「電気けいれん療法」の版間の差分

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 国立精神神経センター病院うつストレスケア病棟に入院し、週2回の両側性mECTを行った31名のうつ病患者での、うつ病評価尺度平均得点のECT回数による経時的な改善を(図1)に示す。
 国立精神神経センター病院うつストレスケア病棟に入院し、週2回の両側性mECTを行った31名のうつ病患者での、うつ病評価尺度平均得点のECT回数による経時的な改善を(図1)に示す。
   
   
 このようにECTは早期の症状改善効果を持ち、早急な抗うつ効果が必要とされる症例に有用であり、特に、深刻な自殺念慮があり自殺が切迫している状態の早期改善を要する場合<ref name=ref51><pubmed></pubmed></ref>、精神症状から食事摂取が困難で栄養の維持が困難な場合、全身状態が悪化してきており早期の症状改善を要す場合等には、薬物療法より効果発現や寛解に至るまでが早いECTが選択されうる。ECTの迅速で高い治療効果は、医療経済の観点からも費用対効果比が高いことも示されている<ref name=ref52><pubmed></pubmed></ref>。さらに、近年はECT麻酔としてKetamine麻酔を用い、ECTの効果発現をさらに加速させる試みも行われている<ref name=ref53><pubmed></pubmed></ref>。
 このようにECTは早期の症状改善効果を持ち、早急な抗うつ効果が必要とされる症例に有用であり、特に、深刻な自殺念慮があり自殺が切迫している状態の早期改善を要する場合<ref name=ref51><pubmed>15863801</pubmed></ref>、精神症状から食事摂取が困難で栄養の維持が困難な場合、全身状態が悪化してきており早期の症状改善を要す場合等には、薬物療法より効果発現や寛解に至るまでが早いECTが選択されうる。ECTの迅速で高い治療効果は、医療経済の観点からも費用対効果比が高いことも示されている<ref name=ref52><pubmed>15774232</pubmed></ref>。さらに、近年はECT麻酔としてKetamine麻酔を用い、ECTの効果発現をさらに加速させる試みも行われている<ref name=ref53><pubmed>19935085</pubmed></ref>。


===ECTの効果の長期的維持に関する限界、維持薬物療法と維持ECT===
===ECTの効果の長期的維持に関する限界、維持薬物療法と維持ECT===
 ECTは高い急性期効果を示す一方で、継続療法を行わない場合は高い再燃率を示すことが知られている。
 ECTは高い急性期効果を示す一方で、継続療法を行わない場合は高い再燃率を示すことが知られている。
 
 
 ECT後6ヶ月の間にうつ病の3分の1から約半数が再発し<ref name=ref54><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref55><pubmed></pubmed></ref>、1年以内の最燃率は30~60%と報告されており<ref name=ref56><pubmed></pubmed></ref>、ECTによる急性期症状改善後にも、その後の再燃・再発を予防する維持薬物療法により再燃・再発率を減少させる必要がある<ref name=ref57><pubmed></pubmed></ref>。ECT後再発のリスクファクターとしては、薬物治療への抵抗性や、精神病症状の合併、Double Depressionなどが報告されている<ref name=ref56 />が、再燃予測因子は明確にはなっていない。
 ECT後6ヶ月の間にうつ病の3分の1から約半数が再発し<ref name=ref54><pubmed>26529118</pubmed></ref> <ref name=ref55><pubmed>22016123</pubmed></ref>、1年以内の最燃率は30~60%と報告されており<ref name=ref56><pubmed>10735328</pubmed></ref>、ECTによる急性期症状改善後にも、その後の再燃・再発を予防する維持薬物療法により再燃・再発率を減少させる必要がある<ref name=ref57><pubmed>11255384</pubmed></ref>。ECT後再発のリスクファクターとしては、薬物治療への抵抗性や、精神病症状の合併、Double Depressionなどが報告されている<ref name=ref56 />が、再燃予測因子は明確にはなっていない。


 うつ病におけるECT後の再燃予防には、一般的に抗うつ薬やLithiumなどの気分安定薬による維持療法が行われる。維持薬物療法の種類によって再燃予防効果に差異があるかは明確になっていないが、うつ病ではいくつかの薬剤の優越性を示す研究が報告されている。
 うつ病におけるECT後の再燃予防には、一般的に抗うつ薬やLithiumなどの気分安定薬による維持療法が行われる。維持薬物療法の種類によって再燃予防効果に差異があるかは明確になっていないが、うつ病ではいくつかの薬剤の優越性を示す研究が報告されている。


 LauritzenらはECT後の維持療法としてプラセボとimipramine 、paroxetineを比較し、6ヵ月以内の再燃はプラセボ群65%に対し、imipramine 群30%、paroxetine群10%で、維持療法の薬剤により差を認めたことを報告している<ref name=ref58><pubmed></pubmed></ref>。
 LauritzenらはECT後の維持療法としてプラセボとimipramine 、paroxetineを比較し、6ヵ月以内の再燃はプラセボ群65%に対し、imipramine 群30%、paroxetine群10%で、維持療法の薬剤により差を認めたことを報告している<ref name=ref58><pubmed>8911559</pubmed></ref>。


 ECT施行前に効果を認めなかった薬剤は維持療法としての効果も乏しいという報告<ref name=ref56 />がある一方で、van den Broekらは、TCAやLithium、MAOIなどの薬剤に治療抵抗性の患者に対しECT施行後の維持療法としてimipramineを使用したRCTを行ったところ、24週後にプラセボ群は80%が再発したのに対して、imipramine群は18%で有意に再発率が低かったと報告しており<ref name=ref59><pubmed></pubmed></ref>、ECTにより従前の治療抵抗性が改善する可能性も示されている。またSackeimらは、ECT施行後6ヶ月後にプラセボ群では84%が再発したのに対して、nortriptyline群は60%、nortriptylineとLithium併用群が39%と有意に低く、抗うつ薬の単剤投与よりLithiumの併用が維持療法として有効であったことを報告している<ref name=ref57 />。
 ECT施行前に効果を認めなかった薬剤は維持療法としての効果も乏しいという報告<ref name=ref56 />がある一方で、van den Broekらは、TCAやLithium、MAOIなどの薬剤に治療抵抗性の患者に対しECT施行後の維持療法としてimipramineを使用したRCTを行ったところ、24週後にプラセボ群は80%が再発したのに対して、imipramine群は18%で有意に再発率が低かったと報告しており<ref name=ref59><pubmed>16566622</pubmed></ref>、ECTにより従前の治療抵抗性が改善する可能性も示されている。またSackeimらは、ECT施行後6ヶ月後にプラセボ群では84%が再発したのに対して、nortriptyline群は60%、nortriptylineとLithium併用群が39%と有意に低く、抗うつ薬の単剤投与よりLithiumの併用が維持療法として有効であったことを報告している<ref name=ref57 />。


 また、ECTにより急性期症状が寛解した後の維持療法として、安全にECTを行うことができる環境がある場合に限って、薬物療法に加えて、もしくは単独で、継続した低頻度のECTが行われることがある。
 また、ECTにより急性期症状が寛解した後の維持療法として、安全にECTを行うことができる環境がある場合に限って、薬物療法に加えて、もしくは単独で、継続した低頻度のECTが行われることがある。
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 継続・維持ECTの目的は、定期的な低頻度のECTを行うことで症状の寛解状態を保つことであり、ECTの治療反応性が良く、薬物療法や認知行動療法などの心理社会的治療に抵抗性または不耐性から再燃・再発を繰り返す症例に適している。
 継続・維持ECTの目的は、定期的な低頻度のECTを行うことで症状の寛解状態を保つことであり、ECTの治療反応性が良く、薬物療法や認知行動療法などの心理社会的治療に抵抗性または不耐性から再燃・再発を繰り返す症例に適している。


 維持ECTは、症状寛解後、最初は1週間に1回からはじめ、4回行ったところで症状が再燃しなければ、徐々に4週間に1回まで間隔を広げていく方法<ref name=ref60><pubmed></pubmed></ref>が良く用いられており、初めの1ヶ月は週に1回、次の1~2ヶ月は2週に1回、それ以後は月に1回で継続する<ref name=ref61><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed></pubmed></ref>。継続・維持ECTでの治療中に再燃・再発の兆候がみられた場合は、維持ECTの予定を早めることで対応が可能である。
 維持ECTは、症状寛解後、最初は1週間に1回からはじめ、4回行ったところで症状が再燃しなければ、徐々に4週間に1回まで間隔を広げていく方法<ref name=ref60>'''Kellner CH, Pritchett JT, Beale MD et al''' <br>Handbook of ECT. <br>''American Psychiatric Press'', Washington DC, 1997</ref>が良く用いられており、初めの1ヶ月は週に1回、次の1~2ヶ月は2週に1回、それ以後は月に1回で継続する<ref name=ref61><pubmed>17146008</pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed>18515694</pubmed></ref>。継続・維持ECTでの治療中に再燃・再発の兆候がみられた場合は、維持ECTの予定を早めることで対応が可能である。


 Kellerらはうつ病の維持療法として、維持継続ECT群と、nortriptyline、nortriptyline とLithiumの併用をした薬物療法群とを比較した研究<ref name=ref61 />を行い、6ヶ月後、維持ECT群では46.1%、薬物療法群では46.3%が寛解を維持し、プラセボ群に比べ有意に再燃率が低かったことを示している。
 Kellerらはうつ病の維持療法として、維持継続ECT群と、nortriptyline、nortriptyline とLithiumの併用をした薬物療法群とを比較した研究<ref name=ref61 />を行い、6ヶ月後、維持ECT群では46.1%、薬物療法群では46.3%が寛解を維持し、プラセボ群に比べ有意に再燃率が低かったことを示している。


 Gagneらは、急性期にECTを使用し寛解に至った治療抵抗性うつ病患者に対して、維持ECTと薬物療法の併用群と薬物療法単独群とを比較する後ろ向き症例対照研究<ref name=ref63><pubmed></pubmed></ref>を行い、抗うつ薬と維持ECTの併用群での寛解維持率は2年後、5年後それぞれ93%、73%と良好であったが、抗うつ薬単独群では52%、18%と低かったことを示した。この研究においては、維持ECT群の方が過去の薬物療法抵抗性レベルが高かったが、維持ECT群のほうが抗うつ薬単独群よりも高い寛解維持率を示していた。
 Gagneらは、急性期にECTを使用し寛解に至った治療抵抗性うつ病患者に対して、維持ECTと薬物療法の併用群と薬物療法単独群とを比較する後ろ向き症例対照研究<ref name=ref63><pubmed>11097961</pubmed></ref>を行い、抗うつ薬と維持ECTの併用群での寛解維持率は2年後、5年後それぞれ93%、73%と良好であったが、抗うつ薬単独群では52%、18%と低かったことを示した。この研究においては、維持ECT群の方が過去の薬物療法抵抗性レベルが高かったが、維持ECT群のほうが抗うつ薬単独群よりも高い寛解維持率を示していた。


 Navarro らは、急性期にECTが有効であった高齢者の精神病像を伴う治療抵抗性うつ病患者に対し、維持ECTとnortriptylineの併用群とnortriptyline単独群を比較し、2年目の時点で、併用群では65%が、nortriptyline群では29%が寛解を維持し、60歳以上の高齢者でも併用群が薬物療法単独群より有効で有害な副作用は認めなかったことを示している<ref name=ref62 />。これらの結果からは維持ECTを行う場合でも、薬物療法を併用した方が寛解を維持できる可能性が高いことが示唆された。
 Navarro らは、急性期にECTが有効であった高齢者の精神病像を伴う治療抵抗性うつ病患者に対し、維持ECTとnortriptylineの併用群とnortriptyline単独群を比較し、2年目の時点で、併用群では65%が、nortriptyline群では29%が寛解を維持し、60歳以上の高齢者でも併用群が薬物療法単独群より有効で有害な副作用は認めなかったことを示している<ref name=ref62 />。これらの結果からは維持ECTを行う場合でも、薬物療法を併用した方が寛解を維持できる可能性が高いことが示唆された。


 Frederikseらは、維持ECTの有効性についてまとめて、抗うつ薬の効果が不十分な場合などではECT維持継続を行うことを推奨している<ref name=ref64><pubmed></pubmed></ref>。APAガイドラインや本邦でも継続・維持ECTに関する適応基準<ref name=ref8 /> <ref name=ref22 /> <ref name=ref65><pubmed></pubmed></ref>が示されているが、一度継続・維持ECTに導入すると、定期的なECTのための入院加療を要し、またECT治療からの離脱が困難となるため、安易な維持ECT導入は避け、症例ごとに十分に適応を判断しインフォームドコンセントを行い慎重に適応を検討することが望ましい。
 Frederikseらは、維持ECTの有効性についてまとめて、抗うつ薬の効果が不十分な場合などではECT維持継続を行うことを推奨している<ref name=ref64><pubmed>16633200</pubmed></ref>。APAガイドラインや本邦でも継続・維持ECTに関する適応基準<ref name=ref8 /> <ref name=ref22 /> <ref name=ref65>'''粟田主一'''<br>電気けいれん療法の適応.「適応となる診断」と「適応となる状況」<br>''精神科治療学'', 18:1267-1274,2003.</ref>が示されているが、一度継続・維持ECTに導入すると、定期的なECTのための入院加療を要し、またECT治療からの離脱が困難となるため、安易な維持ECT導入は避け、症例ごとに十分に適応を判断しインフォームドコンセントを行い慎重に適応を検討することが望ましい。


===脳波上の発作とECTの効果に影響を与える実施方法===
===脳波上の発作とECTの効果に影響を与える実施方法===
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 この発作誘発の実施方法により、ECTの効果は影響を受ける。ECTの効果に影響を与える主要な実施方法での因子としては、刺激強度(最大刺激の何%で刺激するか)、電極配置部位(両側性か右片側性か)、治療波の波形(サイン波かパルス波か)がある。
 この発作誘発の実施方法により、ECTの効果は影響を受ける。ECTの効果に影響を与える主要な実施方法での因子としては、刺激強度(最大刺激の何%で刺激するか)、電極配置部位(両側性か右片側性か)、治療波の波形(サイン波かパルス波か)がある。


 刺激強度は高いほど効果があるが、副作用である認知障害を起こす確率は高くなる<ref name=ref66><pubmed></pubmed></ref>。
 刺激強度は高いほど効果があるが、副作用である認知障害を起こす確率は高くなる<ref name=ref66><pubmed>12642045 </pubmed></ref>。


 初回治療の刺激強度の設定方法には、半年齢法(加齢により発作閾値が上昇するため例えば60歳であれば30%など年齢の半分程度の電気量で初回の通電を行う)と閾値滴定法(徐々に刺激強度を上げてけいれん閾値を決定してからさらに刺激強度を上げて通電する)がある。発作閾値は、サイマトロンでは最大用量の100%に対して何%の設定にするかで定義される脳波上の全般けいれんを起こすための最小限の電気用量であるが、臨床的効果のある発作を起こすためには両側性では閾値の1.5~2.5倍、右片側性ではより高い閾値の2.5~6倍が必要である。本邦では、発作閾値の滴定は行わず半年齢法による刺激強度で開始し、発作波の質や治療効果、治療継続に伴うけいれん閾値の上昇を鑑みて漸次調整していくことが多い。
 初回治療の刺激強度の設定方法には、半年齢法(加齢により発作閾値が上昇するため例えば60歳であれば30%など年齢の半分程度の電気量で初回の通電を行う)と閾値滴定法(徐々に刺激強度を上げてけいれん閾値を決定してからさらに刺激強度を上げて通電する)がある。発作閾値は、サイマトロンでは最大用量の100%に対して何%の設定にするかで定義される脳波上の全般けいれんを起こすための最小限の電気用量であるが、臨床的効果のある発作を起こすためには両側性では閾値の1.5~2.5倍、右片側性ではより高い閾値の2.5~6倍が必要である。本邦では、発作閾値の滴定は行わず半年齢法による刺激強度で開始し、発作波の質や治療効果、治療継続に伴うけいれん閾値の上昇を鑑みて漸次調整していくことが多い。


 電極配置は、両側性と片側性があり、両側性の場合は左右半球に通電され、片側性の場合は通常右半球に行われ右半球だけに通電されるが、共に通電による脳全体の発作誘発が可能である。両側性の方が片側性よりも効果が高いとする報告が多く、現在は世界的に両側性ECTが主流を占める。しかし十分な刺激用量での右片側性ECTは両側性と比較し効果に差がなく、認知機能への影響が少ないのでより望ましいという報告もある<ref name=ref67><pubmed></pubmed></ref>。
 電極配置は、両側性と片側性があり、両側性の場合は左右半球に通電され、片側性の場合は通常右半球に行われ右半球だけに通電されるが、共に通電による脳全体の発作誘発が可能である。両側性の方が片側性よりも効果が高いとする報告が多く、現在は世界的に両側性ECTが主流を占める。しかし十分な刺激用量での右片側性ECTは両側性と比較し効果に差がなく、認知機能への影響が少ないのでより望ましいという報告もある<ref name=ref67><pubmed>10807482</pubmed></ref>。
 
 
 波形については、パルス波刺激とサイン波刺激の両者で効果に有意な差を認めなかったとするメタ解析があるが<ref name=ref66 />、ECT麻酔薬として良く用いられているThiopentalなどのバルビツレート系麻酔薬はもちろん、Propofolなどの非バルビツレート系麻酔薬も少なからず抗けいれん作用を持ち、パルス波治療器の普及とともに、パルス波治療器の最大刺激電流量を用いても脳波上のけいれん波が誘発されない症例が少なからず存在することが分かってきた。バルビツレート系麻酔薬であるメトヘキシタールでECTを受けた患者の15%は最大刺激強度を必要とし、最大刺激強度でもその中の33%は発作持続時間が足りないか、不発であったという報告がある<ref name=ref68><pubmed></pubmed></ref>。このような症例では内服している抗けいれん作用のあるベンゾジアゼピンや抗けいれん薬の見直し、フルマゼニルのECT通電前の使用、ECT通電前の過換気、Ketamine麻酔などへの変更<ref name=ref69><pubmed></pubmed></ref>などを考慮する必要がある。
 波形については、パルス波刺激とサイン波刺激の両者で効果に有意な差を認めなかったとするメタ解析があるが<ref name=ref66 />、ECT麻酔薬として良く用いられているThiopentalなどのバルビツレート系麻酔薬はもちろん、Propofolなどの非バルビツレート系麻酔薬も少なからず抗けいれん作用を持ち、パルス波治療器の普及とともに、パルス波治療器の最大刺激電流量を用いても脳波上のけいれん波が誘発されない症例が少なからず存在することが分かってきた。バルビツレート系麻酔薬であるメトヘキシタールでECTを受けた患者の15%は最大刺激強度を必要とし、最大刺激強度でもその中の33%は発作持続時間が足りないか、不発であったという報告がある<ref name=ref68><pubmed>10831477</pubmed></ref>。このような症例では内服している抗けいれん作用のあるベンゾジアゼピンや抗けいれん薬の見直し、フルマゼニルのECT通電前の使用、ECT通電前の過換気、Ketamine麻酔などへの変更<ref name=ref69><pubmed>12556568</pubmed></ref>などを考慮する必要がある。


==ECTの副作用==
==ECTの副作用==
===致死的副作用===
===致死的副作用===
 ECTによる最も重篤な副作用は死亡であり、その死亡率についていくつかの検討が行われた<ref name=ref70><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref71><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref72><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref73><pubmed></pubmed></ref>。
 ECTによる最も重篤な副作用は死亡であり、その死亡率についていくつかの検討が行われた<ref name=ref70><pubmed> 3898873</pubmed></ref> <ref name=ref71><pubmed>10614030</pubmed></ref> <ref name=ref72><pubmed>9342128</pubmed></ref> <ref name=ref73><pubmed>11474057</pubmed></ref>。


 現在のECT治療による死亡率は概ね5~8万治療回数に1回程度の頻度で非常にまれで<ref name=ref8 /> <ref name=ref10 /> <ref name=ref22 />、これは小規模な外科手術や歯科麻酔の危険率にほぼ相当し、ECTは安全な治療法とされる。もし1クールで計5~8回の治療を受けると仮定すると、1クールを施行することでの死亡リスクは1万クールに1回程度と推測される。
 現在のECT治療による死亡率は概ね5~8万治療回数に1回程度の頻度で非常にまれで<ref name=ref8 /> <ref name=ref10 /> <ref name=ref22 />、これは小規模な外科手術や歯科麻酔の危険率にほぼ相当し、ECTは安全な治療法とされる。もし1クールで計5~8回の治療を受けると仮定すると、1クールを施行することでの死亡リスクは1万クールに1回程度と推測される。


 近年の研究でもECT治療1日以内での死亡は10万治療回数に2.4回と低いが、事故や自殺を含むECTとの因果関係のない全ての死亡も含めた14日以内の死亡は10万治療回数に18回と報告<ref name=ref74><pubmed></pubmed></ref>されており、ECT中のみならずECT後も慎重な精神・身体症状の管理と医療安全管理を要することが示唆される。
 近年の研究でもECT治療1日以内での死亡は10万治療回数に2.4回と低いが、事故や自殺を含むECTとの因果関係のない全ての死亡も含めた14日以内の死亡は10万治療回数に18回と報告<ref name=ref74><pubmed>27428480</pubmed></ref>されており、ECT中のみならずECT後も慎重な精神・身体症状の管理と医療安全管理を要することが示唆される。


 主な死因はけいれん直後や回復期の心血管系合併症<ref name=ref75><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref76><pubmed></pubmed></ref>や嘔吐に伴う窒息<ref name=ref77><pubmed></pubmed></ref>によると考えられ、ECT前のリスク評価や絶食などのECT前管理の徹底が重要となる。
 主な死因はけいれん直後や回復期の心血管系合併症<ref name=ref75><pubmed>9349071</pubmed></ref> <ref name=ref76>'''Levin L, Wambold D, Viguera A et al.'''<br>Hemodynamic responses to ECT in a patient to critical aortic stenosis. <br>''J ECT'', 52 : 884-885, 1997</ref>や嘔吐に伴う窒息<ref name=ref77><pubmed>9711067</pubmed></ref>によると考えられ、ECT前のリスク評価や絶食などのECT前管理の徹底が重要となる。


 またmECTにて通電1分後よりwide QRS頻拍が出現し、Lidocainの投与で頻拍が停止せず直流通電により停止させた症例<ref name=ref78><pubmed></pubmed></ref>も報告されており、緊急時の対応を想定しておき、ECT処置室には除細動器などの準備が必要である。
 またmECTにて通電1分後よりwide QRS頻拍が出現し、Lidocainの投与で頻拍が停止せず直流通電により停止させた症例<ref name=ref78>小田切 史徳、関田 学、小松 さやか、杉原 匡美、平野 景子、小松 かおる、林 英守、戸叶 隆司、住吉 正孝、中里 祐二、代田 浩之<br>うつ病に対する修正型電気けいれん療法によって誘発されたwide QRS頻拍の1例<br>
''心臓'' Vol. 44 (2012) No. SUPPL.2 p. S2_56-S2_62</ref>も報告されており、緊急時の対応を想定しておき、ECT処置室には除細動器などの準備が必要である。


===心血管系合併症===
===心血管系合併症===
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===認知機能障害===
===認知機能障害===
 ECTの副作用として出現する認知機能障害には発作後錯乱、発作間せん妄、健忘がある<ref name=ref79><pubmed></pubmed></ref>。
 ECTの副作用として出現する認知機能障害には発作後錯乱、発作間せん妄、健忘がある<ref name=ref79'''>Beyer JL, Weiner RD, Glenn MD'''<br>Electroconvulsive therapy. A programmed test 2 nd, <br>''American Psychiatric Press'', Washington DC, 1998</ref>。


 発作後錯乱(発作後せん妄)は、通常ECT麻酔覚醒後数分以内に簡単や従命や会話が可能となるところ、ECT麻酔覚醒時に数分から数時間の精神運動性興奮や失見当識を伴う錯乱状態を示すもので、安心できる声かけや静かな環境でのリカバリーが重要である。発作後錯乱ではリカバリー時の慎重な観察と安全管理を要すが、著しく興奮が強い場合は、静脈麻酔薬の再投与やMidazolam、Diazepam等のベンゾジアゼピンの追加投与が必要となる場合がある。
 発作後錯乱(発作後せん妄)は、通常ECT麻酔覚醒後数分以内に簡単や従命や会話が可能となるところ、ECT麻酔覚醒時に数分から数時間の精神運動性興奮や失見当識を伴う錯乱状態を示すもので、安心できる声かけや静かな環境でのリカバリーが重要である。発作後錯乱ではリカバリー時の慎重な観察と安全管理を要すが、著しく興奮が強い場合は、静脈麻酔薬の再投与やMidazolam、Diazepam等のベンゾジアゼピンの追加投与が必要となる場合がある。
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 発作間せん妄は、各ECT治療の間の期間にせん妄状態を呈すものであるが、一般的には治療終了とともに速やかに消失する。ECTの継続が望ましい場合は、治療間隔をあける、刺激用量を下げる、右片側性に変更するなどの対策をとるか、やむを得ない場合は抗精神病薬などによるせん妄治療を行う必要がある。
 発作間せん妄は、各ECT治療の間の期間にせん妄状態を呈すものであるが、一般的には治療終了とともに速やかに消失する。ECTの継続が望ましい場合は、治療間隔をあける、刺激用量を下げる、右片側性に変更するなどの対策をとるか、やむを得ない場合は抗精神病薬などによるせん妄治療を行う必要がある。


 健忘は前向性健忘と逆行性健忘があり、共にECT終了後数日から数週で消失することが多いが、前向性健忘は速やかに回復するのに対し、逆行性健忘は回復に比較的時間がかかることがあり、時にECT治療中や開始直前の記憶は欠けたままのこともある。逆行性健忘は、ECT施行前に全般的な認知機能障害を伴う場合や、ECT施行直後の失見当識の持続時間が長いほど起こりやすいとされる<ref name=ref80><pubmed></pubmed></ref>。また、エピソード記憶より意味記憶のほうが、遠隔記憶より近時記憶のほうがが障害されやすい<ref name=ref81><pubmed></pubmed></ref>ことが知られている。
 健忘は前向性健忘と逆行性健忘があり、共にECT終了後数日から数週で消失することが多いが、前向性健忘は速やかに回復するのに対し、逆行性健忘は回復に比較的時間がかかることがあり、時にECT治療中や開始直前の記憶は欠けたままのこともある。逆行性健忘は、ECT施行前に全般的な認知機能障害を伴う場合や、ECT施行直後の失見当識の持続時間が長いほど起こりやすいとされる<ref name=ref80><pubmed>7793470</pubmed></ref>。また、エピソード記憶より意味記憶のほうが、遠隔記憶より近時記憶のほうがが障害されやすい<ref name=ref81><pubmed>10839336</pubmed></ref>ことが知られている。


 認知機能障害の頻度は、片側性より両側性が、刺激強度が低用量より高用量の方が、パルス波よりサイン波の方が、頻度が高いとされる<ref name=ref26 /> <ref name=ref82><pubmed></pubmed></ref>。その他、治療回数が多い、治療間隔が短い、患者年齢が高いことは認知機能障害のリスクの増加に関連する。
 認知機能障害の頻度は、片側性より両側性が、刺激強度が低用量より高用量の方が、パルス波よりサイン波の方が、頻度が高いとされる<ref name=ref26 /> <ref name=ref82><pubmed>3458412</pubmed></ref>。その他、治療回数が多い、治療間隔が短い、患者年齢が高いことは認知機能障害のリスクの増加に関連する。


 認知機能障害が出現した時は、治療の中断、両側性から右片側性への電極配置の変更、治療頻度の引き下げ、治療有効性を損ねない程度の刺激強度の引き下げ、認知障害に関与している併用薬剤の見直し等の対策<ref name=ref8 /> <ref name=ref10 /> <ref name=ref60 />が行われることが望ましい。
 認知機能障害が出現した時は、治療の中断、両側性から右片側性への電極配置の変更、治療頻度の引き下げ、治療有効性を損ねない程度の刺激強度の引き下げ、認知障害に関与している併用薬剤の見直し等の対策<ref name=ref8 /> <ref name=ref10 /> <ref name=ref60 />が行われることが望ましい。


 記憶障害はECT中の低酸素と関係があり、ECT刺激前の十分な酸素化が重要である<ref name=ref83><pubmed></pubmed></ref>。またKetamine麻酔は神経保護作用を持ち認知機能障害を低減する可能性が示唆されている<ref name=ref84><pubmed></pubmed></ref> <ref name=ref85><pubmed></pubmed></ref>。
 記憶障害はECT中の低酸素と関係があり、ECT刺激前の十分な酸素化が重要である<ref name=ref83><pubmed>8010381</pubmed></ref>。またKetamine麻酔は神経保護作用を持ち認知機能障害を低減する可能性が示唆されている<ref name=ref84><pubmed>16801824</pubmed></ref> <ref name=ref85><pubmed>18379336</pubmed></ref>。


 認知機能障害はECTコース中に生じやすいが、一方でECT終了して約2週間経過すると治療前の水準以上となるという報告<ref name=ref86><pubmed></pubmed></ref>があり、うつ病の精神運動抑制による認知機能障害はECTによるうつ症状の改善とともに回復するため、鑑別しなければならない。
 認知機能障害はECTコース中に生じやすいが、一方でECT終了して約2週間経過すると治療前の水準以上となるという報告<ref name=ref86><pubmed>20673880 </pubmed></ref>があり、うつ病の精神運動抑制による認知機能障害はECTによるうつ症状の改善とともに回復するため、鑑別しなければならない。


 副作用としての認知障害を正しく評価するためには、ECT前の認知症などの認知機能障害の合併を把握しておく必要があり、ECT施行前の脳画像評価と認知機能評価が重要である。
 副作用としての認知障害を正しく評価するためには、ECT前の認知症などの認知機能障害の合併を把握しておく必要があり、ECT施行前の脳画像評価と認知機能評価が重要である。


 ECTの反復施行による認知機能障害の進行は否定的に考えられており<ref name=ref87><pubmed></pubmed></ref>、MRIやCTを用いたECTによる脳構造への障害についてのメタ解析では、脳構造への障害は示されていない<ref name=ref83 />。
 ECTの反復施行による認知機能障害の進行は否定的に考えられており<ref name=ref87><pubmed> 9229039</pubmed></ref>、MRIやCTを用いたECTによる脳構造への障害についてのメタ解析では、脳構造への障害は示されていない<ref name=ref83 />。


 またサイン波治療器で100回以上の両側性修正型ECTを受けた8名の患者とECTとECTを受けたことのない患者の比較研究では、認知機能に有意な差はなかった報告されている<ref name=ref88><pubmed></pubmed></ref>。
 またサイン波治療器で100回以上の両側性修正型ECTを受けた8名の患者とECTとECTを受けたことのない患者の比較研究では、認知機能に有意な差はなかった報告されている<ref name=ref88><pubmed> 2053635</pubmed></ref>。


===その他の合併症===
===その他の合併症===
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 歯科的損傷は、咬筋の収縮、人工換気、バイトブロックの挿入により起こりうる。ECTの術前検査として口腔内診察を行い、ぐらつきの強い歯や孤立した尖った歯がある場合は麻酔科医や歯科にコンサルトする必要がある。また咬傷の予防にバイトブロックを使用することが重要である。
 歯科的損傷は、咬筋の収縮、人工換気、バイトブロックの挿入により起こりうる。ECTの術前検査として口腔内診察を行い、ぐらつきの強い歯や孤立した尖った歯がある場合は麻酔科医や歯科にコンサルトする必要がある。また咬傷の予防にバイトブロックを使用することが重要である。


 うつ状態に対するECT治療中に躁転が出現することがある<ref name=ref89><pubmed></pubmed></ref>。この場合、ECTの抗躁効果を期待してさらにECTを継続する場合と、ECTを終了し躁状態に対する薬物療法を行う場合がある。ただし躁転は、ECT後の軽度の意識障害による脱抑制との鑑別が難しいことがあり、認知機能や脳波の評価が重要である。
 うつ状態に対するECT治療中に躁転が出現することがある<ref name=ref89><pubmed>3338979</pubmed></ref>。この場合、ECTの抗躁効果を期待してさらにECTを継続する場合と、ECTを終了し躁状態に対する薬物療法を行う場合がある。ただし躁転は、ECT後の軽度の意識障害による脱抑制との鑑別が難しいことがあり、認知機能や脳波の評価が重要である。


==mECTの実際==
==mECTの実際==
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 ECTは従来型ECTからmECTへ、そしてパルス波治療器を用いたECTへと発展してきており、現在のECTは、静脈麻酔薬の使用、筋弛緩薬の使用、ECT中の十分な酸素化と呼吸循環モニターの使用が標準的になってきている。しかし、本邦での課題として、修正型ECTおよびパルス波治療器の普及がまだ不十分であることがあげられる。
 ECTは従来型ECTからmECTへ、そしてパルス波治療器を用いたECTへと発展してきており、現在のECTは、静脈麻酔薬の使用、筋弛緩薬の使用、ECT中の十分な酸素化と呼吸循環モニターの使用が標準的になってきている。しかし、本邦での課題として、修正型ECTおよびパルス波治療器の普及がまだ不十分であることがあげられる。
 
 
 1991年に中島らにより行われたECTに関する精神神経学会に所属する精神科医への全国アンケート調査<ref name=ref90><pubmed></pubmed></ref>では、約4割の精神科医が現在ECTを実施していたが、修正型ECTを施行している精神科医は15%程度で、インフォームドコンセントの取得も不十分であった。
 1991年に中島らにより行われたECTに関する精神神経学会に所属する精神科医への全国アンケート調査<ref name=ref90>'''中島一憲、山崎久美子、守屋裕文'''<br>「電気けいれん療法(ECT)をめぐる諸問題」についてアンケート調査<br>''精神経誌''95;537-554,1993</ref>では、約4割の精神科医が現在ECTを実施していたが、修正型ECTを施行している精神科医は15%程度で、インフォームドコンセントの取得も不十分であった。


 1997年~1999年に本橋らが行った、大学病院・国立病院を対象にしたアンケート調査<ref name=ref91><pubmed></pubmed></ref>では、65%の施設でECTが行われ、mECTを行っている施設は80%であったが、mECTのみを行っている施設は33%で、約3分の2の施設で従来型ECTが用いられていた。また本調査では大学病院・国立病院へのアンケート調査で調査対象が本邦の精神科医療機関を網羅しておらず、従来型ECTの正確な使用割合は不明であった。
 1997年~1999年に本橋らが行った、大学病院・国立病院を対象にしたアンケート調査<ref name=ref91><pubmed>15087992</pubmed></ref>では、65%の施設でECTが行われ、mECTを行っている施設は80%であったが、mECTのみを行っている施設は33%で、約3分の2の施設で従来型ECTが用いられていた。また本調査では大学病院・国立病院へのアンケート調査で調査対象が本邦の精神科医療機関を網羅しておらず、従来型ECTの正確な使用割合は不明であった。


 2009年に日本精神神経学会精神科専門医制度研修施設を対象に行われた一瀬らの調査<ref name=ref92><pubmed></pubmed></ref>では、ECTを行っている施設は40%で、mECTのみを実施している施設は37.9%、静脈麻酔薬は使用するが筋弛緩薬は使用しないECTを行っている施設は44.9%で、静脈麻酔薬も使用しないECTを行っている施設も3.7%存在していた。
 2009年に日本精神神経学会精神科専門医制度研修施設を対象に行われた一瀬らの調査<ref name=ref92>'''一瀬 邦弘、鮫島 達夫、粟田 主一'''<br>わが国の電気けいれん療法(ECT)の現況 : 日本精神神経学会ECT検討委員会の全国実態調査から<br>''精神神經學雜誌''. 113, (9), pp. 939-951, 2011-09-25. 日本精神神経学会</ref>では、ECTを行っている施設は40%で、mECTのみを実施している施設は37.9%、静脈麻酔薬は使用するが筋弛緩薬は使用しないECTを行っている施設は44.9%で、静脈麻酔薬も使用しないECTを行っている施設も3.7%存在していた。


 治療器に関しては、パルス波治療器のみを使用している施設は24%で、パルス波とサイン波治療器の双方を使用している施設は20.8%、サイン波治療器のみを使用している施設は51%だった。
 治療器に関しては、パルス波治療器のみを使用している施設は24%で、パルス波とサイン波治療器の双方を使用している施設は20.8%、サイン波治療器のみを使用している施設は51%だった。