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カフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドである。天然に存在するメチルキサンチンとしては、他にテオフィリン、テオブロミンなどがある。コーヒー、紅茶、茶等に含まれるが、カフェインの含有量はコーヒーに最も多い。1819年にドイツのフリードリヒ・ルンゲによってコーヒーから単離された。メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、cAMPを増加させる。^ Weinberg, BA; BK Bealer (2001). The World of Caffeine. Routledge. ISBN 0-415-92722-6 | カフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドである。天然に存在するメチルキサンチンとしては、他にテオフィリン、テオブロミンなどがある。コーヒー、紅茶、茶等に含まれるが、カフェインの含有量はコーヒーに最も多い。1819年にドイツのフリードリヒ・ルンゲによってコーヒーから単離された。メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、cAMPを増加させる。^ Weinberg, BA; BK Bealer (2001). The World of Caffeine. Routledge. ISBN 0-415-92722-6 | ||
カフェインは、主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、モノアミン酸化酵素でも代謝され、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。 | カフェインは、主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、モノアミン酸化酵素でも代謝され、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。 | ||
ホスホジエステラーゼ | |||
ホスホジエステラーゼは11のファミリーに分類されている。 | |||
ホスホジエステラーゼ1ファミリー | |||
カルシウムおよびカルモデュリン依存性のホスホジエステラーゼで、さらに1A、1B、1Cに分類される(Cheung, 1970)。ホスホジエステラーゼ1Aは、数種の細胞機能において、フィードバックをかけながら調節している。ホスホジエステラーゼ1Bノックアウトマウスは、自発運動量が増加し、記憶・学習能力が低下する(Reed et al., 2002)。 | |||
ホスホジエステラーゼ2ファミリー | |||
ホスホジエステラーゼ2ファミリーは、GAFドメインのひとつに結合しているcGMPによって、アロステリックに刺激される。ホスホジエステラーゼ2の阻害剤は、記憶の獲得と強化を促進すると考えられる(Blokland A etal., 2006)。 | |||
ホスホジエステラーゼ3ファミリー | |||
ホスホジエステラーゼ3Aと3Bに分類される。ホスホジエステラーゼ3阻害剤には、シロスタゾール、ミルリノン、アムリノンなどが循環器疾患に用いられる薬物が広く知られるが、中枢作用は比較的少ない。 | |||
ホスホジエステラーゼ4ファミリー | |||
PDE4阻害剤であるrolipramなどは、抗うつ効果のみならず、学習・記憶を増強する報告がある(Zhang et al., 2004, 2005)。 | |||
ホスホジエステラーゼ5ファミリー | |||
PDE4は、学習・記憶に関連しているという報告がある(Prickaerts et al., 2004)。 | |||
ホスホジエステラーゼ6~8ファミリー | |||
ホスホジエステラーゼ9ファミリー | |||
PDE9阻害剤であるBAY73-6691が、アルツハイマー病治療に有効である可能性があり、研究が進められている(^ Wunder F, Tersteegen A, Rebmann A, Erb C, Fahrig T, Hendrix M. Characterization of the first potent and selective PDE9 inhibitor using a cGMP reporter cell line. Molecular Pharmacology. 2005 Dec;68(6):1775-81. PMID 16150925 )。また、他のPDE9阻害剤が、動物モデルにおける長期増強現象ならびに認知機能の改善効果があることが報告されている(Hendrix, 2005)。 | |||
ホスホジエステラーゼ10ファミリー | |||
PDE10は中枢疾患治療のターゲットになりうる。PDE10阻害剤であるpapavarineは、統合失調症によって誘発される認知機能障害を改善する。その他、長期増強現象、ハンチントン病、にも関与している。 | |||
ホスホジエステラーゼ11ファミリー | |||
最も新しく発見されたホスホジエステラーゼファミリーである。中枢作用についての詳細は、今のところ明らかになっていない。 | |||
中枢神経作用 | |||
大脳皮質の感覚受容器、運動中枢に作用。用量増加により延髄の呼吸中枢刺激。延髄の迷走神経中枢刺激。弱いが精神的依存を誘発する。 | |||
精神疾患 | |||
カフェインは中枢興奮作用を有するため、過剰摂取の代表的症状としては、不眠を誘発する。カフェインの摂取は、パニック障害を悪化させる可能性があるが、これはアデノシン産生低下に起因する。 |
2013年3月29日 (金) 09:20時点における版
英語名:caffeine 独:koffein、仏:caféine IUPAC: 1,3,7-trimethlxanthine CAS登録番号; 58-08-2 (http://www.commonchemistry.org/ChemicalDetail.aspx?ref=58-08-2&terms=caffeine) PubChem; 2519 (http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/summay/summary.cgi?cid=2519&loc=ec_rcs) ChemSpider; 2424 (http://www.chemspider.com/Chemical-Structure2424.html?rid=807b-96de-40ac-9f4f-d340d2d338c4) UNII; 3G6A5W338E (http://fdasis.nlm.nih.gov/srs/ProxyServlet?mergeData=true&objectHandle=DBMaint&APPLICATION_NAME=fdasrs&actionHandle=default&nextPage=jsp?srs/ResultScreen.jsp&TXTSUPERLISTID=3G6A5W338E&QV1=CAFFEINE) KEGG; D00528 (http://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D00528) MeSH; caffeine (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=mesh&term=Caffeine) ChEBI; CHBI27732 (http://www.ebi.ac.uk/ebisearch/search.ebi?db=allebi&query=caffeine&requestFrom=ebi_index) ChEMBL; CHEBI27732 (https://www.ebi.ac.uk/ebisearch/serach..ebi?requestFrom=searchBox&db=allebi&query=caffeine&FormsButton3=Find)) IUPHAR ligand; 407 (http://www.iuphar-db.org/DATABASE/LigandDisplayForward?ligandID=407) SMILES; CN1C=NC2=C1C(=O)N(C(=O)N2C)C InChI=1S/C8H10N4O2/c1-10-4-9-6-5(10)7(13)12(3)8(14)11(6)2/h4H,1-3H3 Std. InChIKey; RYYVLZVUVIJVGH-UHFFFAOYSA-N Molecular Formula: C8H10N4O2 Molecular Weight: 194.1906 Molar mass 194.19 g/mol 外観 White powder 融点 234 - 237 ° C (ligroin) 沸点 416.789 °C at 760 mmHg (http://www.lookchem.com/Caffeine/) Solubility in water; moderately soluble 3.64D MSDS; Material Safety Data Sheet(http://www.chemcas.com/msds_archive/part2/cas/gr_msds/palomar_edu---caffeine.asp) 半数致死量 LD50 192mg/kg in rats (http://www.erowid.org/chemicals/caffeine/caffeine_dose.html)
カフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドである。天然に存在するメチルキサンチンとしては、他にテオフィリン、テオブロミンなどがある。コーヒー、紅茶、茶等に含まれるが、カフェインの含有量はコーヒーに最も多い。1819年にドイツのフリードリヒ・ルンゲによってコーヒーから単離された。メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、cAMPを増加させる。^ Weinberg, BA; BK Bealer (2001). The World of Caffeine. Routledge. ISBN 0-415-92722-6 カフェインは、主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、モノアミン酸化酵素でも代謝され、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。
ホスホジエステラーゼ ホスホジエステラーゼは11のファミリーに分類されている。
ホスホジエステラーゼ1ファミリー カルシウムおよびカルモデュリン依存性のホスホジエステラーゼで、さらに1A、1B、1Cに分類される(Cheung, 1970)。ホスホジエステラーゼ1Aは、数種の細胞機能において、フィードバックをかけながら調節している。ホスホジエステラーゼ1Bノックアウトマウスは、自発運動量が増加し、記憶・学習能力が低下する(Reed et al., 2002)。
ホスホジエステラーゼ2ファミリー ホスホジエステラーゼ2ファミリーは、GAFドメインのひとつに結合しているcGMPによって、アロステリックに刺激される。ホスホジエステラーゼ2の阻害剤は、記憶の獲得と強化を促進すると考えられる(Blokland A etal., 2006)。
ホスホジエステラーゼ3ファミリー ホスホジエステラーゼ3Aと3Bに分類される。ホスホジエステラーゼ3阻害剤には、シロスタゾール、ミルリノン、アムリノンなどが循環器疾患に用いられる薬物が広く知られるが、中枢作用は比較的少ない。
ホスホジエステラーゼ4ファミリー
PDE4阻害剤であるrolipramなどは、抗うつ効果のみならず、学習・記憶を増強する報告がある(Zhang et al., 2004, 2005)。
ホスホジエステラーゼ5ファミリー
PDE4は、学習・記憶に関連しているという報告がある(Prickaerts et al., 2004)。
ホスホジエステラーゼ6~8ファミリー
ホスホジエステラーゼ9ファミリー
PDE9阻害剤であるBAY73-6691が、アルツハイマー病治療に有効である可能性があり、研究が進められている(^ Wunder F, Tersteegen A, Rebmann A, Erb C, Fahrig T, Hendrix M. Characterization of the first potent and selective PDE9 inhibitor using a cGMP reporter cell line. Molecular Pharmacology. 2005 Dec;68(6):1775-81. PMID 16150925 )。また、他のPDE9阻害剤が、動物モデルにおける長期増強現象ならびに認知機能の改善効果があることが報告されている(Hendrix, 2005)。
ホスホジエステラーゼ10ファミリー
PDE10は中枢疾患治療のターゲットになりうる。PDE10阻害剤であるpapavarineは、統合失調症によって誘発される認知機能障害を改善する。その他、長期増強現象、ハンチントン病、にも関与している。
ホスホジエステラーゼ11ファミリー 最も新しく発見されたホスホジエステラーゼファミリーである。中枢作用についての詳細は、今のところ明らかになっていない。
中枢神経作用 大脳皮質の感覚受容器、運動中枢に作用。用量増加により延髄の呼吸中枢刺激。延髄の迷走神経中枢刺激。弱いが精神的依存を誘発する。
精神疾患 カフェインは中枢興奮作用を有するため、過剰摂取の代表的症状としては、不眠を誘発する。カフェインの摂取は、パニック障害を悪化させる可能性があるが、これはアデノシン産生低下に起因する。