「樹状突起スパイン」の版間の差分

編集の要約なし
34行目: 34行目:
 また、一定時間ごとに一部のスパインが取り除かれていくが、数日以上の時間スケールでは、体積の大きいスパインの方が小さいスパインより長寿命である傾向が報告されている<ref name=Holtmaat2005><pubmed>15664179</pubmed></ref><ref name=Yasumatsu2008><pubmed>19074033</pubmed></ref> 。体積の大きいスパインは前述のようにグルタミン酸受容体が多く存在して情報伝達効率も大きいことから、記憶・学習に伴って変更された神経回路が体積の大きいスパインによって長期間維持されると考えられる。
 また、一定時間ごとに一部のスパインが取り除かれていくが、数日以上の時間スケールでは、体積の大きいスパインの方が小さいスパインより長寿命である傾向が報告されている<ref name=Holtmaat2005><pubmed>15664179</pubmed></ref><ref name=Yasumatsu2008><pubmed>19074033</pubmed></ref> 。体積の大きいスパインは前述のようにグルタミン酸受容体が多く存在して情報伝達効率も大きいことから、記憶・学習に伴って変更された神経回路が体積の大きいスパインによって長期間維持されると考えられる。
[[File:Noguchi Spine Fig 4.jpg|サムネイル|'''図4. 抑制性シナプスも有する樹状突起スパインのモデル<br>A.''' 大脳皮質や線条体などのスパインには、興奮性のグルタミン酸シナプスに加えて、抑制性のGABAシナプスも持つものが存在する。<br>'''B.''' 抑制性シナプス入力は、静止膜電位付近においては、シャンティング(shunting; 短絡)によって興奮性入力によるシナプス後電位の上昇を抑制する。すなわち、抑制性シナプスが興奮性シナプスの機能を制御(ゲーティング)することが考えられる。]]
[[File:Noguchi Spine Fig 4.jpg|サムネイル|'''図4. 抑制性シナプスも有する樹状突起スパインのモデル<br>A.''' 大脳皮質や線条体などのスパインには、興奮性のグルタミン酸シナプスに加えて、抑制性のGABAシナプスも持つものが存在する。<br>'''B.''' 抑制性シナプス入力は、静止膜電位付近においては、シャンティング(shunting; 短絡)によって興奮性入力によるシナプス後電位の上昇を抑制する。すなわち、抑制性シナプスが興奮性シナプスの機能を制御(ゲーティング)することが考えられる。]]
 抑制性シナプスを有する樹状突起スパインが大脳皮質や線条体などでみられる('''図4''')<ref name=Kubota2007><pubmed> 17267569 </pubmed>。抑制性入力はこれらの領域において、同時に入力する興奮性入力を制御(gating, ゲーティング)することによって、必要なタイミングで特定の神経回路を働かせたり、複数の神経回路の相互に排他的な活動を実現している可能性がある<ref name=Gisiger2011><pubmed>21267396</pubmed></ref>。
 抑制性シナプスを有する樹状突起スパインが大脳皮質や線条体などでみられる('''図4''')<ref name=Kubota2007><pubmed> 17267569 </pubmed></ref>。抑制性入力はこれらの領域において、同時に入力する興奮性入力を制御(gating, ゲーティング)することによって、必要なタイミングで特定の神経回路を働かせたり、複数の神経回路の相互に排他的な活動を実現している可能性がある<ref name=Gisiger2011><pubmed>21267396</pubmed></ref>。


=== 内部構造 ===
=== 内部構造 ===