「神経政治学」の版間の差分

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<font size="+1">高野 弘二、[http://researchmap.jp/kenjikansaku 神作 憲司]</font><br>
''国立障害者リハビリテーションセンター研究所 脳機能系障害研究部''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年4月23日 原稿完成日:2012年8月27日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/atsushiiriki 入來 篤史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英:neuropolitics  
英:neuropolitics  


{{box|text=
 神経政治学(neuropolitics)とは、[[wikipedia:ja:政治|政治]]にかかる[[社会的行動]]の神経基盤を対象とする研究分野である。[[神経画像手法]]等の進歩により、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]が社会的行動をとる際の脳内情報処理を対象とした研究が可能となった。[[wikipedia:ja:哲学|哲学]]・[[wikipedia:ja:心理学|心理学]]との関連も深い。[[wikipedia:ja:社会科学|社会科学]]においても、[[wikipedia:ja:政治心理学|政治心理学]]や[[wikipedia:ja:実験政治学|実験政治学]]の流れから神経政治学への展開がみられている。
 神経政治学(neuropolitics)とは、[[wikipedia:ja:政治|政治]]にかかる[[社会的行動]]の神経基盤を対象とする研究分野である。[[神経画像手法]]等の進歩により、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]が社会的行動をとる際の脳内情報処理を対象とした研究が可能となった。[[wikipedia:ja:哲学|哲学]]・[[wikipedia:ja:心理学|心理学]]との関連も深い。[[wikipedia:ja:社会科学|社会科学]]においても、[[wikipedia:ja:政治心理学|政治心理学]]や[[wikipedia:ja:実験政治学|実験政治学]]の流れから神経政治学への展開がみられている。
 
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== 神経政治学とは==
== 神経政治学とは==
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=== 神経法学との関わり ===
=== 神経法学との関わり ===
 法にかかる社会的行動の神経基盤を対象とする分野を[[神経法学]](neurolaw)という。直接的に関連した研究が黎明期にある一方で、fMRIの法廷における嘘発見器と類似の役割についても議論されている。例えば米国では、新規の科学的手法を法廷での証拠として採用するかの基準として[[wikipedia:ja:ドーバート基準|ドーバート基準]](Daubert standard)と[[wikipedia:ja:フライ基準|フライ基準]](Frye standard)があり、それぞれ、”特定の分野におけるすべての科学者から有効であると認知された手法”か、あるいは”専門分野で一般的に受け入れられている手法”か、といった内容で、fMRIは現状ではどちらの基準でも採用されていないという<ref name="Dresser"><pubmed>21155104</pubmed></ref>。一方で、これらの議論がなされていること自体、社会からの期待が背景にあるとも言える。こうした研究を一層進めるには、[[生命倫理|倫理]]的考慮を図ることが前提となろう。
 法にかかる社会的行動の神経基盤を対象とする分野を[[神経法学]](neurolaw)という。直接的に関連した研究が黎明期にある一方で、fMRIの法廷における嘘発見器と類似の役割についても議論されている。例えば米国では、新規の科学的手法を法廷での証拠として採用するかの基準として[[wikipedia:Daubert standard|ドーバート基準]](Daubert standard)と[[wikipedia:Frye standard|フライ基準]](Frye standard)があり、それぞれ、”特定の分野におけるすべての科学者から有効であると認知された手法”か、あるいは”専門分野で一般的に受け入れられている手法”か、といった内容で、fMRIは現状ではどちらの基準でも採用されていないという<ref name="Dresser"><pubmed>21155104</pubmed></ref>。一方で、これらの議論がなされていること自体、社会からの期待が背景にあるとも言える。こうした研究を一層進めるには、[[生命倫理|倫理]]的考慮を図ることが前提となろう。
 


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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<references />
<references />
(執筆者:高野 弘二、神作 憲司 担当編集委員:入來 篤史)