「細胞外プロテアーゼ」の版間の差分

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<font size="+1">鈴木春満</font><br>
<font size="+1">鈴木 春満</font><br>
''奈良先端大学''<br>
''奈良先端大学''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年5月30日 原稿完成日:2012年8月11日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月30日 原稿完成日:2012年8月11日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/haruokasai 河西 春郎](東京大学 大学院医学系研究科)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/haruokasai 河西 春郎](東京大学 大学院医学系研究科)<br>
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| アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP)  
| アミロイドβ前駆体蛋白質 (APP)  
| アルツハイマー病  
| アルツハイマー病  
| [[老人班]]
| [[老人斑]]
|}
|}


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=== プラスミン  ===
=== プラスミン  ===


  プラスミノーゲンはtPAによって切断されて幅広い特異性をもつプラスミン(plasmin)になる。このtPA-プラスミンカスケードは神経可塑性に関わっている。プラスミン活性はLTPのいくつかの形に重要であることが示されてきている。例えば、プラスミンの投与時に[[テタナス刺激]]を同時に行うとLTPが増強された。プラスミンによる[[ProBDNF]]から成熟[[BDNF]]への活性化はL-LTPの発現に重要であることが明らかとなっている。動物個体による行動研究から、[[側坐核]]へのプラスミンの微量注入の結果、[[モルヒネ]]依存性の[[ドーパミン]]放出が増強され、マウスの過剰運動など薬物依存の症状が見られた。ここでは、プラスミンによるprotease-activated receptor1(PAR1)の活性化を介することが示されている<ref name="ref1" /> 。  
 プラスミノーゲンはtPAによって切断されて幅広い特異性をもつプラスミン(plasmin)になる。このtPA-プラスミンカスケードは神経可塑性に関わっている。プラスミン活性はLTPのいくつかの形に重要であることが示されてきている。例えば、プラスミンの投与時に[[テタナス刺激]]を同時に行うとLTPが増強された。プラスミンによる[[ProBDNF]]から成熟[[BDNF]]への活性化はL-LTPの発現に重要であることが明らかとなっている。動物個体による行動研究から、[[側坐核]]へのプラスミンの微量注入の結果、[[モルヒネ]]依存性の[[ドーパミン]]放出が増強され、マウスの過剰運動など薬物依存の症状が見られた。ここでは、プラスミンによるprotease-activated receptor1(PAR1)の活性化を介することが示されている<ref name="ref1" /> 。


=== ニューロトリプシン  ===
=== ニューロトリプシン  ===
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=== BACE1  ===
=== BACE1  ===


 アルツハイマー病の主原因である([[アミロイドベータ]])Aβ生産に関わるβ[[セクレターゼ]]として単離されてきた。Aβは膜貫通タンパク質であるamyloid precursor protein(APP)をβ-セクレターゼが細胞外の切断に関わり、γ‐セクレターゼが膜貫通領域の細胞質側で切断することから産生される。その結果、患者の[[老人班]]が形成されることになる。  
 アルツハイマー病の主原因である([[アミロイドベータ]])Aβ生産に関わる[[β-セクレターゼ]]として単離されてきた。Aβは膜貫通タンパク質であるamyloid precursor protein(APP)をβ-セクレターゼが細胞外の切断に関わり、[[γ‐セクレターゼ]]が膜貫通領域の細胞質側で切断することから産生される。その結果、患者の[[老人斑]]が形成されることになる。


== 関連項目  ==
== 関連項目  ==