「自殺」の版間の差分

665 バイト追加 、 2014年7月8日 (火)
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[[image:自殺1.png|thumb|350px|'''図1.自殺行動のストレスー素因モデル'''<br>(Mann JJ, 2003 9) より改変)]]
[[image:自殺1.png|thumb|350px|'''図1.自殺行動のストレスー素因モデル'''<br>(Mann JJ, 2003 9) より改変)]]


{| class="wikitable"
|+ 表.自殺に関する遺伝学的知見(文献2、4)
|-
| colspan="3" |  * 養子研究(adoption studies):約6倍<br> * 双生児研究(twin studies):遺伝率 38~55%
|-
| colspan="2" |  No. of Twins(%)Concordant  for Suicidal Behavior
|
|-
| style="text-align:center" | MZ
| style="text-align:center" | DN
| style="text-align:center" | P
|-
| style="text-align:center" | 40/172(23.0)
| style="text-align:center" | 2/294(0.7)
| style="text-align:center" | < 0.0001
|-
| colspan="3" |  * 家族研究(family studies):2~12倍<br>(約5倍、既遂>未遂、impulsive aggression)
|}


 家族研究、双生児研究、養子研究により、自殺には遺伝的要因が関与することが示されている。これまでの研究から、自殺行動の致死性が高いほど、すなわち自殺念慮から自殺既遂へと致死性が高くなるほど、遺伝的要因も強くなることが示されている(1)。家族研究では自殺者および非自殺者の血縁者における自殺傾性を比較するが、対象や評価方法、解析方法等の問題はあるものの、自殺者の家族では対照者と比べて自殺行動をとる危険性が高くなると報告されている(2)。また、双生児研究では、自殺関連行動の一卵性双生児における一致率は、二卵性双生児のそれよりも有意に高い(24.1% vs 2.8%)ことがメタ解析で報告されている(3)。さらに養子研究では、自殺の遺伝負因を持つ養子は負因を持たない養子に比べて自殺率が高いと報告されている(4)。自殺行動の水準を、自殺念慮から致死的な自殺企図まで幅をもたせて設定すると、自殺行動の遺伝性(heritability)は30-55%と推測されており、それらは精神疾患の有無から独立した遺伝性として同定される(2)。
 家族研究、双生児研究、養子研究により、自殺には遺伝的要因が関与することが示されている。これまでの研究から、自殺行動の致死性が高いほど、すなわち自殺念慮から自殺既遂へと致死性が高くなるほど、遺伝的要因も強くなることが示されている(1)。家族研究では自殺者および非自殺者の血縁者における自殺傾性を比較するが、対象や評価方法、解析方法等の問題はあるものの、自殺者の家族では対照者と比べて自殺行動をとる危険性が高くなると報告されている(2)。また、双生児研究では、自殺関連行動の一卵性双生児における一致率は、二卵性双生児のそれよりも有意に高い(24.1% vs 2.8%)ことがメタ解析で報告されている(3)。さらに養子研究では、自殺の遺伝負因を持つ養子は負因を持たない養子に比べて自殺率が高いと報告されている(4)。自殺行動の水準を、自殺念慮から致死的な自殺企図まで幅をもたせて設定すると、自殺行動の遺伝性(heritability)は30-55%と推測されており、それらは精神疾患の有無から独立した遺伝性として同定される(2)。