「カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ」の版間の差分

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=== CaMKII ===
=== CaMKII ===
 神経系において、&alpha; および&beta;アイソフォームが、&alpha;ホモ多量体または&alpha;と&beta;のヘテロ多量体として存在し、海馬では総タンパク質のうち1-2%を占め特に[[興奮性シナプス]]に豊富に存在する。自己リン酸化によりautonomyを獲得するCaMKIIの生化学的特徴から記憶分子候補として注目され、薬理学的な手法に加え、[[遺伝子欠損マウス]]を用いた研究が推進され、CaMKII&alpha;ノックアウトマウスが海馬依存的な空間学習ならびに海馬LTPの異常を示すこと<ref><PubMed>1321493</pubmed></ref><ref><PubMed>1378648</pubmed></ref>、更にautonomyの重要性が自己リン酸化サイトT286の点変異導入マウス、T286Aノックインマウス<ref><PubMed>9452388</pubmed></ref>ならびにT286Dトランスジェニックマウス<ref><PubMed>8939850</pubmed></ref>などにより示された。CaMKIIによるシナプス増強作用は[[バレル野]]や[[視覚野]]などにおいても広く観察されている<ref><PubMed>16269363</pubmed></ref>。
 神経系において、&alpha; および&beta;アイソフォームが、&alpha;ホモ多量体または&alpha;と&beta;のヘテロ多量体として存在し、海馬では総タンパク質のうち1-2%を占め特に[[興奮性シナプス]]、特に[[シナプス後膜肥厚]]に豊富に存在する。自己リン酸化によりautonomyを獲得するCaMKIIの生化学的特徴から記憶分子候補として注目され、薬理学的な手法に加え、[[遺伝子欠損マウス]]を用いた研究が推進され、CaMKII&alpha;ノックアウトマウスが海馬依存的な空間学習ならびに海馬LTPの異常を示すこと<ref><PubMed>1321493</pubmed></ref><ref><PubMed>1378648</pubmed></ref>、更にautonomyの重要性が自己リン酸化サイトT286の点変異導入マウス、T286Aノックインマウス<ref><PubMed>9452388</pubmed></ref>ならびにT286Dトランスジェニックマウス<ref><PubMed>8939850</pubmed></ref>などにより示された。CaMKIIによるシナプス増強作用は[[バレル野]]や[[視覚野]]などにおいても広く観察されている<ref><PubMed>16269363</pubmed></ref>。


 [[NMDA型グルタミン酸受容体]]などと結合し[[シナプス後膜]]に局在し、[[AMPA型グルタミン酸受容体]]のリン酸化を介した[[コンダクタンス]]の増加と、[[膜貫通AMPA受容体結合タンパク質]] (transmembrane AMPA receptor-interacting protein, TARP)のリン酸化を介したAMPA型グルタミン酸受容体のシナプス後膜へ輸送が、主たるCaMKIIを介したLTP誘導の分子基盤と考えられている<ref><PubMed>22334212</pubmed></ref>。また、CaMKII &beta;は線維状[[アクチン]]に結合することでアクチン線維束形成に寄与し、スパイン内に豊富に存在しスパイン構造を保持する構造タンパク質としての機能も有するとされる<ref><PubMed> 17404223</pubmed></ref><ref><PubMed>21963169</pubmed></ref><ref><PubMed> 24462093</pubmed></ref>。
 [[NMDA型グルタミン酸受容体]]などと結合し[[シナプス後膜]]に局在し、[[AMPA型グルタミン酸受容体]]のリン酸化を介した[[コンダクタンス]]の増加と、[[膜貫通AMPA受容体結合タンパク質]] (transmembrane AMPA receptor-interacting protein, TARP)のリン酸化を介したAMPA型グルタミン酸受容体のシナプス後膜へ輸送が、主たるCaMKIIを介したLTP誘導の分子基盤と考えられている<ref><PubMed>22334212</pubmed></ref>。また、CaMKII &beta;は線維状[[アクチン]]に結合することでアクチン線維束形成に寄与し、スパイン内に豊富に存在しスパイン構造を保持する構造タンパク質としての機能も有するとされる<ref><PubMed> 17404223</pubmed></ref><ref><PubMed>21963169</pubmed></ref><ref><PubMed> 24462093</pubmed></ref>。


 更に近年明らかとなった新機能として、CaMKII&alpha; との相互作用による、[[ユビキチンプロテアソーム]]のスパイン局在制御<ref><PubMed>20178748</pubmed></ref>、主要な脳内[[エンドカンナビノイド]]である[[2-アラキドノイルグリセロール]] ([[2-arachidonoylglycerol]], 2-AG)合成酵素、ジアシルグリセロールリパーゼ ([[diacylglycerol lipase-α]], DGLα)の活性抑制作用<ref><PubMed>23502535</pubmed></ref>、CaMKII&beta;と[[Arc]]タンパク質の相互作用を介した Arcの非活性シナプス集積、ならびにAMPA型グルタミン酸受容体の[[エンドサイトーシス]]調節作用<ref><PubMed>22579289</pubmed></ref>などが挙げられる。
 更に近年明らかとなった新機能として、CaMKII&alpha; との相互作用による、[[プロテアソーム]]のスパイン局在制御<ref><PubMed>20178748</pubmed></ref>、主要な脳内[[エンドカンナビノイド]]である[[2-アラキドノイルグリセロール]] ([[2-arachidonoylglycerol]], 2-AG)合成酵素、[[ジアシルグリセロールリパーゼ]] ([[diacylglycerol lipase-α]], DGLα)の活性抑制作用<ref><PubMed>23502535</pubmed></ref>、CaMKII&beta;と[[Arc]]タンパク質の相互作用を介した Arcの非活性シナプス集積、ならびにAMPA型グルタミン酸受容体の[[エンドサイトーシス]]調節作用<ref><PubMed>22579289</pubmed></ref>などが挙げられる。


=== CaMKIV ===
=== CaMKIV ===

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