「デルタ型グルタミン酸受容体」の版間の差分

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== GluDと疾患 ==
== GluDと疾患 ==
 GluD遺伝子は、マウスではGrid、ヒトではGRIDと呼ばれる。Grid1及び2はそれぞれ第14染色体と第6染色体に、 GRID1及び2は 10q23、4q22に存在する。GluD遺伝子の特徴は、他のイオンチャネル型グルタミン酸受容体の遺伝子に比べて、そのコーディング領域が長いことで、Grid1、GRID1では約750 kb、Grid2、GRID2は約1.5 Mbである。特に、Grid2は染色体脆弱部位に位置するため、表現型としてnull変異を呈する自然発生変異マウスhotfootが多数報告されている<ref name=Wang2003><pubmed>12752376</pubmed></ref> 。ヒトにおいてもGRID2に変異を持つ家系が相次いで報告され、患者は著しい小脳萎縮と運動失調、眼球運動障害を示すほか、知能や言語の障害も見られた<ref name=Hills2013><pubmed>24078737</pubmed></ref><ref name=Utine2013><pubmed>23611888</pubmed></ref><ref name=VanSchil2015><pubmed>25122145</pubmed></ref><ref name=Coutelier2015><pubmed>25841024</pubmed></ref> 。こうした高次の脳機能の障害が、GluD2欠損による小脳の非運動性機能の障害に起因するのか、小脳以外に発現しているGluD2の機能を反映した異常なのかは明らかではない。またヒトゲノムの解析からは、GRID1及びGRID2の一塩基多型やコピー数多型と統合失調症、双極性障害、自閉症スペクトラム障害などとの関連性が報告されている<ref name=Yuzaki2017><pubmed>28110935</pubmed></ref> 。
 GluD遺伝子は、[[マウス]]ではGrid、[[ヒト]]ではGRIDと呼ばれる。Grid1及び2はそれぞれ第14染色体と第6染色体に、 GRID1及び2は 10q23、4q22に存在する。
 
 GluD遺伝子の特徴は、他の[[イオンチャネル型グルタミン酸受容体]]の遺伝子に比べて、そのコーディング領域が長いことで、Grid1、GRID1では約750 kb、Grid2、GRID2は約1.5 Mbである。特に、Grid2は染色体脆弱部位に位置するため、表現型としてnull変異を呈する自然発生変異マウス[[hotfoot]]が多数報告されている<ref name=Wang2003><pubmed>12752376</pubmed></ref>
 
 ヒトにおいてもGRID2に変異を持つ家系が相次いで報告され、患者は著しい小脳萎縮と運動失調、[[眼球運動]]障害を示すほか、[[知能]]や[[言語]]の障害も見られた<ref name=Hills2013><pubmed>24078737</pubmed></ref><ref name=Utine2013><pubmed>23611888</pubmed></ref><ref name=VanSchil2015><pubmed>25122145</pubmed></ref><ref name=Coutelier2015><pubmed>25841024</pubmed></ref> 。こうした高次の脳機能の障害が、GluD2欠損による小脳の非運動性機能の障害に起因するのか、小脳以外に発現しているGluD2の機能を反映した異常なのかは明らかではない。またヒトゲノムの解析からは、GRID1及びGRID2の[[一塩基多型]]や[[コピー数多型]]と[[統合失調症]]、[[双極性障害]]、[[自閉症スペクトラム障害]]などとの関連性が報告されている<ref name=Yuzaki2017><pubmed>28110935</pubmed></ref> 。


図1.GluD2の機能領域の模式図。
図1.GluD2の機能領域の模式図。