56
回編集
Norikotakahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Norikotakahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
64行目: | 64行目: | ||
次に、TRPを染めた小胞に刺激を与えると、シナプス小胞は細胞膜と融合し、FM1-43が細胞外液へ拡散することにより神経終末の蛍光は減弱する(脱染色、destaining 図3右)。この脱染色の時間経過は、小胞の開口放出確率が大きい程速い。定量的には、RRPにある小胞の数を [RRP]、その放出確率を Pvとすると、一回の刺激で放出される小胞の数は平均で Pv [RRP]となる。一方、TRPにある小胞の数を[TRP]、一回の刺激による TRPの蛍光の減弱率をkとすると、一回の刺激で放出される小胞の数は k [TRP]となる。よって、Pv [RRP] = k [TRP] となり、これからPv = k [RRP]/[TRP] という関係式が得られ、終末ごとにRRPにある小胞の放出確率を求めることができる <ref><pubmed>23049481 </pubmed></ref>。この Pvと、一回の刺激によりある終末から開口放出が起きる確率 Pr との間には、RRP内の小胞の放出確率が等しければ<math>Pr=1-(1-Pv)^{[RRP]}</math>という関係がある。Prも FM1-43を用いて直接求めた例がある<ref><pubmed> 9136769 </pubmed></ref> 。 | 次に、TRPを染めた小胞に刺激を与えると、シナプス小胞は細胞膜と融合し、FM1-43が細胞外液へ拡散することにより神経終末の蛍光は減弱する(脱染色、destaining 図3右)。この脱染色の時間経過は、小胞の開口放出確率が大きい程速い。定量的には、RRPにある小胞の数を [RRP]、その放出確率を Pvとすると、一回の刺激で放出される小胞の数は平均で Pv [RRP]となる。一方、TRPにある小胞の数を[TRP]、一回の刺激による TRPの蛍光の減弱率をkとすると、一回の刺激で放出される小胞の数は k [TRP]となる。よって、Pv [RRP] = k [TRP] となり、これからPv = k [RRP]/[TRP] という関係式が得られ、終末ごとにRRPにある小胞の放出確率を求めることができる <ref><pubmed>23049481 </pubmed></ref>。この Pvと、一回の刺激によりある終末から開口放出が起きる確率 Pr との間には、RRP内の小胞の放出確率が等しければ<math>Pr=1-(1-Pv)^{[RRP]}</math>という関係がある。Prも FM1-43を用いて直接求めた例がある<ref><pubmed> 9136769 </pubmed></ref> 。 | ||
FM1-43によって染めることができる TRPの小胞は、電子顕微鏡的に終末に存在する小胞の15-20%にすぎない。<ref><pubmed> 15044806 </pubmed></ref>。 電子顕微鏡的には同定されるがリサイクリングされ難いシナプス小胞の群を[[静止プール]] resting | FM1-43によって染めることができる TRPの小胞は、電子顕微鏡的に終末に存在する小胞の15-20%にすぎない。<ref><pubmed> 15044806 </pubmed></ref>。 電子顕微鏡的には同定されるがリサイクリングされ難いシナプス小胞の群を[[静止プール]][[ resting pool]]あるいは [[reserve pool]]と呼ぶ。このプールの小胞もゆっくりとしたリサイクリングに関係していることが他の方法によって明らかとなっている<ref><pubmed>21835344 </pubmed></ref>。 | ||
=== シナプス小胞の動態の解析 === | === シナプス小胞の動態の解析 === |
回編集