「Notch」の版間の差分

23 バイト除去 、 2016年5月30日 (月)
編集の要約なし
18行目: 18行目:
[[image:Notch_fig2.png|350px|thumb|'''図2.哺乳動物Notch1タンパク分子の構造'''<br>Notch1は、細胞外領域から順番に、(1)EGFリピート、(2)LNR (Lin12-Notch repeat)、(3)NRR(negative regulatory region)、(4)膜貫通ドメイン、(5)RAMドメイン、(6)アンキリンリピート、(7)核移行ドメイン、(8)PESTドメインにより構成される大きな分子である。]]
[[image:Notch_fig2.png|350px|thumb|'''図2.哺乳動物Notch1タンパク分子の構造'''<br>Notch1は、細胞外領域から順番に、(1)EGFリピート、(2)LNR (Lin12-Notch repeat)、(3)NRR(negative regulatory region)、(4)膜貫通ドメイン、(5)RAMドメイン、(6)アンキリンリピート、(7)核移行ドメイン、(8)PESTドメインにより構成される大きな分子である。]]


 巨大な分子構造を持つNotchタンパク質には生物種間で保存された幾つかのモチーフがある。細胞外領域(N末端側)から列記する(図2)<ref name=ref3 /> <ref name=ref13 />。
 巨大な分子構造を持つNotchタンパク質には生物種間で保存された幾つかのモチーフがある。細胞外領域(N末端側)から列記する(図2)<ref name=ref3 /><ref name=ref13 />。
#'''[[EGF]]リピート : [[epidermal growth factor]] (EGF)-like repeats'''<br>Notchレセプターの細胞外ドメインには、29〜36個のタンデムにつながったEGFリピートがあり、この領域でリガンドと相互作用する。隣接細胞間とのシグナル伝達(trans-interactions)は、11番目と12番目のEGFリピートによってなされる。また、同一細胞内におけるリガンド分子との相互作用(cis-inhibition)においては、24〜29番目のEGFリピートを介して起こる。EGFリピートの多くは[[カルシウムイオン]]と結合することが知られているが、これらの[[カルシウム]][[イオン]]はNotchレセプターの構造やリガンド分子との親和性を制御することによって、シグナル伝達効率を制御していると考えられている<ref name=ref5><pubmed>18296446</pubmed></ref> <ref name=ref17><pubmed>   14712268</pubmed></ref>。
#'''[[EGF]]リピート ([[epidermal growth factor]] (EGF)-like repeats)'''<br>Notchレセプターの細胞外ドメインには、29〜36個のタンデムにつながったEGFリピートがあり、この領域でリガンドと相互作用する。隣接細胞間とのシグナル伝達(''trans''-interactions)は、11番目と12番目のEGFリピートによってなされる。また、同一細胞内におけるリガンド分子との相互作用(''cis''-inhibition)においては、24〜29番目のEGFリピートを介して起こる。EGFリピートの多くは[[カルシウムイオン]]と結合することが知られているが、これらのカルシウムイオンはNotchレセプターの構造やリガンド分子との親和性を制御することによって、シグナル伝達効率を制御していると考えられている<ref name=ref5><pubmed>18296446</pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed>14712268</pubmed></ref>。
#'''LNR(Lin12-Notch repeat)'''<br>EGFリピートの後に続くリピート配列。NRRに含まれる。
#'''LNR(Lin12-Notch repeat)'''<br>EGFリピートの後に続くリピート配列。NRRに含まれる。
#'''NRR: negative regulatory region'''<br>LNR(Lin12-Notch repeat)およびHDドメイン(heterodimerization domain)より成る。リガンドがない状態でレセプターが活性化するのを抑制している。
#'''NRR (negative regulatory region)'''<br>LNR(Lin12-Notch repeat)およびHDドメイン(heterodimerization domain)より成る。リガンドがない状態でレセプターが活性化するのを抑制している。
#'''膜貫通ドメイン:transmembrane domain(TMD)'''
#'''膜貫通ドメイン (transmembrane domain; TMD)'''
#'''RAMドメイン:RBPjκ association module domain'''<br>核内へ運ばれた後、DNA結合タンパク質であるCSL(CBF1/RBPjκ/Su(H)/Lag-1)に強く結合する領域。
#'''RAMドメイン (RBPjκ association module domain)'''<br>核内へ運ばれた後、DNA結合タンパク質であるCSL(CBF1/RBPjκ/Su(H)/Lag-1)に強く結合する領域。
#'''アンキリンリピート:ankyrin repeats(ANK domain)'''<br>7つのアンキリン配列が連なった領域。CSLと結合しコアクチベーターであるMastermind/Lag-3をリクルートする。
#'''アンキリンリピート (ankyrin repeats, ANK domain)'''<br>7つのアンキリン配列が連なった領域。CSLと結合しコアクチベーターであるMastermind/Lag-3をリクルートする。
#'''核移行配列:nuclear localization sequences(NLS)'''
#'''核移行配列 (nuclear localization sequences, NLS)'''
#'''PEST配列:proline/glutamic acid/serine/threonine-rich motifes(PEST)'''<br>分解促進配列。NICDの安定性を制御する。
#'''PEST配列 (proline/glutamic acid/serine/threonine-rich motives, PEST)'''<br>分解促進配列。NICDの安定性を制御する。


==Notchレセプターの種類==
==Notchレセプターの種類==