって下さい.<br />
<br />
<math>\int f(x)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(x)dx</math></nowiki><br />
<br />
<math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\alpha \frac{d^2x(t)}{dt^2} +\beta \frac{dx(t)}{dt} +\gamma x(t) = f(t)</math></nowiki><br />
<br />
<math>\int f(xyz)dx</math> <br />
<br />
<nowiki><math>\int f(xyz)dx</math></nowiki><br />
<br />
<br><br />
<br />
== ウィキ間でのリンク ==<br />
<br />
脳科学辞典でカバーする以外の単語はWikipediaへのリンクを張って下さい. <br />
<br />
英語版Wikipediaの[[wikipedia:Green%20fluorescent%20protein|Green fluorescent protein]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:Green_fluorescent_protein|Green fluorescent protein]]</nowiki> <br />
<br />
日本版Wikipediaの[[wikipedia:jp:%E7%B7%91%E8%89%B2%E8%9B%8D%E5%85%89%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA|緑色蛍光タンパク質]]の頁へのリンク <br />
<br />
<nowiki>[[wikipedia:jp:緑色蛍光タンパク質|緑色蛍光タンパク質]]</nowiki></div>
Keiji
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8:%E5%9F%B7%E7%AD%86%E6%96%B9%E6%B3%95&diff=367
脳科学辞典:執筆方法
2011-10-09T14:48:32Z
<p>Keiji: </p>
<hr />
<div><span style="display: none;" id="1315545379074S">&nbsp;</span> <br />
<br />
== 用語 ==<br />
<br />
編集部より、担当用語、担当編集委員、パスワードを御知らせ致します. <br />
<br />
== 事前準備 ==<br />
<br />
*サイトにアクセスして、ログインします<br />
<br />
[[Image:Login.jpg|center|640px|Login.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*御知せした利用者名、パスワードを入力して「ログイン」ボタンを押します。<br />
<br />
[[Image:Login2.jpg|center|640px|Login2.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*依頼された担当用語を検索ボックスに入力して検索して下さい.無い場合は新しく作成して下さい.<br />
<br />
*「ウォッチ」をクリックします(例:用語DDのページ担当の場合)。コンピューター環境により「ウォッチ」が見えない時には「履歴表示」の下向きの右の三角形を押すと出てきます.これにより、右上の「ウオッチリスト』を押すと頁が編集されれば表示出来る様になります.<br />
<br />
[[Image:Addwatchlist.jpg|center|640px|Addwatchlist.jpg]] <br />
<br />
<br> <br> <br />
<br />
== 執筆中のページ保存と査読依頼の出し方 ==<br />
<br />
*担当用語ページの「作成」をクリックして、用語解説の執筆を行います。[[Help:テキストの書き方|テキストの書き方]]、[[Help:図の入れ方|図の入れ方]]、[[Help:動画の入れ方|動画の入れ方]]をご参照下さい.Textricheditorの利用をお勧めします(テキストの書き方参照)。<br />
*最後の行に執筆者名と担当編集委員名を括弧に入れて書いてください。例 (執筆委員:佐藤太郎、担当編集委員:鈴木次郎)<br />
<br />
[[Image:Writing.jpg|center|640px|Writing.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆中のページを(査読依頼を発行しないで)一時保存するには、画面下の「これは細部の編集です」にチェックを付けて「ページを保存」をクリックします。<br />
<br />
[[Image:Minor.jpg|center|640px|Minor.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*執筆を完了して査読依頼を出す場合は、「これは細部の編集です」をチェックせずに、「ページを保存」をクリックします。「編集内容の要約」欄に査読者へのメッセージを記入することができます。<br />
<br />
[[Image:Request-review.jpg|center|640px|Request-review.jpg]] <br />
<br />
<br> <br />
<br />
*査読依頼を出しても返事が無い場合、編者の方でウオッチリストに加えるのを忘れている可能性があります.しばらく経っても返事が無い場合は、編集部bsd@brain.riken.jpにご連絡下さい.</div>
Keiji