「内側視索前野」の版間の差分

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 脳の腹側部、[[前交連]]の尾側から[[視交叉]]までの[[第三脳室]]最吻側部を囲む領域をいう。大脳半球が前脳の外反によって生じるのに対し、外反せずにとどまったのが内側視索前野である。機能的には尾側に位置する視床下部と不可分で、自律神経調節、内分泌機能と本能行動の調節に関わる。進化的には古い領域ではあるが、無顎類ではすでに存在する(Rudebeck, B. Acta Zool 26:9,1945)。
 脳の腹側部、[[前交連]]の尾側から[[視交叉]]までの[[第三脳室]]最吻側部を囲む領域をいう。大脳半球が前脳の外反によって生じるのに対し、外反せずにとどまったのが内側視索前野である。機能的には尾側に位置する視床下部と不可分で、自律神経調節、内分泌機能と本能行動の調節に関わる。進化的には真性有顎動物gnathostomataで初めて出現する(Moreno & González, 2011)。
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== 発生 ==
== 発生 ==


 主な[[ニューロン]]は第三脳室壁から発生する。3[[脳胞]]のうち[[前脳]] (forebrain)の尾側端に由来するので、発生学的には[[終脳]] (telencephalon)に属するが、機能的観点から、[[間脳]] (diencephalon)の最吻側部である視床下部と一体とされることがある (Le Gros Clark, W.E., Meyer, M., 1950)。かつては[[脳原基]]の部域化に関わる多くの[[転写因子]]やシグナル分子が[[視床下部]]と共通するとの主張があり、PuellesとRubinstein (2003, Trends Neurosci)はDlx5、 Pax6、Nkx2.1aの発現パターンから終脳と間脳の分節境界域prosomeric boundaryを決定することはできないと論じたが、下郡智美らは異なった発生段階のマウス胎仔から採取した内側視索前野と視床下部の組織のマイクロアレイ解析を行い、多数の遺伝子の詳細なin situ hybridizationから、マウス胎児の終脳ではFoxg1が、間脳吻側端にはGdf10が発現し境界が存在することを指摘した。内側視索前野は終脳のFoxg1陽性細胞に由来し、間脳由来の視床下部とは起源が異なる(Shimogori, T. et al, 2010)。また、視床下部のランドマーク遺伝子であるソニックヘッジホッグ (Shh)のノックアウトマウスでは視床下部吻側部が欠損するが、内側視索前野は形成される(Shimogori, T. et al, 2010)。Nerea MorenoとAgustín González (2011)も視床下部のの正常な発生にDlxファミリーとNkx2.1が必須と述べている。
 主な[[ニューロン]]は第三脳室壁から発生する。3[[脳胞]]のうち[[前脳]] (forebrain)の尾側端に由来するので、発生学的には[[終脳]] (telencephalon)に属するが、機能的観点から、[[間脳]] (diencephalon)の最吻側部である視床下部と一体とされることがある (Le Gros Clark, W.E., Meyer, M., 1950)。かつては[[脳原基]]の部域化に関わる多くの[[転写因子]]やシグナル分子が[[視床下部]]と共通するとの主張があり、PuellesとRubinstein (2003, Trends Neurosci)はDlx5、 Pax6、Nkx2.1aの発現パターンから終脳と間脳の分節境界域prosomeric boundaryを決定することはできないと論じたが、下郡智美らは異なった発生段階のマウス胎仔から採取した内側視索前野と視床下部の組織のマイクロアレイ解析を行い、多数の遺伝子の詳細なin situ hybridizationから、マウス胎児の終脳ではFoxg1が、間脳吻側端にはGdf10が発現し境界が存在することを指摘した。内側視索前野は終脳のFoxg1陽性細胞に由来し、間脳由来の視床下部とは起源が異なる(Shimogori, T. et al, 2010)。また、視床下部のランドマーク遺伝子であるソニックヘッジホッグ (Shh)のノックアウトマウスでは視床下部吻側部が欠損するが、内側視索前野は形成される(Shimogori, T. et al, 2010)


ニューロンの化学的性質、[[受容体]]発現、コネクトーム(プロテオーム、あるいはトランスクリプトームでしょうか?)も視床下部との共通点が多い(文献を御願い致します)。
ニューロンの化学的性質、[[受容体]]発現、コネクトーム(プロテオーム、あるいはトランスクリプトームでしょうか?)も視床下部との共通点が多い(文献を御願い致します)。
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