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''S''-パルミトイル化タンパク質の精製方法として近年2つの方法が開発された。ABE(acyl-biotinyl exchange)法およびパルミチン酸誘導体代謝標識法である(図4)。前者はチオール特異的修飾試薬である[[wikipedia:N-Ethylmaleimide:''N''-エチルマレイミド]](NEM)で遊離のチオールをマスクした後、チオエステル結合を特異的に切断する[[wikipedia:ja:ヒドロキシルアミン|ヒドロキシルアミン]]を用いてパルミチン酸を遊離させる。その後、チオール特異的[[wikipedia:ja:ビオチン|ビオチン]]化試薬で処理して新たに露出したチオールをビオチン化する方法である。ビオチン化タンパク質を[[wikipedia:ja:アビジン|アビジン]]結合担体に結合させることにより、''S''-パルミトイル化されていたタンパク質を特異的に精製できる(図4A)。 | ''S''-パルミトイル化タンパク質の精製方法として近年2つの方法が開発された。ABE(acyl-biotinyl exchange)法およびパルミチン酸誘導体代謝標識法である(図4)。前者はチオール特異的修飾試薬である[[wikipedia:N-Ethylmaleimide:''N''-エチルマレイミド]](NEM)で遊離のチオールをマスクした後、チオエステル結合を特異的に切断する[[wikipedia:ja:ヒドロキシルアミン|ヒドロキシルアミン]]を用いてパルミチン酸を遊離させる。その後、チオール特異的[[wikipedia:ja:ビオチン|ビオチン]]化試薬で処理して新たに露出したチオールをビオチン化する方法である。ビオチン化タンパク質を[[wikipedia:ja:アビジン|アビジン]]結合担体に結合させることにより、''S''-パルミトイル化されていたタンパク質を特異的に精製できる(図4A)。 | ||
後者は末端アルキルを有するパルミチン酸誘導体17-ODYAで、細胞内のパルミトイル化タンパク質を代謝標識し、[[wikipedia:ja:クリックケミストリー|クリックケミストリー]]を利用してタグを導入する方法で、タグを利用して[[wikipedia:Affinity chromatography|アフィニティー精製]] | 後者は末端アルキルを有するパルミチン酸誘導体17-ODYAで、細胞内のパルミトイル化タンパク質を代謝標識し、[[wikipedia:ja:クリックケミストリー|クリックケミストリー]]を利用してタグを導入する方法で、タグを利用して[[wikipedia:Affinity chromatography|アフィニティー精製]]が可能である(図4B)。 | ||
両者は[[質量分析]]と合わせて大規模''S''-パルミトイル化タンパク質探索法として用いられており、既知のパルミトイル化タンパク質に加えて、多くの新規基質が同定されている<sup>[6][7]</sup><ref><pubmed>19137006</pubmed></ref><ref><pubmed>19801377</pubmed></ref>。 | |||
[[Image:Palmitoylation Figure4.png|thumb|right|300px|図4 S-パルミトイル化タンパク質の精製方法]] | [[Image:Palmitoylation Figure4.png|thumb|right|300px|図4 S-パルミトイル化タンパク質の精製方法]] |