「ミカエリス・メンテンの式」の版間の差分

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<br>      <math>k_{cat} = \frac{V_{max}}{[E_0]}</math>     (15)  
<br>      <math>k_{cat} = \frac{V_{max}}{[E_0]}</math>     (15)  


<br>  である(<math>[E_{sub}]</math>は全酵素濃度)。<math>k_{cat}</math>は酵素が基質で飽和された状態において、1モルの酵素(或いは活性部位)が1秒間に生成物へ変換できる基質のモル数を表し、単位は<math>s^{-1}</math>である。すなわち<math>k_{cat}</math>は酵素の触媒効率を表す指標である。また、(7)または(13)式の<math>V_{max}</math>を(15)式により、<span class="texhtml">''k''<sub>''cat''</sub>[''E''<sub>0</sub>]</span>で置き換えると  
<br>  である(<math>[E_{sub}]</math>は全酵素濃度)。<math>k_{cat}</math>は酵素が基質で飽和された状態において、1モルの酵素(或いは活性部位)が1秒間に生成物へ変換できる基質のモル数を表し、単位は<math>s^{-1}</math>である。すなわち<math>k_{cat}</math>は酵素の触媒効率を表す指標である。また、(7)または(13)式の<math>V_{max}</math>を(15)式により、<math>k_{cat}[E_0]</math>で置き換えると  


<br>      <math>v = k_3[ES] = \frac{k_{cat}[E_0][S]}{K_m +[S]}</math>          (16)  
<br>      <math>v = k_3[ES] = \frac{k_{cat}[E_0][S]}{K_m +[S]}</math>          (16)  
116行目: 116行目:
<br>      <math>v =  \frac{k_{cat}}{K_m}[E][S]</math>          (18)  
<br>      <math>v =  \frac{k_{cat}}{K_m}[E][S]</math>          (18)  


<br>  この式は<math>E</math>と<math>S</math>の衝突が反応全体の速度を支配していると考えた場合の二次反応速度定数が<math>k_{cat}/k_m</math>であることを示している。<math>k_{cat}/k_m</math>の値は、異なる酵素の触媒効率を比較する際のパラメータとして用いられる。また、同一の酵素に対して、異なる基質の特異性を議論する場合にも<math>k_{cat}/k_m</math>の値が用いられ、特異性定数と呼ばれることがある。この場合、<math>k_{cat}/k_m</math>の値が大きいほど、その酵素に対してよい基質であるということになる。  
<br>  この式は<math>E</math>と<math>S</math>の衝突が反応全体の速度を支配していると考えた場合の二次反応速度定数が<math>k_{cat}/k_m</math>であることを示している。<math>k_{cat}/k_m</math>の値は、異なる酵素の触媒効率を比較する際のパラメータとして用いられる。また、同一の酵素に対して、異なる基質の特異性を議論する場合にも<math>k_{cat}/k_m</math>の値が用いられ、特異性定数と呼ばれることがある。この場合、<math>k_{cat}/k_m</math>の値が大きいほど、その酵素に対してよい基質であるということになる。


== 阻害剤存在下の酵素反応速度論  ==
== 阻害剤存在下の酵素反応速度論  ==