「IPS細胞」の版間の差分

153 バイト追加 、 2012年3月15日 (木)
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== iPS細胞の安全性  ==
== iPS細胞の安全性  ==


 iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞(Neurosphere)を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関(胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度)することが明らかとなった。
 iPS細胞のヒトへの応用に先立ち、安全性の評価法と急務である。がん遺伝子であるc-Mycを導入した初期のiPS細胞は高頻度にがんを誘発した。また、成体の肝実質細胞由来のiPS細胞では。慶應義塾大学の三浦恭子博士らは、様々なマウスiPS細胞から分化誘導した神経幹細胞(Neurosphere)を免疫不全マウス成体脳へと移植し、腫瘍形成の有無について検証を行った<ref><pubmed> 19590502 </pubmed></ref>。その結果、iPS細胞由来の神経幹細胞移植における造腫瘍性は、iPS細胞樹立過程におけるc-Mycの導入や薬剤選択の有無ではなく、iPS細胞の由来と相関(胎仔由来では低頻度、成体由来では高頻度)することが明らかとなった。  


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== 細胞移植治療への挑戦  ==
== 細胞移植治療への挑戦  ==


 一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。
 一方、細胞移植治療に向けた基礎研究も活発に進められている。iPS細胞を用いた最初の自家移植治療モデルとして、Rudolf Jaenisch博士らは鎌状赤血球貧血症マウスからiPS細胞を作成して疾患原因遺伝子の修復を施し、さらに分化誘導した造血幹細胞による自家移植治療を実践した<ref><pubmed> 18063756 </pubmed></ref>。慶應義塾大学の岡野栄之博士のグループでは、マウスおよびヒトiPS細胞から分化誘導したNeurosphereを脊髄損傷モデルマウスに移植することで下肢運動機能の改善が認められることを報告している<ref><pubmed> 20615974 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21949375 </pubmed></ref>。細胞移植治療が見込まれる。また、最近では、iPS細胞を介さずに任意の細胞種を直接誘導する「ダイレクトリプログラミング」の研究も盛んに進められており、iPS細胞以外の選択肢としてより安全性の高い手法の開発が期待されている。


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