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{{PBB|geneid=9229}} {{PBB|geneid=9228}} {{PBB|geneid=58512}}{{PBB|geneid=22839}} 英略称:DLGAP  
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同義語:[[Discs, large-homolog associated protein]], [[SAPAP]]  
同義語:[[Discs, large homolog-associated protein]], [[GKAP]], [[SAPAP]]  


{{box|text= 興奮性シナプスの裏打ちタンパク質の一つ。[[PSD-95|Postsynaptic density (PSD)-95]]の[[グアニル酸キナーゼ]]領域に結合するタンパク質として同定された。14アミノ酸からなる5回の繰り返し配列を持ち、その部位でPSD-95、[[MAGI2]]/[[S-SCAM]]のguanylate kinase領域に結合する。N末端側で、[[ニューロフィラメント]] (neurofilament)などの[[中間径フィラメント]]、C末端側のプロリンリッチ配列を介して、[[NArgBP2]]の[[SH3]]領域、さらにそれよりもC末端側で[[ダイニン軽鎖]] (dynein light chain) [[LC1]]、[[LC8]]、C末端に[[PDZ]]結合モチーフで[[Shank]]の[[PDZ領域]]に結合する。その他、[[神経型一酸化窒素合成酵素]](nNOS)とも結合する。DLGAP3ノックアウトマウスは、ヒトにおける[[強迫性障害]] (obsessive-compulsive disorder(OCD))を連想させる行動異常を示す。
{{box|text= 興奮性シナプスの裏打ちタンパク質の一つ。[[PSD-95|Postsynaptic density (PSD)-95]]の[[グアニル酸キナーゼ]]領域に結合するタンパク質として同定された。14アミノ酸からなる5回の繰り返し配列を持ち、その部位でPSD-95、[[MAGI2]]/[[S-SCAM]]のguanylate kinase領域に結合する。N末端側で、[[ニューロフィラメント]] (neurofilament)などの[[中間径フィラメント]]、C末端側のプロリンリッチ配列を介して、[[NArgBP2]]の[[SH3]]領域、さらにそれよりもC末端側で[[ダイニン軽鎖]] (dynein light chain) [[LC1]]、[[LC8]]、C末端に[[PDZ]]結合モチーフで[[Shank]]の[[PDZ領域]]に結合する。その他、[[神経型一酸化窒素合成酵素]](nNOS)とも結合する。DLGAP3ノックアウトマウスは、ヒトにおける[[強迫性障害]] (obsessive-compulsive disorder(OCD))を連想させる行動異常を示す。
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== 機能、性状  ==
== 機能、性状  ==
[[Image:PSD proteins.jpg|thumb|right|295px|<b>図 PSD蛋白質</b><br />Reprinted, with permission, from the Annual Review of Biochemistry, Volume 76 © 2007 by Annual Reviews www.annualreviews.org]]
[[Image:PSD proteins.jpg|thumb|right|295px|<b>図 PSDタンパク質</b><br />Reprinted, with permission, from the Annual Review of Biochemistry, Volume 76 © 2007 by Annual Reviews www.annualreviews.org]]
 DLGAPは[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の裏打ちタンパク質PSD-95に結合する分子として同定され、Shankにも結合するため、興奮性シナプスの[[足場蛋白質|足場]]タンパク質と見なされている(図)。上述のように、多くの相互作用分子が同定されているものの、個々の相互作用の生理的意義は必ずしも明快に示されているとはいえない。ダイニン軽鎖との結合からは、PSD-95を含む複合体の輸送を担う機能が措定されている。DLGAP3ノックアウトマウスでは、DLGAP3が本来、強く発現する線条体の神経細胞において、[[代謝活性型グルタミン酸受容体]]5型(mGluR5)が細胞膜表面に留まり、そのシグナル活性が上昇し、その結果として[[AMPA型グルタミン酸受容体]]のシグナルの抑制、[[エンドカンナビノイド]] (endocannabinoid)による異常なシナプス抑制が観察される<ref><pubmed>21715621</pubmed></ref><ref><pubmed>22090495</pubmed></ref>。この知見をもとに、DLGAP3にはmGluR5の[[エンドサイトーシス]]を制御する機能があると推論されている。[[グリア細胞]]では、Dlg1を[[ダイニン]]につなぐ作用を通じて、[[中心体]]の細胞内の位置決めに関与すると報告されている<ref><pubmed>21041448</pubmed></ref>。なお、いずれのSAPAPも[[wikipedia:JA:界面活性剤|界面活性剤]]に不溶性であるが、その不溶性はN末端に依存し、N末端を欠くGKAP (DLGAP1 variant2)は比較的可溶化されやすい。神経細胞に発現させた場合のSAPAP1 (DLGAP1 variant1)とGKAPの挙動にも、差異があると予測される。したがって、それぞれの研究で、GKAPが論じられているのか、SAPAP1が論じられているのかについて、注意を払う必要がある。  
 DLGAPは[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の裏打ちタンパク質PSD-95に結合する分子として同定され、Shankにも結合するため、興奮性シナプスの[[足場蛋白質|足場]]タンパク質と見なされている(図)。上述のように、多くの相互作用分子が同定されているものの、個々の相互作用の生理的意義は必ずしも明快に示されているとはいえない。ダイニン軽鎖との結合からは、PSD-95を含む複合体の輸送を担う機能が措定されている。DLGAP3ノックアウトマウスでは、DLGAP3が本来、強く発現する線条体の神経細胞において、[[代謝活性型グルタミン酸受容体]]5型(mGluR5)が細胞膜表面に留まり、そのシグナル活性が上昇し、その結果として[[AMPA型グルタミン酸受容体]]のシグナルの抑制、[[エンドカンナビノイド]] (endocannabinoid)による異常なシナプス抑制が観察される<ref><pubmed>21715621</pubmed></ref><ref><pubmed>22090495</pubmed></ref>。この知見をもとに、DLGAP3にはmGluR5の[[エンドサイトーシス]]を制御する機能があると推論されている。[[グリア細胞]]では、Dlg1を[[ダイニン]]につなぐ作用を通じて、[[中心体]]の細胞内の位置決めに関与すると報告されている<ref><pubmed>21041448</pubmed></ref>。なお、いずれのSAPAPも[[wikipedia:JA:界面活性剤|界面活性剤]]に不溶性であるが、その不溶性はN末端に依存し、N末端を欠くGKAP (DLGAP1 variant2)は比較的可溶化されやすい。神経細胞に発現させた場合のSAPAP1 (DLGAP1 variant1)とGKAPの挙動にも、差異があると予測される。したがって、それぞれの研究で、GKAPが論じられているのか、SAPAP1が論じられているのかについて、注意を払う必要がある。