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recency judgment
<font size="+1">橋本 照男</font><br>
時間順序判断をする際に、より現在に近いほうを判断することを指す。刺激系列の中から後に経験した刺激を同定する、もしくは継次的に呈示された複数の刺激系列の中から後の刺激系列中の刺激を同定することである。
''独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年12月5日 原稿完成日:2013年1月31日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/atsushiiriki 入來 篤史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英語名:recency judgment
目次
1 概要
2 神経基盤


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==概要==
 時間順序判断をする際に、より現在に近いほうを判断することを指す。刺激系列の中から後に経験した刺激を同定する、もしくは継時的に呈示された複数の刺激系列の中から後の刺激系列中の刺激を同定することである。
現在からの遠さ、系列内の位置、相対的時間(前後関係)などに基づいて親近性判断がなされ、時間が記憶されているわけではないと考えられている[1]。時間経過により記憶”強度”が低下し、その”強度”に基づいて親近性判断がされるという仮説は否定されている[2]。また、系列内の順序判断と系列間の順序判断には別のメカニズムが働くことが示唆されている[2]。刺激系列中の初期に呈示された刺激と最後に呈示された刺激の想起成績を比較すると、初期のほうがより想起できる初頭効果と、最後のほうがより想起できる新近効果(想起テストにより近い)がある。また、初期に学習した刺激が後の学習した刺激に対して妨害的に働く順向干渉と、後に学習した刺激がそれ以前に学習した刺激に対して妨害的に働く逆向干渉とがある。
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== 概要 ==
==神経基盤==
 
単なる再認とは異なることが脳画像研究[3]からも損傷研究[4]からも知られており、より情報を特定する必要がある。情報源(ソース)や詳細の想起と同様に、前頭-頭頂のネットワークが関係している。また、刺激と結びついた時間順序情報を想起するのに海馬が関わっていると考えられている。
 [[再認記憶課題]]において、複数の刺激が既知刺激であることを正確に判断できるだけでなく、さらにそれらの間の呈示順序判断ができることが、詳細な[[想起]]ができているとみなされる。現在からの遠さ、系列内の位置、相対的時間(前後関係)などに基づいて新近性判断がなされ、時間が記憶されているわけではない<ref>'''Friedman, W.J.'''<br>''Memory for the time of past events. Psychol Bull, 113, 44-66.'':1993</ref>。また、系列内の順序判断と系列間の順序判断には別のメカニズムが働くことが示唆されている<ref name=ref2 />。場所は良く[[記憶]]される一方、時間は別の出来事との相対的関係、新近性判断により評価されることが多い。時間経過により記憶“強度”が低下し、その”強度”に基づいて新近性判断がされるという仮説は否定されている<ref name=ref2><pubmed> 16524002 </pubmed></ref>。
 
== 系列位置効果 ==
 
Serial position effects
 
 刺激系列中の初期または最後に呈示された刺激と、中間に呈示された刺激の想起成績を比較すると、初期のほうがより想起できる[[初頭効果]]と、最後のほうがより想起できる[[新近効果]](想起[[テスト]]により近い)がある。これが[[短期記憶]]における[[系列位置効果]]である。これらには、先に学習した刺激が後の学習した刺激に対して妨害的に働く[[順向干渉]]と、後に学習した刺激がそれ以前に学習した刺激に対して妨害的に働く[[逆向干渉]]とが関係している。順向干渉がないことにより初頭効果が、逆向干渉がないことにより新近効果がある。以前の経験からの影響を制御することで正しい新近性判断が可能となるので、順向干渉を検討する手段として新近性判断が用いられる。ただし、新近性判断に影響するのは干渉だけでなく、刺激の弁別性も大きいと考えられる。
 
== 神経基盤 ==
 
 単なる再認とは異なることが[[脳画像研究]]から<ref><pubmed> 12417679 </pubmed></ref>も[[損傷研究]]<ref><pubmed> 9460723 </pubmed></ref>からも知られており、系列位置や前後関係など、より情報を特定する必要がある。情報源sourceや詳細の想起と同様に、[[前頭葉]]-[[頭頂葉]]のネットワークが関係している。また、刺激と結びついた時間順序情報を想起するのに[[海馬]]が関わっていると考えられている。
 
== 参考文献 ==
 
<references/>

2012年3月27日 (火) 14:36時点における版

recency judgment 時間順序判断をする際に、より現在に近いほうを判断することを指す。刺激系列の中から後に経験した刺激を同定する、もしくは継次的に呈示された複数の刺激系列の中から後の刺激系列中の刺激を同定することである。

目次 1 概要 2 神経基盤

概要

現在からの遠さ、系列内の位置、相対的時間(前後関係)などに基づいて親近性判断がなされ、時間が記憶されているわけではないと考えられている[1]。時間経過により記憶”強度”が低下し、その”強度”に基づいて親近性判断がされるという仮説は否定されている[2]。また、系列内の順序判断と系列間の順序判断には別のメカニズムが働くことが示唆されている[2]。刺激系列中の初期に呈示された刺激と最後に呈示された刺激の想起成績を比較すると、初期のほうがより想起できる初頭効果と、最後のほうがより想起できる新近効果(想起テストにより近い)がある。また、初期に学習した刺激が後の学習した刺激に対して妨害的に働く順向干渉と、後に学習した刺激がそれ以前に学習した刺激に対して妨害的に働く逆向干渉とがある。  

神経基盤

単なる再認とは異なることが脳画像研究[3]からも損傷研究[4]からも知られており、より情報を特定する必要がある。情報源(ソース)や詳細の想起と同様に、前頭-頭頂のネットワークが関係している。また、刺激と結びついた時間順序情報を想起するのに海馬が関わっていると考えられている。