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=== アデノウイルスベクター === | === アデノウイルスベクター === | ||
小児に感冒を引き起こす[[ヒト]][[アデノウイルス]] 5型が主に利用されている。ウイルス[[ゲノム]]([[DNA]])は核移行するがホストゲノムに組み込まれずに[[転写]]・[[翻訳]]される。アデノウイルスの増殖にはE1AとE1B領域が必須であるが、これらを発現させたい外来遺伝子と置換し、さらに増殖には不必要なE3領域も欠損させている<ref>'''斎藤 泉'''<br>次世代アデノウイルスベクターの開発状況と展望<br>ウイルス: 47:231-8:1997 doi 10.2222/jsv.47.231</ref>[1]。パッケージングされる部分を残して全て外来遺伝子に置換したウイルスプラスミドを、E1AとE1Bを持続発現しているHEK293細胞に導入することでウイルス粒子が産生され、細胞外に放出される。産生されたウイルス粒子はE1A遺伝子機能をもたないので複製できず非増殖型である。 | 小児に感冒を引き起こす[[ヒト]][[アデノウイルス]] 5型が主に利用されている。ウイルス[[ゲノム]]([[DNA]])は核移行するがホストゲノムに組み込まれずに[[転写]]・[[翻訳]]される。アデノウイルスの増殖にはE1AとE1B領域が必須であるが、これらを発現させたい外来遺伝子と置換し、さらに増殖には不必要なE3領域も欠損させている<ref>'''斎藤 泉'''<br>次世代アデノウイルスベクターの開発状況と展望<br>ウイルス: 47:231-8:1997 doi 10.2222/jsv.47.231</ref>[1]。パッケージングされる部分を残して全て外来遺伝子に置換したウイルスプラスミドを、E1AとE1Bを持続発現しているHEK293細胞に導入することでウイルス粒子が産生され、細胞外に放出される。産生されたウイルス粒子はE1A遺伝子機能をもたないので複製できず非増殖型である。 | ||
アデノウイルスベクターは[[ニューロン]]や静止期の[[アストロサイト]]を含むさまざまな細胞に感染し、きわめて効率的に外来遺伝子を発現する。細胞障害性や[[免疫原性]]をもつことが欠点であるが、逆にこの点を利用して脳腫瘍に対する遺伝子治療ベクターとして利用されている。遺伝子発現は一過性で感染から2ヶ月以内に消失する。アデノウイルスベクターの発現可能遺伝子サイズはおよそ8 kbであるが、ウイルスゲノムのほぼ全長を外来遺伝子と置換できるヘルパー依存性アデノウイルスベクター(gutlessとも呼ばれる)が開発されており、最長37 kbの外来遺伝子の挿入が可能である<ref><pubmed>24533227 </pubmed></ref>[2]。ヘルパー依存性アデノウイルスベクターはウイルス由来のタンパク質がほとんど産生されないため、免疫原性が低い利点がある。 | |||
=== シンドビスウイルス/セムリキ森林ウイルスベクター === | === シンドビスウイルス/セムリキ森林ウイルスベクター === |