「放出確率」の版間の差分

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 1つの神経終末に放出可能な素量が5つ備蓄されているとする (n = 5) 。 p = 0.1と仮定すると, 神経終末から1個の素量が放出されない確率q は1- p= 0.9である. 単発インパル発火で素量放出を起こさない確率、1素量の放出を引き起こす確率、2素量の放出を引き起こす確率、3素量の放出を引き起こす確率、(nまでの)任意の素量の放出を引き起こす確率を次のように計算することできる。
 1つの神経終末に放出可能な素量が5つ備蓄されているとする (n = 5) 。 p = 0.1と仮定すると, 神経終末から1個の素量が放出されない確率q は1- p= 0.9である. 単発インパル発火で素量放出を起こさない確率、1素量の放出を引き起こす確率、2素量の放出を引き起こす確率、3素量の放出を引き起こす確率、(nまでの)任意の素量の放出を引き起こす確率を次のように計算することできる。


 単発発火が放出可能な5素量のいずれの放出の引き起こさない確率は、それぞれの素量の放出が起こらない確率の積であり、q5 = (0.9)5 =0.59となる。すなわち、100回の発火のうち59回は無放出であると予測される。
 単発発火が放出可能な5素量のいずれの放出の引き起こさない確率は、それぞれの素量の放出が起こらない確率の積であり、q5 = (0.9)<sup>5</sup> =0.59となる。すなわち、100回の発火のうち59回は無放出であると予測される。


 0、1、2、3、4、5素量の放出が観察される確率は、(q + p)5 = q5 (無放出) + 5 q4p (1素量) + 10 q3p2 (2素量) + 10 q2 p3 (3素量) + 5 qp4 (4素量) + p5 (5素量)と計算され、この二項展開式から、100回の発火に対する放出は、1素量放出が33回、2素量放出が7回、3素量子放出が1回、4素量と5素量放出は0回と予測される。
 0、1、2、3、4、5素量の放出が観察される確率は、(q + p)<sup>5</sup> = q<sup>5</sup> (無放出) + 5 q<sup>4</sup>p (1素量) + 10 q<sup>3</sup>p<sup>2</sup> (2素量) + 10 q<sup>2</sup> p<sup>3</sup> (3素量) + 5 qp<sup>4</sup> (4素量) + p<sup>5</sup> (5素量)と計算され、この二項展開式から、100回の発火に対する放出は、1素量放出が33回、2素量放出が7回、3素量子放出が1回、4素量と5素量放出は0回と予測される。


 パラメーター n と p は統計用語であり、これらが意味する物理的過程はまだ完全には理解できていない。伝達物質はシナプス小胞内に蓄えられており、1素量の伝達物質は1個の小胞の含有物が「全か無か」の悉無率に従って放出されることに対応している。パラメーター n は、当初は、放出可能な伝達物質素量(シナプス小胞)の数を表わすとされていたが、現在では、シナプス前終末の小胞放出部位の数、つまり、シナプス小胞が集積する活性帯の数を反映すると考えられている。
 パラメーター n と p は統計用語であり、これらが意味する物理的過程はまだ完全には理解できていない。伝達物質はシナプス小胞内に蓄えられており、1素量の伝達物質は1個の小胞の含有物が「全か無か」の悉無率に従って放出されることに対応している。パラメーター n は、当初は、放出可能な伝達物質素量(シナプス小胞)の数を表わすとされていたが、現在では、シナプス前終末の小胞放出部位の数、つまり、シナプス小胞が集積する活性帯の数を反映すると考えられている。


 パラメーター p はおそらく、少なくとも2つの過程に依存した複合確率を反映している。1つは活性帯にドッキング・[[プライミング]]しているシナプス小胞数であり、もう1つは、インパルスが1つの小胞から1素量の伝達物質を放出させる[[開口確率]]であり、発火中の[[CA2|Ca2]]+流入量に依存する。
 パラメーター p はおそらく、少なくとも2つの過程に依存した複合確率を反映している。1つは活性帯にドッキング・[[プライミング]]しているシナプス小胞数であり、もう1つは、インパルスが1つの小胞から1素量の伝達物質を放出させる[[開口確率]]であり、発火中の[[Ca2|Ca2<sup>+</sup>]]流入量に依存する。


 単発インパルスが引き起こす平均シナプス応答値 E は、素量の総数、個々の素量が放出される確率と、1素量に応答する素量サイズの積によって決まる値 E = n・ p・ aである。素量サイズ a は、1素量の伝達物質へのシナプス後膜の応答である。素量サイズは、シナプス後細胞の入力抵抗や膜容量や、伝達物質への応答性に依存して変化する。a の値は、一定量の伝達物質を投与してシナプス後膜の応答を測定することができる。
 単発インパルスが引き起こす平均シナプス応答値 E は、素量の総数、個々の素量が放出される確率と、1素量に応答する素量サイズの積によって決まる値 E = n・ p・ aである。素量サイズ a は、1素量の伝達物質へのシナプス後膜の応答である。素量サイズは、シナプス後細胞の入力抵抗や膜容量や、伝達物質への応答性に依存して変化する。a の値は、一定量の伝達物質を投与してシナプス後膜の応答を測定することができる。