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GWASは、2005年頃より爆発的に報告が相次ぎ、多くの複雑疾患(遺伝要因と環境要因が相互に作用し、発症に至る疾患)の新規疾患感受性遺伝子同定に貢献している([http://www.genome.gov/gwastudies/ GWAS catalog])。 | GWASは、2005年頃より爆発的に報告が相次ぎ、多くの複雑疾患(遺伝要因と環境要因が相互に作用し、発症に至る疾患)の新規疾患感受性遺伝子同定に貢献している([http://www.genome.gov/gwastudies/ GWAS catalog])。 | ||
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(執筆者:池田匡志 担当編集委員:加藤忠史) |
2012年12月8日 (土) 01:25時点における版
英語名:Genome-Wide Association Study (GWAS)
同義語:全ゲノム関連研究(Whole-Genome Association Study)
GWASとは
GWASは、50万個以上の一塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)の遺伝子型を決定し、主にSNPの頻度(対立遺伝子や遺伝子型)と、疾患や量的形質との関連を統計的に調べる方法論である。疾患との関連を検討する場合は、検出力の観点から一般集団の血縁関係にないサンプルを用いることがほとんどであり、また、minor allele frequency (MAF)が1%以上の頻度の高いSNPを対象とすることが多い。
世界で最初に行われたGWASは、理化学研究所が行った心筋梗塞を対象とした報告[1]であり、当時はインベーダー法を用いて解析がなされた。しかし、HapMap projectのデータ整備に付随する形で、AffymetrixやIlluminaなどの企業から、商用のSNP chipが開発•発売され、世界中の研究者が利用可能な技術となった。現在では、2.5MのSNPを用いる解析が可能となってきており、最新の情報は各URLを参照されたい。
GWASの目的と結果の解釈
GWASは、2005年頃より爆発的に報告が相次ぎ、多くの複雑疾患(遺伝要因と環境要因が相互に作用し、発症に至る疾患)の新規疾患感受性遺伝子同定に貢献している(GWAS catalog)。
基本的に、GWASによる絞り込みは、連鎖不平衡(linkage disequilibrium: LD)を利用している。すなわち、関連のシグナルは、実際に遺伝子型を決定したSNPと連鎖不平衡にある「causal variant」のtagとして間接的な関連を示している。従って、GWASの結果、シグナルが有意水準のベンチマークであるgenome-wide significance(一般的に5x10-8以下)を超えたとしても、その領域を中心としたfine mappingが必要である。
複雑疾患に対するGWASの成果
これまでのGWASの結果より、多くの複雑疾患のリスクのeffect sizeは小さく、概してオッズ比1.2以下であることが判明した。従って、診断に生かすことはもちろん、生物学的な証左に結びつけることは困難であり、一部ではGWASという方法論自体に悲観論を示す意見が散見される。しかし、Vissecherらのreviewにまとめられているように、疾患によっては、生物学的知見も蓄積され、疾患に至る主要なパスウェイが同定されるなど、一つの有望なツールであることに異論はないであろう。また彼らは過去膨大な予算を消費して同定出来なかったリスクが、GWASの結果を利用していくつも同定出来たというポジティブな部分を概説し、GWASの重要性を提唱している[2]。
関連項目
(ございましたらご指摘ください)
参考文献
- ↑
Ozaki, K., Ohnishi, Y., Iida, A., Sekine, A., Yamada, R., Tsunoda, T., ..., & Tanaka, T. (2002).
Functional SNPs in the lymphotoxin-alpha gene that are associated with susceptibility to myocardial infarction. Nature genetics, 32(4), 650-4. [PubMed:12426569] [WorldCat] [DOI] - ↑
Visscher, P.M., Brown, M.A., McCarthy, M.I., & Yang, J. (2012).
Five years of GWAS discovery. American journal of human genetics, 90(1), 7-24. [PubMed:22243964] [PMC] [WorldCat] [DOI]
(執筆者:池田匡志 担当編集委員:加藤忠史)