「ダウン症」の版間の差分

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=== 責任遺伝子 ===
=== 責任遺伝子 ===
 第21染色体上に存在する複数の遺伝子が精神遅滞の発症に関わる遺伝子の候補として報告されている。Sim2はhelix-loop-helix構造を持ち、中枢神経系の初期発生に関わる転写制御因子であり、&beta;[[アクチン]]プロモーター下で発現制御されたSIM2を持つ[[トランスジェニックマウス]]での記憶学習能力の異常<ref name=ref19><pubmed>10400987</pubmed></ref>、Sim2を有するBACクローンのトランスジェニックマウスでの不安行動、痛覚鈍麻、社会性行動減少<ref name=ref20><pubmed>10915774</pubmed></ref>などが報告されている。DYRK1Aはハエで同定され、細胞の発生・[[分化]]の制御に関わる遺伝子として知られるminibrainのヒトホモログであるが、DYRK1Aを含むYACのトランスジェニックマウスで記憶学習能力の異常が報告されている<ref name=ref21><pubmed>9140392</pubmed></ref>。更にはDYRK1AがDSCR1/RCAN1と共同して転写因子NFATcの機能を抑制し、これがダウン症症状の発現に寄与するとの報告もある<ref name=ref22><pubmed>16554754</pubmed></ref>。最近では転写因子Olig1/Olig2がある種の[[抑制性神経細胞]]の数を増やし、これが神経活動の過剰抑制につながり、ダウン症の知能障害につながるとの報告<ref name=ref23><pubmed>20639873</pubmed></ref>などもある。しかしながら、これらの遺伝子のダウン症発症に於ける実際の意義については確定的な事が言える状況では到底無く、それらを明らかにし、更には実際の治療に結びつけて行く為には今後更なる検証、研究が必要である。
 第21染色体上に存在する複数の遺伝子が精神遅滞の発症に関わる遺伝子の候補として報告されている。しかしながらこれらの遺伝子のダウン症発症に於ける実際の意義については確定的な事が言える状況では到底無く、それらを明らかにし、更には実際の治療に結びつけて行く為には今後更なる検証、研究が必要である。
;Sim2
:helix-loop-helix構造を持ち、中枢神経系の初期発生に関わる転写制御因子であり、&beta;[[アクチン]]プロモーター下で発現制御されたSIM2を持つ[[トランスジェニックマウス]]での記憶学習能力の異常<ref name=ref19><pubmed>10400987</pubmed></ref>、Sim2を有するBACクローンのトランスジェニックマウスでの不安行動、痛覚鈍麻、社会性行動減少<ref name=ref20><pubmed>10915774</pubmed></ref>などが報告されている。
 
;DYRK1A
:ショウジョウバエで同定され、細胞の発生・[[分化]]の制御に関わる遺伝子として知られるminibrainのヒトホモログであるが、DYRK1Aを含むYACのトランスジェニックマウスで記憶学習能力の異常が報告されている<ref name=ref21><pubmed>9140392</pubmed></ref>。更にはDYRK1AがDSCR1/RCAN1と共同して転写因子NFATcの機能を抑制し、これがダウン症症状の発現に寄与するとの報告もある<ref name=ref22><pubmed>16554754</pubmed></ref>
;Olig1/Olig2
:転写因子であり、ある種の[[抑制性神経細胞]]の数を増やし、これが神経活動の過剰抑制につながり、ダウン症の知能障害につながると報告されている<ref name=ref23><pubmed>20639873</pubmed></ref>


== 治療 ==
== 治療 ==