「Förster共鳴エネルギー移動」の版間の差分

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== 神経科学分野への応用  ==
== 神経科学分野への応用  ==


<br> 1992年、緑色蛍光タンパク質(Green fluoresent protein: GFP)のクローニングにより<ref><pubmed>1347277</pubmed></ref>、細胞内のオルガネラ、たんぱく質のラベル化が生きたままの細胞において容易に可能になった。青色蛍光タンパク質CFP、YFPなどの色彩変異体の開発も進み、FRETプローブを作製する土壌ができあがった。
<br> 1992年、緑色蛍光タンパク質(Green fluoresent protein: GFP)のクローニングにより<ref><pubmed>1347277</pubmed></ref>、細胞内のオルガネラ、たんぱく質のラベル化が生きたままの細胞において容易に可能になった。青色蛍光タンパク質CFP、YFPなどの色彩変異体の開発も進み、FRETプローブを作製する土壌ができあがった。  
1997年、宮脇、Tsienらによって、CFPおよびYFPを利用した、Calcium indicator, Cameleonが開発され<ref><pubmed>9278050</pubmed></ref>、さらに、cAMP<ref><pubmed>10620803</pubmed></ref>, cGMP<ref><pubmed>11140757</pubmed></ref>, リン酸化<ref><pubmed>11752449</pubmed></ref>を初めとした主要な細胞内シグナル伝達子のFRETプローブが次々と作製され、細胞内の活性の局在などの解明に大きく貢献した。
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<br> 脳神経分野においては、高雄、林らが、2000年初期に記憶の形成に必須なシグナル分子、カルシウムカルモデュリンキナーゼII (CaMKII)の活性化プローブ開発し分散培養系にてCaMkIIの可視化に成功した<ref><pubmed>15788767</pubmed></ref>。1990年代後半、Svobodaらによって、2光子顕微鏡が脳神経科学に導入され、神経回路ネットワークを保持したスライスおよび個体の生きた脳の神経活動を観察可能になった。岡本、林らは、神経細胞の連結部位、シナプスのシナプス後膜(スパイン)において、その形態を制御するactinの重合を可視化するためのFRETプローブを開発した<ref><pubmed>15361876</pubmed></ref>。一方、脳のスライスにおいては、波長依存的な蛍光の吸収が生じるため、DonorとAcceptorの2波長を測定する蛍光強度比を測定するよりも、蛍光の散乱、吸収によって変化しない蛍光寿命測定法が導入された。安田、Svobodaらは、蛍光寿命測定を基に、スパインの構造的変化を誘導するRas,cdc42,RhoAなどのシグナル伝達分子の活性化の変化を観察することに成功している<ref><pubmed>19295602</pubmed></ref><ref><pubmed>18556515</pubmed></ref><ref><pubmed>21423166</pubmed></ref>。  
1997年、宮脇、Tsienらによって、CFPおよびYFPを利用した、Calcium indicator, Cameleonが開発され<ref><pubmed>9278050</pubmed></ref>、さらに、cAMP<ref><pubmed>10620803</pubmed></ref>, cGMP<ref><pubmed>11140757</pubmed></ref>, リン酸化<ref><pubmed>11752449</pubmed></ref>を初めとした主要な細胞内シグナル伝達子のFRETプローブが次々と作製され、細胞内の活性の局在などの解明に大きく貢献した。 <br> 脳神経分野においては、高雄、林らが、2000年初期に記憶の形成に必須なシグナル分子、カルシウムカルモデュリンキナーゼII (CaMKII)の活性化プローブ開発し分散培養系にてCaMkIIの可視化に成功した<ref><pubmed>15788767</pubmed></ref>。 <br> 1990年代後半、Svobodaらによって、2光子顕微鏡が脳神経科学に導入され、神経回路ネットワークを保持したスライスおよび個体の生きた脳の神経活動を観察可能になった。岡本、林らは、神経細胞の連結部位、シナプスのシナプス後膜(スパイン)において、その形態を制御するactinの重合を可視化するためのFRETプローブを開発した<ref><pubmed>15361876</pubmed></ref>。一方、脳のスライスにおいては、波長依存的な蛍光の吸収が生じるため、DonorとAcceptorの2波長を測定する蛍光強度比を測定するよりも、蛍光の散乱、吸収によって変化しない蛍光寿命測定法が導入された。安田、Svobodaらは、蛍光寿命測定を基に、スパインの構造的変化を誘導するRas,cdc42,RhoAなどのシグナル伝達分子の活性化の変化を観察することに成功している<ref><pubmed>19295602</pubmed></ref><ref><pubmed>18556515</pubmed></ref><ref><pubmed>21423166</pubmed></ref>。  
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