「正常圧水頭症」の版間の差分

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== 正常圧水頭症とは ==
== 正常圧水頭症とは ==
[[ファイル:Yamada NPH Fig.jpg|サムネイル|'''図.''' 図の解説をお願いいたします。正常脳があればと思います。]]
=== 背景 ===
=== 背景 ===
 1965年にAdamsらが提唱した正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus, NPH)は、胎生期や小児期に発症する水頭症とは異なり、脳室は拡大しているが脳脊髄液の圧は正常範囲内で、成人期、多くは高齢になってから歩行障害、認知障害、排尿障害などの症状が緩徐に進行し、脳脊髄液シャント術によって症状が改善する疾患である。髄液の経路の閉塞(非交通性)の有無には言及していないが、多くは中脳水道の狭窄や閉塞のない交通性の水頭症である<ref name=Adams1965><pubmed>14303656</pubmed></ref> 。頭部外傷、くも膜下出血、脳内出血、髄膜炎、脳腫瘍などの先行脳疾患に続発する二次性正常圧水頭症(secondary Normal Pressure Hydrocephalus, sNPH)と、原因となる疾患が明らかではない特発性正常圧水頭症(idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus, iNPH)の2つに分類されてきた。当初は、画像検査で脳室の著明な拡大によって見つかる先天性要因あるいは発達異常に伴う正常圧水頭症(congenital/developmental etiologies)も、先行性脳疾患がなく、歩行障害、認知障害、排尿障害を主症状としており特発性正常圧水頭症に含まれていた可能性があるが、この病態は症状の進行や治療方針、治療効果がいわゆる特発性正常圧水頭症とは異なるため、二次性正常圧水頭症、特発性正常圧水頭症とは明確に区別するために、別の分類に定義されている('''図''')。
 1965年にAdamsらが提唱した正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus, NPH)は、胎生期や小児期に発症する水頭症とは異なり、脳室は拡大しているが脳脊髄液の圧は正常範囲内で、成人期、多くは高齢になってから歩行障害、認知障害、排尿障害などの症状が緩徐に進行し、脳脊髄液シャント術によって症状が改善する疾患である。髄液の経路の閉塞(非交通性)の有無には言及していないが、多くは中脳水道の狭窄や閉塞のない交通性の水頭症である<ref name=Adams1965><pubmed>14303656</pubmed></ref> 。頭部外傷、くも膜下出血、脳内出血、髄膜炎、脳腫瘍などの先行脳疾患に続発する二次性正常圧水頭症(secondary Normal Pressure Hydrocephalus, sNPH)と、原因となる疾患が明らかではない特発性正常圧水頭症(idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus, iNPH)の2つに分類されてきた。当初は、画像検査で脳室の著明な拡大によって見つかる先天性要因あるいは発達異常に伴う正常圧水頭症(congenital/developmental etiologies)も、先行性脳疾患がなく、歩行障害、認知障害、排尿障害を主症状としており特発性正常圧水頭症に含まれていた可能性があるが、この病態は症状の進行や治療方針、治療効果がいわゆる特発性正常圧水頭症とは異なるため、二次性正常圧水頭症、特発性正常圧水頭症とは明確に区別するために、別の分類に定義されている('''図''')。