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  | Name = Disabled 1
  | Name = Disabled 1
  | image = 1NTV.pdb
  | image = 1NTV.pdb
  | image_source = Dab1のPTBドメインと、ApoER2細胞内ドメインの一部。Protein Data Bank 1NTV<ref><pubmed>12737822</pubmed></ref>による。
  | image_source = Dab1のPTBドメインと、ApoER2細胞内ドメインの一部(赤い部分)。Protein Data Bank 1NTV<ref><pubmed>12737822</pubmed></ref>による。
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  | HGNCid = 2661
  | HGNCid = 2661
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英語名: disabled 1、Dab1 遺伝子名: disabled homolog 1(ヒト)、disabled 1 (マウス)、遺伝子シンボル:Dab1 (ヒト)、DAB1 (マウス)  
英語名: disabled 1、Dab1 遺伝子名: disabled homolog 1(ヒト)、disabled 1 (マウス)、遺伝子シンボル:Dab1 (ヒト)、DAB1 (マウス)  


{{box|text= Dab1は[[中枢神経系]]において[[神経細胞]]の正常な[[神経細胞移動|移動]]・配置に必須の細胞内アダプター分子で、神経細胞の[[樹状突起]]の発達等にも関与していると考えられている<ref><pubmed>16512359</pubmed></ref><ref name="honda"><pubmed>21253854</pubmed></ref>。''dab1''遺伝子の欠損は層構造を形成する[[大脳新皮質]]、[[海馬]]、[[小脳]]、あるいは核構造を形成する[[脳幹]]、[[脊髄]]等の神経細胞の配置に異常を引き起こす。同様な表現型は、[[リーリン]](''reelin'')遺伝子に変異のある[[リーラー|''reeler'']]マウスと、[[Low density lipoprotein receptor-related protein 8|''low density lipoprotein receptor-related protein 8'']] ([[apoER2|''apoER2'']])と[[VLDL receptor|''very-low-density-lipoprotein receptor'']] ([[vldlr|''vldlr'']])のダブル[[ノックアウトマウス]]でも観察されている。様々な実験結果により、細胞外のリーリンがApoER2/VLDLRにより受容され、Dab1が細胞内でシグナルを伝達するシグナル伝達経路を形成していると考えられている。また、リーリン刺激によって[[リン酸化]]を受けるDab1の[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]5カ所を[[wikipedia:ja:フェニルアラニン|フェニルアラニン]]に変異させたマウスでは、''dab1''遺伝子の変異と同じ神経細胞の配置異常が引き起こされることから、Dab1の[[チロシンリン酸化]]はこのシグナル伝達経路に必須であることが示されている。チロシンリン酸化されたDab1により活性化される経路が調べられ、中でも[[Crk]]/[[CrkL]]-[[Rap1]]経路が、[[N-カドヘリン]](N-cadherin)や[[インテグリンα5β1]](Integrin α5β1)の制御を行うことで神経細胞の移動調節を行っている可能性が示唆されている。 }}
{{box|text= Dab1は[[中枢神経系]]において[[神経細胞]]の正常な[[神経細胞移動|移動]]・配置に必須の細胞内アダプター分子で、神経細胞の[[樹状突起]]の発達等にも関与していると考えられている<ref><pubmed>16512359</pubmed></ref><ref name="honda"><pubmed>21253854</pubmed></ref>。''dab1''遺伝子の欠損は層構造を形成する[[大脳新皮質]]、[[海馬]]、[[小脳]]、あるいは核構造を形成する[[脳幹]]、[[脊髄]]等の神経細胞の配置に異常を引き起こす。同様な表現型は、[[リーリン]](''reelin'')遺伝子に変異のある[[リーラー|''reeler'']]マウスと、[[Low density lipoprotein receptor-related protein 8|''low density lipoprotein receptor-related protein 8'']] ([[apoER2|''apoER2'']])と[[VLDL receptor|''very-low-density-lipoprotein receptor'']] ([[vldlr|''vldlr'']])のダブル[[ノックアウトマウス]]でも観察されており、細胞外のリーリンがApoER2/VLDLRにより受容され、Dab1が細胞内でシグナルを伝達するシグナル伝達経路を形成していると考えられている。また、リーリン刺激によって[[リン酸化]]を受けるDab1の[[wikipedia:ja:チロシン|チロシン]]5カ所を[[wikipedia:ja:フェニルアラニン|フェニルアラニン]]に変異させたマウスでは、''dab1''遺伝子の変異と同じ神経細胞の配置異常が引き起こされることから、Dab1の[[チロシンリン酸化]]はこのシグナル伝達経路に必須であることが示されている。チロシンリン酸化されたDab1により活性化される経路が調べられ、中でも[[Crk]]/[[CrkL]]-[[Rap1]]経路が、[[N-カドヘリン]](N-cadherin)や[[インテグリンα5β1]](Integrin α5β1)の制御を行うことで神経
細胞の移動調節を行っている可能性が示唆されている。 }}


== 歴史的推移  ==
== 歴史的推移  ==
(編集 コメント イントロが長目なので、発見の歴史までとして、最近の内容は「機能」の所に移して頂けないでしょうか。)
(編集 コメント イントロが長目なので、発見の歴史までとして、最近の内容は「機能」の所に移して頂けないでしょうか。)


 1997年、チロシンキナーゼ[[Src]]に結合するタンパク質が探索され、当時未知のタンパク質であった、Disabled 1 (Dab1)([[ショウジョウバエ]]で同定されていた[[disabled-1|''disabled-1'']]遺伝子と相同性があった為命名)が同定された<ref name="Howell_EMBO"><pubmed>9009273</pubmed></ref>。Dab1はN末端に[[Phosphotyrosine-binding domain]] (PTBドメイン)を持つ[[アダプタータンパク質]]で、Srcによりリン酸化されることが明らかになった<ref name="Howell_EMBO" />。''dab1''ノックアウトマウスが作成された所、大脳新皮質、海馬、小脳において神経細胞の配置異常が観察された<ref><pubmed>9338785</pubmed></ref>。この表現型は1951年に報告されその原因遺伝子[[リーリン]]が1995年に報告されたリーラー(''reeler'')マウスの表現型(リーラー表現型)<ref>'''Two new mutants trembler and reeler, with neurological actionss in the house mouse'''<br>J. Genet..: 1951, 51, 192-201[http://link.springer.com/article/10.1007%2FBF02996215 論文掲載サイト]</ref>と酷似していた。さらに、リーラー表現型を示すことが知られていた[[Yotari|''yotari'']]マウスと[[Scrambler|''scrambler'']]マウスの原因遺伝子が''dab1''であることが明らかになり<ref><pubmed>9338784</pubmed></ref><ref><pubmed>9436647</pubmed></ref><ref><pubmed>9292716</pubmed></ref><ref><pubmed>10648895</pubmed></ref>、Dab1とリーリンとの関連性が示唆された。
 1997年、チロシンキナーゼ[[Src]]に結合するタンパク質が探索され、当時未知のタンパク質であった、Disabled 1 (Dab1)([[ショウジョウバエ]]で同定されていた[[disabled-1|''disabled-1'']]遺伝子と相同性があった為命名)が同定された<ref name="Howell_EMBO"><pubmed>9009273</pubmed></ref>。Dab1はN末端に[[Phosphotyrosine-binding domain]] (PTBドメイン)を持つ[[アダプタータンパク質]]で、Srcによりリン酸化されることが明らかになった<ref name="Howell_EMBO" />。''dab1''ノックアウトマウスが作成された所、大脳新皮質、海馬、小脳において神経細胞の配置異常が観察された<ref><pubmed>9338785</pubmed></ref>。この表現型は、1951年に既に報告のあったリーラー(''reeler'')マウスの示す<ref name=reeler>'''Two new mutants trembler and reeler, with neurological actionss in the house mouse'''<br>J. Genet..: 1951, 51, 192-201[http://link.springer.com/article/10.1007%2FBF02996215 論文掲載サイト]</ref>表現型と酷似していた。また、リーラーマウスの原因遺伝子は1995年に既に報告されており、[[リーリン]]という別の遺伝子をコードしていた<ref><pubmed>7715726</pubmed></ref>。さらに、リーラー表現型を示すことが知られていた[[Yotari|''yotari'']]マウスと[[Scrambler|''scrambler'']]マウスの原因遺伝子が''dab1''であることが明らかになり<ref><pubmed>9338784</pubmed></ref><ref><pubmed>9436647</pubmed></ref><ref><pubmed>9292716</pubmed></ref><ref><pubmed>10648895</pubmed></ref>、Dab1とリーリンとの機能的な関連性が強く示唆された。


 実際、リーラーマウスでは、
 実際、リーラーマウスでは、
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 小脳については、妊娠13.5日目には脳室帯と外顆粒層の間の幼弱プルキンエ細胞群に発現が見られ、妊娠18.5日目から生後3日では、[[プルキンエ細胞]]層で発現が観察される。リーリンを強く発現する[[顆粒細胞]]が存在する外顆粒層に隣接して''dab1''を発現するプルキンエ細胞層が存在し、小脳においても相補的な発現パターンを示す<ref name=rice />。  
 小脳については、妊娠13.5日目には脳室帯と外顆粒層の間の幼弱プルキンエ細胞群に発現が見られ、妊娠18.5日目から生後3日では、[[プルキンエ細胞]]層で発現が観察される。リーリンを強く発現する[[顆粒細胞]]が存在する外顆粒層に隣接して''dab1''を発現するプルキンエ細胞層が存在し、小脳においても相補的な発現パターンを示す<ref name=rice />。  


 Dab1のタンパク質がどの細胞にどのような細胞内分布で局在しているのかは、[[免疫組織化学染色]]が難しく報告は少ないが、mRNAの発現分布と一致して大脳新皮質では神経細胞<ref name=rice /></ref><ref><pubmed>19710317</pubmed></ref>、小脳ではプルキンエ細胞<ref><pubmed>12077184</pubmed></ref>に発現していることが報告されている。また、生体内における詳細な細胞内分布については不明である。  
 Dab1のタンパク質がどの細胞にどのような細胞内分布で局在しているのかは、[[免疫組織化学染色]]が難しく報告は少ないが、mRNAの発現分布と一致して大脳新皮質では神経細胞<ref name=rice /><ref><pubmed>19710317</pubmed></ref>、小脳ではプルキンエ細胞<ref><pubmed>12077184</pubmed></ref>に発現していることが報告されている。また、生体内における詳細な細胞内分布については不明である。  


BGEM http://www.stjudebgem.org/web/view/probe/viewProbeDetails.php?id=1  
BGEM http://www.stjudebgem.org/web/view/probe/viewProbeDetails.php?id=1  
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 Dab1が神経細胞移動を制御する分子メカニズムについては、チロシンリン酸化Dab1に結合する分子を中心に解析が進められて来ている。現在までに[[Phosphoinositide 3-kinase]] ([[PI3K]])<ref><pubmed>12882964</pubmed></ref>、[[SOCS3]]<ref><pubmed>17974915</pubmed></ref>、[[NCKβ]]<ref><pubmed>14517291</pubmed></ref>、[[Lis1]]<ref><pubmed>14578885</pubmed></ref>、[[Src family kinase]]<ref name=Howell_EMBO /><ref name=feng />、[[Crkファミリータンパク質]](Crk、CrkL)<ref name="crk"><pubmed>15062102</pubmed></ref><ref><pubmed>15316068</pubmed></ref><ref><pubmed>15110774</pubmed></ref>がDab1のチロシンリン酸化依存的に結合することが報告されている。
 Dab1が神経細胞移動を制御する分子メカニズムについては、チロシンリン酸化Dab1に結合する分子を中心に解析が進められて来ている。現在までに[[Phosphoinositide 3-kinase]] ([[PI3K]])<ref><pubmed>12882964</pubmed></ref>、[[SOCS3]]<ref><pubmed>17974915</pubmed></ref>、[[NCKβ]]<ref><pubmed>14517291</pubmed></ref>、[[Lis1]]<ref><pubmed>14578885</pubmed></ref>、[[Src family kinase]]<ref name=Howell_EMBO /><ref name=feng />、[[Crkファミリータンパク質]](Crk、CrkL)<ref name="crk"><pubmed>15062102</pubmed></ref><ref><pubmed>15316068</pubmed></ref><ref><pubmed>15110774</pubmed></ref>がDab1のチロシンリン酸化依存的に結合することが報告されている。


 このうち''crk''と''crkl''のダブルノックアウトマウス<ref name="crk_crkl_dKO"><pubmed>19074029</pubmed></ref>、及び''src''と''fyn''のダブルノックアウトマウス<ref><pubmed>16162939</pubmed></ref>においてはリーラーフェノタイプ様の異常が生じること、Crk/Crklの結合分子
このうち''crk''と''crkl''のダブルノックアウトマウス<ref name="crk_crkl_dKO"><pubmed>19074029</pubmed></ref>、及び''src''と''fyn''のダブルノックアウトマウス<ref><pubmed>16162939</pubmed></ref>においてはリーラーフェノタイプ様の異常が生じること、Crk/Crklの結合分子
''c3g''のジーントラップ系統マウスでリーラーフェノタイプが観察されること<ref><pubmed>18506028</pubmed></ref>等から、その下流分子として[[Rap1]]が注目された。Rap1は[[Rasファミリー低分子量Gタンパク質]]に属する[[低分子量Gタンパク質]]で、[[カドヘリン]]やインテグリンを介して細胞接着を制御する重要な分子であり、リーリンにより活性化されることが報告されている<ref name="crk" />。
''c3g''のジーントラップ系統マウスでリーラーフェノタイプが観察されること<ref><pubmed>18506028</pubmed></ref>等から、その下流分子として[[Rap1]]が注目された。Rap1は[[Rasファミリー低分子量Gタンパク質]]に属する[[低分子量Gタンパク質]]で、[[カドヘリン]]やインテグリンを介して細胞接着を制御する重要な分子であり、リーリンにより活性化されることが報告されている<ref name="crk" />。


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 また、Rap1GAPを遅生まれの神経細胞(マウス胎生14.5日)に強制発現した場合、多極性移動からロコモーションへの変換が障害され、この障害がN-カドヘリンの強制発現により、レスキューされること。また、細胞内ドメインを欠いたVLDLRを強制発現すると、同様に多極性移動からロコモーションへの変換が阻害され、この異常は恒常的活性化型Rap1により部分的にレスキューされること等から、Reelin-Dab1シグナルは、遅生まれの神経細胞に対しては、Rap1-N-カドヘリン経路を介して多極性移動からロコモーションへの変換を促進していることが示唆された<ref><pubmed>21516100</pubmed></ref>。しかしながら、dab1のコンディショナルノックアウトマウスにおいては、多極性移動からロコモーションの過程は障害されないとの報告<ref name=santos />もあり、Reelin-Dab1シグナルの多極性移動からロコモーションへの変換への関与については更なる検証が必要であると思われる。
 また、Rap1GAPを遅生まれの神経細胞(マウス胎生14.5日)に強制発現した場合、多極性移動からロコモーションへの変換が障害され、この障害がN-カドヘリンの強制発現により、レスキューされること。また、細胞内ドメインを欠いたVLDLRを強制発現すると、同様に多極性移動からロコモーションへの変換が阻害され、この異常は恒常的活性化型Rap1により部分的にレスキューされること等から、Reelin-Dab1シグナルは、遅生まれの神経細胞に対しては、Rap1-N-カドヘリン経路を介して多極性移動からロコモーションへの変換を促進していることが示唆された<ref><pubmed>21516100</pubmed></ref>。しかしながら、dab1のコンディショナルノックアウトマウスにおいては、多極性移動からロコモーションの過程は障害されないとの報告<ref name=santos />もあり、Reelin-Dab1シグナルの多極性移動からロコモーションへの変換への関与については更なる検証が必要であると思われる。


 これらの実験結果では、遅生まれの神経細胞が脳表で行うターミナルトランスロケーションに関してReelinシグナルがどのように関与しているかは不明であったが、リーリン受容体のノックダウンによって生じるターミナルトランスロケーション異常が、恒常的活性化型インテグリンの強制発現によりレスキューされることや、リーラーマウスでは脳表層でのインテグリンの活性化が見られないこと、Reelin刺激によってインテグリンのリガンドであるフィブロネクチンへの接着が促進されること等から、リーリン-Dab1シグナルが、C3G-Rap1経路を介してインテグリンの活性化を促進し、ターミナルトランスロケーションを制御している可能性が示唆されている<ref name=sekine2><pubmed>23083738</pubmed></ref>。一方でb1インテグリンのノックアウトマウス<ref><pubmed>11516395</pubmed></ref>や、コンディショナルノックアウトマウス<ref><pubmed>18077697</pubmed></ref>では、神経細胞の移動過程には大きな異常がないことが示されていることから、何らかの分子がターミナルトランスロケーションに関して補償的に働いている可能性が示唆されている<ref name=sekine2 />。
 これらの実験結果では、遅生まれの神経細胞が脳表で行うターミナルトランスロケーションに関してReelinシグナルがどのように関与しているかは不明であったが、リーリン受容体のノックダウンによって生じるターミナルトランスロケーション異常が、恒常的活性化型インテグリンの強制発現によりレスキューされることや、リーラーマウスでは脳表層でのインテグリンの活性化が見られないこと、Reelin刺激によってインテグリンのリガンドであるフィブロネクチンへの接着が促進されること等から、リーリン-Dab1シグナルが、C3G-Rap1経路を介してインテグリンの活性化を促進し、ターミナルトランスロケーションを制御している可能性が示唆されている<ref name=sekine2><pubmed>23083738</pubmed></ref>。一方でβ1インテグリンのノックアウトマウス<ref><pubmed>11516395</pubmed></ref>や、コンディショナルノックアウトマウス<ref><pubmed>18077697</pubmed></ref>では、神経細胞の移動過程には大きな異常がないことが示されていることから、何らかの分子がターミナルトランスロケーションに関して補償的に働いている可能性が示唆されている<ref name=sekine2 />。


 また、Rap1のGAPの一つであるSpaIをプロモーター活性の強さの異なるベクターで強制発現した場合、弱いプロモーターで発現させた場合はターミナルトランスロケーションが障害され、強いプロモーターで発現させた場合では中間帯からの移動が障害されていた。この結果より、Rap1には中間帯での移動と、ターミナルトランスロケーション、二つの異なる移動過程に関わっている可能性が示唆された。さらに、Rap1の活性化を担うグアニンヌクレオチド交換因子(guanine nucleotide exchange factor、GEF)であるC3Gのドミナントネガティブ変異体(dominant negative mutant)を強制発現させた場合、ロコモーションはほとんど阻害されず、ターミナルトランスロケーションが主に障害されていた。これらの実験結果より、ロコモーションの過程ではRap1はC3G以外のGEFにより活性化され、ターミナルトランスロケーションの過程ではC3Gにより活性化される可能性が示唆されている<ref name=sekine2 />。
 また、Rap1のGAPの一つであるSpaIをプロモーター活性の強さの異なるベクターで強制発現した場合、弱いプロモーターで発現させた場合はターミナルトランスロケーションが障害され、強いプロモーターで発現させた場合では中間帯からの移動が障害されていた。この結果より、Rap1には中間帯での移動と、ターミナルトランスロケーション、二つの異なる移動過程に関わっている可能性が示唆された。さらに、Rap1の活性化を担うグアニンヌクレオチド交換因子(guanine nucleotide exchange factor、GEF)であるC3Gのドミナントネガティブ変異体(dominant negative mutant)を強制発現させた場合、ロコモーションはほとんど阻害されず、ターミナルトランスロケーションが主に障害されていた。これらの実験結果より、ロコモーションの過程ではRap1はC3G以外のGEFにより活性化され、ターミナルトランスロケーションの過程ではC3Gにより活性化される可能性が示唆されている<ref name=sekine2 />。
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