「放射状グリア細胞」の版間の差分
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2021年7月30日 (金) 19:39時点における版
吉川 貴子、大隅 典子
東北大学 大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野
DOI:10.14931/bsd.3707 原稿受付日:20XX年6月9日 原稿完成日:20XX年6月17日
担当編集委員:
英:radial glial cells
放射状グリア細胞は、胎生期脳の発生過程における、自己複製能と多分化能を持つ神経幹細胞(神経前駆細胞)である。放射状グリア細胞は、脳表面(軟膜側)まで非常に長い放射状の突起を伸ばしており、この突起は放射状グリア細胞から生み出された新生ニューロンが軟膜側に移動する際の足場となる。基底膜方向に向かう放射状の突起は基底膜側突起と呼ばれ、突起の先端部は基底膜に接して固定されている。一方、脳室面側では、放射状グリア細胞は細胞接着装置によって互いに繋ぎとめられている。ヒトなどの霊長類で特に発達した大脳皮質原基において、脳室帯の外側にある外側脳室下帯には、脳室面側の突起が無く基底膜側突起のみを持つ放射状グリア細胞(outer radial glial cells, oRG cells)が豊富に存在する。oRG 細胞もまた神経幹細胞として働き、進化の過程において大脳皮質の拡大に貢献したことが近年明らかになっている。