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痛みと痒みは、あるレベルを超えると非常につらい感覚であり、なぜこのような感覚が必要なのか、と誰もが思う。しかし、痒みは別としても、痛みは生存するためには必須の感覚である。無痛症の場合には、多くの患者さんでは足首、膝、腰等の関節が不可逆的な障害を受け、皮膚の感染による痛みがわからないため、指が壊死をおこして無くなってしまう患者さんも多い。痛みとは”組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか,このような傷害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚,情動体験である”と定義されている1)。良くわからない定義だが、痛みを経験した事が無い人はほとんどいないと思われるので、今さら定義などは不要と言えるかもしれない。 通常、末梢組織が傷害されると、サイトカインや神経ペプチド(サブスタンスP(SP)、バソアクティブ腸管ペプチド(VIP)やカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)など)などの活性化により傷害部は腫脹し、組織は炎症状態に陥り、時には肉芽の形成が引き起こされる。その後、炎症状態からの回復に伴って傷害組織は線維芽細胞などの活性化により線維化し,瘢痕化してくる。瘢痕組織が痛みの発生・維持に関わっていることは、脊椎手術などにおける採骨部の瘢痕に発生する痛みなどにおいて組織の易刺激性が非常に高い事からも示される。基礎的には瘢痕組織内における痛みに関与する神経ペプチドやサイトカイン、或いは痛みを伝達する知覚神経線維の発現に関する報告が散見される1)。 痛みは2種類に大別される。針で刺されたような鋭い痛みはfirst pain, quick pain, sharp painなどと称される。末梢神経のA-delta線維を上行し、その伝導速度は約10-20 m/secである。内臓通、がん痛、歯痛などのような痛みはsecond pain, slow pain, burning painなどと称され、末梢神経のC線維を上行する。無髄線維であるため伝導速度は非常に遅く、約0.5-2.0 m/secである。いずれにしても、触覚、振動覚などの伝導速度は50-70 m/secであり、痛覚の伝導速度が非常に遅い事がわかる。その理由は未だ明確にされていない。脊髄では脊髄視床路を上行する。やはり痛覚の伝導速度は遅く、A-delta線維を上行したシグナルは約10-20 m/sec、C線維を上行したシグナルは約0.5-2.0 m/secである。すなわち、末梢神経と脊髄をほぼ同じ伝導速度で上行する訳である。 脊髄視床路を上行したシグナルは視床に到達する。視床には多くの核が存在するが、痛みの伝達系においては、外側脊髄視床路(=新脊髄視床路)が終末している腹側基底核群と、前脊髄視床路(旧脊髄視床路)が終末している髄板内核群(主として外側中心核と束旁核)が重要な役割を果たしていることが知られている。前者は第1次体性感覚野(SI)に主に投射する中継点であり、皮膚、内臓、筋、関節からの(識別性の)感覚に関与している。一方、後者は大脳辺縁系に投射し、痛みに関与する情動等に関与するとされている<ref name=ref1>'''牛田享宏,下和弘,新井健一'''<br>池本竜則,柿木隆介(2010)慢性痛の定義と発症機序<br>''神経治療''、27(4): 596-602.</ref>。以前より脳内の痛覚認知過程は、Lateral systemとMedial systemに分けられると考えられてきたが、まさに上述した2つの経路を表している。 人間の脳内痛覚認知機構は、近年の脳機能イメージングの研究の進歩に伴い、急速に研究が進んできた。脳磁図を用いた研究では、視床からSIに到達した後、第2次体性感覚野(SII)と島に向かう経路と連合野(5および7野)に向かう経路の2つが存在する事がわかってきた。また、視床から直接、島、帯状回、扁桃体に向かう経路もあり、島には両方の経路を経由するシグナルが到達する。現在、島は痛覚認知の重要な部位であると考えられている。島の活動から約100 msecほど遅れて帯状回と扁桃体にシグナルが到達する<ref name=ref2><pubmed>22138180</pubmed></ref>。このような詳細な時間情報は脳磁図が優れているが、活動部位の詳細な同定には、Positron Emission Tomography(PET)やfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)が優れている。島と帯状回周辺には、first painとsecond painの両方に対して活動する部位と、second painが与えられた時だけに活動する部位が存在する<ref name=ref3><pubmed>16280463</pubmed></ref>。second painによって不快等の強い情動反応を起こすのは、この部位が関与していると考えられている。 近年は痛みが引き起こす情動反応に焦点をあてた研究が増加してきた。いわゆる「こころの痛み」のメカニズムを解明しようとする訳である。例えば、実際に痛みを与えられなくても、注射や歯の治療等のように、見るだけでも痛そうな画像を見せると、SIやSIIには明瞭な活動は見られないが、島や帯状回に強い活動が見られる<ref name=ref4><pubmed>16855007</pubmed></ref>。この部位は実際に痛み刺激を与えた時に活動する部位とほぼ同様である。また、複数の人間がキャッチボールをするというゲームを作成し、ある時点から全くボールがこなくなる、つまり無視されるという条件を設定すると、非常に心理的につらい状態におちいる人がいる。その場合にも同様の結果が得られる。だからこそ、こころが「痛い」と感じるのだと考えられている。このような事は他の感覚ではおこらず、痛覚認知の複雑さを示している。 == 参考文献 == <references /> (執筆者:柿木隆介 担当編集委員:伊佐正)
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