「電位依存性チャネル」の版間の差分
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= 古典的voltage-gated channelの特徴 = | == 古典的voltage-gated channelの特徴 == | ||
現在、このようにvoltage-gated channelには多様な種類の含まれるため、それらの機能も多様であるが、以下の説明では古典的な6TMタイプのvoltage-gated channelについて述べる。 | 現在、このようにvoltage-gated channelには多様な種類の含まれるため、それらの機能も多様であるが、以下の説明では古典的な6TMタイプのvoltage-gated channelについて述べる。 | ||
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#高いイオン選択性を有している場合が多い。 | #高いイオン選択性を有している場合が多い。 | ||
== 電位センサー, Voltage sensor == | === 電位センサー, Voltage sensor === | ||
電位の変化によりチャネルを開閉するには、先ず電位の変化を感知しなくてはならない。 細胞外もしくは細胞内にあると電位の変化を感知する事はないであろうから、 感知する部分(すなわちvoltage sensor)は、膜の内部にあるのではないかと考えられる。 古典的な電位依存性チャネルのS4領域は、疎水性のアミノ酸残基のなかに陽電荷をもつアミノ酸残基が3残基毎に周期的に並んだ特徴的な構造を有しており、実験的にもS4がvoltage sensorとして機能していると考えられている。なお最近の論文では、S1からS4までをvoltage sensing domain (VSD)とよびS5-S6をpore domain (PD)と呼んでいる場合がある。<br> | 電位の変化によりチャネルを開閉するには、先ず電位の変化を感知しなくてはならない。 細胞外もしくは細胞内にあると電位の変化を感知する事はないであろうから、 感知する部分(すなわちvoltage sensor)は、膜の内部にあるのではないかと考えられる。 古典的な電位依存性チャネルのS4領域は、疎水性のアミノ酸残基のなかに陽電荷をもつアミノ酸残基が3残基毎に周期的に並んだ特徴的な構造を有しており、実験的にもS4がvoltage sensorとして機能していると考えられている。なお最近の論文では、S1からS4までをvoltage sensing domain (VSD)とよびS5-S6をpore domain (PD)と呼んでいる場合がある。<br> | ||
2002年にMacKinnonらのグループが世界で初めて発表したKvAPチャネルの結晶構造では、S4は細胞膜に接した構造をとっていた。これは結晶作成時の人工的な変形によるものであろうと考えられている。MacKinnonらのグループが2007年に続いて発表した脂質膜に似た環境でのKvチャネル結晶構造では、S4は膜を貫通する構造をとっている。 | |||
=== イオン選択性 === | |||
膜貫通領域S5とS6の間にイオンチャネルの穴を形成するpore domainがある。この部分のアミノ酸配列がイオン選択性の決定に重要な役割を果たしている。イオン選択性は電位にほとんど影響を受けない。 | |||
== 研究の動向 == | |||
David ShawらのグループによるKvチャネルのシミュレーションが2012年4月に発表された<ref><pubmed> 22499946 </pubmed></ref>。 チャネルの一部分ではなく、全原子シミュレーションにより電位変化によるチャネル開閉機構を示したものである。 | |||
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2012年12月1日 (土) 19:05時点における最新版
概要、分類
Voltage-gated channel(電位依存性チャネル)とは、電位により開閉が行われるイオンチャネルの総称である。古典的な電位依存性チャネルとしては、電位依存性ナトリウムチャネル、電位依存性カルシウムチャネル、電位依存性カリウムチャネルがあげられる。
歴史的に、イオンチャネルは、電位依存性チャネル、リガンド依存性(ligand-gated)チャネル、その他、というように分類されて来た。その他にはストレッチ等の機械的刺激で開閉するチャネルが含まれた。しかし分子生物学的手法により多種のイオンチャネルが同定されて来た結果、構造的観点から分類の再編が行われている。チャネル分類の基本とされているIUPHARM (International Union of Basic and Clinical Pharmacology)分類では、TRPチャネルのように明確な電位依存性のないチャネルも含めて電位依存性チャネルと分類されている。このためvoltage-gated-like (VGL) channelという呼び方もなされている。
IUPHARのvoltage-gated channels分類はつぎのとおりである。
- Calcium-activated potassium channels
- CatSper and Two-Pore channels
- Cyclic nucleotide-regulated channels
- Inwardly rectifying potassium channels
- Transient Receptor Potential channels
- Two-P potassium channels
- Voltage-gated calcium channels
- Voltage-gated potassium channels
- Voltage-gated sodium channels
なお、電位によりgatingが行われるチャネルには電位依存性Cl-チャネルもあるが、Cl-チャネルに関するIUPHARMの分類は現在のところ発表されていない。
古典的voltage-gated channelの特徴
現在、このようにvoltage-gated channelには多様な種類の含まれるため、それらの機能も多様であるが、以下の説明では古典的な6TMタイプのvoltage-gated channelについて述べる。
電位依存性チャネルの特徴は、
- 電位変化によりチャネルがgatingが行われる。例外もあるが、通常は電位が脱分極する事により開く。
- 高いイオン選択性を有している場合が多い。
電位センサー, Voltage sensor
電位の変化によりチャネルを開閉するには、先ず電位の変化を感知しなくてはならない。 細胞外もしくは細胞内にあると電位の変化を感知する事はないであろうから、 感知する部分(すなわちvoltage sensor)は、膜の内部にあるのではないかと考えられる。 古典的な電位依存性チャネルのS4領域は、疎水性のアミノ酸残基のなかに陽電荷をもつアミノ酸残基が3残基毎に周期的に並んだ特徴的な構造を有しており、実験的にもS4がvoltage sensorとして機能していると考えられている。なお最近の論文では、S1からS4までをvoltage sensing domain (VSD)とよびS5-S6をpore domain (PD)と呼んでいる場合がある。
2002年にMacKinnonらのグループが世界で初めて発表したKvAPチャネルの結晶構造では、S4は細胞膜に接した構造をとっていた。これは結晶作成時の人工的な変形によるものであろうと考えられている。MacKinnonらのグループが2007年に続いて発表した脂質膜に似た環境でのKvチャネル結晶構造では、S4は膜を貫通する構造をとっている。
イオン選択性
膜貫通領域S5とS6の間にイオンチャネルの穴を形成するpore domainがある。この部分のアミノ酸配列がイオン選択性の決定に重要な役割を果たしている。イオン選択性は電位にほとんど影響を受けない。
研究の動向
David ShawらのグループによるKvチャネルのシミュレーションが2012年4月に発表された[1]。 チャネルの一部分ではなく、全原子シミュレーションにより電位変化によるチャネル開閉機構を示したものである。
- ↑
Jensen, M.Ø., Jogini, V., Borhani, D.W., Leffler, A.E., Dror, R.O., & Shaw, D.E. (2012).
Mechanism of voltage gating in potassium channels. Science (New York, N.Y.), 336(6078), 229-33. [PubMed:22499946] [WorldCat] [DOI]