「帯状皮質運動野」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目: 1行目:
英語名 cingulate motor area (CMA)
英語名 cingulate motor area (CMA)


 帯状皮質運動野は、前頭葉内側部の帯状溝(cingulate sulcus)に沿って存在する運動野である。一次運動野や脊髄に直接投射し、この領域を電気刺激すると運動が誘発され、広義の運動前野の1つとみなされる1, 2。また、帯状皮質運動野吻側部は、報酬の情報に基づく行動選択などの高次機能にも関与している。
 帯状皮質運動野は、前頭葉内側部の帯状溝(cingulate sulcus)に沿って存在する運動野である。一次運動野や脊髄に直接投射し、この領域を電気刺激すると運動が誘発され、広義の運動前野の1つとみなされる<ref name=ref1>'''Kandel, E.R., Schwartz, J.H. & Jessell, T.M.''' (eds.)<br>Principles of Neural Science, Edn. 4.<br>McGraw-Hill Medical, 2000</ref> <ref name=ref2>'''丹治順'''<br>脳と運動―アクションを実行させる脳<br>共立出版, 1999</ref>。また、帯状皮質運動野吻側部は、報酬の情報に基づく行動選択などの高次機能にも関与している。


== 解剖 ==
== 解剖 ==
9行目: 9行目:
 帯状皮質運動野の解剖は、サル(マカク)においてよく知られている。サルおよびヒトの帯状皮質運動野の位置を(図1)に示す。
 帯状皮質運動野の解剖は、サル(マカク)においてよく知られている。サルおよびヒトの帯状皮質運動野の位置を(図1)に示す。


 サルを用いた研究によると、帯状皮質運動野は、細胞構築、および線維連絡の違いにより、3つの領域にわけられる。歴史的に、まず吻側部(rostral cingulate motor area; CMAr)、尾側部(caudal cingulate motor area; CMAc)の2領域にわけられ、さらに尾側部が背側部(dorsal cingulate motor area; CMAd)および腹側部(ventral cingulate motor area; CMAv)にわけられた3-5。CMAr は主にブロードマン(Brodmann)の 24c 野にあたり、帯状溝の上下に広がる。CMAd は帯状溝背側堤に存在する 6c、CMAv は帯状溝腹側堤の 23c に相当する。サルでは、帯状溝の皮質運動野は帯状回の皮質野とはっきり区別される6。すなわち、帯状皮質運動野は、帯状溝に埋もれており、帯状回には達しない。帯状皮質運動野では、すべての亜領域で前肢を再現する部位が認められるのに対し、頭部、顔面や後肢を再現する部位は必ずしも明瞭ではない7。
 サルを用いた研究によると、帯状皮質運動野は、細胞構築、および線維連絡の違いにより、3つの領域にわけられる。歴史的に、まず吻側部(rostral cingulate motor area; CMAr)、尾側部(caudal cingulate motor area; CMAc)の2領域にわけられ、さらに尾側部が背側部(dorsal cingulate motor area; CMAd)および腹側部(ventral cingulate motor area; CMAv)にわけられた<ref name=ref3><pubmed>2458281</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>1705965</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>8670662</pubmed></ref>。CMAr は主にブロードマン(Brodmann)の 24c 野にあたり、帯状溝の上下に広がる。CMAd は帯状溝背側堤に存在する 6c、CMAv は帯状溝腹側堤の 23c に相当する。サルでは、帯状溝の皮質運動野は帯状回の皮質野とはっきり区別される<ref name=ref6>'''Dum, R.P. & Strick, P.L.'''<br>Cingulate motor areas, in Neurobiology of cingulate cortex and limbic thalamus. <br>eds. B.A. Vogt & M. Gabriel, 415-441 (Birkhauser, Boston; 1993)</ref>。すなわち、帯状皮質運動野は、帯状溝に埋もれており、帯状回には達しない。帯状皮質運動野では、すべての亜領域で前肢を再現する部位が認められるのに対し、頭部、顔面や後肢を再現する部位は必ずしも明瞭ではない<ref name=ref7><pubmed>11860458</pubmed></ref>。


 サルとヒトでは脳の大きさおよび脳溝の走行が異なり、ヒトでは帯状溝の走行が個体間でかなり異なる8, 9ため、ヒトにおいて上述の部位と正確に相同な領域は同定できないが、吻側帯状領域(rostral cingulate zone; RCZ)および尾側帯状領域(caudal cingulate zone; CCZ)が帯状皮質運動野に相当する。CCZ は VCA line(vertical commissure anterior line; 前交連を通り、前交連後交連結合線 AC-PC line に垂直な線)付近の 24 野にあり、比較的単純な運動課題の遂行にて活動する5。その位置、細胞構築4、および活動パターンから、サルの CMAd に対応すると考えられる5。RCZ は、主に 32 野、一部 24c 野にあり、前方の RCZa(anterior portion of the RCZ)と、後方の RCZp(posterior portion of the RCZ)の2領域にわけられる。その活動パターンと位置から、RCZa はサルの CMAr に対応し、残る RCZp は CMAv に対応すると推測されているが、これは CCZ と CMAd の対応と比較し、憶測的である。ヒトの RCZp とサルの CMAv には、解剖学的な乖離がある。サルの CMAv は CMAd の腹側にあるが、ヒトの RCZp は特に上肢領域で CCZ より背側にある。また、サルの CMAv は 23c 野にある4が、ヒトの RCZp は主に 32 野にある。(ただし、サルの 23 野がヒトの 23 野に相当するとは考えにくい。ヒトの 23 野は motor task では活動がみられず、体性感覚刺激にて反応し10, 11、電気刺激により、運動ではなく体性感覚が誘発される12。)
 サルとヒトでは脳の大きさおよび脳溝の走行が異なり、ヒトでは帯状溝の走行が個体間でかなり異なる<ref name=ref8>'''Ono, M., Kubik, S. & Abernathey, C.D.'''<br>Atlas of the cerebral sulci.<br>Thieme, New York; 1990.</ref> <ref name=ref9><pubmed>7499543</pubmed></ref>ため、ヒトにおいて上述の部位と正確に相同な領域は同定できないが、吻側帯状領域(rostral cingulate zone; RCZ)および尾側帯状領域(caudal cingulate zone; CCZ)が帯状皮質運動野に相当する。CCZ は VCA line(vertical commissure anterior line; 前交連を通り、前交連後交連結合線 AC-PC line に垂直な線)付近の 24 野にあり、比較的単純な運動課題の遂行にて活動する5。その位置、細胞構築<ref name=ref4 />、および活動パターンから、サルの CMAd に対応すると考えられる<ref name=ref5 />。RCZ は、主に 32 野、一部 24c 野にあり、前方の RCZa(anterior portion of the RCZ)と、後方の RCZp(posterior portion of the RCZ)の2領域にわけられる。その活動パターンと位置から、RCZa はサルの CMAr に対応し、残る RCZp は CMAv に対応すると推測されているが、これは CCZ と CMAd の対応と比較し、憶測的である。ヒトの RCZp とサルの CMAv には、解剖学的な乖離がある。サルの CMAv は CMAd の腹側にあるが、ヒトの RCZp は特に上肢領域で CCZ より背側にある。また、サルの CMAv は 23c 野にある<ref name=ref4 />が、ヒトの RCZp は主に 32 野にある。(ただし、サルの 23 野がヒトの 23 野に相当するとは考えにくい。ヒトの 23 野は motor task では活動がみられず、体性感覚刺激にて反応し<ref name=ref10><pubmed>12106480</pubmed></ref> <ref name=ref11><pubmed>1519476</pubmed></ref>、電気刺激により、運動ではなく体性感覚が誘発される<ref name=ref12><pubmed>8467887</pubmed></ref>。)


 なお、いわゆる前帯状皮質(anterior cingulate cortex; ACC)とは、帯状回のブロードマン 24a、24b、25 野と、帯状溝内の 24c 野および 32 野を含む広い領域を指す13。したがって、CMAr は、前帯状皮質に含まれる。前帯状皮質を、背側前帯状皮質(dorsal anterior cingulate cortex; dACC)、吻側前帯状皮質(rostral anterior cingulate cortex; rACC)、の2領域にわけることもあるが、ヒトの dACC は、脳梁膝部(genu of the corpus callosum)から VCA line までの、帯状溝の背側部と腹側部を含む領域(24b-c・32 野)で、認知機能に関与し(cognitive division)、サルの CMAr にほぼ相当する。rACC は、脳梁膝部より吻側、腹側(24a-c・32 野、25・33 野)にあり、情動処理に関係する(affective division)14, 15。
 なお、いわゆる前帯状皮質(anterior cingulate cortex; ACC)とは、帯状回のブロードマン 24a、24b、25 野と、帯状溝内の 24c 野および 32 野を含む広い領域を指す<ref name=ref13><pubmed>11389475</pubmed></ref>。したがって、CMAr は、前帯状皮質に含まれる。前帯状皮質を、背側前帯状皮質(dorsal anterior cingulate cortex; dACC)、吻側前帯状皮質(rostral anterior cingulate cortex; rACC)、の2領域にわけることもあるが、ヒトの dACC は、脳梁膝部(genu of the corpus callosum)から VCA line までの、帯状溝の背側部と腹側部を含む領域(24b-c・32 野)で、認知機能に関与し(cognitive division)、サルの CMAr にほぼ相当する。rACC は、脳梁膝部より吻側、腹側(24a-c・32 野、25・33 野)にあり、情動処理に関係する(affective division)<ref name=ref14><pubmed>10827444</pubmed></ref> <ref name=ref15><pubmed>16227444</pubmed></ref>。


=== 線維連絡 ===
=== 線維連絡 ===


 帯状皮質運動野は、次の部位から入力を受ける:側頭連合野前部16, 17、頭頂連合野下部16、前頭前野外側面18, 19(ただし、46 野からの直接入力はわずかで、主に運動前野(PMdr と PMvr)を介して CMAr へ入力する20, 21)、前補足運動野(pre-supplementary motor area; pre-SMA)21、帯状回17、眼窩前頭皮質(orbitofrontal cortex)16, 17、扁桃核と海馬傍回16, 17, 22、後頭葉(鳥距溝後部)17、島皮質16, 17、視床(外側腹側核の口領域(VLo)、視床髄板内核群(IL)、さらに、CMAr は視床前核、CMAc は後外側腹側核(VPL)の口領域および外側腹側核(VL)の尾側部からの入力も受ける)21, 23。また、中脳からドーパミン性の入力も受ける24, 25。すなわち、側頭・頭頂連合野から外界環境に関する情報を、辺縁系から情動・内的欲求や身体の状態などに関する情報を、前頭前野から行動全体の遂行状況に関する情報を受け取る。
 帯状皮質運動野は、次の部位から入力を受ける:側頭連合野前部<ref name=ref16><pubmed>3624555</pubmed></ref> <ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref>、頭頂連合野下部<ref name=ref16><pubmed>3624555</pubmed></ref>、前頭前野外側面<ref name=ref18><pubmed>8288777</pubmed></ref> <ref name=ref19><pubmed>7515081</pubmed></ref>(ただし、46 野からの直接入力はわずかで、主に運動前野(PMdr と PMvr)を介して CMAr へ入力する<ref name=ref20><pubmed>15217388</pubmed></ref> <ref name=ref21><pubmed>12761828</pubmed></ref>)、前補足運動野(pre-supplementary motor area; pre-SMA)<ref name=ref21><pubmed>12761828</pubmed></ref>、帯状回<ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref>、眼窩前頭皮質(orbitofrontal cortex)<ref name=ref16><pubmed>3624555</pubmed></ref> <ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref>、扁桃核と海馬傍回<ref name=ref16><pubmed>3624555</pubmed></ref> <ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref> <ref name=ref22><pubmed>15335441</pubmed></ref>、後頭葉(鳥距溝後部)<ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref>、島皮質<ref name=ref16><pubmed>3624555</pubmed></ref> <ref name=ref17><pubmed>9443842</pubmed></ref>、視床(外側腹側核の口領域(VLo)、視床髄板内核群(IL)、さらに、CMAr は視床前核、CMAc は後外側腹側核(VPL)の口領域および外側腹側核(VL)の尾側部からの入力も受ける)<ref name=ref21 /> <ref name=ref23><pubmed>3624554</pubmed></ref>。また、中脳からドーパミン性の入力も受ける<ref name=ref24><pubmed>2563268</pubmed></ref> <ref name=ref25><pubmed>8100725</pubmed></ref>。すなわち、側頭・頭頂連合野から外界環境に関する情報を、辺縁系から情動・内的欲求や身体の状態などに関する情報を、前頭前野から行動全体の遂行状況に関する情報を受け取る。


 帯状皮質運動野からの出力に関しては、一次運動野、脳幹(赤核、橋)、脊髄3, 5, 26, 27、補足運動野27, 28、前補足運動野27, 29、運動前野30、大脳基底核(線条体吻側部および視床下核)7へ投射する。
 帯状皮質運動野からの出力に関しては、一次運動野、脳幹(赤核、橋)、脊髄<ref name=ref3 /> <ref name=ref5 /> <ref name=ref26><pubmed>115545</pubmed></ref> <ref name=ref27><pubmed>11164252</pubmed></ref>、補足運動野<ref name=ref27 />, <ref name=ref28><pubmed>1383283</pubmed></ref>、前補足運動野<ref name=ref27 /> <ref name=ref29><pubmed>7507940</pubmed></ref>、運動前野<ref name=ref30><pubmed>1721118</pubmed></ref>、大脳基底核(線条体吻側部および視床下核)<ref name=ref7 />へ投射する。


 前補足運動野と帯状皮質運動野は相互に密接な連絡を持ち、運動の高次のコントロールに強く関与していると考えられる。また、帯状回16、扁桃体31とも相互に連絡し、帯状皮質運動野内の各亜領域も互いに強く連絡している17。このように、帯状皮質運動野は、内的および外的の情報を受けて、運動出力を行う領野へ情報を送るため、様々な情報に基づいた自発的な行動選択に大きな役割を果たしていると考えられている17。
 前補足運動野と帯状皮質運動野は相互に密接な連絡を持ち、運動の高次のコントロールに強く関与していると考えられる。また、帯状回<ref name=ref16 />、扁桃体<ref name=ref31><pubmed>17099887</pubmed></ref>とも相互に連絡し、帯状皮質運動野内の各亜領域も互いに強く連絡している<ref name=ref17 />。このように、帯状皮質運動野は、内的および外的の情報を受けて、運動出力を行う領野へ情報を送るため、様々な情報に基づいた自発的な行動選択に大きな役割を果たしていると考えられている<ref name=ref17 />。


 帯状皮質運動野の各亜領域では、それぞれ線維連絡のようすが異なり、一次運動野や頭頂葉、視床などの各対象領野との連絡部位も各亜領域間で異なる。入出力のパターンも異なり、例えば、帯状皮質運動野の尾側部は、一次運動野、補足運動野、前補足運動野から投射を受けるが、吻側部は一次運動野、補足運動野からの投射を受けない21。また、帯状皮質運動野吻側部は、前補足運動野へ豊富に投射するが、一次運動野への投射は多くない。一方、尾側部は一次運動野への投射が多く、前補足運動野への投射は少ない27, 29。なお、補足運動野への投射に関しては、吻側部・尾側部から同程度ある27という報告と、尾側部から多く、吻側部からは少ない、という報告29がある。吻側部、尾側部ともに扁桃体からの入力を受けるが、特に吻側部の顔領域への入力が豊富である。扁桃体 → 帯状皮質運動野吻側部 → 顔面神経核(橋)の経路が、感情的な表情の表出に関与していると考えられている31。
 帯状皮質運動野の各亜領域では、それぞれ線維連絡のようすが異なり、一次運動野や頭頂葉、視床などの各対象領野との連絡部位も各亜領域間で異なる。入出力のパターンも異なり、例えば、帯状皮質運動野の尾側部は、一次運動野、補足運動野、前補足運動野から投射を受けるが、吻側部は一次運動野、補足運動野からの投射を受けない<ref name=ref21 />。また、帯状皮質運動野吻側部は、前補足運動野へ豊富に投射するが、一次運動野への投射は多くない。一方、尾側部は一次運動野への投射が多く、前補足運動野への投射は少ない<ref name=ref27 /> <ref name=ref29 />。なお、補足運動野への投射に関しては、吻側部・尾側部から同程度ある<ref name=ref27 />という報告と、尾側部から多く、吻側部からは少ない、という報告<ref name=ref29 />がある。吻側部、尾側部ともに扁桃体からの入力を受けるが、特に吻側部の顔領域への入力が豊富である。扁桃体 → 帯状皮質運動野吻側部 → 顔面神経核(橋)の経路が、感情的な表情の表出に関与していると考えられている<ref name=ref31 />。


== 電気生理学的事項 ==
== 電気生理学的事項 ==


 帯状皮質運動野の正確な位置や解剖学的構造が解明される以前の 20 世紀半ばに、この領域を電気刺激すると運動が誘発されることが、サルおよびヒトで報告された13, 32, 33。その後、皮質内微小電気刺激を用いることにより、帯状皮質運動野の各亜領域の特性を観察することが可能になった。帯状皮質運動野尾側部は、比較的低強度(40 μA 以下)の電気刺激にて運動を誘発することが可能で、体性局在も確認された。一方、吻側部は、刺激強度を増しても常に運動が誘発されるわけではなく、体性局在も不明瞭であった34。その理由の1つとして、脊髄へ直接投射する細胞の密度が、吻側部よりも尾側部のほうが高いことが考えられている4, 5。
 帯状皮質運動野の正確な位置や解剖学的構造が解明される以前の 20世紀半ばに、この領域を電気刺激すると運動が誘発されることが、サルおよびヒトで報告された<ref name=ref13 /> <ref name=ref32><pubmed>14446213</pubmed></ref> <ref name=ref33><pubmed>14867993</pubmed></ref>。その後、皮質内微小電気刺激を用いることにより、帯状皮質運動野の各亜領域の特性を観察することが可能になった。帯状皮質運動野尾側部は、比較的低強度(40 μA 以下)の電気刺激にて運動を誘発することが可能で、体性局在も確認された。一方、吻側部は、刺激強度を増しても常に運動が誘発されるわけではなく、体性局在も不明瞭であった<ref name=ref34><pubmed>1757598</pubmed></ref>。その理由の1つとして、脊髄へ直接投射する細胞の密度が、吻側部よりも尾側部のほうが高いことが考えられている<ref name=ref4 /> <ref name=ref5 />。


 また、動作遂行に際して、この領域の細胞が活動することが知られている。開始信号によって開始する動作と、自発的に開始する動作を遂行する際の細胞活動を調べた研究では35、帯状皮質運動野の約 40% の細胞は、両条件において同様な活動を呈した。自発的な運動開始の際に選択的に活動する細胞は、前方領域に多くみられた。さらに、動作の開始時点よりかなり早くからの(500 ms - 2 s 前)細胞活動もみられたが、この活動は、主に自発的な運動開始の際にみられ、このような活動を呈する細胞は、前方領域に多かった。したがって、後方領域は運動の実行に直接的に関与し、前方領域はより高次の運動コントロールに関与していることが考えられる35(文献36, 37も参照のこと)。また、前方領域、特に CMAr には、運動の実行のみならず、運動の不実行に関与する細胞も多く存在する36。
 また、動作遂行に際して、この領域の細胞が活動することが知られている。開始信号によって開始する動作と、自発的に開始する動作を遂行する際の細胞活動を調べた研究では<ref name=ref35><pubmed>2016637</pubmed></ref>、帯状皮質運動野の約 40% の細胞は、両条件において同様な活動を呈した。自発的な運動開始の際に選択的に活動する細胞は、前方領域に多くみられた。さらに、動作の開始時点よりかなり早くからの(500 ms - 2 s 前)細胞活動もみられたが、この活動は、主に自発的な運動開始の際にみられ、このような活動を呈する細胞は、前方領域に多かった。したがって、後方領域は運動の実行に直接的に関与し、前方領域はより高次の運動コントロールに関与していることが考えられる<ref name=ref35 />(文献<ref name=ref36><pubmed>12954861</pubmed></ref> <ref name=ref37><pubmed>12424298</pubmed></ref>も参照のこと)。また、前方領域、特に CMAr には、運動の実行のみならず、運動の不実行に関与する細胞も多く存在する<ref name=ref36 />。


== 高次機能 ==
== 高次機能 ==


 帯状皮質運動野(主に CMAr)は、最適な行動選択を行うために必要な情報処理に関与する。サルの単一神経細胞記録や破壊実験によると、この領域は以下のような機能に関わるといわれている。報酬の情報に基づいた運動選択(reward-based motor selection)38、エラーの検出(error detection)39, 40、行動のイベント経過のモニター41、正しい行動順序の探索42、行動の価値(action value)の推定43, 44、報酬の予測と予測誤差(prediction error)の検出45-47、自分自身はとらなかった行動に導かれる「経験していない結果(fictive outcome)」の情報処理48等である。帯状皮質運動野が、これらのうち、もしくは別の1つの機能に特化していると説明しようとするより、行動(action)・結果(outcome)のモニタリングおよび評価を次の行動につなげる意思決定(decision making)過程に関与すると考えるほうが自然であろう。なお、帯状皮質運動野より前方部分の前帯状皮質においても、予測誤差の検出49、報酬の有無や報酬量、報酬獲得に必要な労力に関連した活動50等の報告があり、この領域一帯の細胞は、報酬の情報に基づいた行動選択に関わると考えられる。また、1つの細胞が複数の異なる情報をコードしたり、異なる情報(例えば、報酬が得られる確率と予測誤差など)をコードする細胞が領域内で混在したりしていることもしばしば報告される47, 50。
 帯状皮質運動野(主に CMAr)は、最適な行動選択を行うために必要な情報処理に関与する。サルの単一神経細胞記録や破壊実験によると、この領域は以下のような機能に関わるといわれている。報酬の情報に基づいた運動選択(reward-based motor selection)<ref name=ref38><pubmed>9812901</pubmed></ref>、エラーの検出(error detection)<ref name=ref39><pubmed>111772</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed></pubmed></ref>、行動のイベント経過のモニター<ref name=ref41><pubmed></pubmed></ref>、正しい行動順序の探索<ref name=ref42><pubmed></pubmed></ref>、行動の価値(action value)の推定<ref name=ref43><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref44><pubmed></pubmed></ref>、報酬の予測と予測誤差(prediction error)の検出<ref name=ref45><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref46><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref47><pubmed></pubmed></ref>、自分自身はとらなかった行動に導かれる「経験していない結果(fictive outcome)」の情報処理<ref name=ref48><pubmed></pubmed></ref>等である。帯状皮質運動野が、これらのうち、もしくは別の1つの機能に特化していると説明しようとするより、行動(action)・結果(outcome)のモニタリングおよび評価を次の行動につなげる意思決定(decision making)過程に関与すると考えるほうが自然であろう。なお、帯状皮質運動野より前方部分の前帯状皮質においても、予測誤差の検出<ref name=ref49><pubmed></pubmed></ref>、報酬の有無や報酬量、報酬獲得に必要な労力に関連した活動<ref name=ref50><pubmed></pubmed></ref>等の報告があり、この領域一帯の細胞は、報酬の情報に基づいた行動選択に関わると考えられる。また、1つの細胞が複数の異なる情報をコードしたり、異なる情報(例えば、報酬が得られる確率と予測誤差など)をコードする細胞が領域内で混在したりしていることもしばしば報告される<ref name=ref47 /> <ref name=ref50 />。


 同様に、ヒトを対象とした fMRI、PET の研究においても、エラーの検出など行動の評価(action valuation)に関わる情報処理や、自己の意思による行動選択の際に帯状皮質運動野の活動がみられる5, 51-54。
 同様に、ヒトを対象とした fMRI、PET の研究においても、エラーの検出など行動の評価(action valuation)に関わる情報処理や、自己の意思による行動選択の際に帯状皮質運動野の活動がみられる5, 51-54。
54行目: 54行目:


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
1. Kandel, E.R., Schwartz, J.H. & Jessell, T.M. (eds.) Principles of Neural Science, Edn. 4. (McGraw-Hill Medical, 2000).
2. 丹治順 脳と運動―アクションを実行させる脳. (共立出版, 1999).
3. Hutchins, K.D., Martino, A.M. & Strick, P.L. Corticospinal projections from the medial wall of the hemisphere. Exp Brain Res 71, 667-672 (1988).
4. Dum, R.P. & Strick, P.L. The origin of corticospinal projections from the premotor areas in the frontal lobe. J Neurosci 11, 667-689 (1991).
5. Picard, N. & Strick, P.L. Motor areas of the medial wall: a review of their location and functional activation. Cereb Cortex 6, 342-353 (1996).
6. Dum, R.P. & Strick, P.L. Cingulate motor areas, in Neurobiology of cingulate cortex and limbic thalamus. (eds. B.A. Vogt & M. Gabriel) 415-441 (Birkhauser, Boston; 1993).
7. Takada, M. et al. Organization of inputs from cingulate motor areas to basal ganglia in macaque monkey. Eur J Neurosci 14, 1633-1650 (2001).
8. Ono, M., Kubik, S. & Abernathey, C.D. Atlas of the cerebral sulci. (Thieme, New York; 1990).
9. Vogt, B.A., Nimchinsky, E.A., Vogt, L.J. & Hof, P.R. Human cingulate cortex: surface features, flat maps, and cytoarchitecture. J Comp Neurol 359, 490-506 (1995).
10. Seitz, R.J., Roland, P.E., Bohm, C., Greitz, T. & Stone-Elander, S. Somatosensory Discrimination of Shape: Tactile Exploration and Cerebral Activation. Eur J Neurosci 3, 481-492 (1991).
11. Seitz, R.J. & Roland, P.E. Vibratory stimulation increases and decreases the regional cerebral blood flow and oxidative metabolism: a positron emission tomography (PET) study. Acta Neurol Scand 86, 60-67 (1992).
12. Richer, F., Martinez, M., Robert, M., Bouvier, G. & Saint-Hilaire, J.M. Stimulation of human somatosensory cortex: tactile and body displacement perceptions in medial regions. Exp Brain Res 93, 173-176 (1993).
13. Paus, T. Primate anterior cingulate cortex: where motor control, drive and cognition interface. Nat Rev Neurosci 2, 417-424 (2001).
14. Bush, G., Luu, P. & Posner, M.I. Cognitive and emotional influences in anterior cingulate cortex. Trends Cogn Sci 4, 215-222 (2000).
15. Polli, F.E. et al. Rostral and dorsal anterior cingulate cortex make dissociable contributions during antisaccade error commission. Proc Natl Acad Sci U S A 102, 15700-15705 (2005).
16. Vogt, B.A. & Pandya, D.N. Cingulate cortex of the rhesus monkey: II. Cortical afferents. J Comp Neurol 262, 271-289 (1987).
17. Morecraft, R.J. & Van Hoesen, G.W. Convergence of limbic input to the cingulate motor cortex in the rhesus monkey. Brain Res Bull 45, 209-232 (1998).
18. Morecraft, R.J. & Van Hoesen, G.W. Frontal granular cortex input to the cingulate (M3), supplementary (M2) and primary (M1) motor cortices in the rhesus monkey. J Comp Neurol 337, 669-689 (1993).
19. Lu, M.T., Preston, J.B. & Strick, P.L. Interconnections between the prefrontal cortex and the premotor areas in the frontal lobe. J Comp Neurol 341, 375-392 (1994).
20. Takada, M. et al. Organization of prefrontal outflow toward frontal motor-related areas in macaque monkeys. Eur J Neurosci 19, 3328-3342 (2004).
21. Hatanaka, N. et al. Thalamocortical and intracortical connections of monkey cingulate motor areas. J Comp Neurol 462, 121-138 (2003).
22. Morecraft, R.J., Stilwell-Morecraft, K.S. & Rossing, W.R. The motor cortex and facial expression: new insights from neuroscience. Neurologist 10, 235-249 (2004).
23. Vogt, B.A., Pandya, D.N. & Rosene, D.L. Cingulate cortex of the rhesus monkey: I. Cytoarchitecture and thalamic afferents. J Comp Neurol 262, 256-270 (1987).
24. Gaspar, P., Berger, B., Febvret, A., Vigny, A. & Henry, J.P. Catecholamine innervation of the human cerebral cortex as revealed by comparative immunohistochemistry of tyrosine hydroxylase and dopamine-beta-hydroxylase. J Comp Neurol 279, 249-271 (1989).
25. Williams, S.M. & Goldman-Rakic, P.S. Characterization of the dopaminergic innervation of the primate frontal cortex using a dopamine-specific antibody. Cereb Cortex 3, 199-222 (1993).
26. Muakkassa, K.F. & Strick, P.L. Frontal lobe inputs to primate motor cortex: evidence for four somatotopically organized 'premotor' areas. Brain Res 177, 176-182 (1979).
27. Wang, Y., Shima, K., Sawamura, H. & Tanji, J. Spatial distribution of cingulate cells projecting to the primary, supplementary, and pre-supplementary motor areas: a retrograde multiple labeling study in the macaque monkey. Neurosci Res 39, 39-49 (2001).
28. Morecraft, R.J. & Van Hoesen, G.W. Cingulate input to the primary and supplementary motor cortices in the rhesus monkey: evidence for somatotopy in areas 24c and 23c. J Comp Neurol 322, 471-489 (1992).
29. Luppino, G., Matelli, M., Camarda, R. & Rizzolatti, G. Corticocortical connections of area F3 (SMA-proper) and area F6 (pre-SMA) in the macaque monkey. J Comp Neurol 338, 114-140 (1993).
30. Kurata, K. Corticocortical inputs to the dorsal and ventral aspects of the premotor cortex of macaque monkeys. Neurosci Res 12, 263-280 (1991).
31. Morecraft, R.J. et al. Amygdala interconnections with the cingulate motor cortex in the rhesus monkey. J Comp Neurol 500, 134-165 (2007).
32. Showers, M.J. The cingulate gyrus: additional motor area and cortical autonomic regulator. J Comp Neurol 112, 231-301 (1959).
33. Penfield, W. & Welch, K. The supplementary motor area of the cerebral cortex; a clinical and experimental study. AMA Arch Neurol Psychiatry 66, 289-317 (1951).
34. Luppino, G., Matelli, M., Camarda, R.M., Gallese, V. & Rizzolatti, G. Multiple representations of body movements in mesial area 6 and the adjacent cingulate cortex: an intracortical microstimulation study in the macaque monkey. J Comp Neurol 311, 463-482 (1991).
35. Shima, K. et al. Two movement-related foci in the primate cingulate cortex observed in signal-triggered and self-paced forelimb movements. J Neurophysiol 65, 188-202 (1991).
36. Isomura, Y., Ito, Y., Akazawa, T., Nambu, A. & Takada, M. Neural coding of "attention for action" and "response selection" in primate anterior cingulate cortex. J Neurosci 23, 8002-8012 (2003).
37. Russo, G.S., Backus, D.A., Ye, S. & Crutcher, M.D. Neural activity in monkey dorsal and ventral cingulate motor areas: comparison with the supplementary motor area. J Neurophysiol 88, 2612-2629 (2002).
38. Shima, K. & Tanji, J. Role for cingulate motor area cells in voluntary movement selection based on reward. Science 282, 1335-1338 (1998).
39. Niki, H. & Watanabe, M. Prefrontal and cingulate unit activity during timing behavior in the monkey. Brain Res 171, 213-224 (1979).
40. Ito, S., Stuphorn, V., Brown, J.W. & Schall, J.D. Performance monitoring by the anterior cingulate cortex during saccade countermanding. Science 302, 120-122 (2003).
41. Hoshi, E., Sawamura, H. & Tanji, J. Neurons in the rostral cingulate motor area monitor multiple phases of visuomotor behavior with modest parametric selectivity. J Neurophysiol 94, 640-656 (2005).
42. Procyk, E., Tanaka, Y.L. & Joseph, J.P. Anterior cingulate activity during routine and non-routine sequential behaviors in macaques. Nat Neurosci 3, 502-508 (2000).
43. Kennerley, S.W., Walton, M.E., Behrens, T.E., Buckley, M.J. & Rushworth, M.F. Optimal decision making and the anterior cingulate cortex. Nat Neurosci 9, 940-947 (2006).
44. Quilodran, R., Rothe, M. & Procyk, E. Behavioral shifts and action valuation in the anterior cingulate cortex. Neuron 57, 314-325 (2008).
45. Shidara, M. & Richmond, B.J. Anterior cingulate: single neuronal signals related to degree of reward expectancy. Science 296, 1709-1711 (2002).
46. Amiez, C., Joseph, J.P. & Procyk, E. Reward encoding in the monkey anterior cingulate cortex. Cereb Cortex 16, 1040-1055 (2006).
47. Seo, H. & Lee, D. Temporal filtering of reward signals in the dorsal anterior cingulate cortex during a mixed-strategy game. J Neurosci 27, 8366-8377 (2007).
48. Hayden, B.Y., Pearson, J.M. & Platt, M.L. Fictive reward signals in the anterior cingulate cortex. Science 324, 948-950 (2009).
49. Matsumoto, M., Matsumoto, K., Abe, H. & Tanaka, K. Medial prefrontal cell activity signaling prediction errors of action values. Nat Neurosci 10, 647-656 (2007).
50. Kennerley, S.W. & Wallis, J.D. Evaluating choices by single neurons in the frontal lobe: outcome value encoded across multiple decision variables. Eur J Neurosci 29, 2061-2073 (2009).
51. Frith, C.D., Friston, K., Liddle, P.F. & Frackowiak, R.S. Willed action and the prefrontal cortex in man: a study with PET. Proc Biol Sci 244, 241-246 (1991).
52. Ullsperger, M. & von Cramon, D.Y. Subprocesses of performance monitoring: a dissociation of error processing and response competition revealed by event-related fMRI and ERPs. Neuroimage 14, 1387-1401 (2001).
53. Holroyd, C.B. et al. Dorsal anterior cingulate cortex shows fMRI response to internal and external error signals. Nat Neurosci 7, 497-498 (2004).
54. Walton, M.E., Devlin, J.T. & Rushworth, M.F. Interactions between decision making and performance monitoring within prefrontal cortex. Nat Neurosci 7, 1259-1265 (2004).
55. Botvinick, M.M., Braver, T.S., Barch, D.M., Carter, C.S. & Cohen, J.D. Conflict monitoring and cognitive control. Psychol Rev 108, 624-652 (2001).
56. Carter, C.S. et al. Anterior cingulate cortex, error detection, and the online monitoring of performance. Science 280, 747-749 (1998).
57. Botvinick, M.M., Cohen, J.D. & Carter, C.S. Conflict monitoring and anterior cingulate cortex: an update. Trends Cogn Sci 8, 539-546 (2004).
58. Nakamura, K., Roesch, M.R. & Olson, C.R. Neuronal activity in macaque SEF and ACC during performance of tasks involving conflict. J Neurophysiol 93, 884-908 (2005).
59. Paus, T., Petrides, M., Evans, A.C. & Meyer, E. Role of the human anterior cingulate cortex in the control of oculomotor, manual, and speech responses: a positron emission tomography study. J Neurophysiol 70, 453-469 (1993).
60. Turken, A.U. & Swick, D. Response selection in the human anterior cingulate cortex. Nat Neurosci 2, 920-924 (1999).
61. Yoshida, K., Saito, N., Iriki, A. & Isoda, M. Representation of others' action by neurons in monkey medial frontal cortex. Curr Biol 21, 249-253 (2011).
62. Yoshida, K., Saito, N., Iriki, A. & Isoda, M. Social error monitoring in macaque frontal cortex. Nat Neurosci (in the press).
63. Devinsky, O., Morrell, M.J. & Vogt, B.A. Contributions of anterior cingulate cortex to behaviour. Brain 118 ( Pt 1), 279-306 (1995).
64. Nielsen, J.M. & Jacobs, L.L. Bilateral lesions of the anterior cingulate gyri; report of case. Bull Los Angel Neuro Soc 16, 231-234 (1951).
65. Nemeth, G., Hegedus, K. & Molnar, L. Akinetic mutism associated with bicingular lesions: clinicopathological and functional anatomical correlates. Eur Arch Psychiatry Neurol Sci 237, 218-222 (1988).
66. Greenberg, B.D., Rauch, S.L. & Haber, S.N. Invasive circuitry-based neurotherapeutics: stereotactic ablation and deep brain stimulation for OCD. Neuropsychopharmacology 35, 317-336 (2010).
67. Schoene-Bake, J.C. et al. Tractographic analysis of historical lesion surgery for depression. Neuropsychopharmacology 35, 2553-2563 (2010).
68. Milad, M.R. & Rauch, S.L. Obsessive-compulsive disorder: beyond segregated cortico-striatal pathways. Trends Cogn Sci 16, 43-51 (2012).
69. Taylor, S.F. & Liberzon, I. Neural correlates of emotion regulation in psychopathology. Trends Cogn Sci 11, 413-418 (2007).
70. Shin, L.M. & Liberzon, I. The neurocircuitry of fear, stress, and anxiety disorders. Neuropsychopharmacology 35, 169-191 (2010).
71. Goldstein, R.Z. et al. The neurocircuitry of impaired insight in drug addiction. Trends Cogn Sci 13, 372-380 (2009).
72. Garavan, H. & Stout, J.C. Neurocognitive insights into substance abuse. Trends Cogn Sci 9, 195-201 (2005).
73. Picard, N. & Strick, P.L. Imaging the premotor areas. Curr Opin Neurobiol 11, 663-672 (2001).


<references />
<references />