9,444
回編集
Teruohashimoto (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
(4人の利用者による、間の9版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
<div align="right"> | |||
<font size="+1">橋本 照男、[http://researchmap.jp/atsushiiriki 入來 篤史]</font><br> | |||
''独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年12月5日 原稿完成日:2012年12月27日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/ichirofujita 藤田 一郎](大阪大学 大学院生命機能研究科)<br> | |||
</div> | |||
英語名:somatosensation 独:Tastsinn 仏:somesthésie | 英語名:somatosensation 独:Tastsinn 仏:somesthésie | ||
体性感覚とは[[触覚]]、[[温度感覚]]、[[痛覚]]の[[皮膚感覚]]と、筋や腱、関節などに起こる[[深部感覚]]から成り、[[内臓感覚]] | {{box|text= | ||
体性感覚とは[[触覚]]、[[温度感覚]]、[[痛覚]]の[[皮膚感覚]]と、筋や腱、関節などに起こる[[深部感覚]]から成り、[[内臓感覚]]は含まない。皮膚感覚が皮膚表面における感覚であるのに対し、深部感覚とは身体内部の感覚を意味する。後者は[[固有感覚]]または[[自己受容感覚]]とも呼ばれ、[[筋受容器]]からの伸縮の情報により、身体部位の位置の情報が得られる。 | |||
}} | |||
== 皮膚感覚受容器 == | == 皮膚感覚受容器 == | ||
触覚や振動覚に関わる受容細胞構造が明確なものと、主に温度感覚や痛覚に関わる自由神経終末がある。 | |||
適刺激による分類、順応による分類がある。皮膚感覚受容器の興奮を伝える末梢神経は後根神経節にある偽単極型神経細胞の軸索である。 | |||
末梢神経には有髄と無髄があり、有髄神経では太いほど伝導速度が速い。 | |||
三叉神経伝導路は顔や口腔の感覚(痛みを含む)を伝える。 | |||
=== 機械受容器 === | === 機械受容器 === | ||
15行目: | 30行目: | ||
mechanoreceptor | mechanoreceptor | ||
体性感覚における機械受容器は、外部との接触または自己の運動や姿勢の変化によって起こる、圧迫・伸展などの皮膚、筋、腱、関節の変化を検出する細胞である。[[受容野]] | 体性感覚における機械受容器は、外部との接触または自己の運動や姿勢の変化によって起こる、圧迫・伸展などの皮膚、筋、腱、関節の変化を検出する細胞である。[[受容野]]の広さと刺激に対する応答のなれ(順応)の速さが異なる4種類の細胞がある。 | ||
==== マイスナー小体 ==== | ==== マイスナー小体 ==== | ||
31行目: | 46行目: | ||
==== パチニ小体 ==== | ==== パチニ小体 ==== | ||
Pacinian corpuscle | |||
表皮の深部にあり、受容野が広く境界が不鮮明であり、順応が速い(RA2)(図2)。 | 表皮の深部にあり、受容野が広く境界が不鮮明であり、順応が速い(RA2)(図2)。 | ||
43行目: | 58行目: | ||
=== 温度感覚器 === | === 温度感覚器 === | ||
身体部位によって密度が異なり、たとえば口唇は足裏の6倍の密度である。また刺激される範囲が広いほど温感が強くなることから、一定の面積に刺激があると温感が生じると考えられている。冷たいと感じる点である[[冷点]]は[[温点]]よりも圧倒的に多い(前腕の温点と冷点の密度はそれぞれ約0.24/cm2、7/cm2 <ref>''Strughold, H., & Porz, R.''<br>Density of cold | 身体部位によって密度が異なり、たとえば口唇は足裏の6倍の密度である。また刺激される範囲が広いほど温感が強くなることから、一定の面積に刺激があると温感が生じると考えられている。冷たいと感じる点である[[冷点]]は[[温点]]よりも圧倒的に多い(前腕の温点と冷点の密度はそれぞれ約0.24/cm2、7/cm2 <ref>''Strughold, H., & Porz, R.''<br>Density of cold spots on the skin of the human body.<br>Zeitschrift für Biologie, 91, 563-571:1931</ref>)。24~30℃の間では0.5~1℃の弁別が可能であり、体表全体の温度変化ならば0.01℃の差を弁別できる。[[冷受容器]](冷線維)と[[温受容器]](温線維)があり、それぞれ15~33℃、33~45℃の刺激に反応する。これらの範囲外の温度には[[痛覚]]が生じる。 | ||
=== 侵害受容器 === | === 侵害受容器 === | ||
51行目: | 66行目: | ||
=== かゆみ === | === かゆみ === | ||
痛覚と共通する点が多く、Aδ線維とC線維によって伝えられ、化学刺激等で引き起こされる。ヒスタミンはかゆみを誘発する。 | |||
==深部感覚受容器 == | ==深部感覚受容器 == | ||
筋([[ | 筋([[筋紡錘]](錘内筋線維と感覚性・運動性神経))、腱([[ゴルジ腱器官]](筋と腱の接合部と腱の中にある線維束))、関節(関節受容器)にあり、それぞれの伸縮により刺激され、[[3a野]]に投射される。身体の運動や位置の変化についての情報を伝える。筋への振動刺激は、[[運動錯覚]]を引き起こすことができる。 | ||
==中枢機構== | ==中枢機構== | ||
80行目: | 95行目: | ||
*[[体性感覚野]] | *[[体性感覚野]] | ||
*[[バレル皮質]] | *[[バレル皮質]] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||