「精神科遺伝学」の版間の差分

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=== ゲノムワイド関連解析 ===
=== ゲノムワイド関連解析 ===


 ゲノムワイド関連解析は比較的頻度の高い主に[[SNP]]を使ったゲノムワイド関連解析が実施されている。 米国のNational Human Genome Research InstituteのGWASに関する[https://www.genome.gov/26525384#searchForm データベース]によれば、2013年1月現在、統合失調症、気分障害に関するGWASの論文が24にのぼっている。このなかで、一般的に有意な関連とされているP値を示しているSNP数は8論文である。一方、依存症に関しては1編の論文のみであり、有意なSNPは検出されていない。自閉症に関しては6編の論文があり、2編が有意で、有意な関連を示しているのは[[アルツハイマー病]]では31編の論文があり、6編の論文である。ただ、有意であってもいずれもオッズ比は小さく、比較的頻度の高い多型で大きな関連を示しているものはアルツハイマー病のApoE以外はない。
 ゲノムワイド関連解析は比較的頻度の高い主に[[SNP]]を使ったゲノムワイド関連解析が実施されている。 米国のNational Human Genome Research InstituteのGWASに関する[https://www.genome.gov/26525384#searchForm データベース]によれば、2013年1月現在、統合失調症、気分障害に関するGWASの論文が24にのぼっている。このなかで、一般的に有意な関連とされているP値を示しているSNP数は8論文である。一方、依存症に関しては1編の論文のみであり、有意なSNPは検出されていない。自閉症に関しては6編の論文があり、2編が有意で、有意な関連を示しているのはアルツハイマー病では31編の論文があり、6編の論文である。ただ、有意であってもいずれもオッズ比は小さく、比較的頻度の高い多型で大きな関連を示しているものはアルツハイマー病のApoE以外はない。


 稀な変異、とくにde novoの変異では精神疾患の病因に大きく寄与している可能性のものが発見されつつある。その代表はCNVであり、11領域のCNVがとくに複数の精神疾患のリスクに関わっいることが知られている<ref><pubmed> 22424231 </pubmed></ref> 。  
 稀な変異、とくにde novoの変異では精神疾患の病因に大きく寄与している可能性のものが発見されつつある。その代表はCNVであり、11領域のCNVがとくに複数の精神疾患のリスクに関わっいることが知られている<ref><pubmed> 22424231 </pubmed></ref> 。  


 精神疾患に対する効果量の大きい多型がほとんどないことから、遺伝疫学的解析により推定された比較的高い遺伝率を疑問視する見解もあるが、分子遺伝学的所見は以前推定されていた遺伝率を確認しつつあるとする見解もある<ref><pubmed> 23628988 </pubmed></ref>。  
 精神疾患に対する効果量の大きい多型がほとんどないことから、遺伝疫学的解析により推定された比較的高い遺伝率を疑問視する見解もあるが、分子遺伝学的所見は以前推定されていた遺伝率を確認しつつあるとする見解もある<ref><pubmed> 23628988 </pubmed></ref>。


== 精神科臨床に与えた影響  ==
== 精神科臨床に与えた影響  ==