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PI(3)Pはエンドソームの融合に重要である。PI(3)Pは[[wikipedia:FYVE_domain|FYVE]]ドメインや[[wikipedia:Phox_domain|phox]]ドメインを持つ分子をエンドソームに局在させる<ref><pubmed>18784754<pubmed></ref>。例えば、[[wikipedia:EEA1|EEA]]1はそのFYVEドメインでPI(3)Pと結合し、一方で[[Rab]]5 GTPaseを結合してエンドソーム融合を促進する。実際細胞内のPI(3)Pを取り除くと、初期エンドソームを介したタンパク質の輸送が遅くなったり、[[wikipedia:ja:増殖因子|増殖因子]]受容体の[[wikipedia:ja:リソソーム|リソソーム]]への取込みが阻害されたりする。インスリンシグナルにおけるグルコーストランスポーターGLUT4の細胞膜への移行にもPI(3)Pが正の役割を果たしていることが明らかとなっている。最近、PI(3)Pがアミノ酸飢餓などによって誘導される[[wikipedia:ja:オートファジー|オートファジー]]構造(オートプァゴソーム)の形成に積極的な働きをすることが明らかとなった。この構造は細胞における病原体の感染防御に必要であるが、Vps34とAtg6, Bif-1などの分子が結合してこの構造の形成が促進され、同時にPI(3)Pが産生される。PI(3)Pはオートファゴソームの形成に直接関与しているだけでなく、オートファジー形成を促進する[[mTOR]]の活性化も制御している。mTORはがんや糖尿病と密接な関係があるが、PI(3)Pとこれらの病気の関係は明らかになっていない。 | PI(3)Pはエンドソームの融合に重要である。PI(3)Pは[[wikipedia:FYVE_domain|FYVE]]ドメインや[[wikipedia:Phox_domain|phox]]ドメインを持つ分子をエンドソームに局在させる<ref><pubmed>18784754</pubmed></ref>。例えば、[[wikipedia:EEA1|EEA]]1はそのFYVEドメインでPI(3)Pと結合し、一方で[[Rab]]5 GTPaseを結合してエンドソーム融合を促進する。実際細胞内のPI(3)Pを取り除くと、初期エンドソームを介したタンパク質の輸送が遅くなったり、[[wikipedia:ja:増殖因子|増殖因子]]受容体の[[wikipedia:ja:リソソーム|リソソーム]]への取込みが阻害されたりする。インスリンシグナルにおけるグルコーストランスポーターGLUT4の細胞膜への移行にもPI(3)Pが正の役割を果たしていることが明らかとなっている。最近、PI(3)Pがアミノ酸飢餓などによって誘導される[[wikipedia:ja:オートファジー|オートファジー]]構造(オートプァゴソーム)の形成に積極的な働きをすることが明らかとなった。この構造は細胞における病原体の感染防御に必要であるが、Vps34とAtg6, Bif-1などの分子が結合してこの構造の形成が促進され、同時にPI(3)Pが産生される。PI(3)Pはオートファゴソームの形成に直接関与しているだけでなく、オートファジー形成を促進する[[mTOR]]の活性化も制御している。mTORはがんや糖尿病と密接な関係があるが、PI(3)Pとこれらの病気の関係は明らかになっていない。 | ||
=== PI(3,4)P<sub>2</sub> === | === PI(3,4)P<sub>2</sub> === |