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==P2X受容体とは==
==P2X受容体とは==
 P2X受容体は、細胞外のプリンヌクレオチド([[ATP]]、ADP)、ピリミジンヌクレオチド(UTP、UDP)、糖ヌクレオチドなどを内因性リガンドとする細胞表面受容体である。[[細胞膜]]を2回貫通するサブユニット(7種類:P2X1~P2X7)3分子がホモあるいはヘテロ三量体を形成し、一つのチャネル(P2X受容体)となる。P2X受容体は、Na<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>および<sup>K+</sup>いずれも通す非選択的陽[[イオンチャネル]]である。P2X7以外のP2X受容体は、1~10 μM程度の細胞外ATPにより活性化される(P2X7受容体だけは活性化本体がATP4-と考えられているため、その活性化に非常に高濃度のATP(0.1~1 mM)が必要である)。P2X1とP2X3受容体はATP刺激により急速に不活性化し、繰り返し刺激により著明な脱感作を示すが、P2X2、P2X4、P2X5、P2X7受容体はそれらが軽度である。
 P2X受容体は、細胞外のプリンヌクレオチド([[ATP]]、ADP)、ピリミジンヌクレオチド(UTP、UDP)、糖ヌクレオチドなどを内因性リガンドとする細胞表面受容体である。[[細胞膜]]を2回貫通するサブユニット(7種類:P2X1~P2X7)3分子がホモあるいはヘテロ三量体を形成し、一つのチャネル(P2X受容体)となる。P2X受容体は、Na<sup>+</sup>、Ca<sup>2+</sup>および<sup>K+</sup>いずれも通す非選択的陽[[イオンチャネル]]である。P2X7以外のP2X受容体は、1~10 μM程度の細胞外ATPにより活性化される(P2X7受容体だけは活性化本体がATP4-と考えられているため、その活性化に非常に高濃度のATP(0.1~1 mM)が必要である)。P2X1とP2X3受容体はATP刺激により急速に不活性化し、繰り返し刺激により著明な脱感作を示すが、P2X2、P2X4、P2X5、P2X7受容体はそれらが軽度である。
 P2X受容体は、同じくプリンヌクレオチドをリガンドとするが[[Gタンパク質共役型受容体]]である[[P2Y受容体]]、アデノシンに対する受容体である[[P1受容体]]ファミリーと共に[[プリン受容体]]と呼ばれている<ref name=ref1><pubmed>17429044</pubmed></ref> <ref name=ref2><pubmed>18591979</pubmed></ref>。


 なお、本項における受容体の表記は、IUPHAR [http://www.iuphar-db.org/index.jsp 国際薬理学連合]でのデータベース掲載名に従った。
 なお、本項における受容体の表記は、IUPHAR [http://www.iuphar-db.org/index.jsp 国際薬理学連合]でのデータベース掲載名に従った。
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===P2X2受容体===
===P2X2受容体===
 P2X受容体の中で最も広範に発現する受容体であり、中枢([[嗅球]]、[[大脳皮質]]、基底核、間脳、[[中脳]]、[[小脳]]、延髄および脊髄後角)および末梢神経系(感覚[[神経節]]および自律神経節)に特に高発現している<ref name=ref1 /> <ref name=ref36><pubmed>22547202</pubmed></ref>。一方で、P2X2受容体欠損マウスでは、低酸素に対する換気応答への関与が示されているものの<ref name=ref37><pubmed>14672995</pubmed></ref>、著明な神経活動の異常は認められないため、その生理的役割には不明な点が多い。末梢では、網膜や[[蝸牛]]、味蕾などに発現が見られる<ref name=ref1 /> <ref name=ref38><pubmed>16322458</pubmed></ref>。蝸牛においては、蝸牛内電位の調節に関与することが分かっており、騒音による発現上昇や難聴への関与が報告されている<ref name=ref39><pubmed>12858039</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed>23345450</pubmed></ref>。また、P2X2受容体は、P2X3受容体とヘテロ三量体(P2X2/3ヘテロマー受容体)を形成することも知られており<ref name=ref41><pubmed>7566120</pubmed></ref>、[[痛み]]信号の発生や膀胱反射機能に関与している<ref name=ref42><pubmed>10899177</pubmed></ref> <ref name=ref43><pubmed>15961431</pubmed></ref>。最近では、[[前頭葉]]皮質のP2X2受容体を刺激することでうつ病様行動が抑制されることがマウスの実験で示されている<ref name=ref44><pubmed>23644515</pubmed></ref>。
 P2X受容体の中で最も広範に発現する受容体であり、中枢([[嗅球]]、[[大脳皮質]]、基底核、間脳、[[中脳]]、[[小脳]]、延髄および脊髄後角)および末梢神経系(感覚[[神経節]]および自律神経節)に特に高発現している<ref name=ref10><pubmed>16481441</pubmed></ref><ref name=ref36><pubmed>22547202</pubmed></ref>。一方で、P2X2受容体欠損マウスでは、低酸素に対する換気応答への関与が示されているものの<ref name=ref37><pubmed>14672995</pubmed></ref>、著明な神経活動の異常は認められないため、その生理的役割には不明な点が多い。末梢では、網膜や[[蝸牛]]、味蕾などに発現が見られる<ref name=ref1 /> <ref name=ref38><pubmed>16322458</pubmed></ref>。蝸牛においては、蝸牛内電位の調節に関与することが分かっており、騒音による発現上昇や難聴への関与が報告されている<ref name=ref39><pubmed>12858039</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed>23345450</pubmed></ref>。また、P2X2受容体は、P2X3受容体とヘテロ三量体(P2X2/3ヘテロマー受容体)を形成することも知られており<ref name=ref41><pubmed>7566120</pubmed></ref>、[[痛み]]信号の発生や膀胱反射機能に関与している<ref name=ref42><pubmed>10899177</pubmed></ref> <ref name=ref43><pubmed>15961431</pubmed></ref>。最近では、[[前頭葉]]皮質のP2X2受容体を刺激することでうつ病様行動が抑制されることがマウスの実験で示されている<ref name=ref44><pubmed>23644515</pubmed></ref>。


===P2X3受容体===
===P2X3受容体===