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[[Image:Thermoregulation3.jpg|thumb|right|250px|'''図3 ラット視索前野におけるプロスタグランジンEP3受容体の発現(免疫染色像)'''<br>視索前野ニューロンの[[神経細胞|細胞体]](矢印)と[[樹状突起]]に局在する。(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット 中村グループホームページ[http://www.cp.kyoto-u.ac.jp/Nakamura/nakamura-j.html]より)]] | [[Image:Thermoregulation3.jpg|thumb|right|250px|'''図3 ラット視索前野におけるプロスタグランジンEP3受容体の発現(免疫染色像)'''<br>視索前野ニューロンの[[神経細胞|細胞体]](矢印)と[[樹状突起]]に局在する。(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット 中村グループホームページ[http://www.cp.kyoto-u.ac.jp/Nakamura/nakamura-j.html]より)]] | ||
感染が起こると[[wikipedia:JA:免疫系|免疫系]]が活性化され、[[サイトカイン]]類が血中で産生される。これが脳の血管の[[wikipedia:JA: | 感染が起こると[[wikipedia:JA:免疫系|免疫系]]が活性化され、[[サイトカイン]]類が血中で産生される。これが脳の血管の[[wikipedia:JA:血管内皮|内皮細胞]]へ作用すると、内皮細胞内で[[シクロオキシゲナーゼ]]-2(cyclooxygenase-2、COX-2)などの[[プロスタグランジン]]合成酵素群が発現し、発熱メディエーターであるプロスタグランジンE<sub>2</sub>(prostaglandin E<sub>2</sub>、PGE<sub>2</sub>)が産生される<ref><pubmed>11306620</pubmed></ref>。プロスタグランジンE<sub>2</sub>は脳実質内へ拡散し、視索前野のニューロンに存在するプロスタグランジンEP3受容体に作用する<ref><pubmed>10025713</pubmed></ref><ref><pubmed>17676060</pubmed></ref>(図3参照)。EP3受容体は抑制性の[[GTP結合蛋白質]]と共役するので<ref><pubmed>10508233</pubmed></ref>、結果的に視索前野のニューロンは抑制される。EP3受容体を発現する視索前野のニューロンはGABA作動性の[[抑制性ニューロン]]であり、視床下部背内側部や淡蒼縫線核へ投射することが分かっている<ref name="ref7" /><ref name="ref8" />。したがって、プロスタグランジンE<sub>2</sub>がEP3受容体を発現する視索前野のニューロンの活動を低下させると、寒冷環境における対寒反応の惹起と同様、視床下部背内側部や淡蒼縫線核のニューロンの[[脱抑制]]が起こるため、熱産生が惹起され、皮膚血管が収縮する(図2)。寒冷環境でもない状態でこうした反応が強く起こると、体温の上昇につながる。これが発熱と呼ばれる生理反応である。 | ||
== セットポイント仮説の修正 == | == セットポイント仮説の修正 == |