「シンタキシン」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目: 1行目:
[[ファイル:Syntaxin Fig2|フレーム|右|図2. SNARE複合体の立体構造の模式図]]
 シンタキシンは、細胞内[[小胞輸送]]において膜の融合に関わるタンパク質ファミリーおよびそのメンバーである。[[ヒト]]では、少なくとも18種類のアイソフォームが同定されている。シンタキシンファミリーメンバーの大部分が脳にも発現しているが、この項ではニューロンの機能の大きな特徴である神経伝達物質の放出を担うアイソフォーム1について述べる。
 シンタキシンは、細胞内[[小胞輸送]]において膜の融合に関わるタンパク質ファミリーおよびそのメンバーである。[[ヒト]]では、少なくとも18種類のアイソフォームが同定されている。シンタキシンファミリーメンバーの大部分が脳にも発現しているが、この項ではニューロンの機能の大きな特徴である神経伝達物質の放出を担うアイソフォーム1について述べる。https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3


== シンタキシンとは ==
== シンタキシンとは ==
9行目: 8行目:
== 構造 ==
== 構造 ==
 シンタキシン1は、4つのドメインがフレキシブルな短いリンカーでつながれた構造をしている。アミノ末端のNペプチドモチーフ(1-19)は、Munc-18との結合に関わる (後述)。二番目のHabcと呼ばれるドメイン(27-146)は、逆平行の3本のαへリックスが束になっている。Habcは、次のH3ドメインに折り重なることよりSNARE複合体による膜融合を制御する負の調節ドメインとして働く。
 シンタキシン1は、4つのドメインがフレキシブルな短いリンカーでつながれた構造をしている。アミノ末端のNペプチドモチーフ(1-19)は、Munc-18との結合に関わる (後述)。二番目のHabcと呼ばれるドメイン(27-146)は、逆平行の3本のαへリックスが束になっている。Habcは、次のH3ドメインに折り重なることよりSNARE複合体による膜融合を制御する負の調節ドメインとして働く。
 
[[ファイル:Syntaxin Fig2|フレーム|右|図2. SNARE複合体の立体構造の模式図]]
 シンタキシン1のカルボキシ末端側3分の1は、膜融合能を発揮するのに必要最小限の領域である。SNAREモチーフを含むH3ドメイン(202-254)は、SNAP-25ならびにシナプトブレビンと結合し、膜融合能をもつSNARE複合体を形成する。続く膜貫通ドメイン(266-288)は、[[細胞膜]]に埋め込まれているが貫通はしない。これら両ドメインを含む組換えフラグメントを全長のSNAP-25ととともに再構成した人工脂質小胞は、シナプトブレビンを再構成した人工脂質小胞と自発的に融合する。
 シンタキシン1のカルボキシ末端側3分の1は、膜融合能を発揮するのに必要最小限の領域である。SNAREモチーフを含むH3ドメイン(202-254)は、SNAP-25ならびにシナプトブレビンと結合し、膜融合能をもつSNARE複合体を形成する。続く膜貫通ドメイン(266-288)は、[[細胞膜]]に埋め込まれているが貫通はしない。これら両ドメインを含む組換えフラグメントを全長のSNAP-25ととともに再構成した人工脂質小胞は、シナプトブレビンを再構成した人工脂質小胞と自発的に融合する。


385

回編集