「電気けいれん療法」の版間の差分

(2016年を2017年に変更しました。)
24行目: 24行目:
 精神症状に対し治療効果のある確実なけいれんを誘発するために、けいれんを惹起する薬剤ではなく電気刺激による脳への通電を用いる方法は、1938年にイタリアの[[wj:ウーゴ・チェルレッティ|Cerletti]]らによりはじめて報告された。彼らは通電することにより動物にけいれんが誘発されることからアイデアを得て、統合失調症患者に対して電気による脳への通電を行うことでけいれんを誘発したところ、10~20回の通電治療の後で精神症状に有効であることを確認し、これにより精神疾患治療としてのECTが見出された<ref name=ref3><pubmed>15432756</pubmed></ref>。
 精神症状に対し治療効果のある確実なけいれんを誘発するために、けいれんを惹起する薬剤ではなく電気刺激による脳への通電を用いる方法は、1938年にイタリアの[[wj:ウーゴ・チェルレッティ|Cerletti]]らによりはじめて報告された。彼らは通電することにより動物にけいれんが誘発されることからアイデアを得て、統合失調症患者に対して電気による脳への通電を行うことでけいれんを誘発したところ、10~20回の通電治療の後で精神症状に有効であることを確認し、これにより精神疾患治療としてのECTが見出された<ref name=ref3><pubmed>15432756</pubmed></ref>。


 このように統合失調症患者に対して、経皮的な脳への電気通電によるけいれん誘発が施行され治療効果を認めたことから、欧米では精神科治療として1940~60年代にかけてECTが広く行われるようになり、同時に[[うつ病]]への治療効果も多く報告されるようになった。
 このように統合失調症患者に対して、経皮的な脳への通電によるけいれん誘発が施行され治療効果を認めたことから、欧米では精神科治療として1940~60年代にかけてECTが広く行われるようになり、同時に[[うつ病]]への治療効果も多く報告されるようになった。


 本邦では、1939年に九州大学の安河内と向笠により統合失調症に対するECTが報告<ref name=ref4>'''安河内五郎、向笠広次'''<br>精神分離症の電撃痙攣療法について<br>''福岡医大誌'' 1939 ;32:1437-1440</ref>されると、薬物療法など精神疾患への確実な治療法がない時代だったこともあり、本邦でも急速にECTが普及していった。
 本邦では、1939年に九州大学の安河内と向笠により統合失調症に対するECTが報告<ref name=ref4>'''安河内五郎、向笠広次'''<br>精神分離症の電撃痙攣療法について<br>''福岡医大誌'' 1939 ;32:1437-1440</ref>されると、薬物療法など精神疾患への確実な治療法がない時代だったこともあり、本邦でも急速にECTが普及していった。
45

回編集