「実行機能」の版間の差分

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===MiyakeとFriedmanのモデル===
===MiyakeとFriedmanのモデル===
Miyake et al (2000)<ref name=ref2 /> は、潜在変数分析を用いることで、課題の背景にある潜在変数、すなわち実行機能の要素を抽出した。その結果、
Miyake et al (2000)<ref name=ref2 /> は、潜在変数分析 (latent variable analysis) を用い、実行機能が以下の3つの要素から構成されている事を示した。
*情報の更新 (updating)
*情報の更新 (updating)
*課題ルールのシフト (shifting)
*課題ルールのシフト (shifting)
*抑制 (inhibition)
*抑制 (inhibition)
の3つが、実行機能の要素である事を明らかにした。


しかし、その後の研究<ref name =ref3><pubmed>18473654</pubmed></ref> では、unity/diversity framework と呼ばれる、相関の高い実行機能要素の間にはそれを支える共通因子が存在するとともに (unity)、それらを分離する固有の因子が存在する (diversity) という考え<ref><pubmed>4627626</pubmed></ref> に基づき、さらなる詳細な検討が行われた。その結果、抑制は実行機能の潜在変数からは外れ、
しかし、その後の研究<ref name =ref3><pubmed>18473654</pubmed></ref> では、unity/diversity framework と呼ばれる、相関の高い実行機能要素の間にはそれを支える共通因子が存在するとともに (unity)、それらを分離する固有の因子が存在する (diversity) という考え<ref><pubmed>4627626</pubmed></ref> に基づき、さらなる詳細な検討が行われた。その結果、抑制は実行機能の潜在変数からは外れ、
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===成人の個人差===
===成人の個人差===
 
Kane et al (2001)<ref><pubmed>11409097</pubmed></ref>


===発達===
===発達===
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===遺伝と柔軟性===
===遺伝と柔軟性===
Friedman et al(2008)<ref name =ref3 />は、双生児の縦断研究により、common-EFはその99%が遺伝によって担われている他、6年後の調査でも高い安定性が見られた事から、実行機能はある程度の発達的安定性があると主張した。しかし、児童の実行機能を向上させようとする介入研究では、トレーニングによる実行機能の改善が報告されており<ref><pubmed>21852486</pubmed></ref>、研究間で必ずしも合致していない。これらの不一致は、Friedmanらの研究が対象としていた年齢が比較的高い(17歳から23歳の縦断研究)一方、実行機能の介入研究では12歳以下の児童が対象になる事が多いという、年齢ならびに追跡期間の差異が原因の一つと考えられる。しかしながら、幼児期の自己制御能力の差は、思春期においても保たれているという知見もあり<ref><pubmed>21668099</pubmed></ref>、今後さらなる研究が待たれる。
Friedman et al(2008)<ref name =ref3 /> は、双生児の縦断研究により、common-EFはその99%が遺伝によって担われている他、6年後の調査でも高い安定性が見られた事から、実行機能はある程度の発達的安定性があると主張した。しかし、児童の実行機能を向上させようとする介入研究では、トレーニングによる実行機能の改善が報告されており<ref><pubmed>21852486</pubmed></ref>、研究間で必ずしも合致していない。これらの不一致は、Friedmanらの研究が対象としていた年齢が比較的高い(17歳から23歳の縦断研究)一方、実行機能の介入研究では12歳以下の児童が対象になる事が多いという、年齢ならびに追跡期間の差異が原因の一つと考えられる。しかしながら、幼児・児童期の自己制御能力や注意能力の差は、思春期においても保たれているという知見もあり<ref><pubmed>17894607</pubmed></ref><ref><pubmed>21668099</pubmed></ref>、実行機能にどの程度の柔軟性が存在するのかは、さらなる研究が待たれる。
 
 


==神経機構==
==神経機構==
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