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Hiromisatou (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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ソース・モニタリングには大きく分けて以下の3つの種類がある。 外的ソース・モニタリング 内的ソース・モニタリング リアリティ・モニタリング どれも上記2つの判断過程を利用しており,エラーに陥りやすい。 | ソース・モニタリングには大きく分けて以下の3つの種類がある。 外的ソース・モニタリング 内的ソース・モニタリング リアリティ・モニタリング どれも上記2つの判断過程を利用しており,エラーに陥りやすい。 | ||
=== 外的ソース・モニタリング === | === 外的ソース・モニタリング === | ||
自分の周囲の世界で生じた出来事など,外部からの情報源を判別する。 例:どちらの友人が下品なことを言ったかを決める。 | 自分の周囲の世界で生じた出来事など,外部からの情報源を判別する。 例:どちらの友人が下品なことを言ったかを決める。 | ||
=== 内的ソース・モニタリング === | === 内的ソース・モニタリング === | ||
個人の記憶など,内部から導かれた情報源を判別する。 例;頭の中の考えと言葉として発した考えを区別する。 | 個人の記憶など,内部から導かれた情報源を判別する。 例;頭の中の考えと言葉として発した考えを区別する。 | ||
=== 現実性モニタリング === | === 現実性モニタリング === | ||
内的ー外的 リアリティ・モニタリングとも。上記2つのタイプから導かれるもので,情報源が内的なものなのか外的なものなのかを判別する。 例;ビルに激突した飛行機は現実の世界の話なのか,紙上での話なのかを判別する。 | 内的ー外的 リアリティ・モニタリングとも。上記2つのタイプから導かれるもので,情報源が内的なものなのか外的なものなのかを判別する。 例;ビルに激突した飛行機は現実の世界の話なのか,紙上での話なのかを判別する。 | ||
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= 関連事象 = | = 関連事象 = | ||
=== | === Old-new recognition === | ||
old-new recognition は認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいかをnoで,古いかをyesで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対称がとても似ているときや,情報を検索するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる。 | old-new recognition は認識記憶を検査するのに用いられる測定法。被験者はアイテムが新しいかをnoで,古いかをyesで答える。この時,エラーはソースモニタリングで生じるのと同様の認識プロセスで生じる。対称がとても似ているときや,情報を検索するのが難しい環境(気が散る,ストレスなど),または何らかの理由で判断過程が機能していないときにエラーが頻繁に生じる。 | ||
=== | === Remember-know === | ||
”覚えているか”対”知っているか”は記憶のawarenessを評価する過程である。覚えている場合にはその経験は追体験することができ,容易に詳細が浮かんでくる。知っている場合には追体験することは出来ないが親近感がわくため,情報源がそれだと(誤って)考えることが多くなる。どちらの判断を行う場合にもソースモニタリング・エラーに陥りやすい。また,DRMパラダイムなどの特定の環境下では,"覚えている"という判断がなされやすくなる。 c.f. DRMパラダイム(Deese-Roediger-McDermott paradigm: Roediger & McDermott, 1995) 学習時に実際には呈示されない単語であるルアー項目(例えば,太陽) の連想語(例えば,月,光)をから成り立つリスト(以下,DRMリスト)を呈示する。そして,テスト時には学習項目とルアー項目,その他の未学習項目からなるリストを用いて再認判断を求める。すると,ルアー項目は,他の未学習項目と比較して高い確率で再認される。 | ”覚えているか”対”知っているか”は記憶のawarenessを評価する過程である。覚えている場合にはその経験は追体験することができ,容易に詳細が浮かんでくる。知っている場合には追体験することは出来ないが親近感がわくため,情報源がそれだと(誤って)考えることが多くなる。どちらの判断を行う場合にもソースモニタリング・エラーに陥りやすい。また,DRMパラダイムなどの特定の環境下では,"覚えている"という判断がなされやすくなる。 c.f. DRMパラダイム(Deese-Roediger-McDermott paradigm: Roediger & McDermott, 1995) 学習時に実際には呈示されない単語であるルアー項目(例えば,太陽) の連想語(例えば,月,光)をから成り立つリスト(以下,DRMリスト)を呈示する。そして,テスト時には学習項目とルアー項目,その他の未学習項目からなるリストを用いて再認判断を求める。すると,ルアー項目は,他の未学習項目と比較して高い確率で再認される。 | ||
=== | === False fame === | ||
false fame 実験では,まず有名でない名前のリストが提示され,その後,先に見せられた名前と新しい有名でない人と有名な人の名前が提示される。課題は有名人の名前を選ぶことだが,その際古い方の有名ではない名前が誤って選ばれることが多い。 前世の記憶のような普通でない出来事を信じる人たちが,ソースモニタリング・エラーに陥りやすいとする研究がいくつか行われている。このような人は普通でない出来事をを信じていない人よりもfalse fame課題でエラーを犯しやすい。前世の記憶においては,ある記憶の情報源が前世の記憶に貢献している。つまり,他人の話や映画,本,夢,想像上のシナリオが誤って前世から来た記憶だと認識される。 | false fame 実験では,まず有名でない名前のリストが提示され,その後,先に見せられた名前と新しい有名でない人と有名な人の名前が提示される。課題は有名人の名前を選ぶことだが,その際古い方の有名ではない名前が誤って選ばれることが多い。 前世の記憶のような普通でない出来事を信じる人たちが,ソースモニタリング・エラーに陥りやすいとする研究がいくつか行われている。このような人は普通でない出来事をを信じていない人よりもfalse fame課題でエラーを犯しやすい。前世の記憶においては,ある記憶の情報源が前世の記憶に貢献している。つまり,他人の話や映画,本,夢,想像上のシナリオが誤って前世から来た記憶だと認識される。 | ||
=== | === 潜在記憶(?,Cryptomnesia) === | ||
Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,自分で作り出したと信じていること。最初にその情報にさらされたときに妨害されることで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる。 | Cryptomnesiaはわざとではない剽窃のことで,本当は以前に自分で,もしくは外的情報源によって生み出されたものなのにもかかわらず,自分で作り出したと信じていること。最初にその情報にさらされたときに妨害されることで生じる。その情報が無意識に得られたとしても,その情報に関連する脳の領域は短時間ではあるが活性化する。そのため,外から得られた情報や既に思いついていた考えが,今新たに生まれた考えのように思えてしまう。典型的にはこの情報源判断にはヒューリスティック過程が用いられる。初めに情報に触れたときに干渉があるため,ヒューリスティック過程では 情報源を内的に生み出されたものだと判断してしまいがちになる。 | ||
97行目: | 97行目: | ||
= 関連する症状 = | = 関連する症状 = | ||
=== | === 統合失調症 === | ||
ソースモニタリング・エラーは健常者よりも統合失調症の人の間で頻繁に生じることがわかっている。この傾向を生み出すのはおそらく遺伝子の表現型で,この傾向は反抗心と関連している。研究によると,統合失調症においてソースモニタリングが困難なのは自分で作り出したものの情報源をコードすることができないため,また新しいものと以前に提示された物の情報源を区別しにくいためであると考えられている。また,内的な刺激を現実の出来事だと近くするためだとの見解もある。患者はどこからが自分で作り出した思考かをモニタすることが出来ず,autonetic agnosia(想起失認:自分で生み出した内的な出来事を識別できないこと)に陥りやすい。 | ソースモニタリング・エラーは健常者よりも統合失調症の人の間で頻繁に生じることがわかっている。この傾向を生み出すのはおそらく遺伝子の表現型で,この傾向は反抗心と関連している。研究によると,統合失調症においてソースモニタリングが困難なのは自分で作り出したものの情報源をコードすることができないため,また新しいものと以前に提示された物の情報源を区別しにくいためであると考えられている。また,内的な刺激を現実の出来事だと近くするためだとの見解もある。患者はどこからが自分で作り出した思考かをモニタすることが出来ず,autonetic agnosia(想起失認:自分で生み出した内的な出来事を識別できないこと)に陥りやすい。 | ||
103行目: | 103行目: | ||
<br> | <br> | ||
=== 加齢の影響 === | === 加齢の影響 === | ||
ソースモニタリング・エラーに対する年齢の影響を調べるために多くの研究がなされている(McDaniel, 2000)。ソースモニタリングは高齢者や幼い子供によく見られる(Cohen, 1989)。 | |||
ソースモニタリングが幼児で頻繁に起こるのは,彼らは現実と想像上の考えを分離することが苦手であり,これは現実性モニタリングに問題があるためだと考えられてきた。高齢者は目撃証言の際,記憶の情報源を特定するのに間違いを犯しがちである。記憶は本来のクラスに正しくししまわれているとは限らないので,現実性モニタリングはソースモニタリング・エラーを引き起こしがちである。例えば,内的な記憶が感覚情報を多分に含んでいれば,その記憶は誤って外部から検索されたものだとして思い出されてしまうこともある(Hashtroudi, 1989)。 | |||
= 現状と今後の展望 = | |||
= 参考文献 = | |||
Cohen, G., Faulkner, D. (1989). Age Differences in Source Forgetting: Effects on Reality Monitoring and on Eyewitness Testimony. Psychology and Aging, 4(1), 10–17. | |||
Hashtroudi, S., Johnson, M.K., Chrosniak, L.D. (1989). Aging and Source Monitoring. Psychology and Aging, 4(1), 106–112. | |||
M L Johnson, S Hashtroudi, D S Lindsay Source Monitoring. Psychological Bulletin: 1993, 114(1); 3-28 | M L Johnson, S Hashtroudi, D S Lindsay Source Monitoring. Psychological Bulletin: 1993, 114(1); 3-28 | ||
McDaniel, M.A., Lyle, K.B., Butler, K.M., & Dornburg, C.C. (2008). Age-Related Deficits in Reality Monitoring. Psychology and Aging, 23(3), 646–656. | |||
A P Yonelinas The Nature of Recollection and Familiarity: A Review of 30 Years of Research. Journal of Memory and Language: 2002, 46; 441–517 | A P Yonelinas The Nature of Recollection and Familiarity: A Review of 30 Years of Research. Journal of Memory and Language: 2002, 46; 441–517 |
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