16,040
回編集
(→参考文献) |
編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
[[Image:GFP structure.png|frame | [[Image:GFP structure.png|frame]] [[Image:GFP-actin.png|thumb|200px]] | ||
[[Image:GFP-actin.png | |||
英:green fluorescent protein、英略語:GFP、独:Grün fluoreszierendes Protein、仏:Protéine fluorescente verte | |||
緑色蛍光蛋白質とは、[[wikipedia:jp:%E3%82%AA%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2|オワンクラゲ]]''Aequorea victoria''由来の分子量約27,000の緑色の[[wikipedia:jp:%E8%9B%8D%E5%85%89|蛍光]]を発する[[wikipedia:jp:%E8%9B%8B%E7%99%BD%E8%B3%AA|蛋白質]]である。1960年代に[[wikipedia:jp:%E4%B8%8B%E6%9D%91%E8%84%A9|下村脩]]により発光蛋白質である[[wikipedia:jp:%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3|エクオリン]]の精製の過程で同定された<ref>Shimomura, O.; Johnson, F. H.; Saiga, Y. Extraction, purification and properties of aequorin, a bioluminescent protein from the luminous hydromedusan, Aequorea. J. Cell. Comp. Physiol. 1962 59:223–239</ref>。エクオリンは生体内で緑色発光を示すが、精製標品は青色発光を示す。そのため、生体内ではエクオリンとGFPが複合体を作りエクオリンのエネルギーがGFPに移行する事により緑色の発光をすると考えられている。 | |||
== GFPの特性 == | |||
(見出しは==で囲んで下さい.) | |||
==GFPの特性== | ==GFPの特性== | ||
蛋白質が翻訳されると[[wikipedia:jp:%E8%A3%9C%E9%85%B5%E7%B4%A0|補酵素]]等の非存在下でSer65–Tyr66–Gly67の[[wikipedia:jp:%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8|アミノ酸]]残基の自己脱水縮合により[[wikipedia:jp:%E7%99%BA%E8%89%B2%E5%9B%A3|発色団]]が形成される。[[wikipedia:jp:X%E7%B7%9A%E6%A7%8B%E9%80%A0%E8%A7%A3%E6%9E%90|X線構造解析]]の結果からはこの発光団を囲むようにして[[wikipedia:jp:%CE%B2%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88|βシート]]が存在し(β-canあるいはβ-barrel構造とも呼ばれる)、周囲の環境から発色団を分離している。そのため、GFPの蛍光は比較的外的環境の影響を受けにくいが、酸性域では蛍光強度が低下することが有る。基本的には単量体であるが、高濃度の場合は2量体を形成する傾向もある。 | 蛋白質が翻訳されると[[wikipedia:jp:%E8%A3%9C%E9%85%B5%E7%B4%A0|補酵素]]等の非存在下でSer65–Tyr66–Gly67の[[wikipedia:jp:%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8|アミノ酸]]残基の自己脱水縮合により[[wikipedia:jp:%E7%99%BA%E8%89%B2%E5%9B%A3|発色団]]が形成される。[[wikipedia:jp:X%E7%B7%9A%E6%A7%8B%E9%80%A0%E8%A7%A3%E6%9E%90|X線構造解析]]の結果からはこの発光団を囲むようにして[[wikipedia:jp:%CE%B2%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88|βシート]]が存在し(β-canあるいはβ-barrel構造とも呼ばれる)、周囲の環境から発色団を分離している。そのため、GFPの蛍光は比較的外的環境の影響を受けにくいが、酸性域では蛍光強度が低下することが有る。基本的には単量体であるが、高濃度の場合は2量体を形成する傾向もある。 | ||
GFPは異種の細胞でも容易に発現し、ほぼ毒性も無いのでGFPを発現するさまざまな[[wikipedia:jp:%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8B%95%E7%89%A9|トランスジェニック動物]]([[wikipedia:jp:%E5%93%BA%E4%B9%B3%E9%A1%9E|哺乳類]]から[[wikipedia:jp:%E9%AD%9A%E9%A1%9E|魚類]]、[[wikipedia:jp:%E7%84%A1%E8%84%8A%E6%A4%8E%E5%8B%95%E7%89%A9|無脊椎動物]])が開発されている。[[wikipedia:jp:%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90|遺伝子]]発現のレポーターや、その他の蛋白質と[[wikipedia:jp:%E8%9E%8D%E5%90%88%E8%9B%8B%E7%99%BD%E8%B3%AA|融合蛋白質]]を作成する事で、分子の局在を観察する事も可能である。また、[[wikipedia:jp:FRET|Förster共鳴エネルギー移動]](FRET)などを応用し[[wikipedia:jp:%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC|センサー]]としての応用も可能で細胞内Ca<sup>2+</sup>、[[wikipedia:jp:%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB%E4%BC%9D%E9%81%94|シグナル伝達]]、[[wikipedia:jp:%E9%85%B5%E7%B4%A0|酵素]]反応などの生体イメージングへの応用も試みられている<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref>。 | GFPは異種の細胞でも容易に発現し、ほぼ毒性も無いのでGFPを発現するさまざまな[[wikipedia:jp:%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8B%95%E7%89%A9|トランスジェニック動物]]([[wikipedia:jp:%E5%93%BA%E4%B9%B3%E9%A1%9E|哺乳類]]から[[wikipedia:jp:%E9%AD%9A%E9%A1%9E|魚類]]、[[wikipedia:jp:%E7%84%A1%E8%84%8A%E6%A4%8E%E5%8B%95%E7%89%A9|無脊椎動物]])が開発されている。[[wikipedia:jp:%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90|遺伝子]]発現のレポーターや、その他の蛋白質と[[wikipedia:jp:%E8%9E%8D%E5%90%88%E8%9B%8B%E7%99%BD%E8%B3%AA|融合蛋白質]]を作成する事で、分子の局在を観察する事も可能である。また、[[wikipedia:jp:FRET|Förster共鳴エネルギー移動]](FRET)などを応用し[[wikipedia:jp:%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC|センサー]]としての応用も可能で細胞内Ca<sup>2+</sup>、[[wikipedia:jp:%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%AB%E4%BC%9D%E9%81%94|シグナル伝達]]、[[wikipedia:jp:%E9%85%B5%E7%B4%A0|酵素]]反応などの生体イメージングへの応用も試みられている<ref>Miyawaki A. Innovations in the imaging of brain functions using fluorescent proteins. Neuron. 2005 Oct 20;48(2):189-99.</ref>。 (文献の入れ方は[[Help:テキストの書き方]]を参照して下さい。) | ||
(文献の入れ方は[[Help:テキストの書き方]]を参照して下さい。) | |||
==GFP関連分子== | == GFP関連分子 == | ||
=== GFP色変異体 === | |||
=== | (小見出しは===で囲んで下さい.以下更に細目を作りたいときには、=を増やして下さい.) | ||
===GFP色変異体=== | ===GFP色変異体=== | ||
アミノ酸配列上、様々な変異が加えられ、蛍光強度が向上した他、青色、シアン、黄色の変異体も作られた。 | アミノ酸配列上、様々な変異が加えられ、蛍光強度が向上した他、青色、シアン、黄色の変異体も作られた。 | ||
=== GFPを利用したセンサー蛋白質 === | |||
=== 他種動物由来GFP様蛋白質 === | |||
GFPに触発され様々な[[wikipedia:jp:%E8%85%94%E8%85%B8%E5%8B%95%E7%89%A9|腔腸動物]]が調べられ、同じ基本構造を持つ蛋白質が多数見つかってきている。 | |||
Discoma sp.由来のDsRed発光はじめて報告された、赤色蛍光を示す蛍光蛋白質である。元々は四量体であったが、変異をいれ単量体にした物が広く使われている。様々波長の物が現在までに開発されている(mOrange, mCherry, mStrawberryなど)<ref>Giepmans BN, Adams SR, Ellisman MH, Tsien RY. The fluorescent toolbox for assessing protein location and function. Science. 2006 Apr 14;312(5771):217-24</ref>。 | |||
== 参考文献 == | |||
<references /> | |||
<references/> | |||
同義語:GFP、緑色蛍光タンパク質、緑色蛍光蛋白、緑色蛍光タンパク | 同義語:GFP、緑色蛍光タンパク質、緑色蛍光蛋白、緑色蛍光タンパク | ||
関連語:赤色蛍光蛋白質、RFP、青色蛍光蛋白質、BFP、シアン蛍光蛋白質、CFP、黄色蛍光蛋白質、YFP、Cerulean、Venus、Ypet、Cypet、mCherry、mOrange、mStrawberry、mPlum、Cameleon、G-CaMP | 関連語:赤色蛍光蛋白質、RFP、青色蛍光蛋白質、BFP、シアン蛍光蛋白質、CFP、黄色蛍光蛋白質、YFP、Cerulean、Venus、Ypet、Cypet、mCherry、mOrange、mStrawberry、mPlum、Cameleon、G-CaMP | ||
(執筆者:林 康紀、担当編集委員:林 康紀) (執筆者と査読をした担当編集委員お名前を入れて下さい.共著可)。 | (執筆者:林 康紀、担当編集委員:林 康紀) (執筆者と査読をした担当編集委員お名前を入れて下さい.共著可)。 |