9,444
回編集
細編集の要約なし |
細編集の要約なし |
||
| (2人の利用者による、間の3版が非表示) | |||
| 1行目: | 1行目: | ||
<div align="right"> | |||
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0183819 那波 宏之]</font>(初版)<br> | |||
''新潟大学 脳研究所 基礎神経科学部門 分子神経生物学分野''<br> | |||
<font size="+1">森 大輔</font>(改訂第2版)<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2011年10月26日 原稿完成日:2014年XX月XX日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | |||
</div> | |||
{{PBB|geneid=3084}} | {{PBB|geneid=3084}} | ||
{{PBB|geneid=9542}} | {{PBB|geneid=9542}} | ||
| 6行目: | 14行目: | ||
英:Neuregulin、英略語:NRG | 英:Neuregulin、英略語:NRG | ||
{{box|text= | |||
ニューレグリンは、[[Neu]]/[[Her2]]/[[ErbB2]]受容体に相互作用して、その[[チロシンリン酸化]]を増大させる44kDaの糖タンパク質として最初に同定された。その後、これらの配列に高い相同性を持つ遺伝子スクリーニングが行われ、現在までに、[[NRG1]]、[[NRG2]]、[[NRG3]]、[[NRG4]]の各遺伝子が単離されている。これらのニューレグリンファミリーは、いずれも[[上皮成長因子]]([[EGF]])様ドメインを遺伝子内に有しており、成熟型のニューレグリンは[[上皮成長因子受容体]]([[EGFR]])/[[Her]]/[[ErbB]]受容体を活性化するリガンドとして機能する。ニューレグリンによるこれらの受容体の活性化は、中枢神経系のみならずさまざまな器官や組織において、個体の[[wikipedia:ja:発生|発生]]や[[wikipedia:ja:成長|成長]]、[[wikipedia:ja:維持|維持]]に重要な役割を担っている。成体においてもその機能は重要であり、ニューレグリン遺伝子の調節不全は、[[wikipedia:ja:乳がん|乳がん]]など[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]の形成、[[統合失調症]]や[[双極性障害]]のような[[精神神経疾患]]の発症など多くの病態に関与すると言われている。 | ニューレグリンは、[[Neu]]/[[Her2]]/[[ErbB2]]受容体に相互作用して、その[[チロシンリン酸化]]を増大させる44kDaの糖タンパク質として最初に同定された。その後、これらの配列に高い相同性を持つ遺伝子スクリーニングが行われ、現在までに、[[NRG1]]、[[NRG2]]、[[NRG3]]、[[NRG4]]の各遺伝子が単離されている。これらのニューレグリンファミリーは、いずれも[[上皮成長因子]]([[EGF]])様ドメインを遺伝子内に有しており、成熟型のニューレグリンは[[上皮成長因子受容体]]([[EGFR]])/[[Her]]/[[ErbB]]受容体を活性化するリガンドとして機能する。ニューレグリンによるこれらの受容体の活性化は、中枢神経系のみならずさまざまな器官や組織において、個体の[[wikipedia:ja:発生|発生]]や[[wikipedia:ja:成長|成長]]、[[wikipedia:ja:維持|維持]]に重要な役割を担っている。成体においてもその機能は重要であり、ニューレグリン遺伝子の調節不全は、[[wikipedia:ja:乳がん|乳がん]]など[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]の形成、[[統合失調症]]や[[双極性障害]]のような[[精神神経疾患]]の発症など多くの病態に関与すると言われている。 | ||
}} | |||
== サブタイプ == | == サブタイプ == | ||
| 629行目: | 639行目: | ||
ニューレグリン3、ニューレグリン4遺伝子のノックアウトマウスについては報告されていない。 | ニューレグリン3、ニューレグリン4遺伝子のノックアウトマウスについては報告されていない。 | ||
==疾患との関わり== | |||
ニューレグリン1がErbB4受容体を活性化し、[[Srcキナーゼ]]の活性を抑制することにより、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[リン酸化]]が低下し、NMDA受容体の機能が抑制されるという、[[統合失調症]]の[[グルタミン酸仮説]]に合致するモデルが提唱された。統合失調症にも関連する、ErbB4の多型が認められている。 | ニューレグリン1がErbB4受容体を活性化し、[[Srcキナーゼ]]の活性を抑制することにより、[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の[[リン酸化]]が低下し、NMDA受容体の機能が抑制されるという、[[統合失調症]]の[[グルタミン酸仮説]]に合致するモデルが提唱された。統合失調症にも関連する、ErbB4の多型が認められている。 | ||
| 652行目: | 662行目: | ||
<pubmed>22723422</pubmed> | <pubmed>22723422</pubmed> | ||
<pubmed>12145742</pubmed> | <pubmed>12145742</pubmed> | ||