「視野地図」の版間の差分

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 網膜からV1までの視野地図には、大局的な歪みと局所的な歪みがある。大局的にみると、LGNおよびV1の視野地図は、視野の中心から周辺にかけて視野と対応するLGN上およびV1上の面積が徐々に小さくなるように歪んでいる。LGNおよびV1ではこのように視野の中心部を拡大表現し、中心視野の情報を高空間分解能で処理している。
 網膜からV1までの視野地図には、大局的な歪みと局所的な歪みがある。大局的にみると、LGNおよびV1の視野地図は、視野の中心から周辺にかけて視野と対応するLGN上およびV1上の面積が徐々に小さくなるように歪んでいる。LGNおよびV1ではこのように視野の中心部を拡大表現し、中心視野の情報を高空間分解能で処理している。


 一方、局所的にみると、V1ではある特徴をもって歪んでいることが指摘されている。V1の神経細胞は[[方位選択性]]を持ち、受容野内に入った線や縞の特定の傾き(最適方位)に対して最も反応し、発火頻度を上昇させる。最適方位のV1内配列のことを[[方位地図]]と呼ぶ。この方位地図において、最適方位の変化と受容野中心の変位とに正の相関があることが報告されている<ref><pubmed>9177346</pubmed></ref>。
 一方、局所的にみると、V1の視野地図はある特徴をもって歪んでいることが指摘されている。V1の神経細胞は[[方位選択性]]を持ち、受容野内に入った線や縞の特定の傾き(最適方位)に対して最も反応し、発火頻度を上昇させる。最適方位のV1内配列のことを[[方位地図]]と呼ぶ。方位地図上で同じ距離にある(つまり、皮質内の水平距離が同じ)神経細胞間でも、それぞれの神経細胞が持つ受容野中心間の距離は同じとは限らない。受容野中心間の距離は、それぞれの神経細胞の最適方位の類似度が大きいほど近く、小さいほど遠い傾向があることが報告されている<ref><pubmed>9177346</pubmed></ref>。


 方位選択性はLGNまでには見られず、V1で初めて見られる特徴抽出性である。V1には空間選択性の配列である視野地図と方位選択性の配列である方位地図が同居しており、視野地図の歪みは、これらの異なる特徴選択性地図を同一皮質内に埋め込んだ弊害だという可能性がある。
 方位選択性はLGNまでには見られず、V1で初めて見られる特徴抽出性である。V1には空間選択性の配列である視野地図と方位選択性の配列である方位地図が同居しており、視野地図の歪みは、これらの異なる特徴選択性地図を同一皮質内に埋め込んだ弊害だという可能性がある。
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