「ミオクローヌス」の版間の差分

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=== 皮質性ミオクローヌス ===
=== 皮質性ミオクローヌス ===
 [[大脳皮質]][[一次感覚運動野]]の神経細胞の異常により生じる。非常に持続時間の短い不規則な筋収縮で、姿勢時や運動時に出現しやすく,しばしば刺激過敏性を認める。“てんかん性ミオクローヌス”と病態生理的に考えられ、てんかん発作をともなうものも多い。
 [[大脳皮質]][[一次感覚野|一次感覚]][[一次運動野|運動野]]の神経細胞の異常により生じる。非常に持続時間の短い不規則な筋収縮で、姿勢時や運動時に出現しやすく,しばしば刺激過敏性を認める。“てんかん性ミオクローヌス”と病態生理的に考えられ、てんかん発作をともなうものも多い。


 皮質性ミオクローヌスはさらに3種類の亜型に分類される。刺激過敏性があり、[[体性感覚]]、[[聴覚]]、[[視覚]]刺激などで誘発される場合は[[皮質反射性ミオクローヌス]]、刺激に無関係に自発的に生じているものを[[自発性皮質性ミオクローヌス]]、自発性であっても身体の一部に限局し、持続性にミオクローヌスが生じている場合には[[持続性部分てんかん]]と分類している。皮質性ミオクローヌスをきたす疾患としては、[[進行性ミオクローヌスてんかん]]、良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん、クロイツフェルト・ヤコブ病、無酸素脳症後のミオクローヌス([[Lance-Adams症候群]])、皮質基底核変性症などの各種変性疾患、各種代謝性脳症などがある('''表2''')。このうちクロイツフェルト・ヤコブ病、Lance-Adams症候群などでは皮質下性ミオクローヌスも呈する。
 皮質性ミオクローヌスはさらに3種類の亜型に分類される。刺激過敏性があり、[[体性感覚]]、[[聴覚]]、[[視覚]]刺激などで誘発される場合は[[皮質反射性ミオクローヌス]]、刺激に無関係に自発的に生じているものを[[自発性皮質性ミオクローヌス]]、自発性であっても身体の一部に限局し、持続性にミオクローヌスが生じている場合には[[持続性部分てんかん]]と分類している。皮質性ミオクローヌスをきたす疾患としては、[[進行性ミオクローヌスてんかん]]、良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん、クロイツフェルト・ヤコブ病、無酸素脳症後のミオクローヌス([[Lance-Adams症候群]])、皮質基底核変性症などの各種変性疾患、各種代謝性脳症などがある('''表2''')。このうちクロイツフェルト・ヤコブ病、Lance-Adams症候群などでは皮質下性ミオクローヌスも呈する。
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=== 皮質性ミオクローヌス ===
=== 皮質性ミオクローヌス ===
 各種抗てんかん薬が有効で、多剤併用療法がより効果的である。[[クロナゼパム]]や[[バルプロ酸]]が広く使用されている。抗てんかん薬の[[プリミドン]]、[[ゾニサミド]]、新規抗てんかん薬としては[[レベチラセタム]]や抗ミオクローヌス薬である[[ピラセタム]]も皮質性ミオクローヌスに有効である。また新規抗てんかん薬である[[ペランパネル]]もてんかんおよびも皮質性ミオクローヌスに有効であることが最近報告された<ref name=Oi2019><pubmed>31401489</pubmed></ref>。なお持続性部分てんかんと考えられる場合には[[てんかん重積状態]]として治療を行う。
 各種[[抗てんかん薬]]が有効で、多剤併用療法がより効果的である。[[クロナゼパム]]や[[バルプロ酸]]が広く使用されている。抗てんかん薬の[[プリミドン]]、[[ゾニサミド]]、新規抗てんかん薬としては[[レベチラセタム]]や抗ミオクローヌス薬である[[ピラセタム]]も皮質性ミオクローヌスに有効である。また新規抗てんかん薬である[[ペランパネル]]もてんかんおよびも皮質性ミオクローヌスに有効であることが最近報告された<ref name=Oi2019><pubmed>31401489</pubmed></ref>。なお持続性部分てんかんと考えられる場合には[[てんかん重積状態]]として治療を行う。


 抗てんかん薬の[[フェニトイン]]は皮質性ミオクローヌスに有効だが、長期的には進行性ミオクローヌスてんかんの1つであるウンフェルリヒト・ルンドボルグ病において平均寿命を短縮し認知機能低下を来たすことが報告されており長期使用には慎重を要する<ref name=Eldridge1983><pubmed>6137660</pubmed></ref>。[[カルバマゼピン]]も一般に皮質性ミオクローヌスに有効だが、増悪例も報告されている。ガバペンチンも良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんの増悪例が報告されている<ref name=Striano2007><pubmed>17645541</pubmed></ref>。
 抗てんかん薬の[[フェニトイン]]は皮質性ミオクローヌスに有効だが、長期的には進行性ミオクローヌスてんかんの1つであるウンフェルリヒト・ルンドボルグ病において平均寿命を短縮し認知機能低下を来たすことが報告されており長期使用には慎重を要する<ref name=Eldridge1983><pubmed>6137660</pubmed></ref>。[[カルバマゼピン]]も一般に皮質性ミオクローヌスに有効だが、増悪例も報告されている。ガバペンチンも良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんの増悪例が報告されている<ref name=Striano2007><pubmed>17645541</pubmed></ref>。