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羅:axon 英:axon 独:Axon 仏:axone
英:axon 独:Axon 仏:axone  羅:axon
 
{{box|text= 軸索とは、[[神経細胞]]の[[細胞体]]から伸びる突起を、形態的な特徴から2つに分類したうちの一つである (他方は[[樹状突起]])。樹状突起は、基部で太いが末梢に行くに連れて細くなる形態なのに対し、軸索は、基部で細いが、そのまま末梢まで全長でほぼ同じ太さを保つ。神経細胞につき通常1本存在し、その神経細胞から伸びる最も長い突起である事が多い。電気的興奮を伝えるという機能を持ち、他の神経細胞や[[効果器]]への情報の出力を担う事が多い。}}
{{box|text= 軸索とは、[[神経細胞]]の[[細胞体]]から伸びる突起を、形態的な特徴から2つに分類したうちの一つである (他方は[[樹状突起]])。樹状突起は、基部で太いが末梢に行くに連れて細くなる形態なのに対し、軸索は、基部で細いが、そのまま末梢まで全長でほぼ同じ太さを保つ。神経細胞につき通常1本存在し、その神経細胞から伸びる最も長い突起である事が多い。電気的興奮を伝えるという機能を持ち、他の神経細胞や[[効果器]]への情報の出力を担う事が多い。}}


== 神経突起の分類 ==
== 神経突起の分類 ==
 神経細胞の形態上の特徴として、[[wikipedia:ja:核|核]]のある細胞体から、一本 - 多数の長い神経突起が伸びる事が挙げられる。これらの突起は、形態や性質の点から、大きく二つに分類され、それぞれ、樹状突起と軸索と呼ばれる。神経細胞は、方向性をもって電気的興奮をに伝えるという機能を持つが、樹状突起と軸索と言う形態上の分類は、この機能と密接に関わっていて、一般に、
 神経細胞の形態上の特徴として、[[wikipedia:ja:核|核]]のある細胞体から、一本 - 多数の長い神経突起が伸びる事が挙げられる。これらの突起は、形態や性質の点から、大きく二つに分類され、それぞれ、樹状突起と軸索と呼ばれる ([[軸索#.E7.89.B9.E5.BE.B4|表]])。神経細胞は、方向性をもって電気的興奮をに伝えるという機能を持つが、樹状突起と軸索と言う形態上の分類は、この機能と密接に関わっていて、一般に、
<ul>
<ul>
   <li>樹状突起: 入力の場。他の神経細胞、[[感覚器官]]などから情報を受け取る。</li>
   <li>樹状突起: 入力の場<ref group="注">[[嗅球]]の[[僧帽細胞]]と[[顆粒細胞]]との間などで見られるような樹状突起 - 樹状突起間の[[シナプス]]では、樹状突起からの出力も見られる。</ref>。他の神経細胞、[[感覚器官]]などから情報を受け取る。<ref group="注">例えば、[[脊髓]][[後根神経節]]などの[[感覚神経節]]のニューロンでは、[[感覚器官]]からの情報は、樹状突起ではなく軸索を通して細胞体の方向へ伝えられる。</ref></li>
   <li>軸索: 出力の場。他の神経細胞、[[wikipedia:ja:筋肉|筋肉]]、[[wikipedia:ja:腺|腺]]などの効果器へ情報を伝える。</li>
   <li>軸索: 出力の場<ref group="注">脊髓[[後角]]の[[痛覚]]伝導路で見られるような軸索 - 軸索間のシナプスでは、軸索への入力もみられる。</ref>。他の神経細胞、[[wikipedia:ja:筋肉|筋肉]]、[[wikipedia:ja:腺|腺]]などの効果器へ情報を伝える。</li>
</ul>
</ul>
<p>と考えられている。</p>
<p>と考えられている。</p>


 但し、例えば、[[脊髓]][[後根神経節]]などの[[感覚神経節]]のニューロンでは、[[感覚器官]]からの情報は、樹状突起ではなく軸索を通して細胞体の方向へ伝えられる。また、[[嗅球]]の[[僧帽細胞]]と[[顆粒細胞]]との間などで見られるような樹状突起 - 樹状突起間の[[シナプス]]や、例えば、脊髄[[後角]]の[[痛覚]]伝導路で見られるような軸索 - 軸索間のシナプスのように、突起の中の部位による機能分化も存在するので、形態的分類と、機能的分類が単純に1:1で対応する訳ではない。樹状突起、軸索という分類は、基本的に形態上の名称である。
 但し、突起の中の部位による機能分化も存在するので、形態的分類と、機能的分類が単純に1:1で対応する訳ではない。樹状突起、軸索という分類は、基本的に形態上の名称である。


==特徴==
==特徴==
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   </tr>
   </tr>
   <tr>
   <tr>
     <td>通常、1本</td>
     <td>通常、1本<ref group="注">[[網膜]]の[[アマクリン細胞]]は軸索を持たず、樹状突起のみである。</ref></td>
     <th>本数</th>
     <th>本数</th>
     <td>通常、複数</td>
     <td>通常、複数<ref group="注">脊髓後根神経節などの感覚神経節のニューロンは、樹状突起を持たず、一本の軸索のみを持つ。</ref></td>
   </tr>
   </tr>
   <tr>
   <tr>
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   </tr>
   </tr>
   <tr>
   <tr>
       <td>しばしば、同じ神経細胞から伸びる最も長い突起である。[[末梢神経]]では、1mに達する物もある。</td>
       <td>しばしば、同じ神経細胞から伸びる最も長い突起である。[[末梢神経]]では、1 mに達する物もある。</td>
       <th>長さ</th>
       <th>長さ</th>
       <td>細胞体から、数百µm程度の範囲に広がる。</td>
       <td>細胞体から、数百µm程度の範囲に広がる。</td>
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     </tr>
     </tr>
     <tr>
     <tr>
       <td>持つ物([[有髓軸索]])と、持たない物([[無髓軸索]])とが有る。</td>
       <td>持つ物([[有髄線維|有髓軸索]])と、持たない物([[無髓軸索]])とが有る。</td>
       <th>髓鞘の存在</th>
       <th>髓鞘の存在</th>
       <td>無し</td>
       <td>無し</td>
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     </tr>
     </tr>
</table>
</table>
 [[網膜]]の[[アマクリン細胞]]は軸索を持たず、樹状突起のみである。
==発生==
 
===極性分化===
 脊髓後根神経節などの感覚神経節のニューロンは、樹状突起を持たず、一本の軸索のみを持つ。
 
==極性分化==
 神経突起の形成に於いて、初めに伸びだすのは、未分化の突起で、それが後に、軸索と樹状突起とに分化する。その過程は、[[ラット]]胎児[[海馬]]由来の[[初代培養]]ニューロンの系を主なモデルとして研究が進められており、次のような段階を踏むとされている<ref><pubmed>3282038</pubmed></ref>。
 神経突起の形成に於いて、初めに伸びだすのは、未分化の突起で、それが後に、軸索と樹状突起とに分化する。その過程は、[[ラット]]胎児[[海馬]]由来の[[初代培養]]ニューロンの系を主なモデルとして研究が進められており、次のような段階を踏むとされている<ref><pubmed>3282038</pubmed></ref>。
#[[葉状仮足]] (lamellipodia) (培養0.25日)
#[[葉状仮足]] (lamellipodia) (培養0.25日)
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*軸索への分化初期の突起中の[[微小管]]を構成する[[チュブリン]]分子では、[[アセチル化]]などの[[翻訳後修飾]]の割合が上昇している。これによる微小管の安定化も、軸索の分化の一つの過程である<ref><pubmed>18268107</pubmed></ref>。
*軸索への分化初期の突起中の[[微小管]]を構成する[[チュブリン]]分子では、[[アセチル化]]などの[[翻訳後修飾]]の割合が上昇している。これによる微小管の安定化も、軸索の分化の一つの過程である<ref><pubmed>18268107</pubmed></ref>。


==伸長・再生 ==
===伸長・再生===
 成長中の神経突起の先端には、成長円錐があり、突起の伸長は、そこで起こる。成長円錐の周辺部では、周囲に向って葉状仮足や糸状仮足が伸び出し、アクチンを中心とする[[細胞骨格]]の盛んな動態が見られる。成長円錐の中心部には、突起の中から連続する微小管の先端が存在し、この微小管の重合、脱重合によって、突起の伸縮が起こる。この成長円錐には、多くの[[接着分子]]や、[[軸索ガイダンス因子]]の[[受容体]]などが存在し、軸索の伸長方向、経路決定に重要な働きをしていると考えられている。
 成長中の神経突起の先端には、成長円錐があり、突起の伸長は、そこで起こる。成長円錐の周辺部では、周囲に向って葉状仮足や糸状仮足が伸び出し、アクチンを中心とする[[細胞骨格]]の盛んな動態が見られる。成長円錐の中心部には、突起の中から連続する微小管の先端が存在し、この微小管の重合、脱重合によって、突起の伸縮が起こる。この成長円錐には、多くの[[接着分子]]や、[[軸索ガイダンス因子]]の[[受容体]]などが存在し、軸索の伸長方向、経路決定に重要な働きをしていると考えられている。


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 ''髓鞘の構造や、それを形成する細胞については、[[髓鞘]]、[[オリゴデンドロサイト]]の項を参照。''
 ''髓鞘の構造や、それを形成する細胞については、[[髓鞘]]、[[オリゴデンドロサイト]]の項を参照。''


 髓鞘の機能は、軸索を保護し、絶縁する事である。軸索初節で発生した活動電位は、髓鞘で被覆されていない[[ランビエ絞輪]]と呼ばれる箇所を跳び跳びに伝導する。これを[[跳躍伝導]]と呼ぶ。
 髓鞘の機能は、軸索を保護し、絶縁する事である。軸索初節で発生した活動電位は、髓鞘で被覆されていない[[ランヴィエ絞輪]]と呼ばれる箇所を跳び跳びに伝導する。これを[[跳躍伝導]]と呼ぶ。


 ''跳躍伝導を含めて、軸索の電気的活動の詳細は、[[有髓線維]]、[[ランビエ絞輪]]、[[伝導]]、[[活動電位]]、の項を参照。''
 ''跳躍伝導を含めて、軸索の電気的活動の詳細は、[[有髓線維]]、[[ランヴィエ絞輪]]、[[伝導]]、[[活動電位]]、の項を参照。''


==軸索輸送==
==軸索輸送==
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*[[オリゴデンドロサイト]]
*[[オリゴデンドロサイト]]
*[[有髓線維]]
*[[有髓線維]]
*[[ランビエ絞輪]]
*[[ランヴィエ絞輪]]
*[[伝導]]
*[[伝導]]
*[[活動電位]]
*[[活動電位]]
*[[跳躍伝導]]
*[[跳躍伝導]]
*[[軸索輸送]]
*[[軸索輸送]]
 
== 注釈 ==
{{reflist|group="注"}}
==参考文献==
==参考文献==
<references />
<references />
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回編集