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統合失調症の構造画像では、患者群で、[[側脳室]]が拡大し、前頭前野-側頭-辺縁系に軽度の体積減少があることは、ほぼ一致した所見である。とくに前頭前野皮質と上側頭回の変化は、前駆期から発病後の数年間にかけて進行することが、構造的MRIで示され、後期神経発達障害(脳の成熟障害)仮説が有力となっている。ただし、個々の変化は、健常者群との重なりが大きい。[[陰性症状]]、[[幻聴]]や[[思考障害]]と脳の形態や機能との関連も報告されている。[[言語性記憶]]、[[実行機能]]などの認知機能障害が、社会的転帰と関連することが示されている。統合失調症の睡眠脳波では、[[視床-皮質ネットワーク]]の同期化を反映している[[睡眠紡錘波]]と[[徐波睡眠]]の減少が指摘されている。 | 統合失調症の構造画像では、患者群で、[[側脳室]]が拡大し、前頭前野-側頭-辺縁系に軽度の体積減少があることは、ほぼ一致した所見である。とくに前頭前野皮質と上側頭回の変化は、前駆期から発病後の数年間にかけて進行することが、構造的MRIで示され、後期神経発達障害(脳の成熟障害)仮説が有力となっている。ただし、個々の変化は、健常者群との重なりが大きい。[[陰性症状]]、[[幻聴]]や[[思考障害]]と脳の形態や機能との関連も報告されている。[[言語性記憶]]、[[実行機能]]などの認知機能障害が、社会的転帰と関連することが示されている。統合失調症の睡眠脳波では、[[視床-皮質ネットワーク]]の同期化を反映している[[睡眠紡錘波]]と[[徐波睡眠]]の減少が指摘されている。 | ||
[[ | [[カテコール-O-メチル基転移酵素]](Catechol-O-methyltransferase, COMT)は、細胞質内にあり、[[ドーパミン]]などの[[カテコールアミン]]を分解する酵素である。これには、高活性と低活性の多型があり、158番目のアミノ酸が[[wikipedia:ja:バリン|バリン]](valine)のものは、高活性で、[[wikipedia:ja:メチオニン|メチオニン]](methionine)のものは、低活性である。Val-COMTでは、ドーパミンの分解が促進され、[[作業記憶]]課題の成績がより低いこと、そして、このvalアリルは、統合失調症へのリスクを軽度に増加させることが示された。[[wikipedia:ja:一卵性双生児|一卵性双生児]]の一致率は、約50%で、不一致組では、発症例の方に、脳の形態学的変化が認められる。この変化は、遺伝子発現の違いに基づくと考えられる。 | ||
統合失調症の感受性遺伝子としては、メタ解析からは、ニューレグリン(neuregulin)、ジスビンジン(dysbindin)などが取り出されている。これらの遺伝子多型は、non-coding領域にあり、[[wikipedia:ja:翻訳|翻訳]]されるアミノ酸に変化は見いだされていない。しかし、これらの遺伝子多型は、脳構造や精神生理学的指標と関連し得るようである(例. ニューレグリンと側脳室の拡大、[[滑動性眼球運動]]との関連など)。生化学的には、[[GABA]]ニューロン上の[[グルタミン酸]](その中のN-methyl-D-aspartate, [NMDA]])受容体の低活性仮説が有力である。 | 統合失調症の感受性遺伝子としては、メタ解析からは、ニューレグリン(neuregulin)、ジスビンジン(dysbindin)などが取り出されている。これらの遺伝子多型は、non-coding領域にあり、[[wikipedia:ja:翻訳|翻訳]]されるアミノ酸に変化は見いだされていない。しかし、これらの遺伝子多型は、脳構造や精神生理学的指標と関連し得るようである(例. ニューレグリンと側脳室の拡大、[[滑動性眼球運動]]との関連など)。生化学的には、[[GABA]]ニューロン上の[[グルタミン酸]](その中のN-methyl-D-aspartate, [NMDA]])受容体の低活性仮説が有力である。 |