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1990年代以降クローニング技術やゲノム解析などの発達によってさまざまなロドプシン類似光受容タンパク質が同定されてきている。なかでも[[ピノプシン]]の発見は特筆される<ref><pubmed> 7969427 </pubmed></ref>。それまでに発見されていたロドプシン類はいわゆる「視覚」に関与する受容体であったが、[[松果体]]に存在するピノプシンは視覚以外の機能に関与する受容体であったからである。この発見以降、「視覚オプシン(visual opsin)」、「非視覚オプシン(non-visual opsin)」という言葉が使われるようになった。最近では1000種類以上のロドプシン様遺伝子が報告されており、これらはGタンパク質共役型受容体(G Protein Coupled Receptor: GPCR)の一員であることが知られている。 | 1990年代以降クローニング技術やゲノム解析などの発達によってさまざまなロドプシン類似光受容タンパク質が同定されてきている。なかでも[[ピノプシン]]の発見は特筆される<ref><pubmed> 7969427 </pubmed></ref>。それまでに発見されていたロドプシン類はいわゆる「視覚」に関与する受容体であったが、[[松果体]]に存在するピノプシンは視覚以外の機能に関与する受容体であったからである。この発見以降、「視覚オプシン(visual opsin)」、「非視覚オプシン(non-visual opsin)」という言葉が使われるようになった。最近では1000種類以上のロドプシン様遺伝子が報告されており、これらはGタンパク質共役型受容体(G Protein Coupled Receptor: GPCR)の一員であることが知られている。 | ||
=== | ===メラノプシン=== | ||
網膜には桿体・錐体視細胞以外の細胞にも光受容能のあるものが報告されている。中でも網膜[[神経節細胞]]の[[内因性光感受性神経節細胞]]([[wikipedia:Photosensitive_ganglion_cell|intrinsically photosensitive Retinal Ganglion Cell]], ipRGC)が注目されている。ipRGCはマウスで[[概日時計]]の光同調や[[瞳]]の[[対光反射]]などの非視覚機能を制御していることが示されている。ipRGCはその内因性の光感受性の他に視細胞からの入力によっても応答できることが知られている。近年はさらにipRGCから視細胞に逆行するシグナル回路があることが示唆されていて、ipRGCが視覚機能を一部調節をしていること考えられている。ipRGCで光受容を担うのは青色光を受容する[[メラノプシン]](カエルのメラニン細胞で初めて同定されたことに由来する)と呼ばれる新規のオプシンで、興味深いことに[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]よりも[[wikipedia:ja:無脊椎動物|無脊椎動物]]の視物質に近縁であることが知られている。メラノプシンは視細胞が[[脱感作]]するような長時間の光照射や強度の光照射で機能すると考えられる。 | |||
=== GPCRとロドプシン === | === GPCRとロドプシン === |